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属人思考 組織の判断ミスはなぜ起こるのか

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で965人、そのうち東京266人、神奈川71人、埼玉94人、千葉136人、愛知42人、大阪69人、兵庫27人、福岡46人などとなっています。検査数の少ない休日のデータとはいえ1000人を下回りました。このまま減少していってもらいたいものです。ただ、全国での死者が累計7000人を超えました。5000人から6000人に達したのは11日で、6000人から7000人に達するのに12日と、死者の増加ペースは緩んでいません。また、変異株の感染者も、埼玉・福島・滋賀で計13例確認されています。いずれも海外渡航歴はないとのことで市中感染が疑われます。

再び感染拡大に転じないように気を緩めることなく、感染防止対策をとり続けるしかありません。

昨日、日経平均株価が30年半ぶりに3万円の大台を回復しました。コロナ禍で厳しい雇用状況にあり、中小企業をはじめ多くの企業が苦境に立たされている中での3万円台の回復は、まったく実体経済とは合っていません。かつてのバブル期のような景気の実感はなく、大きく実体と乖離しています。今の日本株の主な買い手は外国人投資家で、行き場のなくなった余った金が株式市場に流れ込み相場を引き上げているだけです。確かに、昨年10~12月期は予想を上回る企業業績の回復が見られ、GDPも前期よりも年率12.7%増と強い勢いを見せています。しかし、いったん持ち直した景気は、第3波の感染拡大・緊急事態宣言発令の影響でサービス消費が大きな打撃を受けることは必定で、1~3月期には再びマイナスに転じる可能性は極めて高いと言えます。日本経済の今後の回復はコロナ次第です。緊急事態宣言が解除されれば反発が見込まれますが、再び感染拡大となれば再びマイナスに転じと、ここしばらくはこの繰り返しの状況が続くように思います。日本経済がコロナ前の水準に戻るには、まだまだ時間がかかりそうです。

さて、今日は、ダイヤモンド・オンラインの「組織の判断ミスはなぜ起こるのか?『属人思考』のはびこる組織が危ない理由」を取り上げます。

会議で慎重に決めたはずなのに、判断を誤り、それが組織にとって致命傷になることがあります。慎重に判断したはずなのに誤ってしまうという原因について、心理学博士の榎本博明氏は「属人思考が原因である」と言っています。

そして、組織として判断ミスをなくすには、この「属人思考」を知っておく必要があるというのです。

1.風通しが悪く、意見を自由に言えない組織風土

 ちょっと危うい感じがしても、疑問をぶつけたり反対意見を表明したりすることができにくい組織環境は、自分にとって影響力のある人や権限・権力を持った人の意向に迎合してしまう傾向が強い日本人の組織では往々にしてあることで珍しいことではありません。この風通しの悪さのせいで、せっかく議論をしても、きちんとした議論がなされず、おかしな結論に至ってしまいます。多くの人が、内心では釈然としない感覚を抱いています。しかし、こうした事態を避けようと、多くの組織で改革を行おうとしても、結局は組織の構造や制度を弄るだけで、組織風土には手を付けないでいます。組織の構造や制度を変えても、組織風土が変わらなければ、同じことの繰り返しです。

 組織風土というものは、社員や構成員、メンバーの思考や行動に無意識のうちに影響を与えるものです。制度をどのように活かし規制を加えるのか、組織の構造をどのようにするのか、会議の運営はどうするのかなど、すべて組織風土に関わってきます。

 だから、今、求められるものは組織風土の改革だというのです。

2.属人思考が組織の意思決定を歪めてしまう。

 組織風土が問題だと言われても、自分たちの組織風土に問題があることに気づいていないことが少なくありません。そこでチェックすべきことは「属人思考」の有無だと言っています。

 「属人思考」というのは、「事柄」より「人」を重視する思考をいいます。会議などで何かを判断する際に、その議題となっている「事柄」事態をじっくりと検討するのではなく、提案者などの「人」の要因を重視する心理傾向のことです。事案そのものではなく、責任者は誰か、誰の提案か、誰の実績になるのか、上司はどうしたいのかなど、人間関係に大きく左右されてしまうのが属人思考です。

 組織や制度を変えても、その運用において「属人思考」が無意識に入り込んでしまうのです。事案の評価に、人間関係的な要素が入り込んでしまうことです。

「あの人には逆らわない方がいい」「あの人の機嫌を損ねると大変だ。出世に影響する」など、そうした囁きの結果、組織にとってリスクの大きい事案が可決されたり、見過ごすことのできない事柄が黙認されたり、組織にとって大きなチャンスとなり得る事案が潰されたりします。どのような組織にも、属人思考はつきものですが、それが行き過ぎると重大な判断ミスをしてしまうのです。

 だから、重要なのは、組織の構造や制度の改革ではなく、組織風土の改革なのです。

3.属人思考をしているかどうかのチェック項目

 自分の組織が属人思考に汚染されているかをチェックする項目として、心理学者の岡本浩一氏の作成したチェック項目が挙げられています。

  1. 相手の体面を重んじて、会議やミーティングなどで反対意見が表明されないことがある。
  2. 会議やミーティングなどで、同じ案でも、誰が提案者かによってその案の通り方が異なるとなることがある。
  3. トラブルが生じた場合、「原因は何か」よりも「誰が責任者か」を優先する。
  4. 仕事ぶりよりも好き嫌いで人を評価する傾向がある。
  5. 誰が頼んだかによって、仕事の優先順位が決まることが多い。

 多くの会社や組織、チームにおいて、この項目のいくつかに該当するように思います。ある程度、こうしたことがあるのはやむを得ないことかもしれませんが、こうした積み重ねが重大な判断ミスを招きます。いくつもの項目に該当するようならば改革が必要です。

属人思考を排除し、本気で、本音で議論し判断できる環境を創ることが大事です。本当に優秀な経営者や責任者なら、判断を誤らない真剣な議論と判断を求めるはずです。たとえ自分の意見や提案に反対意見が出ても「なるほど、そういう問題もあるのか。その点は十分に考慮しないといけないな」と思い、より良いものに修正するはずです。

人の気持ちを慮って傷つけないように配慮するのは日本人の美徳かもしれませんが、行き過ぎると組織の風通しを悪くし、物事の判断を歪め、取り返しのつかない事態に陥れることにもなりかねません。

属人思考に染まった組織風土を改善するために、この記事は「一人ひとりが無意識に属人思考に染まっていないかどうかを絶えず意識するように心がける必要がある。責任者や経営者も属人思考を排除する雰囲気を醸しだすことが必要」と言っています。

風通しの良い組織というのは、組織やチームにおける意思疎通・コミュニケーションがスムーズに行われている組織だと思います。組織というのは、結局は人と人がどうコミュニケーションし、どう協力して成果を上げていくかにかかっています。人間同士の深いコミュニケーションによって意思疎通を図り、組織の目標・目的を共有し、共にその目標を達成するために進んでいくことです。