中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

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ジョブ型雇用に適応するために

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で1244人、そのうち東京316人、神奈川139人、埼玉98人、千葉164人、愛知55人、大阪98人、兵庫40人、京都7人、福岡37人などとなっています。先週水曜日に比べ全国で323人、東京では103人、大阪では36人増えるなど、下げ止まりやリバウンドが懸念される状況です。また、千葉や岐阜で変異株が見つかり、神戸の変異株を含め、さらにこれまでよりリスクが拡大する懸念も指摘されています。菅首相は、1都3県の緊急事態宣言を2週間ほど延長する意向を固めたようですが、専門家からは、さらに強力な感染防止対策を取らなければ感染者数は減らないとの声も上がっています。今が正念場です。一人ひとりが気を緩めず、感染防止策に取り組んで頑張っていくしかありません

さて、今日は、東洋経済オンラインの「日本人は『ジョブ型雇用』の本質をわかっていない」という記事を取り上げます。これまでも「ジョブ型雇用」については再三書いてきましたし、メリット、デメリットについても「メンバーシップ型雇用」との対比で、指摘してきました。今日は、従業員の側から見た「ジョブ型雇用」です。

改めて、それぞれを定義づけしておきます。

「ジョブ型雇用」というのは、欧米で多く採用されている働き方で、会社にとって必要な職務を定義して、それに見合う能力・経験を有する社員を配置する仕組みです。業務の難易度や責任の猛者を見極め、それに応じた給与水準を決め、最適な人材を配置します。ジョブ型雇用=成果主義ととらえられる面もありますが、必ずしも一致していません。

一方、これまで多くの日本企業が採用してきた「メンバーシップ型雇用」は職務や勤務地、労働時間などが限定されず、営業職の人が畑違いの管理部門に異動になるというように、あらゆる部署で経験を積み昇進していくというスタイルです。

新型コロナの影響でテレワークを導入した企業も多く、それに伴いジョブ型雇用の導入も増えてきています。これまで社内で勤務していれば、同じ場所で同じ時間を過ごす中で、職場の空気を読むことで上司が求める仕事を遂行することができました。悪く言えば、会社に出てさえいれば、日々の成果や成長はどうあれ「働いている」とみなされてきたわけです。しかし、テレワーク下では、上司が求めていることを把握するのが困難となり、上司の立場からすれば、非効率的で非生産的な側面もあります。そこで、企業は、仕事内容を明確に定め、その成果を評価する「ジョブ型雇用」へシフトしていくようになったのです。

「ジョブ型雇用」によって生じる従業員にとっての最大の変化は、これまでのように「会社から与えられたキャリアを歩む」のではなく「自ら専門性を磨き、自らのキャリアを歩む」ということです。

これまでの「メンバーシップ型雇用」では、会社の指示に従い愚直に努力をしていれば雇用も保障され昇進もできることから、一定のやりがいを感じることもでき、次のキャリアは会社が与えてくれるのでそのことに悩む必要はなく、目の前の仕事に集中することができました。このようなメンバーシップ型雇用の環境にどっぷりつかっている日本企業の従業員は、会社が「ジョブ型雇用」に切り替えると、どうしてよいのか戸惑ってしまいます。

この記事では、「『ジョブ型雇用』は『自らのキャリア選択に対する主権」が個に移行される働きであり、人生100年時代、1つの企業で勤め上げることが困難な時代においては、本来歓迎されていいことである。そうであれば、この『変革の流れ』を積極的に社会変革や企業変革のトリガー(引き金)にしていくことが大切である」と言っています。

ジョブ型雇用が全面的に良いわけではありませんが、これからは、日本型のメンバーシップ型雇用の利点を残しつつ、ジョブ型雇用の利点が取り入れられた新しい働き方が普及していくように思いますし、そうならなければ日本企業ひいては日本経済の発展や成長はあり得ません。

この記事では、「ジョブ型雇用」に適応するための3つのポイントが示されています。

  1. 自らのキャリアを振り返ること・・・日本企業の従業員には、「業務に向き合うものの、 自分に向き合う機会が圧倒的に不足している」というのが現実です。今後のキャリアを考えるために、自分がどのようなキャリアを歩んできたのか、何にやりがいを感じるのか、まず整理することから始めるのが効果的です。自分を客観的に見て、分析することが重要なのです。
  2. 点を線にすること・・・自らのキャリアを振り返る中で、やりがいや成長を感じた場面を特定することはできても、それぞれが独立した「点」のままでは未来を考える指針にはなりえません。自らの核となる要素を明確にしたうえで、その「点」を「線」でつなぎストーリーにしていくことが大切です。
  3. 線となったストーリーを他者に語り、自覚すること・・・自らのキャリアストーリーを語る習慣が乏しいのが現実です。社内研修において従業員年が語り合う機会を設けたり、上司とキャリアについて相談できる状況を作ることも大切ですが、時間の短さや黄筈傘から中途半端で終わっています。自らのキャリアストーリーを他者に語ることが自らの成長に必要なことと理解し、積極的に十分な時間をかけて語る機会を持つようにすることです。

少子高齢化が進む日本において、「グローバル対応」「テクノロジー対応」「ニューノーマル対応」といった点からも、必然的に「ジョブ型雇用」への道は避けて通れません。先ほども書きましたが、日本型の「メンバーシップ型雇用」の良さを生かしつつ、「ジョブ型雇用」の良さを加味していくことが、日本での新たな働き方になっていくように思います。

最後に、この記事は「『ジョブ型雇用』を変革のトリガーとして、実社会で働く従業員の『活きた』ストーリーが増え、その多くが若者に届くことは、日本全体のワークモチベーションの底上げに大きく意味を持つのではないだろうか」と言っています。そうなることを願いますが、そのためには大きな意識変革が必要です。上記の3つのポイントをしっかりと行うことから始めましょう。