中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

中小企業経営のための情報発信。中小企業から日本を元気に

「ご褒美」型では効果薄!モチベーションを上げる方法

f:id:business-doctor-28:20200207084223j:plain

おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で1170人、そのうち東京279人、神奈川138人、埼玉123人、千葉107人、愛知68人、大阪81人、兵庫21人、京都3人、福岡37人などとなっています。先週の木曜日よりも微増で下止まりしている感がありますし、北海道は68人と増加している地域もあります。菅首相は、今日にも1都3県の緊急事態宣言延長を発表するようですが、都は「若者の行動が活発になり感染者が増え始めている」と危惧しています。また、大阪では、過去の感染者64人が変異株であったことが報告され(国立感染症研究所の発表ではなく確定数ではありませんが)、変異株の感染が広がっている可能性があり更なる注意が必要です。

さて、今日は、HARBOR BUSINESSの「『ご褒美』でのやる気アップは効果薄。どうすればモチベーションを上げられるのか」を取り上げます。

ビジネスの世界においてもモチベーションをいかに高めるかということは極めて重要な課題です。

行動科学の分野で「人間は何によって、又はどのように、特定の行動に動機づけられていくのか」を研究したのが近代モチベーション理論です。

モチベーション(動機づけ)とは、行動又は活動を喚起させ、それを維持し、そのパターンを統制していくプロセスです。具体的には、従業員の持つ様々な欲求や期待をいかに充足し、積極的な行動に向かう彼らの意欲を駆り立てるのかということです。

人間を動機づけるものは何かに焦点を当てた理論は「モチベーションの内容理論」と言われ、有名なマズローの5段階説マグレガーのX理論・Y理論などがあります。

マズローの5段階説ですが、人間の欲求には階層(生理的欲求→安全欲求→社会的欲求→自我の欲求→自己実現の欲求)があり、低次の欲求が充足されると、それはもはやモチベーションの要因とはならず、次第に、高次の欲求の充足へと動機付けられるというものです。現代の先進諸国では、比較的低次の欲求は基本的に満たされているので、高次の自己実現欲求を充足する必要があると言われます。

マグレガーのX理論・Y理論は、人間観について、X理論(人間は生来仕事嫌いで、企業目的達成には強制、命令、処罰が必要)とY理論(人間は生来仕事嫌いではなく、自我欲求や自己実現が満足できれば献身的に目標達成に尽くす)という2つの人間観があり、Y理論の考え方によって組織運営を行うべきと説いたものです。

こうした「モチベーションの内容理論」の他にも、人間がどのようなプロセスを経て動機づけられるかという「モチベーションの過程理論」というものもあります。

そのうちポーター&ローラーの期待理論は、人間は努力によって高い業績を上げるほど報酬(経済的・社会的報酬や達成感、自己実現など)が増加すると期待するもので、この報酬への期待の大きさと、その報酬に対して感じる魅力によってモチベーションの強さ(動機の程度)が決定されるというのです。

モチベーションに関する経営理論はこれくらいにして、本題の記事に戻ります。

多くの企業で「ご褒美」型のモチベーションアップの方法が行われています。しかし、「ご褒美」を与えることで人にやる気を出させるという方法は、短期的には効果的ですが、長い目で見れば限定的で効果薄です。

マズローの5段階説でも、低次の欲求が充足されるとより高次の欲求へと動機付けられますし、マグレガーによっても人間は自己実現の満足を求めるものです。悪い言い方をすれば、「餌で釣って仕事をさせる」ような「ご褒美」型のモチベーションアップ法では、より高次の欲求へ、自我欲求や自己実現への欲求へと向かい、「ご褒美」だけではモチベーションの要因にはなりません。これは、ポーター&ローラーの期待理論でも同様です。

この記事では、外部からご褒美をもらうという「外的報酬」でモチベーションを高めることは一時的に効果があっても、すぐに飽きられるから効果が限定的、効果薄になると言っています。

モチベーションを持続させるためには、「外的報酬」を「内的報酬」に切り替える必要があるのです。つまり、自己承認や自己実現、やりがいといった内側から沸き起こものに変更することが必要なのです。

「1万円の昇給」というような外的報酬によるモチベーションアップも何度も行うと、より高額の昇給を求めるようになり効果は無くなります。できるだけ早い段階で外的報酬から内的報酬に切り替える必要があるのです。しかし、内的報酬には個人差があるのでなかなか難しいことです。

この記事では、「報酬を『手に入れる』より『失う』にシフトさせる」ということが書かれています。これは、まだ「ご褒美」型モチベーションアップ法の一つと言えますが、ご褒美を後で準備するよりは先に準備する方が効果的というのは心理学からも理解できます。

これまでの「ご褒美型」は、目標を達成することで、ご褒美をもらえるというものですが、すでにその「ご褒美」を買って準備していることを知らせることで、それを手に入れたように思わせるのです。人は得る前の物よりもすでに持っている物に価値を感じます。将来得られるというよりも今あるものを失いたくないと感じます。既に報酬を得たような状態にしておくことで目標が達成されないと、それを失ってしまう、こうした状況は報酬による価値を高めるだけでなく、報酬を失いたくないという気持ちがモチベーションを高めることにつながります。また、達成できなかった場合、次こそは報酬を得ようというモチベーションにもつながるのです。

確かに、達成しなければ手に入らないご褒美よりもすでに目の前にあるご褒美の方がモチベーションを高めますが、あくまでも、「ご褒美」型のモチベーションアップ法と変わらないように思います。

本当は、より高度の自我欲求や自己実現欲求につなげる方法こそが重要に思います。

一般的に、自らが何をどのようにすべきか決定できる、つまり自分自身で自己の目標を設定できる状況の下では、モチベーションが高揚すると言われています。

以前にも書きましたが、上司は部下を『認めて、任せて、褒める』ことです。そうすれば、部下のモチベーションは高まります。ご褒美を与えなくても、「認められた、任された、褒められた」ことで仕事に対するやりがいを感じ、それが自我欲求や自己実現へと繋がっていくように思います。