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部下をやる気にさせる上司

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で1065人、そのうち東京237人、神奈川119人、埼玉123人、千葉113人、愛知27人、大阪76人、兵庫41人、京都12人、福岡35人、北海道84人などとなっています。1都3県、大阪などは下どまりし、北海道、宮城(32人)、福島(24人)、静岡(24人)など増加傾向にあるところも出ています。この週末も各地でかなりの人出があったようですが、こうした気の緩みがさらに感染拡大につながります。時短要請に応じた飲食店には協力金が支払われることになっていますが、その支給自体が遅れ、支給率は3割に満たない状況です。これでは協力金が支給される前に廃業・倒産する飲食店が出てしまいます。速やかな支給が望まれるところです。また、新型コロナで困窮しているのは飲食店だけではありません。飲食業界に限らずあらゆる業種の中小・零細企業への支援が必要です。

さて、今日は、ダイヤモンドオンラインの「部下をやる気にさせる上司は何をしているか、職場環境の改善だけではダメ!」を取り上げます。これまでも部下のやる気(モチベーション)を上げるにはどうすべきかということについては書いてきました。しかし、特に仕事観や価値観が多様化している若者に対する接し方や彼らとのすれ違いに苦慮しているミドル層・トップ層は多く、彼らの悩みは絶えません。

この記事では、そうした上司の悩みに「部下の貢献を適切に拾い上げることが重要」というグロービス経営学院講師林浩平氏の言葉を引用しています。そして、林氏が、部下からの信頼を得るためのコミュニケーション術について解説しています。

1.部下の心が離れている原因は、彼らの「貢献」を見落としているから

 「働き方改革」で仕事の仕方が変わりつつある中で、若者の仕事に対する意識にも変化が見られます。仕事を選ぶ決め手について、以前は「給料」であったのが、いまは「やりがい」に変わってきているのです。働く目的は「社会に役に立つこと」とする若者がバブル崩壊後から増えてきています。

40代~50代のミドル層よりも比較的豊かで成熟した社会で育ってきた20代~30代のミレニアム世代は、給料やステイタスといった外的要因よりも内発的な動機付けを重視する傾向にあります。3月5日の「『ご褒美』型では効果薄!モチベーションを上げる方法」で書きましたが、「ご褒美」型の外的報酬の効果は限定的・一時的で効果は薄く、「内的報酬」に切り替える必要があるのです。

部下が「やりがい」を感じるために、上司からできるアプローチは、「部下のチームに対する貢献を認めること」です。せっかく成果を上げても上司が認めてほ褒めなければ部下のやる気・モチベーションは上がりません。これまでも書いていますが、「認めて、任せて、褒める」です。

林氏は、「小さくてもかまわないので、部下がもたらした『貢献』を拾い上げたうえで、うまくモチベーションにつなげる」のが、これからの「信頼される上司に必要なスキルの一つだ」と言っています。逆に、彼らが良かれと思って行ったアクションを見逃したり、無下にしてしまうと彼らの心は離れていくのです。若い部下が行う行動にはミスはつきもので、その時には叱ることも重要ですが、叱るだけでは駄目で、そのアフターフォローが重要になります。

2.効果的な感謝の言葉で部下に「貢献」を実感される

 部下からの信頼を得るためには、まず「口に出して感謝を伝えること」が重要です。分かりやすい成果はもちろん、細かな工夫や成長を少しでも感じたら「助かった」旨を伝えることです。部下の行動をチェックするときには

  • 「結果」だけでなく「過程」
  • 「今」だけでなく「前からの成長」
  • 「論理面」だけでなく「感情面」
  • 「行動」だけでなく「動機」

などを観察して、本人に伝えることが大切です。彼らの貢献に少しでも気づいたらすぐに口に出して伝えるということで、彼らのモチベーションを高めることができ、ひいてはチームや組織のモチベーションにもつながります。

林氏は、感謝を伝える際には「私(上司)が助かった」というだけでなく、同僚や他部署、取引先や顧客など多方面にわたる貢献を可視化して伝えると、より効果的になると言っています。

3.部下の興味関心や本音を自分の「芸風」を駆使して聞き出す

 部下の価値観や本音を聞き出すために重要なのが日頃の「対話」です。普段のコミュニケーションの中からさりげなく聞き出すことです。林氏は、そのために自分が持っているコミュニケーションの「芸風」を見極めてそれを実践することが重要であると言っています。独自のコミュニケーション術を身につけている人はマネジメントがうまい傾向にあります。こうしたコミュニケーション術を身につけることが上司に必要なスキルなのです。

自分なりの芸風を使って、さりげなく部下の本音を聞き出す。引き出した本音を元に人生観やキャリア観に沿った仕事をアサインし、感謝すべき点は感謝を伝える。そうすることで部下のモチベーションを上げ、ひいては仕事の成果に結びつけていく」のです。

4.マネジメント理論を学ぶことで、見えない「部下の心」を可視化する

 モチベーションの源泉や価値観は、普段のコミュニケーションからだけではなかなか見えてきません。いつの間にか部下に嫌われる上司は見えないものに対して「見えないふりをする」か「自分が見たいように見る」ことで、自分は正しいと思い込む傾向にあります。それでは部下との溝は埋まらないどころかさらに溝は深まり広がります。

そうした時に活用したいのが、人が何によって動機づけられ、やる気が高まるかを研究した「モチベーション理論」だというのです。こうしたマネジメント理論を学ぶことで見えないモチベーションを可視化する助けになります。

先日は、マズローの5段階説やマグレガーのX理論・Y理論について説明しましたが、ここではハーズバーグの動機付け・衛生理論について説明されています。

この理論では、動機付け要因に働きかけることによって、従業員の満足度を高め、モチベーションを向上させられるとしています。一方、不満をもたらす衛生要因では解消することで不満をなくすことはできますが、満足感やモチベーションを向上させることにはなりません。

労働条件を整えても、仕事の内容にやりがいを感じなければ、部下の心はどんどん離れてしまいます。労働条件を整えたうえで、達成感や自己成長の機会を与えることで、初めてモチベーションを感じられるのです。

働き方やキャリアの選択型油化する時代に、部下との付き合い方も大きく変わります。部下を「認め、任せ、褒める」ことで部下のモチベーションを高めていくことが基本ですが、そのためにはコミュニケーション術を磨き、マネジメント理論を駆使していくことが重要になってくるように思います。