おはようございます。
昨日の新規感染者は全国で6495人、そのうち東京1032人、神奈川338人、埼玉279人、千葉152人、愛知473人、大阪874人、兵庫366人、京都159人、福岡529人、北海道506人などとなっています。重症患者は1144人で過去最多となり、北海道、福島(74人)、広島(195人)、福岡で過去最多を更新しています。昨日も書きましたが、GW中の移動によって大都市から地方へと感染が広がってきているように思います。4都府県の緊急事態宣言の延長、2県の追加、3道県へのまん延防止等重点措置の適用が始まりますが、一部措置の緩和やオリンピック開催にうつつを抜かしている政府・菅政権は当てにできません。われわれ国民一人ひとりが一旦緩んだ気を再び引き締めてこの難局を乗り切るしかないのですが・・・
さて、今日は月曜ということもあって、これといった記事はありませんでしたが、その中からダイヤモンドオンラインの「心の底から頭を下げて『ありがとうございました』を言い続けるのが経営トップの仕事」という記事を取り上げます。
この記事は、マッキンゼー出身の経営コンサルタント稲田将人氏とカレーハウスCoCo壱番屋の創業者宗次徳二氏との対談です。
本の紹介ではありませんが、稲田氏は以前紹介した「戦略参謀」や「戦略参謀の仕事」「経営トップの仕事」(いずれもダイヤモンド社)の著者です。ココイチの創業者宗次氏は「接客サービスをおろそかにして売り上げを追求しても意味はない」と語り、現場第一主義を徹底されています。「現場は経営者の鏡」という「ココイチ流『行き当たりばったり経営論』」については以前2020.12.16、12.22に紹介しています。
ココイチ流行き当たりばったり経営論について若干触れておきます。宗次氏は高校卒業後不動産会社に就職し結婚を機に不動産業を開業、しかし妻が始めた喫茶店を手伝って飲食業に目覚め、喫茶店業、ココイチ創業へと繋がります。ココイチ流行き当たりばったり経営論は「経営はいい加減でいい」というものではありません。「考えすぎず目の前のことに集中し、全力で取り組む」ということです。
1.経営者に問われるのは、心の中の獣(煩悩)を飼いならすこと
宗次氏は、「私の経営者人生を話すと多くの人が『そんな経営者人生は嫌だ』と言います」と言っています。経営一筋、仕事一筋でプライベートのことはほとんど顧みないような人生だったからです。経営以外のすべてのこと、遊びたい・休みたい、そういうものをすべて排除してきたということです。こうした宗次氏の経営哲学について、稲田氏は「煩悩を自分で飼いならしている」と評しています。経営者として成功するには、喜びもストレス解消もすべて仕事の中で完結する、つまり、「自我というか、心の中に飼っている『獣』をどう飼いならせるかがすごく重要」ということです。
経営には常に目標が付きまとっています。単年度や中長期の目標があると、経営者はそこに向かっていき、その目標が達成できたら、また次の目標と、それの繰り返しです。そのために経営者は心の中の獣を飼いならしていかなければならないというのです。これはなかなか難しいことです。経営者となりかつ成功すると色々な誘惑が待っています。それを自分で抑え込んで仕事、仕事、とにかく仕事を追い続けるというのは宗次氏だからできたことかもしれません。
宗次氏は、「目標は掲げたからには必達しないといけない。必達しようと思ったら、社員や幹部に頑張ってもらわないといけない。けれども、経営者自身が誰よりも頑張るんだ、と。その背中を見て社員の2割か3割の人たちが本気になってついてきてくれる。あとの人は、給料分だけ仕事をしてもらえばいい」と言います。経営者というのは孤独です。経営は孤独な戦いでもあるのです。
2.超一流の三流経営者でも、目標を必達する秘訣
宗次氏は、自分のことを「変人」であり「三流経営者」と言っています。これは、三流でも「超一流の三流経営者」という意味です。
宗次氏は、「有名になりたいとか、お金持ちになりたいとかはなかった」と言っています。仕事が面白い、お客様に喜ばれることが次の活力になり、面白いからまた頑張れるという繰り返しなのです。「急成長は望まず、でも着実に成長させたい、右肩上がりで行きたい。そのためには一生懸命頑張らないといけない」というわけです。
「お客様第一で接客をしっかりしていれば値下げを一切せずに増収で増益になっていきます。だからお店も増やすことができる」「ライバル社を研究したり、時流に乗せようなどと思わず、自分の店とお客様だけを見てそこを大切にすればよい」と宗次氏は言うのです。事実、ココイチは一度も値下げはしていません。顧客第一主義という点からすれば値下げはその最たるものですが、顧客満足は価格だけではありません。「安かろうマズかろう」では客は寄り付きません。価格以外に味や接客・サービス面で顧客満足が高ければ客は離れていきません。そのために宗次氏は現場を重視するのです。とにかく超が付くほどの現場主義です。
ココイチ流の経営は「現場主義」「顧客第一主義」「率先垂範」の徹底です。
宗次氏は、不意打ちで一店舗でも多く店を回りスタッフの働きぶりを自分の目で見て改善点を見出し、フィードバックするということを繰り返しています。現場の中で明日の自信をつかみ取り、方向性を決めていくというやり方です。
3.売上よりも大切なのは、感謝の心
宗次氏は「謙虚で感謝の接客サービスを疎かにして売り上げを追求するなんて、それはもう経営する意味がない」とまで言い切ります。
経営者が言う「ありがとうございました」と役員や社員が言う「ありがとうございました」では重みが違うのです。アルバイトでも社員でも笑顔が素晴らしい人はいますが、心の奥底でも頭を下げて「ありがとうございました」という感謝の気持ちを伝え続けることが経営者の仕事なのです。
「お客様第一」と言いますが、本当にお客様のことを思っているかと言うとそうでもない、結局は「自分第一」「お店第一」「会社第一」になっていることがほとんどです。少なくとも経営者だけは、口先だけの「お客様第一」ではなく、心の底からの「お客様第一」でなければならないのです。経営者が常に心の奥からお客様に感謝の気持ちを伝え続ければ、率先垂範で他の社員もそれに倣って心の底から「ありがとうございました」というようになります。
この記事では、ココイチ流の経営について書かれていますが、これを真似ることは困難だと思います。経営というのは容易いことではありません。口先だけで「現場主義」や「顧客第一」を言っても意味はありません。経営者自身が心の底から感謝を伝えることで、それが社員に広がれば、顧客第一主義は徹底されるはずです。
他のところで、宗次氏は「経営とは継栄である」と言っています。「継続して栄え続けることが本当の経営であり、太く短いでは意味がない」のであり、業績よりも「お客様のために最善を尽くすことが継栄につながる」のです。