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組織の慢性疾患を改善する「対話」

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で5261人、そのうち東京542人、埼玉216人、千葉135人、愛知522人、岐阜117人、大阪620人、兵庫267人、京都140人、岡山171人、広島209人、福岡505人、沖縄78人、北海道491人などとなっています。検査件数の少ない休日のデータですが、東京・大阪以外思ったほど減っていません。大阪の死亡者数の累計が1958人となり、東京の累計者数を上回りました。今日から東京・大阪で大規模ワクチン接種会場の予約が始まりますが、自治体のワクチン接種と重なっており、混乱が予想されます。混乱が起きる理由は、今回のような初めての大規模接種に対する不慣れや準備不足に加え、トイレットペーパー騒動のように、予約に人が殺到する事態を引き起こすことが予想されるからです。また、スタートが遅れているにもかかわらず東京五輪前に終わらせようとすることで、自治体が無理なスケジュールや体制を組まざるを得なく、自治体へのしわ寄せが起きています。私の手元にもワクチン接種券が届きました。ワクチン接種を受けるべきか、いまだに悩んでいます。もう少し考えます。

さて、今日は、ダイヤモンド・オンラインの「他者の視点を借りることで、『自分が問題の一部である』ことを発見したある企業の対話」という記事を取り上げます。

このところ、何度も対話や雑談、コミュニケーションの重要性について書いていますが、今日も同じような内容で、すみません。

コロナ禍で、リモートワークが長期化し上司と部下との対話も十分に行えず、お互いのもやもやが最高潮に達しているのが現状でしょう。経営層からは数字のプレッチャーを受け、部下に対してはより細かいマネジメントをしようとしてもリモートワークで思い通りにならず、肉体的にも精神的にも疲弊しているマネジャーは多いと思います。

職場に活気がない、会議をしても発言が出ない、職場がギスギスしている、忙しいのに数字が上がらない、病欠が増えている、離職者が多い・・・経営学者の宇田川元一氏は、これらを「組織の慢性疾患」と呼んでいます。こうした「組織の慢性疾患」を改善する方法は何か、宇田川氏は「対話」であると言います。

「組織の慢性疾患」を改善するための有効な方法論である「対話」とは、単に問題解決を目指すのではなく、さまざまな視点・角度から眺めることを通じて、より良い組織の状態を作る道筋を見つけるための方法論です。

昨日も、斉藤孝氏の「『できる人』の極意」を紹介した際に、「生きた対話」つまり「意味を生み出す対話」というのは、お互いの暗黙知を共有して形式知化することが狙いであるという話をしました。個人が蓄積した暗黙知を組織全体の形式知をして共有することが対話の目的です。一橋大学名誉教授の野中郁次郎氏も、「知識経営のすすめ」「知識創造企業」といった著書の中で、暗黙知形式知のサイクルを作ることが企業を活性化するうえで最も重要なことだと説明しています。

「組織の慢性疾患」では、「対話」がうまく機能していないのです。例えば、仕事の引継ぎですが、本来、引継ぎは前任の担当者が得た暗黙知を後任の担当者に受け渡すことで成り立ちますが、対話力のない者同士では暗黙知の受け渡しができず、後任者は一から自分で暗黙知を作り上げなければならなくなります。営業担当者が代わったとたんに顧客が離れていくというケースも見られます。顧客が前任の担当者と付き合っていたのは、前任者の人柄や相性というよりも、双方の間に暗黙知が共有されていたことが大きな要因です。顧客が何も言わなくても、いわば阿吽の呼吸で理解してもらえることから信頼関係が生まれていたのです。それが新しい担当者になって、顧客の期待に反したり期待を裏切ったりするような行動を重ねて信頼を損ね、顧客が離れていくのです。

こうしたトラブル「組織の慢性疾患」は暗黙知の領域を引き継ぐ作業を仕事として意識していないがために起きるのです。

さて、話をこの記事に戻します。この記事では「対話は自分のモヤモヤが起点です。そこに他人の存在・声が加わることで、対話の中身が深められます」と言い、ある企業での対話な内容が紹介されています。

それは、役員Aさん、マネジャーBさん、メンバーCさん、別部署のⅮさん、Eさんの5人の対話です。Aさん・BさんがCさんに、自分たちが困っている問題について打ち明けることから対話が始まります。

  • A・B:「自分たち組織長は泥臭く頑張ることで壁を越えてきた成功体験があるのでメンバーにもそうあってほしいと思っている。でも自分たちから見ると、もう一歩頑張れば契約につながる案件も、どうしてそこであきらめてしまうのかと感じることがある。どうやってこの熱量のギャップを埋めるかに悩んでいる」
  • C  :「AさんBさんの視点も、メンバーの視点もよく理解できます。私も一体何を思ってこの事業に向き合っているのか考えています。本当にこの事業が好きだし、やりがいを感じています。他のメンバーも同じ想いだと思います」
  • D  :「Cさんからもそれなりの熱量を感じたし、AさんやBさんの熱量の差は感じなかった」
  • E  :「メンバーが自分の期待値に達しないのは、熱量の問題よりも、その人たちのスキルが単純に不足しているからでは?」
  • B  :「目標が未達になりそうなとき、『腹立たしさ』と『もどかしさ』の感情が出てきます。最近、KPI、つまり重要業績評価指標の設定を変更したら、必要な営業活動を行ってくれるようになりました。いい仕組みが作れると、人は動くと実感しました」
  • E  :「Aさん、Bさん、仕組よりも、事業に対する想いの強さの違いに目が行くのはどういうときですか?」
  • D  :「もしかしたら『想いを持つこと』とはどういうことかをもう一段掘り下げることができていないのでは? 本当は事業に対する想いはみんな、それなりの熱量はあると思うんです。でも、互いに違ったら嫌だなあと忖度し合って、自分たちが大切にしたい熱いものについて話すことを避けてきたかもしれませんね」
  • B  :「マネジャーとして仕組みを考えないのにメンバーに想いが足りないとフィードバックしていたかもしれませんね」
  • A  :「イライラしている問題に自分がこういう形で加担しているのかということが本当に発見だった」

この5人の対話を通じて分かることは、「自分一人では見えなかったことが他者の視点を借りることで、自分が問題の一部であることが発見できる。そうすることで、相手を変えようと必死で頑張るより、自分からできることを具体的に発見することが大切だ。組織にはさまざまな問題や課題はつきもので、問題を通じてもっと組織を良い状態にすることができる」ということで、その方法論が「対話」なのです。

対話を通じて一人一人の暗黙知を共有し、それを形式知化することで組織は大きく変わります。この対話を通じて、今一度、組織内での「対話」を考えてみてもいいのではないでしょうか。