中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

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創造のための進化思考

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で2712人、そのうち東京340人、神奈川219人、埼玉83人、千葉82人、愛知280人、大阪216人、兵庫86人、京都38人、岡山41人、広島103人、福岡195人、沖縄104人、北海道366人などとなっています。本来検査数の少ない月曜日の発表ですが、先週に比べても減少しており、首都圏・関西圏では減少傾向が見られます。しかし、インド株の感染者でクラスターがは発生するなど、予断を許しません。緊急事態宣言延長はやむを得ないところですが、しっかりとした感染防止策とともに休業・時短要請している業種・業態だけでなく、経済的に困窮している事業者・個人への経済的支援が必要です。米国は日本国内の新型コロナ流行の悪化を理由に最も重い日本への「渡航中止」を勧告する渡航情報を出しました。東京オリンピックについては特に言及していませんが、2カ月前の渡航中止という措置は、アメリカがオリンピック反対の意思を示したものとみてよいのではないかと思います。世界の流れは東京オリンピック中止に傾いています。コロナ禍で犠牲を払ってまで開催を強行すべきことではありません。重要なのは早期に決断して新型コロナ対策に打ち込むことです。菅政権の支持率アップにはそれしかありません。

さて、今日は、リクナビNEXTジャーナルの「太刀川英輔氏の『進化思考』に学ぶ、キャリアデザインのポイント」という記事を取り上げます。

この記事は、デザインストラテジストで慶応大学特別招聘殉教授の太刀川英輔氏とリクナビNEXT編集長の藤井薫氏の対談です。

コロナ禍で、新しい働き方やビジネスのあり方、新しい生き方やキャリアについて変化を迫られています。これまでとは違う環境の中で、これまでとは異なる方法に挑戦し、新たな価値や未だ見ぬ自分の可能性を作り出す、まさにいま、世界中の企業やそこで働く個人が自らの創造性を発揮することが求められています。

この記事は、現代を「創造の時代」と呼んでいます。まさに、コロナ禍のような危機的状況こそ、創発・創造のチャンスです。企業も過去の従来型の方法や考え方の固執していたのではイノベーションを起こすことはできません。頭を柔軟にして新たなアイデアを生み出し変革していくしかないのです。

しかし、「創造しろ」と言われても何をすればいいのかわからないのが現実でしょう。この記事では、生物の進化のプロセスを創造性のメソッドに応用する「進化思考」という考え方を提唱している太刀川氏が「創造のためのヒント」を教えてくれています。

太刀川氏は「『創造性』というのはコンプレックスを生みやすい」と言っています。「創造性」というのは目に見えないものですし、その構造もよくわからず、どこから手を付けていいのかもわからず、なんだか難しく感じてしまうものです。しかし、太刀川氏は、「『創造性』の構造は『生物の進化』と極めて似たような現象である」と言います。創造を難しく考えるのではなく、生物の進化のように考えればよいというのです。これが太刀川氏が提唱する「進化思考」です。

生物は「変異」と「適応」を繰り返し進化してきました。「変異」とは「エラー」であり、「適応」は「エラーが状況にフィットしていくこと」です。生物は変異と適応をひたすら繰り返す中で、思いもよらない姿かたちになり創造的な生物が生まれています。まるで神様が作ったとしか思えないような生物でも、変異と適応を繰り返すことで生まれるのです。それは、誰もが思いつかないような独創的なアイデアや発想も、変異と適応を繰り返すことで生み出せる可能性があるということです。太刀川氏は、「どんなに険しい道に見えても、繰り返すことを諦めなければ、なだらかに登る道が存在する」と言います。つまり、私たち人間も変異=エラーを起こすことで進化すなわち創造を起こせるということです。進化というのはロジカルな思考プロセスで起こるわけではなく、変異につながる偶発をどれだけ自分の中で起こせるかが重要になってきます。例えば、転職するとか、これまでやったことのない仕事に挑戦するとか、そうした挑戦が今までにない偶然を生み、進化が起こり成長できるのです。

1.9つの変異と4つの適応パターンで、創造性が発揮しやすくなる

 太刀川氏は、変異には9つのパターン、適応には4つのパターンがあると言います。これらの「変異」の方法でエラーを起こし、それに「適応」することで創造性が生まれるのです。

 まず、「変異」のパターンです。

  1. 変量・・・極端な量を想像してみよう
  2. 擬態・・・欲しい状況を真似てみよう
  3. 欠失・・・標準装備を減らしてみよう
  4. 増殖・・・常識よりも増やしてみよう
  5. 転移・・・新しい場所を探してみよう
  6. 交換・・・違うものに入れ替えてみよう
  7. 分離・・・別々の要素に分けてみよう
  8. 逆転・・・真逆の状況を考えてみよう
  9. 融合・・・意外な物と組み合わせてみよう

 例えば、仕事の一部を切り離してみたり(欠失)、誰かのやり方を真似てみたり(擬態)、副業を始めて今までと違う新しい場所を探したり(転移)することで、創造性につながるエラーを起こすことができるようになります。次に重要なのが、そのエラーを受け止め、いいアイデアを選び取る「適応」です。

 「適応」の4つのパターンは次の通りです。

  1. 系統・・・過去
  2. 予測・・・未来
  3. 解剖・・・内部
  4. 整体・・・外部

「適応」は好奇心に似ています。例えば、エラーの内部を分解し探求して見たり、「そのエラーはなぜ起きたのか」を探るために仕事の過去の系譜を調べたりすることで、適応の流れが分かるようになります。

 例えば、エンジニアリング門は解剖的な視点で物事を見ていて、マーケティング部門は生態的な観点で見ているケースが多く、それが社内対立を生んだりします。「互いの適応観点が違う」と理解するだけで分かり合えるようになり、役割分担が進んで更なる価値を発揮できるようになります。

 太刀川氏は、「変異と適応が往復して創造性が生まれると自覚すれば、『今は変異が足りないからこのパターンで挑戦してエラーを起こしてみよう』とか『今まで解剖的な視点ばかりだったけど、歴史的な探求が欠けていたな」などと行動に移せるようになる」と言っています。

2.適応が備われば、キャリアの越境も容易くなる

 太刀川氏は、「適応の4パターンが備わっていれば、新しい仕事に出会ったときに、それを因数分解して系統や生態を理解し、その先にある未来をある程度予測できれば、道を踏み外すこともなくなる」と言います。

 しかし、太刀川氏も言うように「適応」の探求方法はどこでも教わりません。学校で教わるのは、ほとんど「What(これは何か)」です。「変異」のパターンは「How(どんな方法で)」であり、「適応」のパターンは「Why(どういう理由で・何のために)」です。ここでも「5W1H」で考えていくことが重要なのです。

 また、自分の枠を決めてしまうことなく、変異による偶発を好奇心をもって必然的に計画することで、もっと生き生きと創造性を発揮できるようになりキャリアの可能性も広がると言っています。

前述したように、コロナ禍で困難な時代を行く抜くためには、新たなアイデアや発想でイノベーションを起こしていくしかありません。しかし、これまでの考え方や発想に固執していたのでは、新しいアイデアを生み出すことは困難です。頭を柔軟にして創造性を発揮しなければならないのですが、創造性を発揮するためにどのようにすればいいのかわかりません。こうした状況で、この記事にある「進化思考」は一つのヒントを与えてくれています。人間も自然界で進化してきました。さらに言えばまだ進化の過程にあります。こうした進化の過程にある人間の思考において進化の構造を取り込むというのも、あながち間違ったことではなく、優れた発想のように思います。

9つの「変異」のパターンと4つの「適応」のパターンを組み合わせながら、「How」と「Why」を考えていくという方法は、参考になると思います。