休日の本棚 起業のWeb技術
おはようございます。
昨日の新規感染者は全国で3596人、そのうち東京539人、神奈川258人、埼玉155人、千葉100人、愛知347人、大阪216人、兵庫97人、京都45人、岡山48人、広島103人、福岡190人、沖縄335人、北海道442人などとなっています。沖縄は過去最多となっていますが、緊急事態宣言発令の9都府県のうち8都府県は減少傾向にあります。一方でまん延防止等重点措置が出されている地域は高止まりしているように見えます。新型コロナウイルス感染を抑え込みには強力な措置が効果を上げていることは明らかです。緊急事態宣言、まん延防止等重点措置は延長されますが、一部制限が緩和されることでどの程度効果が出るのか、特に変異株の拡大で減少幅が従来株の時よりも小さくなっているので心配です。また、ベトナムで、インド型とイギリス型の両方の特徴を持つ新たな変異株が見つかっています。特に感染力が強いということですが、ベトナムからの技能実習生を多く受け入れているだけに、しっかりとした水着は対策を実施しない限り、日本国内で市中感染が広がる可能性があります。イギリス株・インド株のように後手後手にならないようにしてもらいたいものです。
さて、今日は、吉田光利著「起業のWeb技術」(日本実業出版社)を紹介します。
これから起業を始めようとする場合だけでなく、すでに起業している企業にとっても、WEB技術は極めて重要です。仮に外注に出すとしても、外注先とのやり取りは必要で、どのような目的で何をしたいのかが明確に説明できなければ、かえって費用がかさみ、外注先にぼったくられる(笑い)だけです。また、DXが叫ばれている現在、これからの事業にはIT技術やWEB技術は必要不可欠です。したがって、プログラミングやデザインの専門家でなくても、これから起業しようとする人やすでに起業している経営者は、ある程度のWEB技術を身につけている必要があります。
この本は、WEB技術を使っていかにビジネスを進めていくかについてのガイドブックです。この本は、専門家でない人でも、どのようなWEB技術が必要で、何をどの程度身につけるべきか、を明らかにしてくれています。また、「WEB企画の立案」に始まって、それをどのように「プロダクト」に落とし込むか、そして『マーケティングをどのように行うか』まで具体的に説明されています。当然、WEB技術ン基本的な知識についても丁寧に説明してくれています。まず、本書の構成を見ておきます。
第1章 企業・スタートアップのワークフロー
企画・プランニングからコーディング、デザインなどの開発を経て、デプロイ、ローンチし、そしてユーザーからの実際の反応を計測してさらに修正を施して完了させるーというサイクルを回すのがスタートアップに必要な開発スタイルです。第1章ではその全体的な仕組み、その一連の流れが説明されています。
第2章 アイデアをカタチにする方法
まず仮説を立てて、それを最小限のプロダクトであるMVPに具体化します。その過程で役に立つBMC(ビジネスモデル・キャンバス)、ペルシなデザイン、顧客開発、PMF(プロダクト・マーケティング・フィット)、リーン・スタートアップ、AARRR,テスティングという考え方・方法論について説明されています。
第3章 プロダクト開発方法を知る
ここでは、WEB技術の基本中の基本であるHTMLやCSSから、JavaScriptのしくみ、JavaScriptのフレームワークであるjQueryを使った簡単な実例が紹介され、WEBページがどのように作られているのか、どんな仕組みになっているのかが分かりやすく説明されています。
第4章 本格的なコーディングに挑戦
前章でWEB開発の基本を押さえたところで、もう少し本格的な開発のために用いられる技術について解説されています。JavaScriptのフレームワークでるjQueryから、サーバーのApache,プログラミング言語のPHPやRuby、データベースのMySQLまで「開発環境」に関する初歩的な知識がまとめられています。
第5章 WEBデザインを味方につける
WEBを訪れた人を引き付け、顧客へと転換(コンバージョン)させるためのデザインの基本について学べるようになっています。誰が見ても分かりやすい、伝わりやすいデザイン、良いデザインを実現するための「近接」「整列」「反復」「コントラスト」という4つの原則が解説されています。
第6章 UX/UIをデザインして計測する
Adobe photoshop やAdobe LLLustrator という定番デザインツールの基本的に使い方から、ユーザーに訴求するUX(ユーザー・エクスペリエンス)、UI(ユーザー・インターフェース)、デザインを実現するためのユーザビリティという考え方、デザインの効果を客観的に計測する方法についてまとめられています。
第7章 デプロイとローンチ、サーバーの知識
作ったプロダクトをインターネットを通じて世界に公開するためのサーバー環境の技術、そしてプロだくををあっロードするデプロイという方法について説明されています。更に、サーバー関連のわずらわしさから解放してくれ、スタートアップのあり方を一変させた画期的なクラウド技術についても説明されています。
第8章 お金をかけない最先端のマーケティング
プロダクトを公開しただけではビジネスは完結しません。ユーザーからの反応を計測し、それを基にプロダクトを改良していかなければなりません。その指標となるのがAARRRという考え方です。ここでは、ユーザーを集め、顧客へと転換(コンバージョン)させるためのマーケティング手法について解説されています。
各章の中から第1章、第2章、第8章を特に詳しく見ておきます。
第1章 企業・スタートアップのワークフロー
ビジネスにおいては「プロダクト」が重要です。「プロダクト」について、この本は「単なるツールに留まらず、世界観や哲学が設計・デザインされているもの」と定義づけています。「リーン・スタートアップ」が最も効果的なビジネス手法としてデファクト・スタンダードになっています。「リーン・スタートアップ」では、世界観を実現するための最小限のプロジェクトを作り、それがユーザーに受け入れられるかを素早く試し、その結果から必要なサービスや機能を洗い出し、ブラッシュアップし続け、最終的にユーザーに受け入れられるプロジェクトに仕上げるのです。
プロダクトの開発は、「企画」から始まりそれをカタチ(UX/UIデザイン・プログラミング)にしていき、それがうまくいっているかを「計測」します。この一連の工程(イテレーション)を何度も繰り返して品質を高めユーザーに受け入れられるプロジェクトを作り上げるのです。
第2章 アイデアをカタチにする方法
薔薇奈良のアイデアを具体的なビジネスモデルに落とし込むためにBMC(ビジネスモデル・キャンバス)を使います。BMCには9つのセクションがあります。
- 顧客セグメント・・・どの顧客に価値を届けるのか?顧客を絞り込み決定する。
- 価値提案・・・決めた顧客にどのような価値を提供するのか?
- チャンネル・・・どのようにして、その価値を顧客に届けるのか?
- 顧客との関係・・・顧客とどのような関係を築きたいのか?
- 収益の流れ・・・どのように収益を得るのか?自分たちのb時ネスのどこで収益を得るか。
- リソース・・・顧客にサービス枝お届けるために必要となるリソース(資源)は何か?
- 主要活動・・・ビジネスを成立させるために必要な活動を決定する
- パートナー・・・ビジネスを成り立たせるために必要なパートナーを決める
- コスト構造・・・ビジネスを成り立たせるために必要なコストの構造を決定する
顧客セグメントを決める際に重要なのは、ペルソナデザインです。つまり「顧客とすべき典型的なユーザー像」を明確にすることです。ペルソナを定義することで人物像がはっきりと見えて、戦略を立てやすくなり、自然とコンテンツやデザインが導かれます。
第8章 お金をかけない最先端のマーケティング
マーケティングは販売の対極にあります。マーケティングと販売は同じ意味ではないことはもちろん、補い合う関係にもありません。極端に言えば、マーケティングの理想は販売を不要にすることにあります。マーケティングは顧客を理解し、製品とサービスを顧客に合わせ、販売せずとも自ずから売れるようにすることです。
マーケティングというのは「顧客が買いたくなる仕組みをつくること」です。そのために前述の「リーン・スタートアップ」が重要なのです。最小限のプロダクトであるMVPを作り、それをユーザーに実際に提供し、ユーザーの満足がどこにあるかを探り、これを繰り返しブラッシュアップすることで「顧客の満足」を作り上げるのです。
顧客が自ら進んで購入してくれるという状況を作り上げるには「リーン・スタートアップ」を回していくしかありません。ここで重要なのがAARRRという考え方です。
AARRRは、プロダクトが健全に動いているかを検証するための指標です。
- Acquisition:新規に訪れるユーザー(ユーザー獲得)
- Activation:新規に会員になるユーザー(ユーザー利用開始)
- Retention:再び戻ってくるユーザー(ユーザー再訪)
- Revenue:お金を払ってくれるユーザー(課金ユーザー)
- Referral:気に入ってくれ他人に宣伝してくれるユーザー(ファンユーザー)
このAARRRのすべての項目がうまく回り始めたときに「ビジネスモデル」がうまくいっていることを意味します。
今や、どのようなビジネスにおいてもWEB技術は必要です。この本は、ビジネスに必要なWEB技術の基本を体系的に学べるようになっています。この本でWEB技術の基本を学べば、「何から手を付けていいか分からない」ということもなくなりますし、ビジネスにいかにWEB技術を活かせばいいかもわかってくると思います。
WEB技術について多くの本が出ていますが、全体がコンパクトにまとめられていて、基本を学ぶにはよい本です。