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経営は「ヒト・モノ・カネ」から「ヒト・ヒト・ヒト」へ

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で2246人、そのうち東京896人、神奈川322人、埼玉155人、千葉200人、愛知49人、大阪125人、兵庫50人、京都19人、福岡41人、沖縄35人、北海道62人などとなっています。首都圏の4都県は確実にリバウンドしています。政府は東京に緊急事態宣言を発令することを決定しました。菅首相は、「先手先手の予防的措置」と言っていますが、現在の状況を引き起こしたのは、これまでの後手後手の対応であり、無為無策、無知、無能であり、その責任は菅首相をはじめ政府にあります。また、5者会議で首都圏で開催されるオリンピック競技については無観客とすることが決まりました。しかし、大会関係者は別枠で、国民には自粛と犠牲を強いるだけで、国民を蔑ろにすること甚だしいとしか言いようがありません。このオリンピック開催で利益を受けるのは一部利権とIOCに限られ、そのツケを回されるのは国民です。菅首相には、何のため・誰のためのオリンピックなのか、明確にすべき責任があります。記者会見で、そうしたことを聞かないマスコミも茶番、最低です。

さて、今日は、まず日経WOMANの「経営は『ヒト・モノ・カネ』から『ヒト・ヒト・ヒト』へ」を取り上げます。

近年は、人的資本への投資が、経営資源の配分や事業ポートフォリオ戦略と関係していて、それが企業の持続的な成長、あるいは中長期的な価値の向上につながっていくと考えられています。ダイバーシティの確保、多様な人材の確保は経営戦略です。多様なものの見方を持ち、そのものの見方が経営にしっかりと届き、それが経営に活かされていくというプロセスが重要になります。

これまでは、経営資源として「ヒト・モノ・カネ」が重要視されてきましたが、これからは「ヒト・ヒト・ヒト」へとシフトし、人的資源こそが経営にとって最も重要なものになっていくように思います。いかに優秀な人材を確保し、その人材を活躍させるのか、それが企業の持続的な価値創造の源泉になっていきます。先日紹介したネットフリックスも、優秀な人材のみを好待遇で雇用し、自由で柔軟な企業文化の下で、イノベーション生み出し続けています。

この記事では、多様な人材を確保し、活躍できるようにするために、2つのことが指摘されています。

その1つは、ダイバーシティインクルージョンのセットです。インクルージョンというのは、直訳すると「包括・包含」という意味で、「すべての従業員が仕事に参画する機会を持ち、それぞれの経験や能力、考え方が認められ生かされている状態」のことです。単に多様な人材を確保しているだけではダメで、異質なものを相互に認め合い、刺激し合い、それぞれの強みを生かしていくことが重要になるのです。

2つ目は、個々の社員の生きがいウェルビーイングをどのように向上させていくかということです。ウェルビーイングとは、「肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態」(WHO憲章前文)のことです。企業が中長期的な成長を実現するためには、多様な人材を集めるだけではダメで、心身共に健康で、仕事の納得感、同僚とのつながり、自己肯定感を高めることが重要になるのです。

ヒト(人材)をモノやカネと同じく使い捨て出来る経営資源と考えられてきた古い事業構造のまま、ヒトを馬車馬のように働かせる時代は終わりつつあります。企業が、中長期的に持続的な成長を遂げるためには、多様な人材を確保し、インクルージョンウェルビーイングという価値を加え、それを育成していかなければならないのです。

多様な人材を確保し、その多様性を生かしながら人材を育成するには、上司と部下との人間関係が重要になってきます。部下の多様性を引き出しそれを活かすことは上司・リーダーの重要な役割です。

次に、幻冬舎GOLDONLINEの「上司が部下への声掛け『いつでも相談してね』がほぼ無意味である理由」を取り上げます。この記事では「部下との『報・連・相』の問題」「チームの業務配分」について組織の力を底上げする手法が紹介されています。

多様な人材がいれば、小まめに報告する部下もいれば、まったく報告してこない部下もいます。「報告しない部下が悪い」という人もいますが、上司としては、段取りを組んで、部下が報告する機会を作らなければなりません。報告の機会を作らず、「いつでも相談してね」という上司は失格です。一見寛大なように思えますが、部下としては「聞きづらい」「何をどう相談していいか分からない」ということになります。上司としては、部下に具体的なアドバイスや指示をすべきなのです。仕事の目的は、組織やチームとして成果を上げることです。それができる環境を作り整えることが上司・リーダーの仕事です。もちろん、部下が自分で判断でき自分で行動を起こせることが望ましいことは言うまでもありませんが、上司は部下がそうなるように育て上げなければならないのです。

この記事では「相手の説得には『数字の力』を活用する」「会社として『お金を出すべきところ』はしっかりと出す」ということも書かれていますが、割愛します。

ここでは、「社員の責任が重すぎると、誰もチャレンジしなくなる」ということについて触れます。

このところKPⅠ(重要業績評価指標)マネジメントが流行っていますが、これは企業が掲げた目標に向かって、適切に進んでいるかを数値で測るものです。売上予算などの会社が掲げる数値目標の責任の一部を社員にも負わせるというものです。こうした指標を設けることで、一時的に業績を上げることができるかもしれませんが、「売上至上主義」「ノルマ達成への囚われ」という負の価値観を生み出します。「KPⅠを達成すれば評価される」という図式ができるとお客様のことは二の次になってしまいます。お客様よりも自分の都合、ノルマや数値目標の達成が優先されてしまいます。それではお客様が満足するような仕事はできません。

仕事の究極の目的は、人の役に立つこと、自己実現することです。数字は二の次です。メンバーが楽しく働いていれば、お客様も満足し、売上も上がります。そこを目指すのが上司・リーダーの役割です。社員に責任を負わせすぎるから、責任を逃れるためにチャレンジしなくなります。

この記事では「究極のリーダーは皆に助けられる人だ」と言っています。そうなるには「自ら率先して働くこと」「人の責任を問わないこと」と言っていますが、先日も書きましたが、「褒める」ことも「叱る」ことも大事です。しかし、これらは相手のことを心から思って行わなければなりません。数値だけで人を評価し、数値だけで責任を問うというのは間違っているように思います。

この記事では最後に「『この人と一緒に仕事がしたい、この人を助けたい』と思える関係性を築けば、信頼が急の崩れることはありません。メンバーを信じ、それを行動で表せば、メンバーは必ず答えてくれます。どちらか一方にストレスがかかるようなやり方は、本来必要ないのです」と言っています。

何においても企業は人で成り立っています。人との人間関係、信頼関係が基本です。これなくして企業の成長や発展はあり得ません。人を大切にする企業、人の育成に注力する企業が成長・発展します。人というのは、従業員だけではなく、お客様、取引先、その他ステークホルダーすべてです。これらすべての人を大切にすることが、企業が混迷・変革する環境の中で生き残り、成長、発展するうえで一番大事なことです。だからこそ、経営は「ヒト・ヒト・ヒト」なのです。