中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

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エンゲージメントと生産性

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で1506人、そのうち東京502人、神奈川280人、埼玉110人、千葉114人、愛知42人、大阪105人、兵庫17人、京都20人、福岡44人、沖縄28人、北海道47人などとなっています。検査数の少ない休日の結果なのにかなり大きな数になっています。ワクチン接種の効果なのか高齢者の感染者、重症者は減少していますが、若者の感染者数、重症者が増えています。昨日は、東京で10代の重症者が出ました。イギリス型アルファ株からインド型デルタ株に置き換わりつつあり、既に3割がデルタ株の感染者ともいわれています。デルタ株は感染力が強く、若年層でも重症化するリスクやワクチンの効果を弱める可能性も指摘されています。繁華街の人出は増えており、人々の意識も最初の緊急事態宣言発令の頃に比べると弛んでいます。こうした中で、「コロナ五輪」と揶揄される東京五輪が開催され、感染者数は増加の一途をたどるという事態になりそうで怖いです。今一度気を引き締め、五輪で浮かれて羽目を外すことのないように気をつけましょう。

さて、今日は、ダイヤモンド・オンラインの「エンゲージメントが高まれば、従業員の生産性も上がる」という記事を取り上げます。この記事では、最初に「城づくりレース」という2人の王子の物語が紹介されています。

国王は、王子たちを競わせ、先に城を完成させた王子が王女と結婚できるというレースを行わせます。アグナイ王子はスピードを最優先するため、多くの労働者を低賃金で雇ってすぐに城づくりに着手します。一方、ポーランド王子は適正な賃金を支払えるだけの労働者を雇い、十分な食事と疲れを癒させる寝床の準備、家族への支援など、環境をしっかりと計画・整備してから城づくりに取り掛かりました。夏の終わりには、アグナイ王子の城はほぼ半分完成していましたが、ポーランド王子の城は着工されたばかりで、多くの人はアグナイ王子の勝利を確信しポーランド王子をあざ笑う声が聞こえるほどでした。ところが寒い冬が来ると、状況は一変し、アグナイ王子の現場は混乱し、労働環境は悪化します。食べ物は無くなり事故も多発、労働者は仕事を辞めて離れていきます。一方、ポーランド王子の現場では、季節に左右されることもなく、工事は着々と進み、待遇の良さに感謝した労働者は工事の遅れを気にして自分でアイデアを出すまでになっていました。結局、城づくりのレースに勝利したのはポーランド王子です。

ポーランド王子は目先のことに惑わされることなく、王女と結婚して国や国民を守るというというミッションを見失わなかったことが勝敗を分けたのです。ミッションを果たすことがゴールへと結びつくこと、ミッションにはチームの力が何よりも重要だということを、ポーランド王子はしっかりと理解していました。敗れたアグナイ王子は、先に城をつくるというゴールにとらわれすぎ、自ら失敗を招いたのです。

この物語が明らかにしているのは、チームワークの価値であり、ビジョンとミッションがどのような重要性を持つかということです。

1.エンゲージメントの意義

 ポーランド王子の城をつくった労働者たちが持っていたのは雇用者に対するエンゲージメントです。エンゲージメントというのは、一般に「組織に対する愛着心」を意味しますが、「組織と従業員個人が一体となって互いの成長に貢献し合う状態」、より平たく言えば「会社と従業員、従業員同士が貢献したいという気持ちでつながっている関係」と言えばいいでしょう。

 エンゲージメントの高い組織では、従業員が簡単に辞めることはなく、各人が意欲的に仕事に取り組むため生産性が向上し、さらには顧客満足度にもつながっていきます。

 エンゲージメントにとって重要なのが「What‘s is it for me?」(私にとってどんな意味やメリットがあるのか?」ということです。仕事は会社から受動的に与えられるだけでなく、従業員が主体的・能動的に考えらるようにならなけれななりません。従業員が仕事を自分自身のことのようにとらえることができれば、好きなことに打ち込む時のように仕事に打ち込むことができ、自然と創造性が生まれ、それによって成功すると、さらに楽しくなります。そのために「私にとってどんな意味やメリットがあるのか?」と考えさせることによって従業員の意識を変えていかなければならないのです。また、当然、従業員だけでなく、経営者や上司も変わらなければなりません。

 辞めていく人が残す言葉として多いのが「評価されなかった」「意見を取り入れてもらえなかった」「上司に興味を持ってもらえなかった」というものです。人は励まされ、認められれば、やる気を出す生き物です。問題点を指摘し、ミスを詰問するような育て方では部下は育ちません。ある程度の権限を与え、認めて能力が発揮できるようにして、仕事の目標を達成させていく必要があります。

 エンゲージメントの源泉となるのは、給与や待遇の良さというよりは、仕事に対して認められたり、感謝されたりすることです。

2.エンゲージメントを高めるための3つの要素

 企業が生き残っていくためには、常に成長・発展し続けなければなりません。企業は従業員のエンゲージメントを高めてパフォーマンスを最大限に生かし、目標や課題を達成していかなければならないのです。

 そのためには、自社の社会的使命やミッションを上層部だけでなく、全社員が理解し、そのミッションのために社会的なニーズをとらえたビジョンを会社全体、組織全体、チーム全体で共有・遂行していかなければなりません。

 従業員のエンゲージメント向上に必要なものとして次の3つが挙げられています。

  1. 理解度・・・会社の進むべき方向、ビジョンを理解し、共に達成しようとする姿勢
  2. 共感度・・・互いに仲間意識をもって協力し合い、家族のような愛着と誇りを持つこと
  3. 行動意欲・・・仲間との目標達成を最大のモチベーションとして行動する意欲

 これらがエンゲージメントを構成する主要要素であり、これらすべてが備わっていることでエンゲージメントは向上していくのです。

 エンゲージメントの高い従業員は自分のことのように会社の成功や発展を考え、愛し、成果を挙げようと自ら努力します。エンゲージメントは上司からの指示や命令によって高まるのではなく、経営陣・上層部と従業員との信頼の深さによって生まれてくるのです。

ここから、少しこの記事から離れます。エンゲージメントを高めるための方法について触れておきます。参考にしてください。

  1. 会社の情報・経営陣の考えを伝える・・・会社がどこに向かおうとしているのか、どんな世界を実現したいのか、経営トップが考えていることやメッセージを定期的に従業員に伝え、共有する。経営層からのメッセ維持や上司のメッセ維持が正確に現場に伝わっているか、そんメッセージに矛盾はないかを検証する。
  2. 会社のビジョンや方針に沿った人事評価を行う・・・経営理念や行動指針の浸透には、人事評価との関連付けが必要。評価に納得感を得られない場合、上司や会社に対する不信感につながる。評価の方法は給与などの金銭的評価だけでなく、表彰やサンクスメッセージなどの非金銭的報酬をも活用する。
  3. 従業員同士を近づける接点を増やす・・・ともに働く者同士のコミュニケーションが重要。信頼関係は長期的進展を持ち少しずつ築いていく。
  4. 従業員が十分に力を発揮できる環境を整える・・・従業員が持つ能力や資質を十分に発揮できる制度を作るとともに従業員がスキルアップできる環境を整える。

以前書いたように、経営は「ヒト・カネ・モノ」から「ヒト・ヒト・ヒト」に変わりつつあります。最も重要なのが「ヒト」です。その「ヒト」の中心が従業員です。しかし、「ヒト」(従業員)は単なる経営資源ではありません。企業の持続的成長・発展を支えているのが従業員であり、従業員のエンゲージメントを高めることが企業の成長・発展には不可欠なのです。そして、従業員のエンゲージメントにとって重要なのは、会社と従業員、従業員同士の信頼関係です。

従業員のエンゲージメントを高めるようにしましょう。