中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

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経験学習モデル

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で7629人、そのうち東京2848人、神奈川758人、埼玉593人、千葉405人、愛知174人、大阪741人、兵庫261人、京都96人、福岡236人、沖縄354人、北海道138人などとなっています。東京、埼玉、沖縄で過去最多を更新しました。当初関係者の話として、東京の新規感染者数が3000人を超えるとのニュースが当初流れましたが、結局は2848人、数字の操作がされたように思えて信用できません。実際にはもっと新規感染者がいたのではないかと勘繰りたくなります。無知無能な菅首相は、「人流が減っているので、オリンピック中止はない」と発言していますが、五輪疎開で東京の人流は少しは減ったものの、その分地方の人流は増え、その結果各地の感染者増につながっています。今更オリンピック中止は無理でしょうが、オリンピック開催前に、どのような事態になった場合に途中でも中止するのか、明確な基準やルールを決めておくのが危機管理の基本だったのです。危機管理能力がない人が一国のリーダーであることがそもそもの間違いなのです。中止ができない以上、しっかりと泡で包み込んでバブルに穴が開かないようにするとともに、緊急事態宣言を発出して人流を抑制し、さらに感染拡大地域に重点的にワクチンを供給して中年層・若年層のワクチン接種を進めるべきです。いまのところ、これしかとるべき方法はありません。

さて、今日は、日本の人事部の「『部下の強みを引き出し、成長させる管理職』の育て方」という記事を取り上げます。これまでも部下の育て方については何度か書いてきましたが、部下を育てるためには「育て上手な管理職・上司」を育成することも重要になります。

大きく分けると管理職には2つのタイプがいます。それは、「業績を上げるやり方は分かっているから、俺の言うとおりにやれ」という「ゴリゴリ系」と部下の強みを引き出しながら業績を上げる「育成系」です。どちらも短期的には同じような成果を上げますが、中長期的にみれば、ゴリゴリ系では部下は育たず徐々に数字を上げることが難しくなる一方で、育成系では部下が徐々に成長し自らの力で成果を上げていくようになります。中長期的な視点で見る限り、「育成系」の管理職を増やしていくことが大切です。

では、管理職・上司はどのようにして部下に向き合えばいいのでしょうか? 

この答えが育て上手な管理職・上司のあり方であり、育て上手な管理職・上司の育成方法につながります。この記事では、経験学習モデルを活用しようとしています。

経験学習モデルというのは、デービッド・コルプが提唱した「経験からが学習していくには4つの活動を繰り返していく必要がある」と考えるモデルです。

経験学習モデルでは、次の4つの活動を繰り返していくことで学びが進んでいくと考えるのです。

  1. 具体的な「経験」をして
  2. その内容を「振り返り」
  3. その体験から得られた成果を「概念化」して
  4. 概念化した成果を応用して「実践」する

つまり、部下の育成においてもこの4つの活動をサイクルとして繰り返すことが大切になるのです。

  1. 経験(具体的経験)・・・部下は実践経験の中で、様々な成功・失敗体験を積んでいく
  2. 振り返り(内省的省察)・・・部下自身で成功・失敗体験を振り返る
  3. 概念化(抽象的概念化)・・・成功・失敗体験から教訓を引き出す(強みを認識する)
  4. 実践(積極的実践)・・・教訓(強み)を活用し、強化する

順次、説明します。

1.具体的経験

 具体的な経験をすることで、自分で考え、自分で動き、自分でその結果を受け入れることになり、多くの「気づき」が生まれます。これまで何度も書いていますが、部下育成の基本は「認めて、任せて、褒める」です。「認めて、任せる」ことで、部下は具体的な経験をするのです。特に、自分では予測しきれなかった結果(成功・失敗)をもたらしたエピソードに注目することが成長につながります。

 分かったつもりになって、体験せずに机上の理論を展開するようではいけません。部下の育成を行うときも、現場で部下と同じ視点で同じ体験を追体験してアドバイスしなければなりません。単に自分の知識や経験だけに頼ったのでは、現状を的確に認識できず間違った方向に導いてしまうことにもなりかねません。

2.内省的省察

 経験をさまざまな視点・観点から振り返ることです。予測しなかった結果(成功・失敗)の理由や背景をいろんな角度から検討するのです。

 特に、失敗した場合には、見たくないものを見ないようにしたり、考えたくないものを考えないようにしたりと、つい避けてしまいます。それではまた同じ失敗を繰り返すことにもなりますし、同じ視点や同じ価値観で見ていたのでは本質が見えず新しい気づきが生まれません。

 ここで重要なのは、違った視点で見てみるということです。そのためには自分自身に「質問」することです。質問を繰り返すことで、その答えを考えることで脳を活発に働かせることができ、経験を直視し向き合うことができます。

 部下を指導する際にも、部下自身が様々な視点で振り返ることができるように、様々な角度から質問することです。また、最近では、グループでの振り返りを通じて解決策を立案・実施するアクション・ラーニングが注目されています。

3.抽象的概念化

 経験によって得られた事象を抽象的な概念に落とし込むことによって、他の場面でも応用できるようにすることです。振り返りは行っても、概念化まで至っていなければ、新しい事象に対応できず、応用が利かなくなります。

 自分の経験から得た事柄を抽象化、概念化するというのは難しいことです。ミンツバーグは「優れた理論は自分の経験を理解するのに役立つ」と言います。自分の経験に近い既存の理論を探し出し、その既存理論に自分の経験を当てはめて、個別具体的に解釈し、発展させて、新しい理論を構築するのです。そうすることによって、自分の経験を抽象化、概念化できます。

4.積極的実践

 自分なりに概念化した理論は、まだ仮説の段階です。これを実践し、修正を加える必要があります。自分の経験から得られて教訓・理論は不十分かもしれませんが、まずは実践することです。試してみて不都合があれば、修正を加えて進化させていけばいいだけです。持論が正しいかどうかを検証することにとらわれるあまり、手をこまねいているのは時間の無駄です。自分自身の経験とそこから得られて教訓を信じて、実践する、そして修正しながら進化させていくという仮説検証サイクルを早く回し、次の経験に活かすのです。

以上が、経験学習モデルの4つの活動ですが、この経験学習モデルを人材育成や部下育成に活用する場合、次のようなポイントが重要です。

1.「経験の場」を意図的に作る

 経験学習モデルで重要なのは第一サークルである「経験」です。手慣れた作業や感嘆のルーティンワークでは「予測していなかった結果(成功・失敗)はなかなか生まれません。経験学習にとって良質な経験を積むためには、ある程度困難の仕事を任せる必要があるのです。それが部下を「認めて、任せる」こととです。部下を認め、任せて、上手くいった場合に褒める、ミスを犯した場合には叱る(ただしフォローは必要)のです。さらに人事ローテーションなどをうまく活用して、経験の場を意図的に作り出す工夫も必要になります。

2.対話を通じて、経験を振り返る機会を作る

 第二段階「内省的省察」でのサポートも重要です。先ほども書きましたが、様々な角度・視点から質問を行い「気づき」を促すことです。質問を行い気づきを促した目に重要なのが、質問力、コミュニケーション力です。

経験学習モデルは、別段難しい理論ではありません。私たちが日々、何気なく実践している理論を進化されたものにすぎません。誰でも自分の経験を振り返り、そこでの成功や失敗の原因をつかもうとしています。それをきちんと仕組化したものです。

経験学習モデルを仕組として取り入れ、それを活用することで部下の育成が容易になりますし、その活用力を高めることで「育て上手な管理職・上司」を育成することも容易になります。

元々の記事の内容(ここではコカ・コーラ三井情報での事例が語られています)とは離れ、経験学習モデルの基本について長々と書いてしまいました。もともとの記事に関心がある人はネットで検索してください。すみません。