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休日の本棚 野心のすすめ

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で10,744人、そのうち東京3300人、神奈川1418人、埼玉853人、千葉753人、愛知230人、大阪882人、兵庫265人、京都167人、福岡478人、沖縄382人、北海道250人などとなっています。これらの地域以外にも茨城(222人)、群馬(106人)、栃木(120人)、石川(110人)をはじめ、ほぼ全国的に新規感染者が増加しています。政府は首都圏3県と大阪に緊急事態宣言の発令を決定しましたが、五輪開催と緊急事態宣言発出とは矛盾し、国民に対する強いメッセージとはなり得ず効果は薄いと考えられます。五輪開催中に、不要不急の外出自粛と言われて誰が守るでしょうか? 現に、松井大阪市長は、五輪をやっているという理由で緊急事態宣言下の中学校の修学旅行実施を表明しました。地方公共団体の長ですらこのような状態なので国民が素直に政府に従おうとはなりません。分科会の尾身会長は菅首相に、強いメッセージを発するように直談判したようですが、昨日の会見でも、菅首相は、あいも変わらず、心のこもったメッセージを発することはできませんでした。根拠なき楽観論に終始し五輪にのみ命を賭ける菅首相ですが、いくら五輪で金ラッシュが続こうとも菅政権の失政は消えません。五輪フィーバーがコロナを吹き飛ばすなんてことはないのです。すでにコロナの逆襲が始まり、コロナに打ち勝った証ではなく、コロナに負けた五輪で終わるのではないかという気がします。

さて、今日は林真理子著「野心のすすめ」(講談社現代新書を紹介します。先日、佐藤智恵さんの「ゼロからのMBA」を紹介した際に「やった後悔は日に日に小さくなるけれど、やらなかった後悔は日に日に大きくなる」という林真理子さんの言葉を書きました。この言葉が書かれているのが、今日紹介する「野心のすすめ」です。東京大学を卒業後、NHKに入社し順風満帆の人生を歩んでいた佐藤さんは、「今留学しなかったらきっと後悔する」という思いでMBA留学を決意し、NHKを退職し夢に向かってチャレンジしました。一方、カネなしコネなしで、就職戦線では無情にも40社から不採用通知を受けた林さん、彼女のモットーが「やった後悔は日に日に小さくなるけれど、やらなかった後悔は日に日に大きくなる」です。人生は一度きりです。身の丈に合った人生なんてつまらないものです。冒険のない人生ほどつまらなく無意味なものはありません。やってダメで元々です。やらない後悔だけは避けたいものです。

この「野心のすすめ」には ―「有名になりたい!」「作家になりたい!」「結婚したい!」「子供が欲しい!」― 無理と言われた願望をことごとく叶えてきた人気作家林さんの夢を実現させるヒントが満載です。女性に向けたメッセージがほとんどですが、男性にとっても役に立つ内容です。この本は、第1章 野心が足りない 第2章 野心のモチベーション 第3章 野心の履歴書 第4章 野心と女の一生 第5章 野心の幸福論 という5章で構成されています。

この本の中から、ビジネスパーソンにとっても役立つと思われる、林さんの言葉を紹介します。言葉通りではなく、要約しているところもあります。

第1章 野心が足りない

  • やってみる価値がある、面白そうだと思ったことは、恥をかいてでも、とりあえずやってみる。取り返しがつかないという意味では、やったこともやらなかったことも同じ。やってしまった過去を悔やむ心からはちゃんと血が出て、かさぶたができて治っていくけれど、やらなかった取り返しのつかなさや悔やむ心には、切り傷とはまた違う、内出血のような痛みが続く。内側に留まったままの後悔はいかんともしがたいものである。
  • 「今のままじゃだめだ。もっと成功したい」と願う野心は、自分が成長していくための原動力となるが、一方で、その野心に見合った努力が必要になる。野心が車の「前輪」だとすると、努力は「後輪」である。野心と努力、両方のバランスがうまく取れて進んでいるときこそ、健全な野心と言える。
  • 野心を持つことのできる人というのは、自分に与えられた時間はこれだけしかないという考えが常に身に染みている人である。自分の将来を具体的に思い描くことができる人である。長いスパンで人生を考える、人生を俯瞰的にみることができる人は、人生のはかなさを知り、自分に残された時間をシビアに、かつ明確に意識する人である。

第2章 野心のモチベーション

  • 人の生き方も、ずっと三流のままであれば、一流の世界を覗くことさえできない。若い時には、多少の見栄を張ったり、背伸びをするのは、自分という人間の成長のために欠かせないことである。しかし、一流の世界を知ろうという気持ちは大事だが、自分の立場をわきまえていない人はすごくみっともない。
  • 人生の選択肢は多ければ多いほどいい。自分に投資すると「人気」がついてくる。自分への投資が実を結ぶと人が寄ってくる。そうした輪がどんどんと広がっていく。せこい人にはせこい人生が待っている。
  • 運と努力の関係は面白い。自分でちゃんと努力をして、野心と努力が上手く回ってくると、運という大きな輪が回り始める。一度、野心と努力のコツをつかむと、生き方も人生もガラッと変わってくる。しかし、運とは、本人の気持ちや努力次第という単純なものではない。人間の力が及ばないところにある力が働いている。ちゃんと努力し続けていたか、いい加減にやっていたか。それを神様はちゃんと見ていて、「よし、合格」となったら、その人間を不思議な力で後押ししてくれる。
  • 運というのは一度回りだしてくると、まるで、わらしべ長者のように、次はこれ、その次はこの人、とより大きな幸運を呼ぶ出会いを用意してくれる。空の上から見ている神様の存在を忘れず、ちゃんと努力を重ねていなければならない。「ここぞという機会」を自分で作り出すのが野心。そして努力、新しい挑戦を続けていく。

第3章 野心の履歴書

  • 努力が報われない時代とさえ言われるいまであっても、未来の自分を想像しながら、決して投げやりな気持ちにならないでほしい。シビアに将来の自分の姿を見据えながらも、同時に自分を信じて、幸福な自分の未来を想像してほしい。すると、そのためには何かをしなければならないという気持ちが自然と湧き上がってくる。
  • 人生のリセットは何度でもできる。でも自分でないとできない。新規まき直しに一度成功していたから、自分を信じて馬力を出せたということもある。新規巻き返しを繰り返すことで、さらに自信がつく。
  • 自分の小さな成功体験や人から褒められたことはたとえ些細なことでも忘れずに大切に覚えておく。自分を信じるということは、他人が自分をほめてくれた言葉を信じるということでもある。
  • 自分は特別な人間だと思う自信と、自分は普通の人間だという謙虚さの2つを同時に持つことが大切。自分を謙虚に見つめると、不思議なことに何かポロっと嬉しい出来事が起きる。時に根拠のない自信を持つことも必要だが、自信と謙虚さのバランスを保つことが大事である。
  • 道に迷い込むことによって、逆に自分が本当に進みたい道がはっきりと見えてくることも多い。チャンスがあれば、まずは挑戦してみる。そこでダメだったら、では自分は何をやりたいかを突き詰めて考えてみる。

第4章 野心と女の一生

  • 人間が成長するのは、何と言っても仕事である。仕事とは、イヤなことも我慢して、他人と折り合いを付けながら自己主張していくことでもある。ずっと試練に立ち向かい続けている人は、人間としての強さも確実に身につけていく。世の中は理不尽なことで溢れていて、自分の思い通りになることはほとんどない。だけど人間は努力をしなければならない。それを社会で働きながら学んでいる。
  • どんな仕事であれ立場であれ、何よりもの充足感を得られるのは、「自分の代わりがいない」という確信を社会の中で得られるときである。自分が複数の他人から必要とされているということから得られる自信は、他の何ものにも代えがたいものである。そのためにも早いうちから「何者」かになろうという野心を持ち、努力を重ねるに越したことはない。
  • 悔しい気持ちや屈辱感を心の中で一定期間「飼っておく」というよりも「飼わずにはいられない」状況下で、その悔しさを溜めて発酵させるだけではなく、温めて孵化させた人たちが、野心を実現できる。
  • 普通のサラリーマンであれば、野心を持つことよりも、まずは与えられた仕事を一生懸命にやるのが大切だということも事実。トラとなって出世を狙いつつも、会社員であれば、やはり会社にどれだけ貢献できるかということが最大の使命であることを忘れてはいけない。

第5章 野心の幸福論

  • 野心は習慣性のある心でもある。一度も勝ったことのない人は勝気にさえなれない。どんな小さなことからでもいい。人に認められる快感を味わい、勝った記憶を積み重ねていくと、人格だって変わっていく。
  • 幸福とは、その人の体型や体力と比例するようなものではないか。体型を野心、体力を向上心と言い換えてもいい。誰もが欲望をダイエットする中で、欲張りデブの大食漢は、日々肥大する願望に悩み、時には自己嫌悪に陥り、もっと幸福になれないかと焦る。その苦しみから逃れるために、更に行動範囲を広げ、おいしい食べ物がいっぱいあるところを探し続ける。大食漢の誇りをもって大きな幸福を追い求めていくのが私の人生である。皆さんも、ご飯を食べる量を少し増やして欲望デブ道を共に歩んでいこうではありませんか。
  • 欲張りで野心を持つ人間になるのは「妄想力」がなせる業である。妄想力は、創造力よりもさらに身勝手な自由な力、現実からは途轍もなく飛躍した夢物語を脳内で展開させるものである。妄想は自分を引き上げてくれる力になる。妄想力は野心のバネになる。妄想力を鍛えるには本を読むこと。
  • 本当に恐ろしいのは「止まっている不幸」、出口がなく、暗く沈んでいるだけのもやもやとした不幸である。若いうちから野心を持って訓練していけば、自分との戦いに立ち向かえる強さも鍛えられる。挑戦に失敗しても、世の中は、ほどほどの不幸とほどほどの幸福で成り立っていると達観する知恵者の境地にまで達することができる。そうなれば、もはや「不幸」ではない。
  • 野心を持つ人間のためのすぐに役立つテクニック3か条 ①時間は2倍使う ②まずはぐっすり眠ってから考える ③運の強い楽しい友人たちと会う

最後に林さんは次のような言葉を綴っています。

 自分はこういう人生を送りたいという目標を決めたら、歯を食いしばってでも頑張ってみることです。野心が山登りだとすると、少し登り始めると、頂上がどんなに遠いかがわかってくる。少し、クラっとするような場所まで来て、下を覗いてみると、登山口の駐車場ではみんなが無邪気にキャッキャ楽しそうに群れている。でも、自分は絶対その場所にもう下りたくないと思う。自分はこの先、あの高いところまで登れるんだろうかという不安を常に抱えながら、ズルズルと下に落ちたくないから常に手を抜けない。

 なぜ、わざわざつらい思いをしてまで山登りを続けられるのでしょうか。

 それは、必死で登ってきた場所から見る景色があまりにも美しく、素晴らしい眺めを自分の力で手に入れて味わう満足感と幸福を既に一度知ってしまったからです。そうなったら最後、もっと美しい景色が見たい、もっと満足したい、もっと幸福を味わいたい、と、さらに上へ上へと登りたくなる。

 平地で遊んでいる人間には一生見えない景色、野心を持って努力した人間だけが知る幸福がそこにはあります。もちろんつらい試練だって待っているかも知れないけれど、野心という山を登ろうとする心の持ちようで、人生は必ず大きく変わってくる。チャレンジしたからこそ初めて手に入れることができる、でっかい幸福が待っている。

 人の人生は短いのです。挑戦し続ける人生への第一歩を踏み出してくださる方が、一人でも増えることを祈ります。

 さあ、山に登ろう!

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