中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

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休日の本棚 未来の稼ぎ方

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で1447人、そのうち東京200人、神奈川117人、埼玉105人、千葉75人、愛知88人、大阪241人、兵庫84人、京都35人、福岡40人、沖縄41人、北海道32人などとなっています。緊急事態宣言が全面解除され、各地の人出は急増しています。昨日は金曜日ということもあってか繁華街は酒を飲みに出た人で溢れ返っていました。中にはノーマスクで大声でしゃべる人など、あまりに気が緩みすぎています。経済を回していくために、段階的に行動制限を緩和していく必要がありますが、国民一人一人がルールを守り節度を保ちながら、今後も感染防止対策に取り組んでいかなければなりません。第5波はデルタ株によって非常に速いスピードで感染が拡大し、医療がそれに追いつかず、入院できずに自宅療養で死者が出る事態にもなりました。今後も新型コロナウイルスは変異を続け、第6波が襲ってこないとも限りません。ワクチン接種が進んだとしても、非常に高い確率で第6波は襲ってきます。冬が近づき、インフルエンザ流行の時期になります。第6波とインフルエンザ流行とが同時に起こった場合、医療の現場、救急の現場は大混乱に陥ります。今から、第6波に向けてしっかりとした医療体制を作っておくことです。岸田政権には、後手後手に回らない先手先手の対策をとってもらいたいものです。

さて、今日は、坂口孝則著「未来の稼ぎ方」(幻冬舎新書を紹介します。

今は先が見通せない、何が正解かわからないVUCAの時代と言われます。そのような時代に未来を予想することは、ほとんど不可能と言っても良いのかもしれません。しかし、あいまいな時代であっても大きな幹の部分はほとんど変わることはないでしょう。これまでの歴史の流れや統計・データによって、大きな枠組みについてはある程度の予測はつくのではないかと思います。

この本は、2019年から2038年までの20年間について、統計・データに基づき、象徴的な業界を取り上げ、それぞれ具体的に何が起きるか予想しています。

次にどのような分野でビジネスチャンスがあるのかを考えることは、単に経営者だけでなく、すべてのビジネスパーソンがしなければならないことです。

人生100年時代と言われるようになりました。一方、会社については企業寿命30年説が有力に唱えられています。永遠に存続する企業などありません。新たなチャレンジを起こすことなくこれまでの業績の上に胡坐を組んでいれば、どのような企業も衰退します。その寿命は30年です。どのような企業も、成長段階から成熟期、衰退期というライフサイクルをたどります。一つの製品、サービスで顧客を捉まえておくことができるのはせいぜい30年なのです。

企業は経営者が変身できなければ変わることはできません。経営者自身が研鑽を積んでリーダーシップをもって全社員を率い企業を変身させることです。また、先日書いた「イノベーションのジレンマ」や「イノベーションの罠」に陥ることなく、新しいアイデアを探し出し、イノベーションを積極的に起こさなければなりません。

この本では、新規事業への参入時に「既存の技術を応用したもの」「新規の技術を開発するもの」という軸と「これまでの業界を攻める」「新たな業界を攻める」という軸があり、「既存の技術を応用したもの」で「新たな業界を攻める」のがよいと言っています。他業界にイノベーションの芽があることも多く、他業界の動向はビジネスチャンス発想のきっかけにあることも多いのです。

この本では、「ビジネスパーソンに求められるのは、既存の技術を応用し、新たな業界へ攻める力と、戦略を立てるための業界横断的な情報収集力、そして先見の明である」と言っています。そうしたことを前提として、この本は、注目の20業界の未来を予測し、変化の特徴、今後稼げる商品、ビジネスアイデアを網羅しています。

さて、この本が挙げる予測を目次をもとに順次見ていきましょう。

1.2019年 セブン・イレブンが沖縄進出。大手3社が日本制覇

  • 変化の特徴 ⑴コンビニ誕生の歴史的必然と限界 ⑵ついにコンビニは飽和を迎えるのか ⑶単身世帯の伸びとコンビニエンスストア ⑷コンビニが講ずる対策 ⑸コンビニと買い物弱者問題 ⑹POSの支配から御用聞きへ
  • 稼ぎ方 ネオ御用聞きとしてひたすら便利を追求する

2.2020年 自動運転車が走り出し、自動車産業は転換期を迎える

  • 変化の特徴 ⑴自動車の誕生とピーク ⑵日本自動車業界の焦燥感 ⑶自動運転のレベル ⑷モビリティサービスの時代 ⑸世界的飽和を迎える自動車産業 ⑹自動車メーカー各社の取り組み ⑺運転の快楽は捨てられるのか
  • 稼ぎ方 自動運転が始まれば、自動車は動く金融商品となる

3.2021年 東日本大震災から10年、インフラ危機とそのビジネスが勃興

  • 変化の特徴 ⑴老いる米国 ⑵東日本大震災時に活躍した地元建設業者とその斜陽 ⑶インフラ老朽化の時代 ⑷建設業の革新なるか ⑸時間とともに忘れられるインフラへの危機意識 
  • 稼ぎ方 自治体や業者だけでは限界がくる

4.2022年 総エネルギー需要がピークに。省エネ・コンサルティングが次なる売り物に

  • 変化の特徴 ⑴エネルギー総需要のピークが到来する ⑵エネルギーの歴史的経緯 ⑶豊かさとエネルギー需要 ⑷日本を襲う、過疎化という厄介な問題 ⑸政府やエネルギー関連企業が講じる対策 ⑹エネルギー不変の方祖p九と利益
  • 稼ぎ方 日本のエコライフのノウハウを世界へ

5.2023年 農業6次産業化が進み、スマート農業が本格化する

  • 変化の特徴 ⑴農業の6次産業化 ⑵縮む国内の食用農林水産物 ⑶様々な取り組みの小手先感 ⑷日本の農家は生産者主体から脱却できるか ⑸海外でコメ需要 ⑹農業技術の販売 ⑺透明性の極致 日本 
  • 稼ぎ方 効率的な農業が日本の強みになる。 地産地消から自産自消へ

6.2024年 アフリカで富裕層が急増

  • 変化の特徴 ⑴遥かなりアフリカ ⑵アフリカにおける富裕層の拡大 ⑶人口やGDPの伸び ⑷注目すべき3か国 アンゴラ、ナイジェリア、ルワンダ ⑸企業の反応1:人口増に対して ⑹企業の反応2:健康向上ビジネス ⑺企業の反応3:未開分野開拓 ⑻アフリカに対する戦略が必要
  • 稼ぎ方 アフリカの人口増は日本企業に恩恵をもたらす

7.2025年 団塊世代が75歳へ

  • 変化の特徴 ⑴さよなら青春の日々 ⑵人口の変化 ⑶消費者としてのシニア ⑷現代シニアの若さ ⑸シニア・マーケティングは続くよ・どこまでも ⑹様々な試み1:店舗設計の変化 ⑺様々な試み2:趣味・偏愛・旅行 ⑻様々な試み3:御用聞きビジネス ⑼シニアとは新しい消費者層
  • 稼ぎ方 高齢化する恋愛市場

8.2026年 若者マーケティングのキーはSNSと愛国になる

  • 変化の特徴 ⑴2026年の若者を語るということ ⑵若者はモノを買わないか⑶若者消費に特徴はあるか ⑷金はないけど満足 ⑸等身大のカリスマが好き ⑹日本が好き ⑺節約・SNS・日本 ⑻なんとなく、わからない
  • 稼ぎ方 スマホを手放すことへのニーズもある

9.2027年 フジロック30周年

  • 変化の特徴 ⑴フジロックの衝撃 ⑵原体験としてのライブの勃興 ⑶ライブの優位性 ⑷音楽フリー戦略 ⑸データドリブン・ミュージック
  • 稼ぎ方 音楽推薦ビジネスの可能性

10.2028年 世界人口80億人を突破

  • 変化の特徴 ⑴水という投資対象 ⑵直近300年の著しい人口増 ⑶日本人の気づかない水という資源 ⑷サプライチェーンの水使用量に注目せざるを得ない時代 ⑸悪のビジネス商人は狙う水資源
  • 稼ぎ方 日本の水道技術

11.2029年 中国が人口のピークを迎える

  • 変化の特徴 ⑴中国の構造的限界 ⑵問題1:官製需要の終焉 ⑶問題2:一人っ子政策の陥穽 ⑷中国リスク再び ⑸中国が抱える問題
  • 稼ぎ方 日本の少子高齢化の経験を中国で生かす

12.2030年 女性が指導的立場の半分に

  • 変化の特徴 ⑴働き方と女性3の社会進出 ⑵国連が目指す2030年女性が指導的立場で半数に ⑶難儀な日本社会 ⑷育てにくさ、起業しにくさの意解消を 
  • 稼ぎ方 コストとリターンのパラダイムシフトへ 

13.2031年 日本における宇宙産業市場規模が倍増

  • 変化の特徴 ⑴宇宙という次なる開拓地 ⑵日本の動き ⑶宇宙、衛星関連産業の伸び ⑷その他の宇宙ビジネス動向 ⑸求められるオープン化戦略 ⑹宇宙ビジネスと覚悟と
  • 稼ぎ方 地球でやりつくしたビジネスをもう一度宇宙で

14.2032年 インドが日本のGDPを超える

  • 変化の特徴 ⑴月光仮面のおじさんとインド人 ⑵インドと日本人 ⑶ビジネス環境が整うインド ⑷日本と中国を抜くインド ⑸インド人という愉快な人たち⑹遠くて近くて、近くて遠い国 ⑺インドのインフラ事業 ⑻インド成長の裏で
  • 稼ぎ方 製造業だけじゃない、インド活用

15.2033年 30%超が空き家

  • 変化の特徴 ⑴神学論争「持ち家VS賃貸」 ⑵浮上した空き家問題 ⑶土地を相続しない理由 ⑷空き家問題を加速する諸問題 ⑸国土交通省の必死な取り組み ⑹空き家がもたらす社会 ⑺空き家とビジネスチャンス
  • 稼ぎ方 空き家をコミュニティに昇華できるか

16.2034年 AIが大半の仕事を軽減化、あるいは奪う

  • 変化の特徴 ⑴医者、AI、接触 ⑵AIが約半分の仕事を人間から奪う ⑶汎用AIと特定AI ⑷AIの個人的な実装経験談 ⑸特定AIのその先へ
  • 稼ぎ方 AIというブラックボックス

17.2035年空のビジネスが拡大、約150万名のパイロットと技術者が必要

  • 変化の特徴 ⑴人類が空を飛ぶということ ⑵空の需要の急増と供給の伸び悩み ⑶オープンスカイ ⑷パイロット増加施策、機体開発 ⑸ジェット機の速さ向上
  • 稼ぎ方 マイレージカードの使い道

18.2036年 老年人口が3分の1、死者数も最大に。この年に向かって終活ビジネスが絶頂になる

  • 変化の特徴 ⑴現代の墓SNS ⑵生きることと死ぬこと ⑶生涯未婚者、一人暮らし、死亡者数 ⑷終活~死ぬ前「終の住み処」を探して ⑸最後の最後の人生を配偶者と暮らさない ⑹終活~死んだ後「死後のトラブルに備えて」 ⑺配偶者=ペット ⑻終活レーティング
  • 稼ぎ方 多様化する死、多様化する葬儀

19.2037年 トヨタ自動車が100周年

  • 変化の特徴 ⑴トヨタ100周年と企業の寿命 ⑵長寿企業大国ニッポン ⑶100年企業の条件 ⑷一族経営が長続きの秘訣なのか ⑸老舗企業の問題点と利点 ⑹一つの尺度を超えて
  • 稼ぎ方 勉強会の開催経験から

20.世界中で教祖ビジネスが大流行

  • 変化の特徴 ⑴未来予想をあえて語るということ ⑵見えない宗教の登場 ⑶見える宗教の実用性 ⑷見えない宗教の目的 ⑸自己啓発の発明 ⑹見えない宗教が救うもの ⑺等身大のカリスマが次にやること ⑻人生のDIY化 

以上が、この本が予測する今後20年の予測です。この本はコロナ前に書かれているので、コロナ禍の環境変化を前提にしていませんが、コロナ後に書かれたとしても大きな枠組みとしては変わらないでしょう。

もちろん、予測なので当たらないこともあります。むしろ、得てして予想というのは当たらないものです。それは、ダン・ガードナーがその著「専門家の予測はサルにも劣る」の中で論じているように、現状維持バイアス(変化を回避し、現状維持を志向する心理傾向)が影響しているからであり、ティム・ハーフォードがその著「アダプト思考」で論じるように世界を変える新機軸の大半が理知的な構想や計画ではなく、闇雲な試行錯誤の賜物だからです。しかし、この本は、統計やデータをもとに予測がなされており、大きな軸としてはそれほどずれていないのではないかと思います。

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