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心理的安定性の高い職場

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で265人、19県で感染者ゼロとなっています。アメリカでは5歳から11歳にワクチン接種が開始されました。接種するワクチン量は大人の3分の1で、重篤な副反応は見られていないとのことです。日本でも11歳以下の子供たちへのワクチン接種が本格的に検討されているようです。今は感染者数が減少しており、子供へのワクチン接種は必要ないとの意見もあるようですが、気の緩みや行動規制緩和によりいずれは第6波が襲ってくると思われます。その際、最も影響を受けるのは、ワクチンを接種していない子供たちではないかと思います。アメリカの子供と体格の違う日本の子供にアメリカと同じワクチン量でいいのか、副反応は本当に大丈夫かと言った点を十分に検証したうえで、11歳以下の子供へのワクチン接種を進めた方がいいように思います。また、政府は不法残留者にもワクチン接種を行い、通報はしないとの見解を示していますが、不法残留者であっても健康に生きる権利は人間として当然有しています。彼らの健康を守ることがひいては日本国民の健康、安心安全につながることなので、正しい判断だと思います。

さて、今日は、ダイヤモンドオンラインの「『心理的安定性の高い職場のリーダーと低い職場のリーダー』の決定的な違い」という記事を取り上げます。

心理的安定性」とは、サイコロジカル・セーフティ(psycological safety)を日本語に訳した言葉で、「チームにおいて、他のメンバーが自分が発言することを恥じたり、拒絶したり、罰を与えるようなことをしないという確信を持っている状態であり、チームは対人リスクをとるのに安全な場所であるとの信念がメンバー間で共有された状態」のことです。これは、心理的安定性の提唱者であるハーバード大学エドモンドソン教授(組織行動学専門)の定義です。簡単に言えば、上司や同僚の反応を恥ずかしがったり怖がったりすることなく、自然体で自分を隠すことなくすべてをオープンにできる状態のことで、そのような穏やかな雰囲気がある職場は「心理的安定性」が高いと言えるのです。

心理的安定性」が企業で注目されるようになったのは、グーグルが、大規模な労働改革プロジェクトを実施し、その結果「心理的安定性がチームの生産性を高める重要な要素である」と発表したからです。この発表により、世界中に「心理的安定性」と言う言葉が広がったのです。

この記事では、心理的安定性の高い職場と低い職場との違いが説明されています。

1.コミュニケーションは「めんどくさいもの」

 職場においてコミュニケーションはコストです。「あの時、もっと確認しておけばよかった。連絡しておけばよかった」と後悔することがあります。あとで後悔するくらいなら、なぜ先にやらないのか? これは面倒だったからです。

 自分や相手の時間、そのお互いの時間を調整すること、話をする場所の確保、話すことに使うエネルギー、これらはいずれもコストなのです。気心が知れず話しにくい相手や厄介な内容のクレーム、良く分からない内容の指示、繁忙期となれば、コストはさらにかさみます。いちいちコミュニケーションをとってやるくらいなら自分でやった方が早いということになります。

 風通しの悪い組織では、階層が大きな障壁になり、地位とそれに伴うパワーが付与されているため話にくさが生まれます。だからと言って組織である以上、階層を取り除くことはできません。

 ここで重要なのがコミュニケーションです。

 いつも言っていますが、コミュニケーションは人と人との関係、より良い人間関係、信頼関係を構築するものです。そしてコミュニケーションは「言葉と思いのキャッチボール」です。このキャッチボールがスムーズに行われている職場は心理的安定性が高いのです。

 この記事では、上司による「朝の声かけ」の重要性が指摘されています。

 上司が社員一人ひとりに声かけしている職場ではメンタルの不調を訴える社員が少なく、職場でのミスや事故も少ないのです。上司による朝の声かけが、社員一人ひとりの健康を維持し、ひいては事故防止にも一役買っているということです。

2.メンタルヘルスが職場の生産性を左右する

 メンタルヘルス不調によってもたらされる経済的損失は約1.7兆円にもなるというデータがあります。メンタルヘルスは職場の生産性に大きな影響を与えるものなのです。

 先ほどの朝の声かけは、地道な取り組みですが、組織への貢献は大きいものとなります。上司から声をかけられて嫌な思いをする社員はいないはずですし、社員のモチベーション、エンゲージメントの向上にもつながります。声かけすることで、上司は部下の表情や声色、姿勢の特徴を知り、その変化で体調やメンタル面の変化に気づきやすくなり、早い段階で対処できるようにもなるのです。

3.朝の声かけ・挨拶の3つの機能

 調子の悪い職場では挨拶をしないので雰囲気が澱んできます。雰囲気が澱んでくると挨拶しにくくなります。この悪循環に陥り、ますます雰囲気が悪くなるのです。

 朝の声かけ・簡単な挨拶は、組織を安定させる重要な3つの機能があります。

  1. コミュニケーション開始の機能・・・挨拶が、今日1日何が待ち構えているんだろ言う、大きなミスをすることなく過ごせるだろうかと言った不安や警戒心を緩和してくれます。
  2. 友好さの証を示す機能・・・挨拶は声を掛けてくれた相手とつながっているという感覚を与えてくれます。チームに請けいられていることを感じさせてくれる瞬間なのです。人との距離が縮まるのです。
  3. それぞれの立場と互いに尊敬しあえる関係であることを確かめる機能・・・相手の立場や関係性を経験的に知っているので、相手によって挨拶の仕方を変えています。

この記事では、心理的安定性が高い職場では、挨拶、特に朝の声掛けの重要性が指摘されていました。ここからは、この記事からは離れ、心理的安定性が低いと起こる問題行動、心理的安定性の高い職場をつくるメリットについて触れておきます。

4.心理的安定性が低いと起こる問題行動

 心理的安定性が低い職場では、多くの従業員が自己印象操作を行い、本当の自分を偽って働いていると言われています。エドモンドソン教授によれば、「心理的安定性」が低いと起こる4つの行動特徴があります。

  1. 無知だと思われる不安・・・「こんなことも知らないのか」と思われるのが不安で、上司や同僚に必要な質問や相談ができなくなり、従業員同士のコミュニケーションも減少します。
  2. 無能だと思われる不安・・・「こんなこともできないのか」と思われないか不安になり、ミスを報告しなかったり、自分の失敗を認めなかったりするようになります。
  3. 邪魔をしていると思われる不安・・・自分の発言が議論を長引かせたり本題から外れたりして「邪魔しているのではないか」と不安になり、自分から発言や提案をしなくなります。新たなアイデアイノベーションが生まれにくくなります。
  4. ネガティブに思われる不安・・・「いつも他人の意見を否定している」と思われないか不安になり、発言をためらったり、本当に重要なことを指摘しなくなります。常に自分を隠して仕事をするようになります。

5.心理的安定性の高い職場をつくるメリット

 先ほども書いたように、グーグルは「心理的安定性がチームの生産性を高める重要な要素である」と発表しましたが、グーグルによれば、心理的安定性の高さが職場にどのような効果をもたらすのかについて4つのメリットがあるとしています。

  1. 情報やアイデアの共有が盛んになる・・・発言が否定されるという不安がないので、個人の意見やアイデアが多く集まり、職場のコミュニケーションも増え、従業員間での共有もされやすくなります。
  2. ポテンシャルの向上・・・お互いを認め合い、尊重し合うという価値観の共有が職場に広がり、従業員が切磋琢磨するようになります。自発的な学習で、従業員のポテンシャルも高まります。
  3. 目指すビジョンが明確になる・・・自由で建設的な議論により目指すビジョンが明確になり、腹落ちしたビジョンを共有し全員が一致ダンケrツして同じ目標に向かうことができるようになります。
  4. エンゲージメントの向上・・・仕事へのやりがいが生まれ、今の会社で長く働きたいと思うようになり、離職率も低下します。

心理的安定性」が高い職場は、従業員一人ひとりが安心して自分の考えを自由に発言したり、行動を起こせるので、イノベーションが生まれたり、従業員のエンゲージメントが高まりチームのモチベーションが高まったり、組織において多くのメリットを生み出します。また従業員個人においても、パフォーマンスの向上、ストレス緩和など、スキルとメンタルの両面でメリットが生まれます。

今後、心理的安定性の高さを意識した職場作りがますます必要になってきます。