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アーキテクト思考

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で204人と一応落ち着いているように見えますが、北海道は40人と増えています。これまで北海道での感染者数増加に従うように他の地域も増加に転じる傾向があります。今後の感染者の動向に気を注意する必要があると思います。また各地でクラスターも発生し、ワクチン2回接種した人にも感染者が出ています。ワクチンを過信するのではなく、これまで通りの感染予防策は続けていきましょう。

さて、今日は、ダイヤモンドオンラインの「大企業でイノベーションを起こすための効果的な方法」という記事を取り上げます。

イノベーションを起こすことは大企業のみならず中小企業でも困難です。特に、環境変化が著しく先行きを見通せない今の時代においては、なおさらこれまでの方法や思考は通用しません。この記事では、今の時代に必要な思考方法は「アーキテクト思考」だと言っています。

アーキテクト思考」とは、「新しい世界をゼロベースで構想できる力」のことで、「具体と抽象を行き来する問題発見・解決の新技法」と言われています。

これまでであれば、比較的問題や課題が単純・明確であり、解決策を見つけることが重視されていましたが、混迷する時代では何が問題で何が課題かすらわかりません。問題や課題の解決以前に問題や課題を発見することが重要になってきているのです。

アーキテクトというのは建築士や設計士のことで、すでにある場からスタートするのではなく、何もない更地にゼロベースで線を引くという、あたかも何もない更地に建築家がどのようなコンセプトを持った建物の全体像をどのように描いてユーザーの望む生活を実現するのかといった発想が「アーキテクト思考」です。

1.出来上がった組織からはアーキテクトは生まれない

 先日「イノベーションが上手くいかないワケ」で書きましたが、どのような企業も時が経つにつれて老化していくので、組織の老化は避けて通ることはできません。

 創業時やスタートアップ企業では

  • 一枚の白紙から構想を描き
  • 会社全体を視野に入れ
  • 時に孤独で一人で熟考し
  • 既存の常識やルールの制約を取り払って自由に発想し
  • 会社の代名詞として個人色を打ち出す

ということができています。まさに「アーキテクト思考」で物事を考えて事業に活かしているのです。しかし、組織が硬直化すると、出来上がったルールや制約に縛られて自由な発想ができなくなってきます。

 これまでであれば、イノベーションやトランスフォーメーションを起こすことができなくても生き延びることは出来ました。しかし、先行きが見通せず何が正解かわからない混迷した今の時代では、これまでのような方法や思考では生き残ることは難しくなっています。

 先日も書きましたが、イノベーションを起こすことができればそれに越したことはないのですが、スタートアップ企業と同じようにイノベーションを起こそうと考える必要はないのではないかと思います。問題は自社が抱える問題や課題は何かを明確に把握することとその解決方法を見つけることです。この点に焦点を当てることなく「イノベーションイノベーション」と叫んでみても何も始まりません。小手先だけの改善を試みても組織全体の変革はできません。

2.様々なレベルや場面で変革や新たな発想が求められている

 イノベーションを起こすか起こさないかは別として、これまでの考え方を変えなければ、この激変するビジネス環境の中で生き残ることはできません。

 先ほども書きましたが、今の時代、何が問題で何が課題かすらわからなくなっています。このような時代には、様々なレベルや場面で、変革や新たな発想が求められています。解決以前に問題や課題を明確にする「アーキテクト思考」は有効です。

3.経営陣に多様性を持たせるためのガバナンス改革が重要

 出来上がった組織ではアーキテクトが生まれにくいのはやむを得ないことですが、この記事では、「老化した企業が生き残っていくためには新陳代謝を挙げ、新陳代謝をしっかりと行うことが重要」と言っています。そして、そのためには、「多様性のある経営陣を選ぶ仕組みを作る」ことが大切になります。

 スタートアップ企業であれば、起業家がアーキテクトとして企業の成長を推進していくことに集中でますが、大企業では、アーキテクトの役割に加えて調整型や独裁型のマネジメントの能力も求められ、マネジメント人材の多様性が更なる成長のカギとなります。スタートアップ企業とは異なり、成熟期、衰退期を迎えている事業を管理しつつアーキテクト思考力を備えた人材を見出し、新規事業の創出や新製品の開発を担う人材として適所に配置すること、更にはアーキテクト思考を身につけた人材の育成にも力を入れることが重要になってきます。

4.事件は現場で起きている

 多様性という点でガバナンス改革の話をすると、社外取締役を増やし、女性や外国人を社外取締役から迎えるという形式論に走りがちです。小手先だけの多様性など何の意味もありません。ダイバーシティ(多様性)の基本は、多様性でくくられることになった特性(性別・人種・宗教・価値観・障碍者・ライフスタイルなど)を持った存在を認め合い、活かしあうことです。会社内で、外国人、女性、障碍者、若手・パート・再雇用者など区別されやすい存在を差別的な目で見ることなく、認め合い、いかにその特性を生かし活躍できる環境を作っていくかということが重要です。形式ではなく中身です。それぞれの企業、事業におけるライフサイクルのステージに合わせマネジメントの多様性が担保されていれば、別段男性だけの経営陣であっても日本人だけの経営陣であっても問題はありません。

 また、経営陣を刷新したところで、現場が変わらなければ意味はありません。

 この記事では「具体と抽象を行き来しながらゼロベースで全体構造を描くことで全体のバランスが取れた地図を描くことができる」と言っています。そしてこの地図を現場と共有することが大切なのです。

 「SF思考」の時にも書きましたが、未来像がポジティブであればあるほど、共感する人が多ければ多いほど実現する可能性は高まります。経営者が語る未来像が社員に腹落ちし納得できれば、「一緒にやろう」という人は増えていきます。現場の共感なくしてイノベーションも組織改革もできません。