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上司の指示が少ない組織

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で385人、そのうち東京46人、栃木23人、群馬20人、大阪51人、京都19人、兵庫12人、沖縄29人、北海道20人などとなり、オミクロン株の影響か増えてきています。大阪ではオミクロン株のクラスターが確認され、11月11日以来の50人超となっています。年末の帰省ラッシュで、空港や新幹線も昨年よりも大幅に混雑しています。少しコロナが落ち着いたこの時期に帰省や旅行をしようという気持ちもわかりますが、節度ある行動をとってもらいたいものです。

さて、今日は、日経ビジネスの「上司の指示が少ない組織ほど柔軟な判断ができる理由」という記事を取り上げます。

この記事は、「LISTEN 知性豊かで想像力がある人になれる」を監訳した篠田真貴子氏が航空幕僚長の井筒俊司氏にインタビューした内容です。

1.航空自衛隊では、上司の意図を聞き取ることが「仕組み化」されている

 話すことよりも聞くことの方が難しいものです。明確に相手の意図をくみ取れなければ、どのように行動してよいかもわからず判断に迷うこともありますし、間違った判断や行動をすることにもなりかねません。

 航空自衛隊には、上司の指示の意図するところを理解するという意味の「意図取り」「意図伺い」という言葉があるというのです。上司が自分の支持の意図を明確にして隅々まで伝えることが大切なのは言うまでもありませんが、それだけでは不十分なのです。「部下の方から上司の意図を聞き取る、くみ取ることをせよ」ということです。             

 上司の意図がはっきりしない場合は部下の方から能動的に聞くことを教育されるのです。隊員は、意図取り・意図伺いをしないと怒られるというのです。上司の意図を明確に聞き取りくみ取って行動に移さなければ間違った判断や行動を起こすことになるからです。

 航空自衛隊はものすごいスピードで戦闘機を飛ばしますが、乗り込んだパイロットはさまざまな事態に直面します。しかし、その場に指揮官が一緒にいるわけではありません。さらに状況は刻々と変化します。いちいち指揮官の指示を待っている時間はありません。作戦全体に対する指揮官の意図をくみ取って理解し、その場でパイロット自身が瞬時に判断しないといけないのです。

 航空自衛隊では、一般的な「命令」を3つに分けて考えています。1つは「号令」、これは「前へ進め」と言われたら進むだけで、なぜ前進するのかという意図は明らかにされません。次は「命令」、「私はこう考えるからこう行動しなさい」と意図と行動が共に示されます。もう1つが「訓令」、これは「私はこう考える」と言う意図だけが示され、「やり方は自分で考えよ」ということです。

 この「訓令」では行動の指示が出ないので、意図がくみ取れたかどうかが極めて重要になります。だから、意図取り、意図伺いを必死で行う必要が出てくるのです。

 上官は、不測の事態に見舞われた時に自分で的確に判断して行動できる部下を育てたい、そのために自分の考えていることや行動の基準を明確に示しておく必要があります。上官は意図が隅々まで理解されるように工夫を重ね、一方で部下は意図取り、意図伺いを行って畳間の意図を明確に理解しようとするのです。

2.きちんと聞ける組織には細かい指示は必要ない

 自衛隊は、一般的に上下関係の厳しいタテ社会のイメージがありますが、上からの命令だけでなく、下からも意図取り、意図伺いをしてアプローチするという、ある意味柔軟な組織なのです。

 これは、取り巻く事業環境が刻々と変化するビジネスの世界でも役に立つ話です。

 例えば、営業に出たらいちいち持ち帰って上司にお伺いを立てるというようなことをやっていれば、同業他社に先を越され乗り遅れてしまいます。その場で決めるものは決めないと勝負になりません。上司や会社の意図を明確にくみ取り理解して、その場で自分で判断しなければならないのです。今の混迷する時代には、スピード感を持って、柔軟に対処することが大切になってきます。

 上司は、自分の考えていることや会社の方針を明確に伝え、自分の意図が隅々まで理解されるように工夫することが必要ですし、部下は上司の意図を的確にくみ取り理解することが大切です。混迷するビジネス環境では柔軟さとスピード感が求められます。そのためには、部下にある程度の裁量を与えなければなりません。部下に裁量を与えるには、上司の意図や会社の方針を的確に把握していることが前提です。

 部下が、上司の意図を的確に把握できるように、航空自衛隊の「意図取り」「意図伺い」のような方法を取り入れるのは有用です。

 「意図取り」「意図伺い」で上司の意図や会社の方針を的確に把握できる組織では、細かい指示は必要なくなります。