中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

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2022年のキーワード

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で4475人で、東京641人、神奈川152人、埼玉150人、千葉111人、愛知159人、大阪505人、兵庫106人、京都121人、広島273人、山靴181人、沖縄981人などとなっています。まさに倍々ゲームのように感染者が急増し、政府は今日にも沖縄・広島・山口にまん延防止等重点措置の適用を決定します。第5波の時の状況を考えると、まん延防止等重点措置の適用にどれだけ意味があるか疑問ですが、少なくとも気が緩んだ人たちへの警鐘の意味はあるように思います。しかし、これによって漸く動き出した経済が停滞してしまうのは残念です。オミクロン株の感染力にはものすごいものがありますが、重症化リスクは低いようなので、うまく折り合いをつけながら経済を回していくことが重要です。

さて、今日は、ZDNet japanの「2022年、DXで『規制改革』『中小企業の体質強化』『生活者視点』『つながる社会』を推進せよ」という記事を取り上げます。

この記事は、2022年の年頭に当たり、経済団体や企業の年頭所感から印象的な発言を取り上げ、「規制改革」「中小企業の体質強化」「生活者視点」「つながる社会」という4つのキーワードをピックアップしています。

1.経済同友会会長幹事櫻田健吾氏の発言

 櫻田氏は「私たち企業経営者は強い覚悟を持って、イノベーションと社会変革に取り組んでいく」と述べた上で、「イノベーションに満ちた日本を目指すために、まず、規制の刷新に取り組まなくてはならない。コロナ禍を奇貨として、オンライン診療や服薬指導、オンライン授業、テレワークなど、従来できないと思い込んできたことが実現した。これを更に前進させ、ニューノーマルとして定着・拡大させる必要がある」「規制体系の設計思想そのものを根本的に見直す必要がある。前例のないアイデアを、試行錯誤を通じてビジネスモデル化し、社会実装につなげることから成長が生まれ、生産性が向上し、機会が広がる。この前提に立って、規制体系を『事前規制型から事後のチェック・検証型』へと転換すべきである」「同時に、既存の組織や権限の枠を超えた最適化が可能となるデータ・デジタル時代にふさわしい形へ、競争法制や個人情報保護法制、各種業法規制や働き方に関するルールを抜本的に再構築することが不可欠である」と力説しています。

 ここで取り上げられているのは「規制改革」です。日本の社会では、DXによって高い効果が得られるかどうかにおいて最大のネックになるのは、旧態依然とした規制にあると言っても過言ではありません。DXの限らず日本の成長・発展を阻んでいるのが規制です。規制改革なくして日本の発展・成長は期待できません。これは一企業や経済界だけでできることではありません。政府がしっかりとした目的を持ち規制改革に率先的に取り組んでいくべきです。

 しかし、小泉政権下の規制改革、それを引き継いだ安倍政権を見れば、実現がいかに困難かが分かります。利権に群がる者が生まれ、格差が拡大し、結局は今なお中途半端のままです。政府が確固たる覚悟を持って行わない限り実現困難ですし、逆にマイナス面だけがクローズアップされてしまいます。

2.日本商工会議所会頭三村明夫氏の発言

 三村氏は、2022年の重点的な取組みの1つとして、「デジタル活用による中小企業の体質強化」を掲げ、「これまでも幾多の困難を乗り越えてきた日本の中小企業は、さまざまな変化に柔軟かつ迅速に対応できる潜在的な変革力を有している。中小企業経営へのデジタル活用は生き残りをかけた自己変革の有力な手段であり、コロナ禍で加速したデジタル化の流れを、業務効率化にとどまらず、越境EC(電子商取引)等を通じた販路拡大、さらには業態転換などのビジネス変革にまで広げる経営力向上の柱として強力に支援していきたい」と述べました。

 ここでのキーワードは「中小企業の体質強化」です。そのためにデジタル化の推進を謳っていますが、これまで何度も述べていますように、デジタル化・DXは手段であって目的ではありません。横並び的に同業他社がデジタル化を行ったからとか最近の流行であるからという理由だけで飛びつくのは間違っています。重要なのは、自社のどのような課題や問題の解決にデジタル化・DXが役立つのかを考えることです。これなくして、中小企業のデジタル化・DXはあり得ません。横並び的にデジタル化・DXを導入しても体質強化に繋がることはなく、むしろ弱体化してしまいます。

 「中小企業の体質強化」に必要なのは、先日来書いています「選択と集中」です。自社の「強み」を把握してそれにフォーカスして「選択と集中」を行うこと、その過程で目的達成に必要ならばデジタル化・DXを行えばいいだけです。この順番を間違えてはいけないと思います。

3.NTTデータ代表取締役社長本間洋氏の発言

 本間氏は、「現在加速している社会全体のデジタル化に当たっては、『常に生活者の視点に立つ』という点を重視して取り組んでいる。社会課題の解決嫌、その茶目の新たな価値創造は、一企業の取組みでは実現できない場合が多い。NTTデータは、デジタル化に伴い多様なステークホルダーが『つながる社会』を実現していく中で、広く課題解決することを目指したい」と述べています。

 ここで挙げられているキーワードが「生活者の視点」と「つながる社会」です。この記事では、この2つがDXに取組み企業に求められる基本姿勢であると言っています。しかし、NTTデータ社長がかかる発言を行ったのはNTTデータが情報サービス業界にいるからです。情報サービス業としては「生活者の視点」や「つながる社会」を目指すことが目的として存在します。しかし、一般の企業においての目的は自社が抱える課題や問題を解決することです。それは、必ずしも「生活者の視点」や「つながる社会」とは直接関係していません。

 中小企業にとって重要なことは、自社が抱える課題や問題を明確にあぶり出し、その解決方法としてどのような手段が有用であるかを真剣に考えることです。その解決方法としてDXがあるかも知れませんが、あくまでも解決方法の1つにしか過ぎません。こうした課題や問題を解決した先に「生活者の視点」や「つながる社会」があるのかも知れませんが、最初からそれを目的としていたのでは、本来の課題や問題を解決することも難しくなるように思います。