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組織の存在意義が共有された会社

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で4万4810人で、東京8503人、神奈川5276人、埼玉3181人、千葉2760人、愛知2492人、大阪4803人、兵庫1841人、京都1012人、広島1056人、福岡2013人、沖縄611人、北海道1589人などとなっています。元々少ない月曜日としては過去最多となリ、月曜にもかかわらず6県で過去最多となっています。岸田首相は、衆院予算委員会で(オミクロン株の政府対応について)「飲食店だけにさまざまな帰省が罹るのはおかしい」との質問に「大声で飲食するリスクが高い場面を避けることが望ましいという意見があった」などと政府対応の正当性を強調しています。芸能界やスポーツ界の感染拡大、学校・保育所での感染拡大を見ると、職場、学校、家庭が主な感染場所であり、飲食店の規制は実情には全く合っていません。これは第5波の時にも言われていたことであり、飲食店をターゲットとして規制し、協力金名目で金をばらまくおかしなシステムは何の解決策にもなりません。政府、専門家、地方公共団体が力を合わせ、実情に合った対策を打ち出していくべき時です。これまでと同じ対策を繰り返していたのでは何の進歩もなく、第6波が収まっても、第7波と同じことの繰り返しで、いつまで経ってもコロナは終息しません。この2年、後手後手の対策で振り回されてきたことが活かされていません。遅いですが、今からでもしっかりと過去の検証を行ない、それを活かしていくべきです。

さて、今日は、東洋経済オンラインの「『リスクゼロを目指す』企業ほど社員が硬直化する訳~組織の存在意義が共有された会社はうまくいく」という記事を取り上げます。

1.内向きの目線からどう脱却するか

 このところ、みずほ銀行のシステム障害が後を絶ちません。「絶対に事故を起こすな」と言っているだけでは何一つ解決しません。組織改革はかけ声や説教だけで実現するものではなく、締め付けや叱責は逆に働く場合も多いのです。これは、経営者・管理職を含め社員の目線が内向きになり硬直している組織です。

 この記事で1つの事例が紹介されています。

 「A社のTwitterにサービスへのクレームが投稿されましたが、発見が遅れ既に炎上し始めています。A社は事態を重く見て関係各部署で丸1日協議し、その間放置し、更に責任回避のようなコメントを出したために、Twitterは大荒れになります。車内は騒然となり役員会を開き、社としての正式見解をプレスリリースしますが、玉虫色のメッセージと官僚的な文面で「誠意が感じられない」と、更に油を注ぐことになります。結果として企業のブランドイメージは大きく傷つきました」

 この事例で言えることは、経営者・管理職を始め全社員の意識が、顧客ではなく社内に向いているということです。顧客の気持ちよりも上司の気持ちが優先、顧客の価値よりも社内の評価が大事ということです。チャレンジよりもリスクゼロを目指し、結局はリスクを増幅させてしまっているのです。

 この記事では、こうした過剰な警戒心を持つ硬直化した組織を「警戒する組織」と呼んでいます。これは、顧客への貢献意識や素直で人間的な風土が失われ、上司から言われたことだけを実践するという自立性のない組織です。

2.顧客や社会との共感や信頼を優先する

 この記事では、過剰な警戒心の罠に陥ることなく顧客や社会との「共感や信頼」を優先する組織を「共感する組織」と呼んでいます。「共感する組織」では、前述の事例は次のように変わります。

 「Twitterにサービスに対するクレームが投稿されました。担当者はSNS上の顧客の声に常に耳を傾けており、クレームが拡散され始めたことにすぐに気づきました。SNSのコミュニケーションに関し、担当者に『ミッションとバリューに基づいて臨機応変な対応をとる権限』が与えられており、担当者はTwitter上でクレーム投稿者とオープンで対話を始め、ユーザーの気持ちを受け入れ、素直な言葉で謝意を表します。その上で、応急的な対応と本質的なカイゼンについて、自分の分かる範囲でコメントします。ユーザーは対話により安心し、ブランドへの共感のツイートが広がります。結果としてブランドイメージも自然と高まりました」

 「警戒する組織」では、誰かがリスクを指摘すると、全員の意識が責任回避に向かい、すべてのリスクを避けるべく複雑な議事録が配布されがんじがらめで身動きがとれない状況に陥ります。また、目に見えないリスクや責任の所在が明らかでないリスクは無視されます。この結果、「過剰な警戒感」や「リスクゼロを求める姿勢」が、より大きな危機や組織の閉塞感を生み出すのです。皮肉なものです。

3.共感する組織

 ユーザーが求めているのは「守りに徹する官僚的な答弁」ではなく「素直で誠実な態度」であり、「人間的な対話」です。

更に、根源的な課題として「この組織は、社会にどんな価値を提供するために存在しているのか」という「組織の存在意義」が共有されているかということが大切になりますこれが、社員一人ひとりが自律的に考えて、人間的で臨機応変な行動をとるためのコアとなるものだからです。

 ここで重要なのは、社員がどのように受け取るのかと言うことです。本人がしっかりと腹落ちすれば、「しよう」「したい」となりますが、あまり厳しく言いつけたり賞罰で行動を統制したりすると「仕方ない」「しないといけない」となってしまいます。

 組織や社会が持つ規範を受け入れることを「内在化」または「内面化」と言いますが、それには「取り入れ型」と「統合型」の2つがあります。

 「取り入れ型」は、規範をかみ砕かずに丸ごと飲み込むことです。規範は外部からの命令として吸収され、結果として、融通の利かないルール運用に繋がってしまいます。

 一方「統合型」波、気管を自分の中でよく消化してから吸収することです。規範は「地震の内なる声」となり、組織内の共感を促す対話や行動ができるようになります。

 共感する組織になるためには「統合型」でなければならないのです。「組織の存在意義」の共有によって、内側に向いていた社員の視線が顧客や仕事に向くきっかけになるのです。

4.オーセンティック・リーダーシップ

 最近注目の「オーセンティック・リーダーシップ」は、「自分自身の価値観や信念に正直になり、重いと発言、行動に一貫性を持ち、自身の弱みも含めて自分らしさを大切にするリーダー像」です。

 「警戒する組織」を脱するには、リーダー自らが人間性を取り戻し、素直な言葉で、自分自身がたどってきた失敗や弱さを素直に認め、その上で真に誠実な組織を目指したいと、情熱を込めて宣言することです。

 時間や手間はかかりますが、丁寧なコミュニケーションを通じて、社員やメンバーが「しよう」「したい」と思える環境を作ることです。

この記事では、「リーダーとは仕事と情報を配る人出はない。意味と希望を伝える人だ」と言っていますが、その通りです。