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アサーティブネス

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で6万2613人と初めて6万人を超えました。東京1万2813人、神奈川4131人、埼玉3166人、千葉3251人、静岡1336人、愛知オ4120人、大阪8612人、兵庫3360人、1622人、広島1099人、福岡3389人、沖縄1175人、北海道1536人などとなり、30都府県で過去最多となっています。最初に第6波が訪れた沖縄では、ピークを過ぎているように見えますが、東京や大阪など他都道府県ではまだ1,2週間は今のペースで感染が広がるように思います。コロナの感染拡大で一般病床を圧迫し、救急搬送先が見つからないという事態が増えてきています。これでは、心筋症や脳卒中など緊急を要する患者の命を救えないという最悪の事態になりかねません。コロナ病床として確保している病床を緊急時には一般病床に転用するなど臨機応変な対応が必要です。更にオミクロン株が変異したステルスオミクロン株が見つかっており、日本の空港検疫で見つかったオミクロン株の1割強はステルスオミクロン株といいます。ステルスオミクロン株については詳しいことはまだ分かっていませんが、オミクロン株の2倍以上の感染力とも言われ、国内に流入すれば更に感染が爆発的に広がります。第6波がピークを過ぎても、更に第7波が襲ってくる可能性もありますが、これまで通り、気を緩めることなく、手洗い、マスク、3密を避けるといった基本的な感染防止対策を徹底するしかありません。

さて、今日は、日本の人事部の「言いづらいことを言うためのコミュニケーション術。職場における『アサーティブネス』の重要性とは」という記事を取り上げます。

これまでも職場におけるコミュニケーションの重要性については指摘し、コミュニケーションとは「言葉と思いのキャッチボール」と言ってきました、コミュニケーションはよりよい人間関係や信頼関係構築に必要不可欠なものです。一方で、誰しも苦手な人や他人の手柄を横取りしたり責任をなすりつける嫌な人もいます。こうした人ともうまくコミュニケーションができれば案外いい人だったりしますし、それでもダメならあまり関わらず距離を置くこともやむを得ません。

職場における人材の多様化やコロナ禍でテレワークなど腹炊き方の変化により、コミュニケーションが難しくなっています。「上司にものが言えない」「部下が何を考えているか分からない」といった悩みも多く、こうした悩みを抱えることで、更にコミュニケーションを難しくさせています。こうした課題の解決に注目を集めているのが「アサーティブネス」、相手も自分も尊重するコミュニケーション方法です。

1.「言わなくても分かる」時代は終わった

 職場で雇用される人材が多様化しています。しかし、「多様性」というのは、女性であるとか外国人であるとかという「属性」を意味するものではありません。中途採用者もいます。新卒入社の者と他業種からの中途採用者ではそのバックグランドも大きく違います。働き方に関する考え方も人それぞれ、がむしゃらに仕事をして出世を望む人もいれば、ワーク・ライフ・バランスを重視する人もいます。多様性というのは、こうした価値観の多様性も含んでいます。

 同じ属性で同じ価値観を持っている人々が雇用されていた時代には「あうんの呼吸」「言わなくても分かる」というのが主流でした。しかし、今は「言わなくても分かるだろう」というコミュニケーションは通用しなくなっています。「言わなければ分からない」のです。X世代の人間からすれば、Z世代(Y世代ですら)の人間が何を考えているのか分かりません。場合によっては「言っても分からない」かも知れないのです。

 当然これまでも世代を超えた人間関係は存在しました。これまでは職場で顔を合わせ対面でコミュニケーションをとったり、職場の外での飲み会などで相手の本音を聞く機会がありました。ところが、コロナ禍で、対面でのコミュニケーションが難しく、飲み会などの職場外のコミュニケーションも激減し、これまで「なんとなく」でもわかり合えていた部分を、きちんと言語化して伝え合わないとわかり合えないという段階に来ています。「言わなくても分かる」「あうんの呼吸が通用する」時代はもはや終わったのだと思わなければなりません。

2.アサーティブネスの第一歩は、自分が何を望んでいるかを整理すること

 アサーティブネスというのは、「相手も自分も尊重するコミュニケーション」です。言いづらいことを相手に伝える手段の1つで、自分の考えや感じ方を、相手を尊重しながら伝えるのです。心理療法の場で始まったコミュニケーション方法です。

 もともと、不安感の高いクライエントに不安を感じさせないように、不安とは逆の反応をもたらす行動を起こすことが効果的とされた行動主義という考え方があり、その方法が「自己主張」です。この「自己主張」という行動療法に「認知」と「人間尊重」の要素が加わったのが今日のアサーティブネスです。

 ここでいう「認知」というのは、「人は『事実』に対して反応するのではなく『事実に関する解釈』によって反応する」ということです。例えば何かに失敗したとき、失敗そのものの生で自信を失うのではなく、「事実に解する解釈」が入ることで自信を失うのです。つまり、失敗を「あってはいけないことをやらかしてしまった」と解釈するか、「学びのための良い機会」と解釈するかで反応が違ってくるということです。

 アサーティブネスを実践する上で大切なのは、「自分自身に誠実になる」ことです。自分が何を感じ、自分が何を望んでいるかをクリアにすることです。自分の気持ちと希望を具体的に整理した上で見えてきた者を相手に伝えてもいいし、伝えなくてもいいのです。ここで大切なのは伝えるのであれば攻撃的にならず素直に伝えることです。この前提にあるのは「自分と相手は違う」と言うことです。自分の気持ちや希望を押しつけてはいけないのです。自分と相手との違いを認めた上で、対等な立場として相手に向き合うことです。上司や部下といった立場の違いは関係ありません。これが「人間尊重」です。

3.相手を変えたいときには自分から変わってみる

 われわれは、「この人さえ変わってくれれば」と思いがちですが、そういう人は絶対に変わりません。その人が変わるというわずかな可能性にかけるか、それとも自分のやり方を変えて二人の関係を揺るがしてみるか、どちらが効果的でしょうか?

 自分が変わって小さな変化を重ねていくことで、コミュニケーションや関係性は大きく変わるはずです。

 アサーティブなコミュニケーションのコツは、①「対等」「自分に正直に」という向き合う姿勢と ②「的を絞る」ことです。相手が聞いたときににどうすればいいのか明確に分かるレベルまで具体化しなければなりません。

 例えば「もう少しきちんと説明して欲しい」と言われても「きちんと」がどういうものか分かりません。何をどれくらい知りたいのか具体的に伝えなければなりません。また「早めにお願いします」と言っても何時までか分かりません。具体的に期限を明確にすることです。

 攻撃的な人は相手がおどおどしていると、ついイライラして攻撃的になります。こうした人の前では胸を張って堂々とすることです。堂々と対等に接することで相手の反応も変わってきます。

4.アサーティブネスと心理的安定性

 心理的安定性には色々な定義がありますが、チームや部署で対人関係的なリスクをとっても大丈夫だろうと思えることです。心理的安定性のある職場は、おかしいと思ったらおかしいと言えるなど、みんなと違っていても自分の意見をしっかりと言える風通しの良い職場です。

 ものを言いづらい場面で、何人かがアサーティブな発言をしていくことによって、だんだん「言ってもいいんだ」という空気が周囲に伝播し、心理的安定性が高まっていきます。心理的安定性ができあがったら、みんな自分の考えを言える状態なのでアサーティブネスを意識しなくていい段階になってきます。

 アサーティブネスは「相手と自分は違う」ということが大前提です。「相手と自分は違う」ので、さまざまな意見があること、つまり健全な対立があるということです。批判も対立もない組織は却って危険です。不祥事が起きた組織のほとんどが、批判や反対意見の言いづらい組織だったと言えます。健全な対立があり、自分の意見を言える雰囲気がある組織こそ、心理的安定性があり、アサーティブな組織なのです。