中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

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社員の力を最大限引き出す組織づくり

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で7万8931人で過去最多、東京1万6538人、神奈川5959人、埼玉3869人、千葉3802人、群馬1100人、静岡1650人、愛知5160人、大阪9711人、兵庫4303人、京都1728人、広島1502人、福岡3955人、熊本1281人、沖縄1100人、北海道2856人などとなっています。感染者の増加に伴い重症者・死者も徐々に増え、病床使用率も上がってきています。東京都の小池知事は緊急事態宣言発令要請に向けて動き始めていますが、政府も地方公共団体もこの2年間一体何をしていたのかと首を傾げたくなります。何一つ変わっていません。今は、医療体制を逼迫させないことと社会インフラを機能不全にさせないことを重点に取り組んで貰いたいものです。

さて、今日は、ダイヤモンドオンラインの「社員の力を最大限に引き出す組織づくりとは?変革を推し進めるNECと三菱重工の葛藤とリアルに迫る」という記事を取り上げます。この記事は、NECの森田健氏と三菱重工の平野祐一氏、更に埼玉大学の宇田川元一准教授に話を聞いたものです。要点だけをかいつまんで書いていきます。

1.現在進行形で起こっているリアルな企業内変革

 昨日も企業変革について書きましたが、コロナ禍で先行きが見通せず激動のビジネス環境で変革は避けて通ることはできません。"やってる感"だけの見せかけの名ばかりの改革では意味がありません。

 この記事に出ているNECと三菱重工は真剣に改革を推し進めています。NECはこれまでも過去に「○○改革」と呼ばれるものを実施していますが、ことごとく失敗に終わっています。今回の改革は、社長が社員と対等に語り合う場を設けたことで、社員から「大企業病だ」「内向きだ」「スピードが遅い」と素直な意見を突きつけられ、社長の危機感に火をつけたことで始まっています。今は硬直状態を溶かすための基板整理の時期、経営陣を全く信用していなかったところから「信用してもいいかな」と変わってきたところです。今後は更に変革するための時期として、具体的な施策を実施することになっているようです。

 どの企業でも経営者や管理職は「変革しなければならない」と感じているはずです。社員の中にも変革が必要だと感じている者も多くいます。企業変革というと、抜本的な改革を思い浮かべますが、多くの企業にとってV字回復的な変革は必要ありません。むしろV字改革的な変革を狙えば失敗します。コロナ禍で、売上や業績が大幅に落ちた企業は多いのですが、一般的にはコロ名前から売上が毎年少しずつ10年間落ち続けているという企業が多いのです。こうした慢性疾患と言える状況にコロナ禍が追い打ちをかけているというのが現状です。コロナ禍だけを捉えれば、外科的手術が必要な場合もあり得ますが、根本となる慢性疾患を治すためには日々のセルフケアを続けて寛解を目指すことです。これまでも言っていますが、変革には時間がかかります。少しずつ前に進めていくしかありません。

2.改革のスタートは社員の声を聞くことから

 先ほど書いたように、NECの改革は社長が社員と対等で話し合う場を設けたことで始まりました。経営者や管理職がビジョンや計画を掲げても社員が動かない限り変革はできません。社員を巻き込んでこそ変革は成功するのです。経営者や管理職が方向性やメッセージを打ち出すだけではいけないのです。それを社員一人ひとりに腹落ちさせて消化させなければなりません。

 ポイントはコミュニケーション、特に「聴く」ことです。

 三菱重工では、10年ほ事業部に事業部に「組織風土改革グループ」をつくり、急激な大変革ではなく、一人ひとりと対話をしながら地道に広げています。三菱重工でも現場とのコミュニケーションを重視していると言うことで、社員の声を聴き、それを改革に活かそうとしているということです。

 先ほどのNECでも、社長が「会社を変える」という思いを伝える真剣勝負の場で、社長の本気度が伝わったために社員から忖度のない意見が飛び出したのです。

 三菱重工にしてもNECにしても、組織の慢性疾患について一つずつ手をつけようとしています。事業拡大のスピードに組織がついて行けなくなると慢性疾患は更に悪化し、どこから手をつけていいか分からなくなってしまいます。

 先ほども言いましたが、経営層が戦略や方向性を伝えるだけでは、たとえそれが正しい者であったとしても社員はヤル気になりません。経営層が描く風景の中に自分が登場人物になれないからです。社員一人ひとりとコミュニケーションをとり、経営層が描く風景に巻き込んで自分が登場人物であるという意識を植え付けることが大切になってきます。

3.社員が会社を信用して初めて改革は動き出す

 社長や経営層が社員の声を聴いて、その声を活かして活動を始めても、すぐに効果が出る者ではありません。社員は、経営者のやることを冷めた目で見ています。会社の社員であるにもかかわらず、自分とは関係ないという意識が存在しているのです。無関心ならまだしも、会社や経営層を全く信用していないということも多いのです。「信用されていない」ものを「信用される」ものに変えるには時間がかかります。それにはコミュニケーションしかありません。いつも言うようにコミュニケーションは、よりよい人間関係や信頼関係構築に必要不可欠のものだからです。

 コミュニケーションをとったとしても、すぐによりよい人間関係や信頼関係が構築されるものではありません。コミュニケーションを重ね、お互い相手のことを理解できるようになって、最初は大きく離れていた距離が少しずつ縮まってくるのです。

 距離が縮まれば、社員も、自分も会社や経営層が行なう改革の登場人物であると認識し、会社や経営層が描く背景の中で自発的に動いてくれるようになります。

3.対話を諦めないことが企業変革の第一歩

 「会社を変えよう」と気負う必要は全くありません。まずは身の回りで「変えないといけない」「これは嫌だ」と感じることに対して、具体的な手立てを考え、少しずつ変えていくことです。一気に変える必要はありませんし、一気に変えようとするのはむしろ危険です。

 大事なことは、社員との対話、コミュニケーションをとり続けることです。社員はすぐに変わらないかも知れませんが、それに腐ることなく、根気よくコミュニケーションをとり続けることです。最初は目に見えない変化かも知れませんが、時が経てばはっきりと変化が見えてきます。変化が見えるようになれば、あとは急速に変革していきます。まずは第一歩を踏み出すことです。第一歩を踏み出さなければ何も変わりません。その第一歩は対話です。経営層は社員の声を聴くこと、社員は忖度のない声を経営層に届けることです。