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意思決定の最善の方法

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で6万9523人ですが、亡くなられた方が319人(大阪63人と過去最多)と初めて300人を超えました。感染自体はピークアウトしているようですが、重症者数や死者数は遅行指標なので、ここしばらくは重症者・死者数ともに増加すると思われます。心配なのはオミクロン株の亜種ステルスオミクロン株(BA.2)が各地で市中感染していることです。政府は水際対策の緩和を検討していますが、検疫でBA.2はフィリピンなどの渡航者から313件も見つかっており、水際対策の不手際により市中感染に広がったのではないかと考えられます。従来のオミクロン株(BA.1)にはスパイクタンパク質に欠損があり、この欠損がオミクロンとデルタを見分ける根拠になっていますが、BA.2は欠損がなくゲノム解析しない限り、区別することが困難なので「ステルス」(レーザーをすり抜けるステルス戦闘機のようで)と呼ばれています。

さて、今日は、ライフハッカーの「意思決定を正確に行なうために意識すべき2つのポイント」という記事を取り上げます。

ケンブリッジ大学の臨床神経心理学教授バーバラ・サハキアン氏と研究員のアレヤ・マーズキー氏が心の健康状態によって意思決定プロセスがどのように狂うかに焦点を当てた実験を行ないました。

強迫性障害を持つ若者と持たない若者という2つのグループに分け、スクリーン上の2つの画像のどちらかを選択する確率論的の意思決定課題を行なわせたのです。一方の画像は80%の確立でポイントが得られ、もう一方は20%の確率でしかポイントが得られないようにプログラムされ、それぞれの選択肢に結びついた報酬確率は、課題の途中で逆転します。

その研究結果は「JAMA Network Open」に掲載されましたが、そこでは2つの意思決定戦略に向かう人間の性質が検討されました。

1.意思決定に働く人間の2つの性質

 2つの性質というのは「活用」と「模索」です。「活用」とは、慣れ親しんだ報酬の高い選択肢を選ぶことであり、「模索」とはなじみのない選択肢を試すこととされています。

 ここでは、「理想的な戦略は模索と活用の融合である」と言っています。早い段階では馴染みのある報酬の高い選択肢を活用し、その後ポイントが与えられる頻度に変化があることに気づいたら模索を行なうのが最善ということです。

 この実験結果では、強迫性障害を持つ若者の方が、不確実性に対処できず、選択肢を切り替えたり、報酬の少ない方を選択する頻度が高くなっていました。

 この実験では強迫性障害の有無で行なわれましたが、最適な決断を行なう際に不確実性に対する耐性が必要なため、この結果は多くの場合に当てはまると考えられます。

 人間というのは習慣的な生き物で、不確実性の下ではうまく対処できないことが多いからです。コロナ禍でも、人々が過剰な情報検索を行ない、間違った情報を信じて広め、トイレットペーパーやうがい薬の買い占めが行なわれたことは記憶に新しいところです。

2.ビジネスにおける意思決定

 この研究から学べることは、意思決定を改善するためには、社員やリーダーが不確実性に対処する能力を身につける必要があるということです。

 不確実性に対するレジリエンスを高めるには、社員への情報提供を改善し、最適な意思決定ができるようにあらゆる必要な情報の透明性を確保することです。

 また、人が何時、何のために模索と活用を使い分けるのかを理解することも重要だと言っています。例えば、時間的なプレッシャーが大きいときには、人は検索を繰り返し模索を少なくする傾向があります。

 また、過去の決断の結果が影響することも多いのです。これまでの過去の経験がポジティブなものであった場合には、新しい選択肢を模索する可能性が高く、ネガティブな経験をした場合には自分の知っていることに固執し新しいチャレンジを行なおうとはしません。

3.意思決定の最善の方法

 マーズキー氏は、どちらにも長所と短所があると言っています。模索は、新しい選択肢を試すことで、よりよい利益が得られる可能性があり、今後より良い選択ができるようになる可能性もあります。一方で、新しい選択肢が間違っていた場合には、時間、労力、鐘と言ったリソースをムダにするというリスクもあるのです。しかし、ビジネスというものはそういうもので、新しい選択肢を試し駄目だったら軌道修正していけばいいのです。すべてがうまくいくということはありません。

 マーズキー氏も言うように「模索の戦略と活用の戦略を柔軟に切り替えられることが重要」なのです。採食をたとえに、「食料が豊富な時期に食料源となる可能性のある場所を模索することの方に多くの時間を費やし、食料が乏しくなる冬に模索で得た情報を活用する」と言っています。

 安定した時期には重要な情報を集めて潜在的な利益を得るために企業は新しい事業や投資先、パートナーや代替的な仕事を模索することが重要なのです。そうすることで、早めに収集した情報や利点を活用して、不確実性や変動制の大きな時代を生き残るための能力を身につけることができるのです。