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ミスを報告させる仕組み

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で6万3742人で、全国的に見れば減少傾向にあります。大都市では減少していますが、まん延防止等重点措置が解除された地方では下げ止まり、または増加に転じています。このまま顕彰傾向が続くのか、BA.2荷尾杵変われ、再び増加に転じるのかは分かりません。専門家は、来月初旬に78%がBA.2に置き換わると言っています。BA.2はBA.1よりも感染力が強く空気感染するようなので、注意が必要です。

さて、今日は、日経ビジネスの「部下が『ミスの報告を進んであげたくなる』ための3つのカギ」という記事を取り上げます。昨日は、「ミスが起きる原因」について書きましたが、いかに注意していてもミスは起きます。ミスが起きたときに、それを隠すような職場環境では、ミスは収まりませんし、大事故に繋がります。ミスが起きたときに、いかに早くそれに対処し、大事故にしないことが大切です。そのためには、ミスが起きた場合に、速やかに報告するという体制ができてなければなりません。

この記事でも、行動科学マネジメントの観点から、「どのように報告を習慣化させ、ミスを大事に至らせない段階で防止する(『ヒヤリ・ハット』段階で防止する)方法」が説明されています。

1.「ヒヤリ・ハット」が報告されない理由

 「ハインリッヒの法則」というのがあります。これは、アメリカの損保会社の技師、ハインリッヒが発表した法則で、「1件の重大な事故の背後には29件者軽い事故があり、更にその裏には300件もの『ヒヤリ・ハット』の出来事が存在する」というものです。「ヒヤリ・ハット」とは、「ヒヤッとした」「ハッとした」という出来事で、こうしたちょっとしたミスは日常茶飯事に起きています。

 こうしたヒヤリ・ハットを未然に防ぐことが大きな事故に至らせないため多くの企業は、多くの企業は、ヒヤリ・ハットを上司に報告するように指導しています。

ところが、現実にはヒヤリ・ハットの報告が上がってこないのが現状です。ヒヤリ・ハットの報告に何らかの評価を与えたとしても、上がってこないのです。

「ヒヤッとした」「ハッとした」というだけで、問題が起きていないので、敢えて報告する必要はないと考えているからです。「報告したところで、たいしたメリットは感じない」「逆に報告して叱られたら嫌だ」という意識が働くからです。

 昨日も書きましたが、意識改革を進めても、行動を変えなければよくはなりません。

 結果にメリットのある行動を選択するのが人間です。

2.デメリットのある行動はとらない

  「ヒヤリ・ハットを迅速に報告した」という行動の直後に、『上司の叱責や注意』では、部下はその結果(ペナルティ)を回避しようとするのは当然です。

危険なことがあっても問題が発生しなければ「まあいいか」と自分だけ、当事者だけの胸中に隠蔽してしまうようになります。

 ここで重要となるのが、報告という望ましい行動を習慣化させる仕組みです。

 まず、人間が行動を起こすには、行動のための「条件」があり、その条件を満たすためにお「行動」し、行動のあとに「結果」が生まれ、その結果が次の行動を促すというサイクルがあるのです。行動科学マネジメントで「ABCモデル」と呼ばれているものです。

  • A(Antecedent):先行条件・・・行動を起こすきっかけ。行動する直前の環境
  • B(Behavior):行動・・・行為・発言・ふるまい
  • C(Consequence):結果・・・行動によってもたらされるもの。行動した直後の環境変化

 「行動の結果メリットがある、若しくはデメリットがない行動は繰り返し、メリットがない、デメリットがある行動は繰り返さない」というのが人間の行動原理です。

3.メリットがあれば習慣化する

 人間の行動原理からすれば、メリットがあれば習慣化されます。

 多くの企業では「ヒヤリ・ハットの報告」には 評価が与えられています。それにもかかわらず、習慣化しないのはどうしてでしょう? それは、行動(B)の直後の結果(C)によるのです。ヒヤリ・ハットの報告をした直後に上司から叱責や注意を受ければ、後日評価されたとしても、直後のデメリットが後のメリットを上回ってしまうのです。これでは、メリットのある行動ではなく、デメリットのある行動となってしまい、繰り返す(習慣化)ことができないのです。

 「ヒヤリ・ハットの報告」をしたら、「怒られずに褒められた(感謝された)」「報告した直後(すぐ)に」「次に報告したときも」というのであれば、「ヒヤリ・ハットの報告」が習慣化されるはずです。

 こうした仕組みを作ることです。

 先ほども言いましたが、多くの企業では、ヒヤリ・ハットの報告が評価の対象になっていますが、評価されるのは年度末。しかもどう評価されるのか不確実では、行動を繰り返すためのメリットにはなり得ていません。

 同様に、「ミスをしなかったら特別賞よ」といった特典も何の役にも立ちません。それは特典がもらえるのが後日であり、不確実だからです。

 即時性と確実性を持つ、つまり結果が「すぐに」「確かに」現れるものでなければ、行動への影響は小さいのです。

 「ポジティブな結果が、すぐに、確実に」出る仕組みとなっているか見直しが必要です。