中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

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人的資本経営

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おはようございます。

昨日の感染者は全国で4万3365人で、東京をはじめ各地で前週同曜日を上回っています。まん延防止等重点措置が全面解除され、各地で人出が増えているので当然と言えば当然のことです。これまで通り、感染防止策をとり、できるだけ早く3回目のワクチン接種を終えることです。

今日は、NIKKEI STYLEの「企業が『戦略人事』の採用を活発化、人的資本経営の実現へ」という記事を取り上げます。

SDGs(持続可能な開発目標)やESG(環境・射界・企業統治)が重視される中、「人的資本経営」への意識が高まってきています。

1.人的資本経営

 人的資本経営とは、経済産業省の定義によると、「人材を『資本』として捉え、その価値を最大限に引き上げることで、中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方」のことです。

 人的資本についての定量化・分析する指標として国際標準化機構(ISO)が設けたガイドライン「ISO30414」では次の11の項目と58の指標が上げられています。

  1. コンプライアンスと倫理
  2. コスト
  3. ダイバーシティ
  4. リーダーシップ
  5. 組織文化
  6. 組織の健康、安全、福祉
  7. 生産性
  8. 採用・移動。離職
  9. スキルと能力
  10. 後継者育成
  11. 労働力確保

2.人事の求められる役割が変わってきた

 こうした世界的潮流を背景に、日本でも『戦略人事』の強化が加速しています。

 これまで「管理部門」の位置づけられてきた「人事」が経営戦略・事業戦略と直結し、社長直属の部著として刷新されたり、企業企画のプロジェクトと兼務されたりするといった動きが活発化しています。

 「これからの時代の経営には人的資本が重要」と本質的な価値を理解して取り組む企業が増えてきているのです。

 こうした動きに伴い、人事領域では幅広いポジションの採用が行なわれています。

3.「人事×ビジネス、経営」の経験

 従来「人事部の長」と言えば、人事領域で垂直型のキャリアを歩んできた人がたどり着くポジションでした。ところが、最近では「一貫して人事」のキャリアは望まれておらず、何処かのタイミングで「事業側」の経験をした人が求められています。人事としての専門性よりも「ビジネス」「経営」を理解していることが重視されているのです。

 人事部門の責任者に求められる要素として次のようなものが挙げられます。

  • データ分析力・・・人的資本の最大化のための施策、更にそれを開示していくにあたって定量化が必要になります。
  • 転職経験・・・1社だけでの経験では、その会社の価値観や判断基準などがすり込まれていて、先入観にとらわれ、客観視できないのではないかという懸念からです。
  • 人への興味・・・「人の成長に興味がある」つまり「人の成長を科学すること」にやりがいを感じるタイプです。

 人的資本の強化に向けて、社長直属の採用部隊を編成するケースも増えてきています。売上に直結する営業部門と同様、採用力が経営を左右します。

 採用において、マーケティング⇒候補者獲得⇒候補者へのプレゼンテーション⇒入社後のフォローと言ったプロセスは、営業のプロセスに類似しているのです。そのため、営業としての経験を積んだ人で人に興味があれば、採用・人事でキャリアの可能性を広げることもできます。

 要は、これまでとは違い、人事一辺倒では、さまざまな経験をしてきた人が、採用・人事に求められているのです。

4.人財育成・文化醸成を担う人のニーズも

 人事部門の機能の一つでもある「教育」においても、変化が見られます。従来の集合研修ではなく、日常の業務やコミュニケーションから学びを深め、それを習慣化し、寺社の文化として浸透させたいと考える企業が増えています。

 ビジネスにおける学びは、「仕事上の経験」が約7割、「上司や先輩からのフィードバックや助言」が約2割、「研修などのトレーニング」が約1割です。

 情報やナレッジが個々の中に滞留することなく、常に共有される組織文化を醸成するためには、単に研修のプランニングをするだけでなく、学びのプラットフォームを組織内に導入し、共有の仕組みを作ることが大切です。そのための人材が必要になります。

 ドラッカーが言うように、人的資本経営の実現には「企業文化の醸成」は欠かせません。企業文化の醸成なくして戦略は語れないのです。

次に、日本の人事部の「『人的資本人事』に求められる個人パーパスとは?」という記事を取り上げます。

人的資本人事は、先ほども書きましたが、社員一人ひとりを投資対象と捉え、人的資本の最大化を実現していくことが主要なミッションとなります。

人事パーソンに求められる役割も、大きく変わります。社員を「管理・調整」するのではなく、「成長・開発」することにコミットすることが求められます。

 社員も大きく変わらなければなりません。

 「日頃からビジネスパーソンとして持続的な成長をしているか?」「継続的に自己投資しているか?」ということが問われなければなりません。

 ビジネスパーソンとして、個人パーパスを策定することが重要になります。

 パーパスはタスクやアジェンダとは違います。この記事では、タスクやアジェンダは明確に定めた「コト=事柄」に向き合うことであるのに対し、パーパスは、本質的な「イミ=意味」に対して理解すること、と言っています。

 難しく考える必要はありません。「パーパス経営」で書きましたが、「パーパス=存在意義」です。「自分は何のために存在しているのか」「自分は何を目指しどのように成長していきたいのか」ということです。パーパスは、成長するに従い、変わっていくものです。暫定的に定めればいいですし、一つに絞る必要もありません。

 要は走り抜く方向性を決めるということです。