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休日の本棚 エフォートレス思考

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で4万7598人で、大都市圏では減少傾向が見られますが、地方では過去最多を更新するところも出ていて、「地方で第7波に入った」といった見方が広がっています。この理由として考えられるのが、免疫の獲得の地域格差です。第6波までで感染者数が多かった大都市圏では免疫が獲得され、少なかった地方では免疫が獲得されず、感染力の高いオミクロン株の広がりで地方で感染者が急増したということです。今後、感染者数が増加すれば、地方から医療のひっ迫が始まり、それが大都市圏へと拡大していくことが懸念されます。まだ、今年のゴールデンウイークは近場で節度をもって行動すべきです。

さて、今日は、グレッグ・マキューン著「エフォートレス思考」(かんき出版)を紹介します。著者のマキューン氏は、以前紹介した「エッセンシャル思考」の著者で、シリコンバレーコンサルティング会社THIS inc.のCFOです。

日本では、睡眠時間を削ってでも、プライベートを犠牲にしても仕事に打ち込むべきだという風潮がいまだにあります。確かにワークライフバランスを考える人も増えてきていますが、まだまだ少数です。

すべてのタスクに全力を注いでいたらどれだけ時間があっても足りません。これ以上頑張れというのでしょうか?この答えを与えてくれるのがこの本です。

マキューン氏は「エッセンシャル思考」で「99%の無駄を捨て1%に集中する方法」を説きました。「大切なことだけに集中しよう」としても、なおタスクは山積みで疲労困憊状態は続きます。その経験から、マキューン氏は「やり方を変えるしかない」という気付きを得たのです。それがこの本です。

エッセンシャル思考」では「何をやるか(何をやらないか)を教えてくれるもの」で、「エフォートレス思考」は「どのようにやるのかを教えてくれるもの」です。

それが「努力を最小化して成果を最大化する」方法です。

エッセンシャル思考で、大半のものは必要がないということを理解し、エフォートレス思考で、どのようにやるのか具体的な手段をエピソードをもとに学ぶことができます。

この本は、大まかにいえば、

  1. エフォートレスな精神
  2. エフォートレスな行動
  3. エフォートレスな仕組み化

の3つで構成されています。

1.エフォートレスな精神

 ①人の限界を超えて働き、力づくで不可能を可能にする ②もっといい方法を探して、余裕で成果を出す。あなたならどちらを選びますか?

 私なら②を選びたいですが、ほとんどの人も②を選びたいと思っているはずです。しかし、現実は①ではないでしょうか。

 仕事のやり方は人それぞれです。他人の仕事のやり方に口をはさみたくはありませんし、誰も他人から言われたくありません。しかし、長時間仕事をしているからといってそれが成果に結びついているかといえば、そういうことはありません。だらだらと長時間仕事をしているほうが短期集中的に仕事をするよりも、成果は劣るはずです。これは経験則からもそういえます。

 マキューン氏は、「努力と根性で何とかしようというのは、一つの考え方に過ぎない。ところが、多くの人はそれが唯一の方法と思い込んでいる。ほかのやり方を探ろうとしないまま、限界を超えて頑張り続ける。力づくでやることに慣れてしまっているからだ」と言います。

 睡眠時間を削り、プライベートを犠牲にしてまで気合と根性でやらなければならないというのが正解であるはずはありません。根本的に時間に追われない仕組みを作ることのほうが重要なのです。まずは意識を変えることです。

2.エフォートレスな行動

 エフォートレスな行動の定義について、マキューン氏は、バスケットボールのフリースローを例に「フリースローを成功させるために最も重要な要素は、ボールを手放すときのスピードであることが分かった。最適なスピードでボールを投げるためには、繰り返し練習して正しい力加減を筋肉に覚えさせる必要がある。一度体に思えこませてしまえば、あとは全く苦労しなくてもフリースローが入る。これがエフォートレス思考だ」と言っています。

 繰り返し練習し、習慣化させてしてしまえば、努力をかけずに自然な行動ができるということです。

 また、マキューン氏は、何を最初に目指すかゴールを明確にすることの大切さを述べています。あいまいなゴールよりも明確なゴールを持つことで行動は自然と簡単になっていくのです。

 また、マキューン氏は「プロジェクトはまずは終わらせられるのかを優先して考える必要がある」と言います。プロジェクトは完了して初めて成果としてカウントされるものです。終わらせなければ意味がないのです。ゴールは達成しなければ絵に描いた餅でしかありません。

 そのためには余計なものは排除してシンプルに考えることです。手順を減らしてでも、まずは終わらせることが大切なのです。

 繰り返し練習して習慣化することが大切ですが、まずは小さく始めて無理のないところでやめることです。マキューン氏は「あるポイントを超えると、努力の量は結果に結びつかなくなる。むしろ、パフォーマンスが落ちる」と言います。もう少しやりたいと思ったところでやめるほうが効率的なのです。習慣というのは継続することが何よりも大切なので、適度な状態に保つほうが継続しやすいのです。無理をすると、いずれ続けることが苦痛になります。

3.エフォートレスな仕組み化

 マキューン氏は、「正しいことを一度だけ学ぶのは効率的だ。事前に正しくエネルギーを投資することで、いつでも何度でもエフォートレスな成果を上げることができるのだ」と言っています。

 基礎がしっかりとしていなければ、何事も基礎からやり直さなければなりません。一度しっかりを基礎を身につければ、あとは、自然と物事は動きます。これがエフォートレスな仕組み化です。

 イーロン・マスク氏の言葉が次の引用されています。

 「俊樹を一種のセマンティック・ツリー(意味の木)としてとらえることが重要です。そして枝葉・詳細を見る前に、まずい幹や大きな枝、つまり土台となる原理を理解しておくことです。そうしないと枝葉をつなぎとめるものがありませんから」

 目先の解決策に飛びつく前に、問題の本質、原理原則を突き詰める姿勢が大切ということです。