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休日の本棚 やり抜く人の9つの習慣

おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で1万9353人で、1月13日以来約3ヶ月半ぶりに2万人を切りました。東京医科歯科大学のグループが、同病院のコロナ患者116人から現在主流となっている「BA.2」に新たな変異が加わったウイルスが見つかったと発表しました。患者に渡航歴がないことや遺伝子の特徴などから日本国内で変異したとみられるということです。この変異株の感染力などは分かっていませんが、これまでの傾向からすると感染力は強くなっているように思います。この変異株だけでなくXEと言われる変異株が市中感染すればGW明けには一気に感染拡大します。テレビのニュースを見ていると、観光地で多くの人が浮かれて気が緩んでいるように見えます。GW後半に入りますが、気を引き締めて節度ある行動をとってもらいたいものです。

さて、今日はハイディ・グラント・ハルパーソン著「やり抜く人の9つの習慣 コロンビア大学の成功の科学」(ディスカヴァー)という本を紹介します。

著者のハルパーソンはコロンビア大学教授で、成功している人たちを心理学的に分析し、その人たちが共通で行なっていることを体系化して「9つの習慣」にまとめました。その9つとは

  1. 目標に具体性を与える
  2. 目標達成への行動計画を立てる
  3. 目標までの距離を意識する
  4. 現実的楽観主義者になる
  5. 「成長すること」に集中する
  6. 「やり抜く力」を持つ
  7. 筋肉を鍛えるように意志力を鍛える
  8. 自分を追い込まない
  9. 「やめるべきこと」より「やるべきこと」に集中する

です。ごく当たり前のことが書かれています。成功している人というのは、当たり前のことを愚直に行なっているのです。成功しようとして失敗する人は、当たり前のことをないがしろにして、突拍子もないことに飛びつきます。突拍子もないことに飛びついてそれを成し遂げることほど難しいことはありません。

この本でも、読者の「なんか普通だ。面白くないな」という声を見越したかのように

「『9つの習慣』の一つ一つは、驚くほど当たり前のことと感じられるでしょう。それに、それぞれを実行に移すことも、それほど難しくはありません。しかし『当たり前で、簡単に実行できる』ことと『だれもが当たり前に実行していること』とはイコールではありません」と言っています。

問題は、「これをすればうまくいくことを知っている」ではなく「知っているのになぜやっていないのか」を考えることにあります。そこには「思考の流れを把握していない」「心のどこかでできないと思っている」という心理学的アプローチが足りないために知識が活かされていないのです。

9つの習慣の中からいくつかポイントを挙げて紹介します。

1.目標作り

 まずは目標を作ることでからスタートです。目標設定の重要さはこれまで何度も書きましたし、特に「ぶっ飛んだ目標」の大切さを指摘してきました。

 中短期の目標にしろ、長期目標・ぶっ飛んだ目標にしろ、「具体的に」描かなければなりません。例えば、個人であるなら「金持ちになる」ではなく「年収2000万円稼ぐ」、企業であるなら「売上高を上げる」ではなく「売上高前年比20%アップ」というように具体的に数字で示すことです。

 具体的に目標を描いたら、次に「メンタルコントラスト」という作業を行ないます。これは、心理学の用語で「現在の状況を踏まえて目標への障害は何かを具体的に考えること」です。現状とのコントラストを考えるのです。つまり、目標と現状とのギャップを明確にイメージすることです。

 目標達成に障害となるものが具体的にイメージできたら、「それは本当に障害なのか」「なぜ障害になっているのか」を考えます。それによって、目標達成への意欲が高まり、具体的に何をなすべきかが明確になってきます。

2.if-then プランニング

 目標とそれに対する障害を認識したら、次は行動を決めることです。目標を設定しても、それに向かって行動を起こさなければ意味がありません。

 心理学のテクニックに「if-thenプランニング」があります。これは「もしこうなったら、こうする」というように「条件と行動をセットで書く」というものです。

 脳は「XならY」という条件付き文章の方が記憶しやすいのだからです。やるべき行動を「XならY」という形におPと仕込むことで、脳の深層に定着しやすく、習慣化できると言うことです。また、「いつ」「何を」やるのかという決めておくことも習慣化には良いのです。

3.to-date thinking よりもto-go thinking

 if-thenプランニングで行動を決めれば、実際の目標に向けての行動が始まります。しばらく行動を続けたら、行動をチェックしなければなりません。いわゆるフィードバックです。

 重要なのは「どこまでやり遂げたかを考える(to-date thinking) 」よりも「後どれくらいやらなければならないかを考える(to-go thinking)」ことです。心理学によれば、「どこまで成し遂げたか」を考えると、達成感を感じてモチベーションが低下するのです。例えばダイエットを例にとれば、5キロ減量が目標だったとして、「3キロ痩せた」と考えると達成感を感じて満足してモチベーションが低下しますが、「後2キロで目標達成」と考えればモチべーションは続きます。

4.現実的楽観主義者

 心理学的に「目標達成を信じる」ことは極めて大切です。しかし、目標達成(成功)を信じるときには、「目標を達成するには相応の困難を切り抜けなければならない」と最初から思っていることが重要なのです。「目標達成なんて楽勝」と思っていれば失敗します。

 人は不安があれば障害を探すようになります。ポジティブで楽観的であり、かつ障害を探すような慎重な人が目標達成(成功)するのです。こうした人が現実的楽観主義者です。

5.能力は「グリット(やり抜く力)」があれば伸ばせる

 以前、アンジェラ・ダックワース著「GRIT やり抜く力」を紹介しました。ダックワース氏も「才能やIQや学歴ではなく、GRIT=やり抜く力こそが、社会的に成功を収める最も重要な要素である」と言っていました。このGRIT=やり抜く力は「長期的な目標を掲げ、その実現に向けて関心を失うことなく、努力し続ける性向」なのです。

 グリットを持つには、どうすれば目標達成(成功)できるのかを理解していなければなりません。そのためには、①努力すること ②正しい戦略を立てること ③詳細なプランを立てること ④成功をつかむまで諦めないこと です。

6.意志力を鍛える

 人には筋肉のように意志力があり、筋肉と同じように意志力も鍛えられるのです。それは「これまでやったことのない、気の進まないことを、自分の意志で会ってみる」ことによって鍛えられます。何でもいいので、if-thenプランニングに落とし込んでやり続けると、「慣れ」が生まれ苦痛でなくなり、意志力が鍛えられるようになるのです。

 この本では「『意志力と筋力の共通点』は、どちらも定期的に刺激を与えることで、どんどん強くなると言うことです。気がついたときに背筋を伸ばす、と言った簡単なことでも、続けることで自己抑制の力を高めることができます』と言っています。

7.否定的な表現はしない

 目標を見つけるのと同じくらい、どう表現するのかということも大事です。

 人間は「やめたいこと」を考えると、頭の中はそのことで一杯になります。例えば禁煙をするというときに「煙草をやめる」と考えると、頭の中は煙草で一杯になり禁煙なんかできません。

 否定的な表現で目標を立てると、逆効果になるのです。「~しない」と目標を「~する」という目標に置き換えることが大切なのです。

当たり前のことばかり書かれていますが、それを行動に移すこと、そしてそれをやり抜くことで習慣化され、目標達成(成功)が見えてきます。