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部下のやる気を引き出すコミュニケーションの本質

おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で3万9642人で、小康状態です。増加はしていませんが、減少もしていません。まだまだ感染防止対策の徹底は必要です。安易な緩和は感染再拡大に繋がります。マスク着用緩和については屋外で密でないならば、熱中症予防の観点から外しても問題はないように思います。臨機応変に行なっていくことです。来月からの水際対策緩和に向けた動きが加速していますが、あまりにもアクセルを強く踏みすぎると暴走してブレーキの利きが悪くなります。急速な緩和では最悪の事態が生じてもすぐに後戻りできません。アクセルとブレーキをバランス良く踏むことが大切です。

さて、今日は、ダイヤモンドオンラインの「『人のやる気を奪う上司』が無意識にやっているNG行動」という記事を取り上げます。この記事は、TBSの井上貴博アナウンサーに、「伝えるチカラ」について聞いた内容です。

セールストークやプレゼン、交渉がうまくいかない、自分の思いが伝わらないという人は多いです。上司は部下に、方針や指示、さらには思いを伝え、部下を動かさなければなりませんが、それらが部下に伝わらないのです。逆に、上司の言葉が部下のやる気を失わせています。

1.人を成長させるフィードバック

 部下の教育方法については、これまでも書いていますが、基本は「認めて、任せて、褒める」です。しかし、褒めてばかりでは緊張感がなくなり、気が緩んでしまいます。ミスをすれば当然「叱る」ということも必要です。

 以前、「部下のタイプ別指導法」でも書きましたが、「認めて、任せて、褒める」という基本的な指導方法ではうまくいかないタイプもいます。特に、すぐに図に乗るタイプでは、逆効果です。重要なのは、部下の性格や特性を見極めて、それぞれにあった指導方法をとることです。

 井上氏も、「後輩によって何を求めているのか、どこを目指しているかも違うから、どんな言い方をすればいいかも人によって全く違う」と言っています。

 井上氏の持論は、「褒められるだけで、人は成長しない」ということです。人は褒められるだけでは駄目で、率直な意見や指摘があるからこそ、「ここをこう改善しよう」と「実践⇒反省⇒試行錯誤」の習慣が身につくのです。

 「どう褒めるか」よりも「より改善できるところ」を伝えることの方が大切なのです。しかし、ここで重要なのは部下とのコミュニケーションの取り方です。上司が話をするというだけで部下は緊張・委縮してしまいます。

 井上氏は次の3つのことに気をつけると言っています。

  1. 必ずポジティブな感想から伝える・・・「ここが良かった」と肯定的な言葉を投げかけてから、本題に入ります。最初に肯定的な言葉を伝えることで相手の緊張が緩むのです。
  2. 自分の意見であることを強調する・・・「間違っているかも知れないけど自分はこう思う」「これが正解かは分からない」とあくまでも自分の意見である事を強調します。故人の主観である事を強調することで、相手も気分的に救われます。
  3. 相手によって厳しさのレベルを変える・・・相手によって求めているところが違うので、相手が求めるレベルに合わせるべきなのです。井上氏は「厳しめコース、中間コース、甘々コースがあるけど、どれがいい?」と聞くようにしていると言います。人によって仕事の目指すゴールも、取組み方も、そのときのメンタルのコンディションも違います。常に全力でアドバイスするのではなく、相手のレベル感に合わせてアドバイスするために確認するのです。

2.部下のやる気を引き出すコミュニケーションの本質

 こちらがよかれと思っていったことが、受け手にとって負担ということはよくあります。「自分が厳しめコースを求めた」という納得感があれば、「上司の指導が厳しすぎて辛い」という不満も生まれにくくなります。

 「言う側」も「受け取る側」も、お互いにイメージを共有しておかないと、ギャップが生まれ、人間関係がうまくいかなくなるのです。

 いつも書いていますが、コミュニケーションは「言葉と思いのキャッチボール」でボールの受け渡しがスムーズに進まなければ、よりよい人間関係や信頼関係を築くことはできません。単に、指示や方針を伝えるだけではコミュニケーションとは言えません。それぞれが思いを共有することで信頼関係やよりよい人間関係が築かれます。

 井上氏も、「伝え方がうまいかどうかよりも、上司が自分の可能性を信じてくれている、ということのほうが、ずっと大事かもしれません」と言います。

 人間には承認欲求があります。誰しも認められたい、頼られたいという気持ちは強いのです。「自分が何を言っても組織は変わらない」「頼られない」と思うと、頑張ろうとなかなか思えません。重要なのは承認欲求を満たすことです。

 上司が部下に「可能性を信じているよ」という言葉を掛けることは大事です。可能性を信じてくれていると感じる励ましの言葉です。この励ましの言葉で、部下はやる気を出します。親身になって部下を思い、部下の成長を信じること、これこそが部下のやる気を引き出す方法なのです。