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休日の本棚 なぜ、あなたの仕事は終わらないのか

おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で3万7438人で、下げ止まっています。政府は、「屋外で会話が少なければマスク不要」「屋内でも周囲との距離を保ち会話を控えればマスク不要」との見解を示しました。しかし、基準とも言えず、内容的に不明確・曖昧で、最終的な判断は個人に丸投げされた状況です。これではマスク着用を巡ってトラブルが発生する可能性がありますし、同調圧力のために人の目が気になって外せないということになります。もっと明確で具体的な指針を出す必要があったのではないでしょうか?

さて、今日は、中島聡著「なぜ、あなたの仕事は終わらないのか」(文響社という本を紹介します。著者の中島氏は、マイクロソフト社の元プログラマーで、Windows95やInternet Explorer3.0/4.0 、Windows98の開発に携わっています。

一日中仕事のことしか考えられず、ブリシット・ジョブといえないものの何の意味があるのは分からない仕事に振り回されて、本来大事なことに使う時間がないと嘆くビジネスパーソンは多いのです。これまで何度か効率的なタスク管理について書きましたが、タスクとともに時間の管理も必要です。この本で紹介されている「超速時間術」を実践することで、仕事のみならず人生も有意義に過ごすことができるようになります。

自分よりも優秀と感じるプログラマーに圧倒され、英語も碌にしゃべれなかった中島氏は、時間の使い方に向き合い、効率化することで、成功への道を歩むことができたのです。それが、中島氏が提唱する「ロケットスタート時間術」です。猛烈なスタートダッシュにより、心の余裕が生まれ、成果を着実に出していけるのです。

1.なぜあなたの仕事は終わらないのか

 この本の第1章で、中島氏は、自分の部下など「仕事が終わらない人」の例を挙げて、どこに問題があるのかを検証していきます。その結果、仕事が終わらないのは、

  • 安請け合いするから
  • ギリギリまでやらないから
  • 計画の見積もりをしないから

という3点に集約できることに気づきます。

 中島氏は、数学のテストを例に挙げます。数学のテストの前半は計算問題、鋼板は応用問題という構成が多いのですが、応用問題はレベルがまちまちです。仕事が終わらない人は得てして後半の応用問題を甘く見ているのです。全体の分量だけを見て時間的に当分に割って愚直に前から解いていくために、後半の応用問題で時間がなくなり完了しないのです。本来なら、応用問題に先に取りかかり、かかる時間を把握し、時間配分を考える必要があるのです。

 仕事が終わらないときに「もっと余裕を持っておけばよかった」と思うことが多々あります。この心理的な余裕のことを「スラック」と呼びますが、睡眠不足な人や仕事に不安を抱えている人はスラックを持ちにくく、スラックがない状態が続くと生産性がどんどん落ちていきます。すると効率的な仕事のやり方に気づかず、手当たり次第仕事に手をつけて散らかしてしまいます。真っ暗なトンネルの中を突き進むような行為を「トンネリング」と言いますが、トンネリングには○と、終わりが見えない中で処理能力が低下し、結果として仕事が終わらないという悪循環にはまってしまうのです。ここから脱するには心の余裕が必要なのです。

2.「ロケットスタート時間術」のメリット

 中島氏が提唱する「ロメットスタート時間術」ですが、これを実践するには、安請け合いして締め切りを守れないという状況を避けるために、プロジェクトに携わるメンバー全員が「自分のタスクを必ず期限までに終わらせる」という強い意志を持たなければなりません。これまで何度か「20対80の法則」(パレートの法則)について書いていますが、それとは若干異なりますが、期限までの2割を使って8割終わらせるつもりで全力で取りかかるということが紹介されています。例えば10日で終わらせる仕事であれば、最初の2日で8割を終わらせるつもりで取りかかるということです。そして残った8日で仕事の完成度を高めていくのです。そうすれば、心地よいスラックが生まれ、次の仕事への準備もできるようになるのです。

 中島氏は、指定された時間の最初の2割で仕事に全力で集中するときに、ドラゴンボール孫悟空の必殺技「界王拳」をイメージすると言います。その際、何倍の「界王拳」を使うのかということまで具体的に決めるのです。最初の2日間は20倍の「界王拳」をイメージして、最大の能力を発揮する。その際、マルチタスクを放棄するのです。先日「SINGLE TASK」で書いたように一点集中です。複数のタスクに振り回されていては全集中はできません。

 中島氏は、「時間を制する者は、世界を制する」と言います。

 時間を正しく使えることで次のようなメリットが生まれます。

  1. 仕事のリスクを考えて納期を重視する・・・時間が正しく使えるようになると仕事のリスクを測ることができるようになります。納期に間に合わないと判断すればすぐに上司に報告することができる。仕事の質を追求するあまり、納期を守れないのは本末転倒です。
  2. プロトタイプを作って全体像を把握する・・・プロトタイプなしに制作に取りかかると、設計上では気づかないミスが発生するかも知れません。細かいことはkぃ似せず、全体像を描いた方が無駄なプロセスを省くことができます。
  3. 誤差への対応を想像する・・・締め切り当日をゴールに設定すると、土壇場で不足している部分に気づくことが多く、予想外の追加仕事(中島氏は「誤差」と呼びます)が生まれ、仕事が完成しないこともあります。

3 仕事を早く終わらせる方法

  1. 見積もりの調査期間を作る・・・仕事がどれくらいでできるか、見積もりを感覚に頼ってはいけません。しっかりと調査して見積もりを作ることです。
  2. 前半2割の時間で8割の仕事ができなければ、リスケジュール・・・例えば10日の時間であれば、最初の2日間は猛烈に仕事に取りかかり、2日終わった段階で仕事の8割が完成下という実感がなければ上司の相談してスケジュールの調整をすることです。「それくらいの見積もり感で仕事をこなさなければ、締め切りを確実に守ることはできない」と言います。
  3. 10日の仕事が5日で終わりそうでも提出は10日後・・・最初の2割で8割の仕事ができているので、大きな問題がなければ5日くらいで仕事を完成させることができます。中島氏は、2日間は全集中で仕事に取り組んでいるので、残りの8日間は休息も含めて流しながら仕事をすればいいと言います。これが、継続してパフォーマンスの高い仕事を続けられるコツだそうです。
  4. パレートの法則を意識する・・・一日の仕事でも朝の2割の時間に集中して8割の仕事をこなし、午前中にほとんどの仕事が終わっているので、午後はゆっくり流しながらメール対応などの作業をすればいいのです。他だ、「最初の2日間」だけは全集中、100%の力で働かなければなりません。
  5. 長期の仕事は縦に切る・・・ロケットスタート時間術は複数の仕事を同時に請け負っているときには、実行が難しいものです。数ヶ月、半年といった長期スパンの仕事であれば、仕事を縦に切っていくのです。仕事にはさまざまな工程がありますが、それぞれの工程を10日程度になるまで小さく縦に切り分けていき、それぞれの仕事を「ロケットスタート時間術」によって終わらせていくのです。
  6. 複数の仕事を平行するときは、1日を横に切る・・・複数の仕事を並行的に行なうには、1日の時間を横に切り分けて、その時間に仕事を割り当てていくのです。重要なのは、「その仕事を区切るまでは他の仕事のことは考えない」シングルタスクに徹することです。
  7. 他人の仕事は遅れるものと思う・・・チームで仕事をしているときに他の人の作業待ちで自分の作業が止まることがあります。そのときにはモックアップを作ることを提案しています。モックアップというのは要するに模造品を作ること、遅れている人の作業が完成したと想定して模造品を作り自分の作業と組み合わせて仕事の続きをすることです。プログラマーには馴染みのある考えかも知れませんが、一般的には難しいように思います。ただ、遅れている人の作業が完成したことを想定して自分の仕事の進め方を考えるのは良いことと思います。

中島氏が提唱する「ロケットスタート時間術」は、最初にスピードを上げて全力で仕事に取りかかり、心や気持ちに余裕を持たせて、仕事の効率を上げるというもので、参考になると思います。