中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

中小企業経営のための情報発信。中小企業から日本を元気に

休日の本棚 人は聞き方が9割

おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で5万5019人で、東京は9716人で3月30日以来の9000人台、大阪は5567人で4月13日以来の5000人台と、全国的にも感染者は急増しています。第5波、第6波に比べて重症者死者は少なくなっていますが、インフルエンザや単なる風邪と侮ることはできません。多くの人が後遺症に悩まされています。特に「ブレーンフォグ」と呼ばれる頭に靄がかかったような症状で、記憶力が落ち、同時進行で物事を進められず、作業内容を忘れたり、言葉が出ず物事を上手く説明できなかったりと、仕事に支障を来すケースが見られます。最悪休職か退職に追い込まれます。こうした後遺症についても原因が解明されておらず、明確な治療法もないというのが現状です。コロナに感染しないように最善の注意を払うことです。

さて、今日は、永松茂久著「人は聞き方が9割」(すばる舎を紹介します。

以前紹介した「一番読まれたビジネス書」に輝いた「人は話し方が9割」の続編といって良い本です。私も、これまで何度も聞く力こそがコミュニケーションの基本であると書いてきていますが、まさにそのことを示してくれている本です。この本には、人間関係において「聞くこと」がいかに大切であるか、さまざまな事例を交えて、わかりやすく説明されています。簡単に言えば、「聞くことによって、相手に安心感を与えることができ、誰からも求められる、貴重な存在になれる」ということです。相手の話を上手く聞くことで人間関係が円滑になり、更にどんな話でも好奇心を持って聞くことで、人生が寄り楽しく豊かなものになっていくのです。

人生もビジネスも人と人との関係で成り立っています。コミュニケーションはよりよい人間関係や信頼関係を構築する上で大切ですが、特に「聞く力」が重要です。多くの人は自分のことを話すことばかりに注力し、相手の話を聞いていません。それではよりよい人間関係も信頼関係も築くことはできません。よりよい人間関係・信頼関係を築くには、相手の話を親身になって聞くことが大切なのです。

永松氏は、前書「人は話し方が9割」の中で、「人は誰でも自分のことが一番大切であり、自分に一番興味がある生き物である」「本来、誰もが自分のことを認めて欲しいし、自分のことをわかって欲しいと熱望している」「人は自分のことをわかってくれる人を熱望している」と言っています。人は、自分のことを話すことで「快感を得たい」のとともに、「誰かに自分の話を聞いて共感してもらって安心したい」のです。

人は、「自分の話をしたい」のとともに、「自分の話を聞いてくれる人を求めている」のです。しかし、誰もが「自分のことを話したい」と思っているので、聞くことができないのです。「聞いている」という人のほとんどが、聞いているのは相手の言葉で、内容は把握していても、話し手の思いや感情までは把握できていないのです。しかし、「話を聞いて欲しい」人の多くは、単なる言葉や話の表面的な内容ではなく、その奥にある「気持ち」や「感情」を理解して共感して欲しいのです。

1.聞く人の7つのメリット

 「話すのが苦手」と言う人がいるのと同様、「聞くのが苦手」「人の話を聞いている時間が苦痛」と言う人も多いのです。「聞き方のコツ」をちょっと抑えるだけで、聞くのが楽しくなり、コミュニケーションがうまくいき、まわりから好かれるようになります。「聞き上手」になれば、自分も相手も安心できる空間を作ることができ、人はなすことがラクになり、人間関係も人生もよりよい方向に向かって動き出します。

 この本では、聞く人の7つのメリットが挙げられています。

  1. 語彙力が少なくてすむ・・・話すためには膨大な数の語彙力が必要で、語彙力を増やすために大きな努力と継続が必要ですが、聞く側になると「へー」「はー」「そうなんですか」「勉強になります」といった言葉を繰り返しながら相手の話題を引き出していけばいいので、それほど多くの語彙力を要しません。聞く方が話すよりも簡単なのです。
  2. 聞くことは読書と同じ・・・自分の中のインプットの量を増やすのに読書は有用です。目線を変えれば、人の話を聞くことは、目と耳という情報経路が違うだけで、知恵や知識、情報を自分にインプットするという意味で読書と同じです。
  3. 人の感情が読めるようになる・・・日本には「行間を読む」という文化があります。人の話をよく聞くと言うことは、その言葉の奥にある感情、つまり行間を読む訓練になります。人は誰もが、言葉の表層部分だけでは表現できない感情を秘めています。人の話をよく聞くことで人の感情をしっかり読み取ることができるのです。
  4. 相手を不快にさせるリスクが減る・・・相手を理解する前に一方的に話を進めると、相手にとって触れて欲しくない部分を刺激したり、自分ではよかれと思って言ったことが相手を不快にさせてしまうことがあります。話をすると言うことはそうしたリスクを高めているのです。これに対して、人の話を聞くと言うことは、相手がどんな人で、どんなことを考え、どんな感情を持っているかと言う情報を収集することで、それによって相手の興味のある話題を展開でき、相手を不快にさせるリスクは大幅に減ります。
  5. 聞くことで自分の盲点が見えてくる・・・人は色々な考え方を持っています。自分にない経験をしています。自分の知らないことも知っています。人の話を聞くと言うことは、自分の知らないことを知ることになり、自分の盲点となっている部分を気づかせてくれます。「相手から学ぼう」という姿勢を持って話を聞くことで、相手の体験や感情、知恵を疑似体験することができ、人生の幅が広がります。
  6. 沈黙を恐れなくてすむ・・・人は、話が途切れると、焦ります。誰もが会話での沈黙を恐れる感情を持っています。聞き手であれば、沈黙を恐れる感情を減らすことができます。相手の次の会話を黙って待っていればいいだけです。沈黙のプレッシャーがかかるのは主に話し手の方なのです。
  7. 勝手に人の評価が上がる・・・本能的に、人はゆっくり、どっしりとしたものに畏敬の念、カリスマ性を感じます。一生懸命早口で喋っている人よりも、ゆったりと頷きながら相手の話を鷹揚に聞いている人の方が好感が持たれます。人の話を聞ける人は、それだけ器が大きくゆとりを持った印象を相手やまわりに与えるのです。

2.相手の安心感を与え、好かれる人になる会話のコツ

 話をする前に聞くことが大切です。聞くことは難しいことではありません。すぐにでき、効果が絶大なことのみが紹介されています。ここで紹介されている、聞く力のコツを身につけることで、今まで持っていた会話における悩みが吹っ飛び、コミュニケーションの質が高まります。

  1. 否定しない・・・「それは間違っている」とは言わないことです。考えや意見が違っても、世の中にはさまざまな考えや価値観があります。今は多様性の時代です。自分と考えや価値観が違うだけです。違うことを認めw田植えで、相手の存在を受け入れることです。
  2. 押しつけない・・・正論を押しつけられると人は反発したくなります。正論であっても、相手を尊重して、自分の考えを丁寧に説明して相手の理異界を得るように努めることです。
  3. 競わない・・・相手の話にマウンティングしないことです。相手の立場や気持ちを理解することです。
  4. 急がさない・・・結論を焦らない、求めないことです。相手に無理矢理プレッシャーを与えないことです。
  5. 答えを言わない・・・指示や命令では相手は動いてくれません。「どうなったら嬉しい?」と質問することで、自発的に動いてくれるようにすることです。
  6. さえぎらない・・・相手の話を途中で変えたり、奪わないことです。否定的に繋がるような「でも」という言葉は使わないことです。
  7. ツッコまない・・・心を折るツッコミはNGです。会話でネガティブな言葉を使ってはいけません。
  8. 干渉しすぎない・・・人は干渉されるのを嫌います。「認めて、任せる」ことです。「相談に乗れることがあったら言ってね」と伝え、相手がアドバイスを求めてきたときに親身になって相談に乗ればいいのです。
  9. 漏らさない・・・「ここだけの話」の秘密は絶対に漏らさないことです。信頼と安心のカギです。

コミュニケーションは、よりよい人間関係や信頼関係の構築に必要不可欠ですが、人から受けいられている、安心感が得られるという思いが生まれれば、コミュニケーションは成功です。そのためには、聞く力が大切です。この本は、聞く力を磨くコツがわかりやすく示されています。テクニックも重要ですが、最も重要なのは、相手を知りたいという気持ちや相手を思いやる心です。