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休日の本棚 静かな人の戦略書

おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で22万2307人で、過去2番目に多く、4日連続で20万人超となっています。政府や自治体は行動制限に慎重ですが、行動制限・自粛要請をすると給付金や補償を支払わなければなるからでしょう。従業員Bがq感染したために開店できない店舗・事業所などの事例が増え、救急要請にも応じられない消防局、受け入れられない医療機関など、社会インフラが機能不全に陥りつつあります。経済を優先した結果、それが経済や社会の足を引っ張ることになりつつあります。今一度人の命や健康の重要さを考えるべきです。救える命が救えなくなれば、それは人災です。

さて、今日は、ジル・チャン著「静かなる人の戦略書」(ダイヤモンド社を紹介します。著者のジル・チャンはミネソタ大学大学院修士課程終了後、ハーバード大学などでリーダーシップ・プログラムを終了し、現在、内向型のキャリア支援やリーダーシップ開発のために国際的に活躍しています。

この本は、内向型である著者が、内向が短ならではの強みを活かし、成果を上げてきた経験を紹介しながら、内向的な人が人前でスピーチをする際の緊張や恐怖への対処、苦手を克服するためのノウハウなどが紹介されています。

先日、この本をベースとしたダイヤモンドオンラインの「『優れたリーダー』に共通していた意外な性格」という記事を紹介し、有能なりリーダーには「内向型人間が多い」とし、なぜ有能なリーダーは内向型かについて簡単に書きました。今日は、「静かなる人の戦略書」の内容をもう少し掘り下げて紹介します。

1.内向型には内向型ならではの強みがある

 一般的には「外向型人間」の方が社交的で何でもテキパキとこなし、即座に決断し、リスクをとるのも恐れず、優秀なリーダーが多いと思われがちです。一方、内向型人間は、物事を深く考えがちで、多くの刺激に対応できず、迅速ないし決定が得意でないと思われています。これを見る限り、優秀なのは「外向型人間」のように思えてきます。 

 しかし、先日も書きましたが、イーロン・マスクビル・ゲイツウォーレン・バフェット、マック・ザッカーバーグなども皆「内向型人間」です。

 確かに「内向型人間」の脳は即座に反応するのが得意ではありません。「外向型人間」になろうと努力してもなれるわけではありません。しかし、「内向型人間」には「外向型人間」にはない内向型ならではの能力が備わっているのです。内向型ならではの強みがあるのです。それを発揮することで、外向型人間に勝るとも劣らない力を示すことができるのです。前述の人たちは、この内向型の特徴を遺憾なく発揮し、成果を上げ成功しているのです。

 内向型人間の特徴は、外向型人間の特徴に比べて目立つものではありません。先日も書きましたが、謙虚さ、物静か、控えめ、無口、内気、寛大、出しゃばらない、良心的なドです。消極的でネガティブなようにも見えますが、これが、内向型の特徴です。

 内向型人間は、こうした特徴を有しており、その結果

  • 傾聴力がある
  • 深い関係が築ける
  • 分析能力が高い

のです。

2.控えめな態度が信頼を生む

 内向型は、何事にも控えめで、かつ慎重です。そのため情報収集に余念がなく何度も練習します。出しゃばらず、相手の話に真摯に耳を傾けるので、相手との人間関係の構築には役に立ちます。口調は穏やかで、話やスピーチでも押しつけがましくなく嫌みな感じに受け取られません。

 内向型人間は外向型人間に比べて口下手で人前で話をするのが苦手という人が多いです。上手く喋ろうと思う必要はありません。自分らしく、穏やかに、丁寧に、落ち着いて話をすればいいのです。内向型の穏やかな誠実さがでていれば、地味な内容でも聞く人の心に響きます。外向型人間のようにはったりをかます必要もなければ、業界用語や難しい言葉を並べる必要もジョークを交える必要もありません。誠実に、丁寧に、真面目に話をすればいいだけです。

3.傾聴を武器にする

 内向型人間は、謙虚で、相手の地位や年齢に関係なく等しく接し、その声に耳を傾け、相手の立場に立って物事を考えます。相手の感情を感じ取るのが得意です。相手の声に真摯に耳を傾けるので、相手の言葉の端々や身振り、表情を捉えて、言外の意味を読み取ることができます。そのため、些細な手がかりを逃すことはありません。それに基づいた的確な判断もできます。

 内向型人間の長所の1つが、相手の話にしっかりと耳を傾けること、つまり傾聴です。この傾聴こそが、内向型人間の弱みを武器に変え自信をつけさせてくれるものです。相手の話にしっかりと耳を傾け、相手の立場に立った会話ができるので、相手の心に響きます。

 内向型人間は、外向型人間のように大勢の人の前で社交的に話をする必要はありません。そんなことは他の人や広報に任せればいいのです。目の前にいる数人の話にしっかりと耳を傾け、心からの興味や思いやりを示せばいいのです。人前で上手く話をしたり話術に長けた人が成功するとは限りません。

4.事前準備をする

 内向型人間の長所の1つは常に先を見越して計画し、戦略を立てるのが得意と言うことです。内向型人間は、外向型人間は慎重で、情報収集にも余念がなく、時間を掛けて分析します。その場の状況だけで即断即決するのではなく、じっくりと考えて決断します。そのため、長期計画の策定や戦略策定は得意とするところです。

 こうした長所を活かし、準備万全でことに望めば最大の成果を得ることができます。

5.人前で話す極意

 内向型人間は人前で話すのが、あまり得意ではありません。外向型人間でも大勢の人の前では緊張しますから、内向型人間が緊張するのは当たり前です。しかし、人前で話をするというのは、ある意味慣れです。

 人は緊張すると自律神経の作用によってアドレナリンが分泌され、逃走、逃避反応という生理学的な拒否反応が起こります。他人の目を気にしすぎたり、経験不足や、スピーチのテクニックの未熟を気にしたりすると、益々ストレスがかかり、緊張や恐怖が増します。

 こうしたストレスや恐怖から逃れるための方法として、次のようなものが挙げられます。

  1. 脱感作・・・これは、医学用語で、アレルギー治療法の一つです。過敏性の原因となるアレルゲンをごく少量注射し、次第にその量を増やし過敏性を減弱することです。自分がストレスや恐怖を感じる対象に強制的に接触することによって、扁桃体の感度を徐々に下げて、ストレスや恐怖に対する免疫を作るということです。
  2. イメージトレーニン・・・完璧な状況や、最高の結果に繋がるシナリオを何度も想像して、脳内で、「正の強化」を起こすことです。落ち着いて堂々と人前で話している自分の姿をまじまじと思い描くことで、エネルギーを奮い立たせ、不安を和らげるのです。
  3. 分散させる・・・人前で話すというのは慣れです。間隔をあまり長く開けすぎず、スピーチの間隔を分散させて経験を積むことです。
  4. ポジティブな反応を意識する・・・スピーチの最中に、肯定的なフィードバックを求め、聞き手の顔を見回すことです。自分の話に頷いてくれている人や真剣に聞いてくれている人を探すのです。また、激励の言葉や主宰者からの好意的な評価も自分を前進させるモチベーションとなります。

 内向型人間は、相手の感情をつかむのが得意です。相手の話に耳を傾け、相手のい立場に立って物事を考えることができます。上の方法を実践することで、人前で話すストレスや恐怖を克服することができるかも知れませんが、重要なのは、内向型の長所を活かし、真摯に相手に寄り添うように話をすることです。仮にストレスや恐怖で口ごもったりしても、丁寧に、誠実に、真面目に真摯に話をすれば、相手に思いは伝わるはずです。恐れる必要はありません。失敗しても命まで取られることはありませんし、それが経験となって次の機会には少しは緊張も和らぎ上手くスピーチすることができるようになります。