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人的資本を活かす

おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で24万9830人で過去最多となり、24道府県で過去最多を更新しています。また日本の感染者数は2週続けて世界最多となっています。しかし、これは検査数が減った国があるためで、それほど気にすることでもありません。昨日も書きましたが、日本でも全数把握を放棄しようという動きがありますが、データを正確にとって検証を行なわない限り、今後新たな感染症が出てきたときの対策に役立てることはできません。全数把握を放棄するのは、感染者数を誤魔化すことで何もいいことはありません。感染者数の割合からすれば低いかも知れませんが、重症者・死者も増えてきています。2類から5類に変えようとか、全数把握を辞めるとか、そんな議論をしている場合ではありません。しっかりとした感染防止策を提示すべきです。

さて、今日は、ライフハッカーの「『人的資本』を最大に活かす、新リーダーの心得」という記事を取り上げます。

人的資本経営」については、以前書きました。人的資本経営というのは、経済産業省の定義によれば、「人材を『資本』として捉え、その価値を最大限に引き上げることで、中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方」のことです。経営資源には、ヒト・モノ・カネ・情報がありますが、そのうちヒト、つまり人材を最も重要な資本として、戦略的に人事を考えることが求められてきているのです。これが「戦略人事」です。経営戦略と人事マネジメントを連動させることによって、自社の競争優位の実現を目指そうというものです。

いまの混迷の時代、人材という企業にとって最も重要な資本をどのように活かしていくかを考えなければなりません。一方で、いまは多様性の時代で、さまざまな価値観や考え方が尊重され、個人の仕事や働き方に対する価値観や考えもさまざまです。個人の価値観や生き方を尊重しながら、組織のパフォーマンスを最大化する方向に思い切って変革していかなければなりません。

1.人的資本の基本

 ここでは、アメリカの作家マイケル・ルイスの「マネー・ボール」という作品が紹介されています。メジャーリーグの貧乏チームオークランド・アスレチックスが、データサイエンスを駆使して、それまでのチーム運営とは全く異なるアプローチで、強豪チームに変わっていく姿を描いたノンフィクションです。この作品が人的資本を理解するのに役に立つというのです。

 野球というスポーツは相手より多く点を取った方が勝ちです。選手には「何よりも得点に貢献すること」が求められます。アスレチックスは当時は画期的だったデータ分析の手法を野球というボールゲームに導入します。昔から「得点への貢献」と言えば、打率やホームラン数で、これらは非常にわかりやすい数字です。アスレチックスでは、ヒットやホームランのみならず、四死球も含めて「何でもいいから塁に出る確率」つまり「出塁率」を重視するのです。この数値を見ると以外の選手が優れた数値を湿していることが分かり、ヒットやホームラン数は少ないが支給で塁に出る確率が高い選手を次々とスカートしていきます。こうした選手は他のチームの注目度が低いため貧乏チームのアスレチックスでも契約できるのです。

 アスレチックスは、次の3つのポイントで選手という人的資本を上手く活用していると言います。

  • 選手の極めて具体的な能力に着目していること・・・出塁率など、選手の能力を具体的に数値化している
  • 結果を出したこと・・・相手チームより多く点を取るためにどんな能力が必要かを見極め、その能力を備えた選手を組み合わせることでチームを強化した。
  • 現場のリーダーがチームを動かした・・・フロントが採用した選手を現場の監督・コーチが上手く使った。

2.能力に着目して結果を出す

 このアスレチックスの3つのポイントは、そのままビジネスに置き換えることができます。

 人的資本の活用では、人の能力にフォーカスします。それも超具体的にです。例えば、営業でも、アポを取るのが得意なのか、優れた資料を作るのが得意なのか、顧客との交渉が得意なのかなど具体的に分析します。その結果、一人ひとりがもつ多様な個性が際立ってきます。そして、チームとして結果を出すために、各々の能力を組み合わせます。野球では得点が目標ですが、営業では売上が目標です。この多様な個性を組み合わせ、より目標を達成しやすいチームを作るのです。

 更に、現場のリーダーである管理職が、理論と戦略をしっかりと落とし込むことです。企業が「人的資本経営」を掲げたなら、管理職がそれを理解し、チームで実践しなければなりません。「人的資本経営」の成功のカギは、現場のリーダーにあります。

 リーダーの重要な役割は、ヒットやホームランという派手な個性とは違う、キラリと光る孤影を発見することです。彼らの個性を発見しそれらを上手く組み合わせて活用して結果を出すのが「人的資本を活かす」ということです。