中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

中小企業経営のための情報発信。中小企業から日本を元気に

休日の本棚 無敗営業

おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で18万138人で、高知以外の都道府県で減少しています。楽観はできませんが、第7派のピークは越えたのではないかと思います。このまま減少傾向が続くことを期待します。

さて、今日は、高橋浩一著「無敗営業」(日経BP)を紹介します。著者の高橋氏は、本の帯にあるように「東大卒、延べ3万人を指導してきた異色の営業コンサルタント」で、「コンペで8年無敗」というとんでもない実績の持ち主です。この本は、高橋氏がその経験に基づくノウハウを営業現場で使いやすい形で解説してくれています。この本で書かれているノウハウは、精神論ではありません。実務の根ざした営業のノウハウです。

無敗営業のサブタイトルに「『3つの質問』と『4つの力』」とありますが、営業というのはある意味技術であり、誰でも身につけることができるもので、その要となるのが「3つの質問」と「4つの力」です。

この本の構成は

第1章 営業とお客様の「ズレ」は、情報ギャップから生まれる

第2章 情報ギャップを乗り越えて接戦を制する

第3章 お客様とのズレを解消する「4つの力」

第4章 お客様を深く理解する「質問力」

第5章 お客様に必要とされるための「価値訴求力」

第6章 お客様の意思決定を助ける「提案ロジック構築力」

第7章 お客様とともに段取りを決める「提案行動」

第8章 「ルート型」と「アカウント型」で4つの力を発揮する

となっています。

これまで何度も書いていますが、重要なのは顧客視点(顧客第一主義)コミュニケーション、特に質問力です。

営業とお客様との間にはズレ・ギャップが生じています。そのズレ・ギャップゆえに商談がうまくいかないことが多いのです。特にお客様が信頼する営業は「わかってくれる」営業で、ズレやギャップを解消するためのコミュニケーションが重要だということです。

以前、社外プレゼンについて書きましたが、社外プレゼンを「自社の製品やサービスを発表・提示する場」と考えている営業マンは多いのです。社外プレゼンで、時差の製品やサービスを滔々と聞かされる相手(お客様)はどう思うでしょうか?「なぜ、この会社の自慢話ばかり聞かされないといけないんだ」と早々に興味を失い、不満や憤りだけが残ります。専門用語を並べてもお客様は理解できません。

プレゼンや交渉で重要なことは、「相手の理解と納得」です。お客様が理解し、納得しなければ、プレゼンも交渉も成功することはありません。大切なのは「自分が伝えたいこと」を伝えるのではなく、相手の「理解と納得」に徹するのがプレゼンや交渉の極意なのです。

商談や案件の受注難易度は「楽勝」「接戦」「惨敗」の3つに分けられますが、「接戦」をいかに制するかが重要になります。

1.「3つの質問」と「4つの力」

 接戦を制するために重要なのが「3つの質問」です。

  1. 接戦状況を問う質問・・・接戦かどうか? 何がネック(強豪、保留、内省)か?競合との順位は?自社の提案が通る条件は?
  2. 決定の場面を問う質問・・・受注(失注)がどの瞬間(場面)に決まったか?を聞く→理由を聞いても主観は建前だが、場面は事実
  3. 裏にある背景を問う質問・・・枕言葉:「もし○○されたら」「個人の意見で決行ですので」 深掘り:「と、おっしゃいますと?」「具体的には?」 特定:「特にここ1ヶ月で」「AとBではどちらで?」

 この3つの質問が威力を発揮する前段階で、ズレが生じて「わかってくれBない」と思われたら元も子もありません。そこで重要となるのが4つの力です。

  1. 質問力・・・お客様を深く理解することで、わかってくれている」となる
  2. 価値訴求力・・・お客様に必要とされるお客様の役に立つ価値提供
  3. 提案ロジック構築力・・・お客様の意思決定を助ける、当社を選ぶ理由づくり
  4. 提案行動力・・・お客様とともに段取りをスムーズに進める

 これらの3つの質問と4つの力が確証で具体的に説明されています。

ここでは「質問力」について書いていきます。

2 お客様を深く理解する「質問力」

 お客様は「わかってくれていない」と思った瞬間、興味を失い、その営業の言葉は耳に入ってこなくなります。そして、断る際には「値段が・・・」「今はまだ・・・」と言いだけで、本当の理由を述べることはありません。

 逆に言えば、お客様が「わかってくれている」と思ってくれたら、商談は半分成功です。社外プレゼンや交渉は「相手に合わせること」が大切なのです。「お客様に合わせる」ためには、お客様がどのような「課題」を抱えているのか、お客様がどういう特性を持った企業・人物かを徹底的に「知る」ことが重要なのです。

 社外プレゼンや交渉は「自社の製品やサービスを発表・提示する」ことではなく、「お客様の課題を自社製品やサービスを使って解消する方法を発表・提示する」ことなのです。

 以前にも書きましたが、これを実践していけば、ときには自社の製品やサービスがお客様の課題を解決できないということもあり得ます。こういうときには無理強いせず、「買わない方がいい」と提案することです。「ストーリー営業」で書いたように、顧客の「理解→課題→価値→方法」といった一連のストーリーに寄り添うならば、「買わない方がいい」と伝えるべきなのです。

 相手を知ることの重要性は、これまでも書いています。よりよい人間関係や信頼関係の構築には相手を知るということは必要不可欠です。社外プレゼンや交渉においても、お客様がファンになってくれると言うことが大切です。「この人から買いたい」「会いたい」と思ってもらえるようになることです。

 営業が「ストーリー営業」を実践し、「売らない営業」を行なえば、たまたま今回は買わなかったお客様も、営業担当やその企業にファンとなり、新しい課題が発生したときにはその営業や会社に相談し、次はストーリーにあった商品やサービスを購入してくれるはずです。