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働きがいとビジネスセンス

おはようございます。

今日も過去のブログを貼り付けます。

プレジデントオンラインの「ビジネスセンスのない人ほど『働きがい』『利益が出る』という言葉を使う根本理由」という記事に関するブログです。

1.「働きがい」という言葉

 昨今、「働きがい」という言葉が多くの企業で使われています。「働きがい」という言葉は、「モチベーション」とは異なり、言語化できません。「働きがい」という言葉を説明できない経営幹部も多くいます。経営幹部が責任ある場所で発する言葉の、その定義を正確にとらえられていないというのが問題なのです。

 「働きがい」という言葉は「働く」と「かい(甲斐)」で構成されています。「甲斐」という言葉は「やった甲斐があった」という風に、過去を振り返って覚える感情のことです。勇気をもって、努力して、覚悟を持ってやった後に覚える感情、つまりやりきった後に覚える感情なのです。

 「働きがい」「やりがい」というのは、「働いた甲斐があった」「やった甲斐があった」という感情であり、覚悟を決めて行動をしたのちに覚える感情なので、働く前ややる前に「働きがい」や「やりがい」という感情を持つかどうかを推し量ることはできないのです。もちろん「働きがい」がありそうだとか、「やりがい」がありそうだと思うことはありますが、実際に働いてみて、やってみて「働きがい」や「やりがい」という感情が出てくるという保証はありません。したがって、「働きがい」ということが、働く目的にはならないのです。「甲斐」というのは、努力した結果の証(しるし)ではありますが、本質ではありません。

 大辞林では、「甲斐」とは「その行為に値するだけのしるし。また、それだけの値打ちや効果」としています。

2.最低限のビジネスセンスはすべての人に必要

 これまでも何度か書いていますが、今はVUCAの時代です。先行きが見えず何が正解かわからない時代なのです。こうした時代だからこそ、経営者だけに限らず、すべてのビジネスパーソンにビジネスセンスが必要です。

 ビジネスセンスは「ビジネス」と「センス」で構成されています。

 まず、ビジネスの本質ですが、それは収益を生むことです。下世話な言葉で言えば、「儲けること」「お金儲け」です。ボランティアではないので、収益を上げて納税し働く人に物心両面の豊かさを味わえるくらいの経済的報酬をもたらすことです。

 経営者の中には「お金を追求してはいけない」と言う人もいます。しかし、ビジネスの本質は「儲ける」ことです。儲けることができなければ社会的貢献もできません。以前紹介しました稲盛経営12箇条にも「売上を最大限に、経費を最小限に抑える」「値決めは経営」などとあります。

 社会に貢献するというのは、企業の立派な目的の一つですが、利益を上げられなければ社会に貢献できません。逆に社会に貢献できなければ利益を上げることはできません。利益と社会への貢献は両方とも企業にとって重要なものです。

 この記事でも「ビジネスの本質はお金儲けである」と断言し、この当たり前のことを忘れてはいけないと言っています。本質というのは流行に左右されるものではありません。ビジネスの本質は「お金儲け」であり、それに「社会貢献」という第二の目的が付け加わっているのです。

3.ビジネスセンスのある人、ビジネスセンスのない人

 ビジネスセンスのある人は、ビジネスが「お金儲け」であることを理解しています。きれいごとは言いません。正しい日本語を使います。

 「製品が売れる」「利益が出る」といった主体性に欠ける表現はしません。主体は「私」であり「私たち」です。正確な言葉で言えば、「私たちは、この製品でお客様のお困りごとを解決し、正当な対価をいただく、そして利益を上げる」という表現になります。

 ビジネスセンスのある人はお金が持つインパクトを理解していますし、「お金がなさすぎる」リスクも「お金がありすぎる」危険性も熟知しています。

 お金をどのように主体的に生み出せるのか、そのことが分かっていないのに、「お金のことを考えるのは汚い」などと言う人は、お金を軽視していますし、ビジネスの本質を理解していない、つまりビジネスセンスがない人なのです。

4.「働きがい」は、働く本質を理解した後に感じるもの

 繰り返しになりますが、ビジネスというのは「儲ける」ことです。「働く」というのも、日々仕事をこなすことではありません。「働く」人は常にビジネス、つまり「儲ける」ことを意識しなければならないのです。ビジネスの本質が「お金儲け」であり、自分の仕事がそれにどのように貢献できているのかを考えなければならないということです。これを考えることでビジネスセンスが身につきます。

 日々の努力と、その意義を理解した時に初めて「働きがい」を覚えられるようになるのです。少なくとも、何かをした「甲斐」というのは、努力や葛藤の体験があってはじめて抱く感情なので、働く前から「働きがい」を覚えるということはありません。

 「働きがい」という言葉の意味・意義を十分に理解せず、多用することは避けたいものです。