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休日の本棚 コンサルタントが使っているフレームワーク思考法

おはようございます。

今日も過去に紹介した本のブログを貼り付けます。

さて、今日は、高橋健三著「コンサルタントが使っているフレームワーク思考法」(中経出版という本を紹介します。「今日から即、使える!25の厳選知的生産ツール」とあります。

フレームワークというのは「枠組み」「骨組み」「構造」といった意味で、ビジネスフレームワークと言えば、経営戦略や業務改善、問題解決などに役立つ分析ツールや思考の枠組みのことです。簡単に言えば、ビジネスの課題を解決に導き成果を生み出す、思考の「型」です。

多くのビジネスパーソンは、「情報が多すぎてどう整理したらいいか分からない」「課題やクレームに振り回されどう対処したらいいか分からない」「いいアイデアが思い浮かばない」「上司や他部門をうまく説得できない」「顧客へのプレゼンがうまくいかない」などの悩みを抱えています。

フレームワークは幅広い情報をうまく整理して、活用するための「型」のようなものです。日頃から当たり前に行っている情報収集や課題の発見、または新しいアイデアの発想などにフレームワークは活用できます。この本では、コンサルタントである著者が厳選した特に活用頻度の高い25のフレームワークが紹介されています。また。単にフレームワークの内容の紹介だけにとどまらず、「あるメーカーの営業担当者」という主人公を想定し、具体的な活用性が示されているので大いに役立ちます。

フレームワークには次の3つのメリットがあるとされています。

  1. あるテーマについて考える際に「見落としを防ぐ」・・・フレームワークを用いれば、あらかじめ「枠組み」が示されているので枠組みに沿って順番に考えればいいので検討漏れが防げる。
  2. 効率的に考えられる・・・フレームワークでは検討すべき点が整理されているので何から検討すればいいか分からないというムダがない。
  3. コミュニケーションが容易になる・・・フレームワークはビジネスパーションの共通言語。フレームワークを使って整理した場合、社内外を問わずに相手に理解されやすい。

本書ではフレームワークを使うことで、①情報収集力 ②課題発見力 ③アイデア発想力 ④社内交渉力 ⑤顧客交渉力の5つの力が身につくと言っています。そして、この5つの力から、フレームワークを分類しています。

1.情報収集力を鍛える5つのフレームワーク

  • 5W2H・・・「場面」(いつ・どこで・誰が)「出来事」(何を・いくらで・どうした)「背景」(なぜ)の情報を整理する。情報共有の中で最も重要なのが「背景」(なぜ?)。「なぜその商品化」「なぜその価格なのか」「なぜその売り場なのか」と言った背景を洞察することで、戦略的な狙いが見えてくる。社内外への報告・連絡・相談、プレスリリースの原稿作成などに活用できる。
  • 経営資源の5視点・・・「ヒト・モノ・カネ・情報・時間」をチェックする。小さな会社の場合、「ヒト・カネ・モノ」では大企業に劣るので、「情報・時間」という応用リリースに着目するのがいい。競合企業の資源配分確認、業界の資源配分動向、自社の資源配分見直しなどに活用できる。
  • イノベーター理論・・・「誰を」タ-ゲットにしているかを確認する。イノベーターとアーリーアダプターを合わせた16%を超えると一気に普及すると言われているので、キャズムを乗り越える公告・宣伝活用が重要になる。自社の商品別ターゲット分析、自社商品の普及度確認、今日後y企業のターゲット設定確認などに活用できる。
  • 4C・・・顧客にとっての価値・顧客コスト・利便性・顧客とのコミュニケーションという4つの顧客視点で商品・サービスをチェックする。競合商品のチェック、自社商品の課題発見、他業種の4Cモデルからのヒント発見などに活用できる。
  • 五感・・・印象に残った感覚を記憶し、ビジネスに活かす。競業企業の店頭調査、イベントの魅力評価、自分の購買行動振り返りなどに活用できる。  

2.課題発見力を高める5つのフレームワーク

  • PEST・・・事業の推進に大きな影響を与えるマクロ環境の変化について、政治(Politics)・経済(Economy)、社会(Society)、技術(Technology)の4つの要因から分析する。税制や規制の変革期、新技術の創出期、消費動向の変革期などに活用できる。
  • 5フォース・・・自社を取り巻く環境を「見える化」する。業界の収益性を決定づける5つの競争要因(①売り手の交渉力 ②買い手の交渉力 ③業界内の競合④新規参入の脅威 ⑤代替品の脅威)を分析する。仕入れ先との交渉、販売先との交渉、同業他社の動向確認などに活用できる。
  • 3C・・・顧客(Customer)・競合(Competitor)に対する自社(Company)の能力を知る。既存商品の販売促進、新商品の開発、新サービスの提供などに活用できる。
  • PLC(プロダクト・ライフ・サイクル)・・・自社商品の鮮度を知り、効率的に稼ぐ。導入期→成長期→成熟期→衰退期というサイクルに応じて顧客層とマーケティング戦略は異なる。既存商品の販売促進、長期販売商品のリニューアルなどに活用できる。
  • SWOT・・・内部環境(強み(S)と弱み(W))と外部環境(機会(O)と脅威(T))の変化を同時に分析し、それらを組み合わせることで、自社の強みを生かした施策を見つける。新たなビジネスチャンスの発見、自社の強み活用方法の検討などの活用できる。

3.アイデア発想力が身につく5つのフレームワーク

  • MECE(Mutually Exclusive Collectivery)・・・モレなくダブりなく発想する。MECEで検証することで、課題を見逃すことが亡くなり、その解決策を検討する際にもMECEでアイデアを整理することでなすべき施策がモレることが防げる。販売結果の要因分析、既存商品の販売促進間、新商品の開発アイデアなどに活用できる。
  • アンゾフ成長マトリクス・・・売り上げを拡大させるための施策を①市場浸透 ②商品開発 ③市場開拓 ④多角化 の4つに分類する。市場浸透→商品開発→市場開拓→多角化という順番で検討することが重要。事業計画の立案、営業計画の策定などに活用できる。
  • STP・・・セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングの3つを順に検証し、効果的に売上を上げる。新商品の開発、既存商品の販売促進、新たな販売チャネル開拓などの活用できる。
  • 4P・・・「製品・価格・流通・仕掛け(プロモーション)」の施策をあぶりだす。顧客に提供する価値をどのように構築するかという視点が重要になる。4Pは規模に関わらず、すべてのビジネスに活用できる。新商品の開発、既存商品のリニューアル、商品の販路開拓及び販促企画などに活用できる。
  • AISAS・・・インターネットを積極的に活用する消費者ん購買行動プロセスを説明するモデル。Attention(注目)→Interest(関心)→Search(検索)→Action(購買)→Share(情報共有)というプロセスを表す。「検索→購入→情報共有」というグッドサークルを作ることができれば、継続的な売り上げを見込むことができる。新商品の年間販促計画、既存企業のキャンペーン企画などに活用できる。

4.社内交渉力が向上する5つのフレームワーク

  • VC(バリューチェーン・・・事業活動を機能ごとに分類し「どのプロセスで付加価値を生み出しているか」を分析する。ビジネスモデルの見直し、製造段階の施策発見、販売段階の施策発見、サービス段階の施策発見などに活用できる。
  • PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)・・・問題児→花形→金のなる木→負け犬という4つのステージに分けて自社の製品を分析する。商品ラインナップの評価、商品別マーケットシェア、商品のヒット率の確認などに活用できる。
  • KBFとKSF・・・「買う理由」と「売れる理由」を明らかにする。絞り込んだターゲットのニーズを、「品質」「価格」「場所(時間)」の何に優先順位をつけて購入を決めているかを把握し、そのニーズの合せて売れる理由を定義す実践する。顧客ニーズの把握、自社業績の要因分析、競業他者の競争力分析などに活用できる。
  • 7S・・・組織を思い通りに機能させるために必要な要素、①戦略 ②組織構造 ③組織運営 ④人材 ⑤能力 ⑥社風 ⑦共通の価値観 の相互関係を明らかにする。部分から全体へと視点を広げることが大切。販売施策の現場への浸透、新年度の組織体制、評価制度の見直しなどに活用できる。
  • PUSHとPULL・・・メーカーから卸売業者→小売店へと順に仕掛けるのがプッシュ戦略、メーカーが直接消費者に商品情報を伝え購買意欲w喚起するのがプル戦略。「営業力」と「集客力」のバランスを図ることが重要。新商品の導入時、既存商品の販売促進計画、取扱店対策などに活用できる。

5.顧客提案力が身につく5つのフレームワーク

  • Why・What・How・・・「なぜ・何を・どのように」は顧客提案の基本。「なぜ」で課題の本質を絞り込み、「何を」で解決のテーマを明確にして、「どのように」で具体的な解決方法を提示する。相手の立場に立って、「なぜ・何を・どのように」で質問進ければ分からない点は内かを事前にチェックする。社内での稟議・企画提案、社外での企画提案・新商品提案などに活用できる。
  • DMU(Decision Making Unit)・・・誰が意思決定しているかを特定する。提案活動がうまくいかない背景にはDMUを正しく分析・理解できていないことがある。窓口担当者を取り巻く関係者の同行は常にチェックする。法人顧客の情報整理、新規取引先の開拓などに活用できる。
  • 起承転結・・・起(前提情報の整理)→承(課題の本質を共有)→転(解決策を提示)→結(諸条件を確認)。プレゼンの目的は「伝えること」ではなく「共感し、行動してもらう」こと。1つの段落の中にも起承転結を組み込み、段落ごとの結論を相手と共有することが大事。社内外での企画提案・商談時の見積もり、新規顧客への会社案内などに活用できる。
  • 価値の三層構造・・・企業が製品を通じて顧客に提供する価値は、下から「機能価値」「付加価値」「心理価値」の3層に分類できる。「機能価値」d家では価格競争に巻き込まれやすく、「心理価値」が高い商品は利益率の高いビジネスができる。「心理価値」をどのように構築できるかが課題。新商品企画、既存商品のリニューアル、店頭キャッチコピーの見直しなどに活用できる。
  • PDCA・・・「計画→実施→点検→改善」というサイクルを回しながらスパイラルアップすることが狙い。顧客に提案する商品や企画も、常にPDCAサイクルを意識して継続的に改善することで、着実にファンを増やすことができる。開発、営業、管理すべての部門における日常業務、事業計画の策定と見直しなどに活用できる。

フレームワークの効果と活用方法を理解したら、後は実践あるのみです。

フレームワークを使うことで、最短で最適な答えを導き出すことができます。

しかし、フレームワークは万全ではありません。フレームワークの当てはめたからと言ってそのまま正しい答えが出てくるというものではありません。フレームワークは枠組みにしかすぎないので、それを自社や自分の業務に合わせて使いこなしていく必要があるのです。既存のフレームワークを適用して、自社や自分の仕事に合わなければそれを修正していくことが大切です。フレームワークは思考を整理するための道具・ツールにしかすぎません。フレームワークは役立ちますが、単なる手段と考えてうまく利用しましょう。