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VUCAの時代 ミッションに回帰せよ

おはようございます。

新型コロナの新規感染者が増加傾向にあり第8波の入り口にさしかかっています。政府は一定の基準を示しましたが、経済を優先するため行動制限は行なわないようで、各人が節度を持って、うつらないよう・うつさないように気をつけるしかありません。

さて、今日も、過去のブログを貼り付けます。

ビジネス+ITの「今こそ企業も個人も『ミッション』へ回帰せよ」という記事についてのブログです。この記事は、元スターバックスコーヒージャパンCEOの岩田松雄氏が、「不確実な時代におけるミッションの重要性」について、自身の経験をもとに語ったものです。

1.ミッションとは何か

 企業経営において「ミッション」という言葉がよく使われますが、「ミッション」とは何でしょうか?また、「ビジョン」との違いは何でしょうか?

 「ミッション」には「目的、使命、存在意義、役割」といった意味がありますが、企業経営においては「その組織や個人が果たすべき使命や役割」を意味します。

 企業理念を掲げるためのポイントとして、①ミッション ②ビジョン ③バリューの3つの構成要素があります。そのうちミッションは組織の方向性を決めるうえで極めて重要なものです。

  1. ミッション 「組織が果たすべき使命」「社会に対してどのように貢献するか」
  2. ビジョン 「実現を目指す」「理想とする姿の追求」
  3. バリュー 「組織が共通してもつ価値観」 

 「ビジョン」が企業が目指すべき目的地であり、「バリュー」が目的達成のための手段であり、「ビジョン」は「何故、企業がその目的を掲げその達成を目指すのか」という使命・存在意義を表します。

2.今、求心力としてのミッションが重要に

 今は「VUCA(ヴーカ)の時代」と言われます。VUCAとは、Volatility (変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字をとった言葉です。もともとは冷戦後の国際情勢のを示す言葉でしたが、2010年頃からビジネスシーンでも使われるようになりました。

  • Volatility(変動性)・・・これからどのような変化が起こっていくか」が予測不可能な、変動が激しい状態
  • Uncertainty(不確実性)・・・不確実なことが多く、「この先、我々を取り巻く環境がどう変化するか」分からない状態
  • Complexity(複雑性)・・・様々な要素・要因が複雑に絡みあい、単純な解決策を見出すのが困難な状態
  • Ambiguity(曖昧性)・・・「どうしたら問題を解決できるのか」「本当にこの方法で解決できるのか」絶対的な解決方法が見つからない曖昧な状態

 コロナ禍でのリモートワークもVUCAを象徴する変化の一つです。岩田氏はこれを「遠心力が働いている」と表現しています。VUCAの時代こそ、一層求心力が必要になり、組織にとっての求心力がミッションであるというのです。

3.企業の目的は利益の最大化ではない

 私は、企業の目的が利益の追求であることは否定しません。企業が利益を上げることができなければ、成長どころか存続すら危ぶまれます。利益を上げるということは企業が存続していくために重要な目的の一つです。

 岩田氏は「会社は何のために存在するのか」という問いに「企業というのは、事業を通じて世の中をよくするためにある」と言います。社会に貢献するというのも、立派な企業の目的の一つです。利益を上げられなければ、社会に貢献できませんし、逆に社会に貢献できなければ利益を上げることはできません。利益と社会への貢献は両方とも企業にとって重要なものです。

 岩田氏も「それぞれの企業にはミッションがあり、ミッションを遂行するために企業は存在します。そのための手段として必要になるのが利益です」と言っています。

 稲森和夫氏も「人間中心の経営」を掲げながらも「稲森経営12箇条」で「売上を最大化し経費を最小化する創意工夫が高利益を生み出す」としています。

4.ビジョン、バリューよりもミッションが特別な理由

 先ほども書きましたが、経営にとって必要な3つのもの、ミッション・ビジョン・バリューの中で、ミッションが組織の方向性を決めるうえで最も重要なものです。繰り返しになりますが、ビジョンは「目指すべき目的地」であり、バリューは「企業な価値観、行動の判断基準」です。それに対し、ミッションは「企業の使命や存在意義。何故その目的を達成したいのか」です。ビジョンがWhat、バリューがHowであれば、ミッションはWhyです。

 岩田氏は、登山を例に説明しています。登山家のミッションは山に登ることです。山に登るのを止めれば登山家でなくなります。ビジョンとはどうなりたいかをイメージすること、「五年後にエベレストに登頂する」というようなものです。バリューは山の登り方です。どのように登頂するのか行動指針・計画を作ることです。

 岩田氏は、「事業環境が劇的に変化する時代だからこそ、原理原則としてのミッションが重要で、色々な価値観を持った社員が同じゴールに向かうためにもミッションという共通のゴールが必要だ」と言います。ミッションという旗を掲げていれば、そのミッションに共鳴した人が集まりやすく、ミッションによって社員のモラルを上げる効果があるのです。

 先日の「スターバックスの組織開発」でも書きましたが、スターバックスでは、経理理念(ミッション)や企業文化に社員一人ひとりが共感し、「自分ごと化」して自律的に行動するようになります。スターバックスのミッションを理解し、これを実現したいと思っているから、社員も辞めないのです。辞めないから教育投資ができる、教育投資をするから辞めない、という好循環が回るのです。

5.個人も「生かされていること」を自覚せよ

 個人も自分のミッションを持つべきです。

 岩田氏は「何が起こるかわからない今の世の中で、人は生きているというより生かされています。生かされている理由こそがミッション。自分にとって、好きで、得意で、人のためになることは何なのか、これを意識して考え続けることが大切です」と言います。「情熱をもって取り組めること」が「好きなこと」で、「世界一になれること」が「得意なこと」で、「経済的原動力になるもの」が「何か人のためになること」です。

 これは「ビジョナリーカンパニー2 飛躍の法則」に出ているものです。飛躍した企業は、自社が世界一になれる部分経済的原動力になるもの情熱を持って取り組めるものという3つの円が重なり合う部分に関する深い理解に基づき、この深い理解を単純で明快な概念にまとめ、この概念をすべての活動の指針とし、目標と戦略を設定しているのです。これは企業だけでなく、個人においても同じということです。

企業経営においては、重要なことは、WhatやHowではなくWhyです。常に、「何故?」と問い続けなければなりません。その「Why」の最たるものがミッションです。

トヨタ5W1Hは「Why?Why?Why?Why?Why?How?」です。ひたすら社員に問い続けることで「Why?なぜ?」を集めるのです。それらを検討することで、真の解決方法(How)が見つかるのです。