中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

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良いモノだけでは売れない時代

おはようございます。

高度成長期は「作れば売れた」時代でしたが、今は「良いモノを作っただけでは売れない」成熟期に入っています。ところが、中小企業の経営者には、「良いモノを作れば売れる」と未だに信じている人も多いのです。確かに良いモノが売れる可能性はありますが、「性能が良い」というだけでは人は買わなくなってきています。良いとか悪いとか言うのは人の主観・価値観であり、価値観が多様化している現在、ある人にとっては良いモノでも他の人にとっては魅力のないものとなるのです。

だからといって、多様化する顧客のニーズや要求にすべて応えようとすることは不可能です。ポーターが指摘するように、日本企業はすべての顧客のニーズを満たそうと「すべてのモノをすべての顧客へ」となり、明確なポジショニングを見失っているのです。

1.「あのときは良いモノを作っていた」という誤解

 「今の若い者は」「自分らの時代には」というのは旧世代の人たちが使うお決まりのフレーズです。企業の製品やサービスでも同じです。売上が低迷すると「良いモノが作れていない」「昔は良いモノを作っていた」と文句を言う人が出てきます。戦後復興期や高度経済成長期には、個人の生活水準も上がり、需要がぐんぐん伸びました。

 この時期は、「良いモノ」だから売れたのではありません。どんなモノでも作れば売れた時代だったのです。旧世代の人たちが、「自分らは良いモノを作ってきたから売れた」と思うのは誤解なのです。人々の生活水準が高くなり需要がぐんぐん伸びたので売れたのです。

2.バブル崩壊、人口減少で需要低迷「売れない時代」に突入

 1990年初頭のバブル経済の崩壊移行、経済や国民生活は一変しました。更にリーマンショックに端を発する世界経済危機を受けて、潜在成長率は0%前後にまで落ち込みました。日本経済の長期低迷は失われた30年と呼ばれますが、必要な需要が失われ、「良いモノを作っただけでは売れない」時代になってしまったのです。更に、少子・高齢化や人口減少が追い打ちを掛けています。人口が減るということはそれだけ物を買う人が減り、個人消費などの需要も減るのです。

3.「良いモノ」だけでなく「良いモノと思われていること」が大事

 このような時代には「良いモノ」を作るだけではダメなのです。良いモノを作るという職人気質だけでは誰も買ってくれません。購入してもらうには良いモノであるということを相手にわかってもらうことが大切なのです。今は作れば売れる時代ではなく、良いモノであると相手が思うことで買ってもらえるのです。ただ良いモノであるだけでなく「良いモノであると思われていること」が大事なのです。

 そうすると広報PRが重要になってきます。確かに大企業では広報部や宣伝部があり広報PRに力を注いでいますが、広報PRは無理だと考えている中小企業も多いと思います。大企業並みの広報PRは不可能だとしても、中小企業に敵した広報PRはあるはずです。特に現在はSNSが普及し、SNSを活用した広報PRも可能です。

4.「知ってもらう」には「伝える」技術が必要

 「伝えなくても察して欲しい」「忖度して欲しい」というのは日本的な考え方です。これは、ある意味甘えです。言葉にしなければ、相手に伝わることはありません。自社が作っている商品やサービスが良いモノであるなら、それを言葉にしてアピールすることです。自社の製品やサービスが良いモノであることを知ってもらうには、伝える努力や技術が必要なのです。

 新型コロナの感染拡大で社外プレゼンの機会減りました。アポイントを取って潜在顧客を回ろうとしても断られるケースが増えています。直接潜在顧客を訪問しなくても自社の商品やサービスを伝えられる広報PRの重要性が高まってきているのです。

5.広報PRの外部効果

 自社のことを伝える技術である広報PRの具体的な効果には次の2つがあります。

  1. 外部効果・・・社外に直接営業促進の効果。営業促進の効果。新聞やテレビをはじめとした自社の前向きな報道は、自己推薦である広告と違い、他社から推薦されるようなものです。報道により、信用力や企業ブランドが向上し、営業しやすくなります。
  2. 内部効果・・・社員のモチベーションを引き上げるという効果、離職率を低下させるという効果・自社の記事が前向きに取り上げられればq、社員はやりがいやプライドを持ち、その会社で働くことに誇りを持ち、容易に辞めることはありません。

 メディアが取り上げてくれる記事ネタづくりには、報道、SNSをはじめとしたインターネットの活用、広告など多くのコツが必要です。これらを深く理解し、実行しなければ、効果的な広報PRは実現できません。

 中小企業においても、広報PRに力を入れるべきです。