中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

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組織の設計とは

おはようございます。

時代や環境変化の荒波を乗り越え、永続する強い会社を築くためには、どうすればいいのか?会社を良くするのも、ダメにするのも、それは経営トップのあり方にかかっています

バブル時には絶賛された日本型経営も、いまや批判や全否定の対象にすらなっています。そして、日本型経営の基本である年功序列・終身雇用を廃止し、欧米型の成果主義やジョブ型雇用を導入する企業も増えています。

しかし、日本型組織がすべて悪いわけではありません。日本型組織の本質や利点を維持しつつ、腐った組織に堕ちないように、主体的に考えて実践していくことが重要です。

「成果主義を導入する場合には、トップを含むマネージャーの振る舞い方が成否を分けるカギになります。ここで失敗すると、日本企業の背景にある「和を以てと貴し」というチームプレーを重視する貴重な文化が破壊され、社員が個人プレイに走ることにもなりかねません。

こうした事態が起きる原因について、人事部についても成果主義の評価が行われ、人事部の役割が変容した結果、人事部が組織内に起きている様々な問題に目を配り、中長期的視点で『組織開発』のための課題を考える役割を果たせなくなったからだ」ということです。これまでの日本型組織では、人事部が社内を見渡し、誰がどう育っているか、誰をどこにどう配置すればいいのか、どうすれば組織が強く育っていくのかをトップとともに考えてきました。しかし、成果主義が導入されると、人事部が数値目標を決めて機械的に集計した結果だけを見て判断するようになると、中長期的な視点で、人材の育成を考えることができなくなってきています。更に成果という数字だけで人を評価するようになると、適材適所への人材配置も難しくなります。

成果主義の評価体系の導入で組織が変調をきたしているならば、評価体制の見直し、撤廃さえも選択肢に含めて素早く修正を図るべきです。日本型の雇用体系にも欧米型の雇用体系にも、それぞれメリットとデメリットがあります。欧米型の成果主義が適している企業もあれば、日本型の終身雇用、年功序列が適した企業もあります。それぞれの企業文化に合わせて選択すべきですし、成果主義を導入するならば、それぞれのメリットを生かしながらバランスを考えて導入することが重要だと思います。

人事評価システムは、事業の根幹にかかわるトップの課題です。この記事では、「人事評価システムを正しく機能させるためにはPDCAサイクルを廻す、あるいは廻させる責任はトップにある」と言います。

PDCAサイクルとは、P(Plan 計画)→D(Do 実行) →C(Check 評価)→A(Action 処理・改善)の4つを回し業務改善を図るフレームワークです。仕事において計画を立てて実行するのは足り前ですが、PDCAサイクルでは、実行後に必ずチェックを入れて、計画に沿っていなかったり問題があった場合には何らかの処置をして改善していくのが特徴で、これを繰り返していくのです。このサイクルを循環させることで、更なる業務効率や改善、製品・サービスの品質向上につなげていくのです。

これは人事評価システムにおいても同じです。

トップが自ら人事部長などを使って情報を集め、必要な分析をさせて確認し、自分の頭の中で健全な状態にするPDCAを廻す、あるいは人事部長にPDCAを廻す役割を委任して人事部長が廻しているPDCAを「見える化」させてトップが確認を行い、健全な形での定着を推進するか、のいずれかです。これは、PDCAを回す主体が誰かという問題ですが、それだけに留まりません。日本の場合、それが極めてあいまいで、中途半端になっているケースが多いのです。

独裁的なワンマン経営の場合、正しく事実を押さえられず、たまたま見聞きしたことで話を振り回し、「自分の思い付きが正しい」とばかりに無理押しするケースが見受けられます。また、人事部長などの誰かに任せたものの、それ以降は全くの無関心、任せきりで確認もせず、任された側も報告すらしないというケースもあります。

ここでも重要なのはコミュニケーションです。

何の説明もなく一方的に本社や上長から押し付けられる効率やノルマ、そしてマネジメントからのケアもなければ、上層部への不信感が募り、本人の孤独感も高まります。特に昨今のリモートワークでは大きな課題・問題となっています。マネージャーによる現場でのコミュニケーションの改善を徹底することが大切です。

組織運営においては、トップ、つまり意思決定を行う経営者や上層部が、現場の実態を正しく理解することが重要ですが、そのためにはコミュニケーションを通じて現場の情報を汲み上げ理解するということが大事です。現場の実態を正しく理解することで現場が抱える問題・課題が明確になり、それを改善していくことができ、うまくPDCAを回していくことができるのです。

「すべての施策において、市場や組織に対してどのようなインパクトを与えているのかを把握すること。そして、常に謙虚に素早く方向修正ができる『組織のPDCA』が誰を責任者にして回っているのかが明確であることが、組織運営の大前提になる」のです。言い換えれば、「組織の設計とは、日にの業務あるいはプロジェクトにおけるPDCAを廻す単位の設計」というわけです。