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八方美人より本物の成果主義を

昭和型の大企業で勝ち抜いてきた50~60代の特徴といえば、あえて自分を持たず「気が利く八方美人」であり続けるということでした。
昭和型の八方美人のビジネスパーソンの特徴を挙げてみます。
1.上司のことを常に気にかけている。
 「上司が忙しく、昼食をとる時間がなさそう。さて、どのような行動をとるべきでしょうか?」という質問をします。
 ①見て見ぬふりをする 
 ➁昼食時に「昼食を買ってきましょうか」と声をかける 
 ③当日のスケジュールを考え11時頃に「これでも食べてください」と上司の好物を買って渡す 
 昭和型の八方美人は③です。②までなら誰でもできますが、③が出来るのが「上司のことを気にかけ気の利く部下」として重宝がられていました。この能力は飲み会でも発揮され、上司の好きな店、好きな飲み物も知っていて至れり尽くせり、二次会に行きたいかどうかの確認も怠らず、最後はタクシー乗せるまで、気を抜かず尽くすのです。
 デキる部下は「気が利く部下」と言われていましたが、今となっては時代遅れです。
2.敵を作らない。
 デキる人は敵を作らないというのはある程度は事実です。上司のために甲斐甲斐しく気を使いながらも同僚や周囲にも気を配ります。「デキる人」は上司一人に尽くしても無駄であることを知っており、いやらしさを出さず誰とでも仲良くし八方美人を貫きます。日本においては、かつては半沢直樹タイプは駄目だったのです。
3.自分の軸を持たない。
 気の利く八方美人というのは何処の企業にもいて、概してよく出世しています。中には八方美人を貫いたのに出世できなかったという人もいるでしょう。
両者の違いは「自己の軸を持っていたかどうか」です。自分の軸を持っていれば敵が増えます。自分の軸があり、自分が成し遂げたい仕事があればあるほど他人と衝突します。出世の条件は「最後には自分の軸を持たずに常に相手の言うとおりにしてきた人が勝ち抜く」のです。これも一昔前の話ですが、昭和型の出世街道を思えば納得できるところでもあります。
日本において、特に昭和から平成にかけて「成果主義」という言葉はネガティブにとらえられていました。それは「成果」というのが「上司への気遣い」「誰とでも仲良くする協調性」「自分の意見を言わず素直に人の言うことを聞く」ということと結びついていたからです。
バブル崩壊後、こうした「成果主義」によって日本企業は弱体化していきました。一方で、自立した人材がそれぞれ判断しながら業績を伸ばしてきた企業もあります。間違った「成果」(気配り・協調性・素直)を押し付けずに、それぞれが本当の意味でやりたいことをやってきた企業が成長しています。
これからの時代、本当の意味での「成果主義」が必要です。「成果主義」というのは、「従業員の仕事の成果などに応じて、給与・社内の地位などといった待遇を決定する人事制度」のことです。
日本においては年功序列制度を基に勤務年数や年齢を基準としてその上に間違った成果主義が付加され、気配りができる人・協調性がある人・素直な人が評価されてきたというわけです。
本当の意味での成果主義」は、「人件費の適正化」「成果のため自発的に活動できる人材の育成」「適切な評価制度の整備」の3つが必要です。成果主義は成果のみの判断ではありませんし、数字だけを基準としたのでは適切な判断にはなりません。確かに主観でなく客観的な評価が求められますが、それは数字だけで判定していたのでは失敗します。
成果主義」には、①人件費の適正化 ②評価制度が適正なものに ③人材育成 ④生産性の向上 といったメリットがある反面 ①評価基準の設定の困難性 ②部署間の評価の差異や誤差 ③個人プレーに走る危険性 ④モチベーションへの影響 ⑤評価項目を重視し偏った注力 というデメリットが指摘されます。
成果は「一人」で得られるものではなく、個人プレーでは得られない成果があることを周知徹底し、サポートする仲間が成果に大きな影響を当たるという理解を深める必要があります。また上司が部下にねぎらいの言葉をかけるなどの心理的な報酬の仕組みが必要になってきます。どの部署も納得いく評価制度を構築する必要がありますし、評価者が適正な評価ができるようにトレーニングすることも重要です。
本当の成果を出した人が報われるという仕組みが必要になってきます。
従来型・昭和型の八方美人は必要ありませんが、半沢直樹に代表されるような「尖った」だけのタイプも社内外に敵を作り企業を窮地に陥れる可能性があります。「尖った」中にも「丸い」部分がある人材が必要な気がします。
今後は、顧客のことを第一に考え、建設的な意見を反対を恐れることなく言い、かつ周囲をうまく纏め上げられるようなリーダーが求められるように思います。