中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

中小企業経営のための情報発信。中小企業から日本を元気に

数字に強い社長を目指せ!

おはようございます。

数字に強くなければ社長業は務まらないというのは当然のことです。また、先日書きましたが、社長が勉強しなければならない13科目のうち1番重要なのは経理です。中小企業の場合、専門の経理を雇う余裕もなく、社長自らが経理も見ているというのが現状でしょう。そしてそういう経営者が行っている経理は「まあ、こんなもんだろう」とどんぶり勘定で適当に数字を並べているだけというものになりがちです。そういうことからも、社長自ら経理もするというのは適切ではありません。数字に強い中小企業経営者に会ったことはありません。彼らは日々の事業、特に営業や資金繰りに追われゆっくりと自社の数字を見て検討するという余裕がないのです。経営者は、自社のあらゆる側面に目を配り監督をするというのが仕事です。細かい数字を追っかけていては経営はできません。だから、経理は基本的には経理担当者に任せるべきです。しかし、経理担当者が行った内容をチェック・監督し、それを他に活かす知識・能力は身に着けておく必要があります。

社長が見落としがちな3つの数字が挙げられます。

1.損益分岐点売上高

 まずは損益分岐点売上高です。ビジネスを軌道に乗せるために経営者は売上にばかり目をとられています。売上が増えれば利益が増えると考えているようですが違います。売上が増えれば、当然原材料費や人件費等の経費も増えます。売上が増えてもそれを上回る経費がかかれば利益はマイナスになります。経営者が見なければならないのが損益分岐点売上高です。損益分岐点売上高とは、売上高と費用が同じになって損益がゼロとなる売上高のことです。

 損益分岐点売上高は、

    損益分岐点売上高=固定費÷限界利益率 

という式で求められます。

 限界利益率は、

    限界利益率=限界利益(=売上高‐変動費)÷売上高 

という式で求めます。損益分岐点売上高を見ることによって、いかにして経費を節約するかというところに目が行き、売上はどんどん増加しているのに赤字という事態を避けることができるようになります。

2.キャッシュフロー

 次が、キャッシュフローです。キャッシュフローとはお金の流れです。

 損益分岐点売上高は、1年間の損益、つまり1年間の合計が差し引き利益になるかどうかという視点です。それに対して、キャッシュフローは、その時その時のお金の流れです。会社は、どんなに大きな赤字でもお金が回っていれば倒産することはありません。しかし、いくら黒字であってもお金が回らなくなれば倒産します。黒字倒産と言われるものです。したがって、キャッシュフローを考えるときに重要なことは、必要な手元資金を確保することです。運転資金としての必要額、万が一の時の固定費、売上の不足分を補う余力などの手元資金はたとえ借り入れをしても確保しておくべきです。たとえ利益があり数か月後に入金の予定があっても、どんぶり勘定で手元にあるお金をどんどん使っていると予定外の多額の税金支払いや支出に対処できず黒字倒産という憂き目にさらされることにもなりかねません。

3.時間当たり付加価値

 第3の数字が、時間当たり付加価値です。時間当たり付加価値とは、「社員が1時間当たりどれくらいの価値を生み出してくれているか」を示す指標です。大まかには粗利益を社員全体の総労働時間で割ることによって得られます。労働生産性に関する数字であり、「自社の独自性や付加価値をどこに見出し、いかに高めるか」を考えさせてくれる指標だと言われます。時間当たり付加価値の高い会社は収益性と労働生産性が優れています。時間当たり付加価値が常に増加傾向にあるのが目指すべき目標で適正な状態です。少数精鋭体制に向いている中小企業の場合、時間当たり付加価値を最大化することを目標とすることによって骨太で力強い経営体質に変わります。

以上の3つの数字だけは中小企業経営者もしっかりと把握して自社の経理に目を向けましょう。

また、決算書は読めなければだめです。決算書の数字から算出できる経営指標のROE(自己資本比率を引き上げるべく、日本企業のROEの目標を8%にすべきという報告が経済産業省から出され、企業は効率的な経営が求められています。中小企業経営者も、損益計算書(PL)、貸借対照表(BS)、キャッシュフロー計算書(CF)の財務3表は読めるようにしておきましょう。