消費者ニーズが多様化する現代に求められるスキル
おはようございます。
嘗ては「営業はクロージング力が上がれば売れる」という時代でしたが、今はそういう時代ではありません。ここで言う「クロージング」とは、契約締結を意味し、相手に契約を上手に促す行為がクロージングです。「今日は絶対にハンコを押してください」と強引に迫ることでも「お願いします。注文してください」と拝み倒すことでもありません。クロージング力を高めるために①今必要な理由を伝える(客が買わなければならない理由・メリットを伝える)➁未来のイメージを喚起する(買うことでどんな未来が待っているかを客にイメージしてもらう)③客が断る理由をなくす ということが大切だと言われていました。これまでは、クロージングスキルを磨いて「今だけの限定お値引きです」「お客様だけの限定サービスをお付けします」と、顧客が断れないようなセールストークが通用していたのです。
それでは、クロージングスキルに代わるどのようなスキルが求められるのでしょうか?
現在、人々のモノを見る目が厳しくなってきていますし、顧客のニーズも多様化しています。何でもモノやサービスを作れば売れたという時代ではありません。顧客が何を欲しがっているのか、顧客のニーズ・本音を聞き出すスキルが重要になってきています。うわべだけの信頼関係ではなく本音を聞き出せるための信頼関係の構築が大事なのです。
「物不足の売り手市場の時代には、消費は経済学で考えればよかったが、今は心理学でとらえなければならない。今の時代は顧客の心理を読まなければならない」(セブン&アイ 鈴木啓文)のです。
人の本音を導き出す際に参考になるのがペットの行動です。
ペットは何も言わず、飼い主の目を見て、好奇心だけを示してくれます。そんな時に人はペットに心を許します。中にはペットに悩みを語っている人もいるでしょう。本音を語っているのです。ペットを飼い、その行動を観察すれば、どのような行動が人の本音を導き出すのかがわかってきます。ペットは飼い主に関心を示し、飼い主の自己重要感を満たしてくれます。自己重要感とは、人は自分自身のことを大切な存在と認めたいし、人からも認められたいという思いのことです。こうした思いが満たされたとき、人は目の前の存在に心を許します。
では、顧客の自己重要感を満たすために何をしていけばいいのでしょう?
顧客との信頼関係構築のスキルとして次の3つが挙げられます。
- 頷きと相槌をしっかり打つ
- 相手の言った言葉を繰り返す
- 相手の話を要約する
この中で最も重要なのがポイント3です。しっかりと顧客の話を聞いて、間違いのない要約ができれば、顧客は「この人は自分に関心を持ってくれている。自分を受け止めてくれている」とペットが飼い主に抱いた感情と同じ感情を抱くのです。そうなると、顧客は本音を語ってくれます。その後は本音から見出された課題を満たすための商品やサービスをわかりやすく説明していけばいいのです。商品やサービスが自分のものであると理解できれば断られることはなくなります。
顧客のこれまでの人生の紆余曲折を上記の3つのポイントを意識しながら聞いて、その話の中から顧客が大切にしている思いを理解し、その大切な思いを満たす商品やサービスがあれば成約に至るのです。
新型コロナウイルスとの共存が求められる「ウイズコロナ」の時代に、「新しい日常」の中で、人々がどのような思いやニーズを持っているかをつかみ取ることが出来れば、新たな商品や新たなサービスの開発・提供ができるはずです。そのためにも顧客との信頼関係構築のスキルを身に付けましょう。