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休日の本棚 あなたの人生を変える魔法のカフェ

おはようございます。

今日は、ジョン・ストレルキー著「あなたの人生を変える魔法のカフェ」(竹書房文庫)を紹介します。30国以上で翻訳され企業や大学の教材としても使われました。

主人公の「ぼく(ジョン)」は、ただこなすだけの毎日に嫌気がさし仕事をすべて放り出して一週間の休みを取って旅に出ます。事故による高速道路の渋滞にはまった「ぼく」は高速道路を降り、車を走らせますが、道に迷ってしまいます。人生にも道にも迷って「ぼく」がたどり着いたのは、一軒のカフェ。カフェの名前は「なぜ、あなたはここにいるの?カフェ」です。

ウエートレスが持ってきたメニューの表紙には、カフェの名前の下に「ご注文の前に、ここでのあなたの時間が何を意味するか、私たち店員にご相談ください」と書かれ、裏面には「注文を待っている間に考えてほしい事柄」という見出しで3つの質問が書かれていました。

  • なぜ、あなたはここにいるの?
  • あなたは死を恐れている?
  • あなたは満たされている?

「ぼく」が、このおかしなカフェで、ウエートレスのケイシーやオーナーのマイク、他の客との会話を通して自分の人生を見つめなおすという話です。

まず、「なぜ、あなたはここにいるの?」という質問を見つめていた時に、質問の文字が「なぜ、私はここにいるの?」に変わります。ケイシーは「サッと読み飛ばしてしまうことはできるけど、そうではなくて、じっくりとその質問に向かい合ってみて。自分のことだと思いながら自分に聞いてみて。そうすると、自分の世界が大きく変わっていくの」「その質問をしてしまうと、答えを探すことがあなたの存在の一部になるの。朝、その質問とともに目を覚まして、一日中、その質問が頭をよぎるようになるわ」「カフェにいることを聞いているんじゃないの。その人が存在する、その理由を聞いているのよ」と言います。ケイシーが言うように、自分の存在意義について質問することは、答えを知ろうとする力を生み出し、その答えを見つけ出すことができたとき、強い力が生まれます。何故、自分がここに存在しているのか、つまり生きていることの理由を知った時、その理由を全うしたくなるのです。何故、ここにいるのかを知ってしまったら、その理由を実現しない方が難しくなるのです。

では、自分の存在理由は何か?これについては個人個人によって違うのです。ある人がここにいる理由を知っているということは、その人が<存在のための目的>を明確にしているということで、その人は、人生の中で、<存在のための目的>を10,20個、もしくは100個見つけるかもしれません。問題なのは、自分たちで勝手に無理と思い込んで<存在のための目的>を探すのを止めてしまうことなのです。

この本に「ウミガメの教え」というのが載っています。ウミガメは、その動きを波の動きに合わせているということです。逆波の時、ウミガメは波に逆らわず波に浮いているだけでヒレの動きも最小限にし、引き潮で沖に戻っているときはヒレを思いきり動かして、波の力を最大限利用するのです。人生も同じです。波に逆らって時間やエネルギーを浪費してしまうと、せっかくいい追波が来ても、そのときには時間やエネルギーはなくなっているということにもなりかねません。

次に、「あるビジネスマンと漁師」の話が出てきます。ビジネスマンが漁師に近づき、「毎日何をしているか」を聞きます。漁師は「毎朝、家族で朝食をとり、子供は学校に行き、妻は絵を描き、自分は数時間釣りをする。釣りが大好きなんだ。一家の食事に十分な魚が釣れれば家に帰って昼寝をする。夕食が終わると家族で散歩をする」と答えます。ビジネスマンは「家族に持って帰る以上に魚を獲れば、お金儲けができるじゃないか。ボートを増やし、10年後には他国に魚を輸出して大成功が出来るかもしれない」と言います。漁師な「何のためにそんなことをしなきゃならんのだ」と聞きます。ビジネスマンは「お金儲けをして大成功すれば引退して好きなことが出来る」と答えます。漁師は毎日家族と幸せに過ごし自分の好きな釣りをしています。引退しなくても漁師は好きなことを毎日続けています。普通の毎日こそが好きなことをするチャンスなのです。大事なのは「今」なのです。いつかやりたいことなら「今」やりなさい、とこの本は教えてくれています。やりたいことを今やらないで、やりたいことが好きなようにできる時を待つ(例えば引退後)なら、そのための準備だけに人生のほとんどを費やしてしまうことになります。それは馬鹿馬鹿しいことだと言っています。

仕事の時間は充実せず、ますます満たされない自分を感じてしまっています。毎日やりたいこともできずに過ごしている虚しさを埋め合わせるために、必要もないモノを買い入れています。モノが日々の生活で得られない充実感を与えてくれるように。そして、モノを買うためだけに働くようになっています。たくさん働くことのご褒美としてモノを買うのをやめ、その代わり、少しずつ自分のやりたいことをする時間を自分に与える、そしてやりたいと思えることにどんどんのめり込んでいければ、「私はなぜここにいるの?」という問いへの自分なりの答えを満たしてくれる物事に益々打ち込めるようになれます。

次は、「あなたは死を恐れている?」です。多くの人が死ぬことを怖れています。自分のやりたいことで、自分の<存在のための目的>を満たそうとする第一歩を踏み出していない人が死を恐れると言っています。逆に言えば、自分の存在理由を確信し<存在のための目的>を明確にできる人が死を恐れないということです。死を恐れるのは、今が充実していないからです。

次に、「あなたは満たされている?」です。世間では「好きなことだけでは食べていけない」と言われます。しかし、それは真っ赤なウソ。自分の存在理由を知り<存在のための目的>を明確にでき、やりたいことをすれば、<逃避する>必要も<ストレスをほぐす>必要もなく、モノを買うことにのめり込むこともなくなります。今よりはお金への関心は減り、お金は重要でなくなります。そして、自分の<存在のための目的>を満たしていこうとすれば、予測もしない幸運が自然と起こってくるのです。

ただ漠然と、なぜここにいるかと言うことを理解するだけでなく、実際にそれに向かって何か行動を起こさない限り、満たされることはありません。<存在のための目的>を実践することが重要なのです。実際にやりたいと思っていることをやってしまうこと、それも今やることが重要です。

ゴルフボールの法則」というのが載っています。ゴルフボールがとてつもなく難しいところに置いてある夢を毎晩のように見ます。一生懸命足場を固め素振りをしようとしますが、素振りをすればするほどイライラが募りストレスが増すばかりです。ある晩、またゴルフボールの夢を見ましたが、イライラがピークに達した時ハタと気づきます。何かルールがあるわけじゃないし賭けているわけでもないから、ボールを移動すればいいと。ゴルフボールをどこから打つのかを気にしているのは他の誰かではなく自分だけであるように、人生においても、自分が存在していることに何を求めるかを本当に知っているのは自分だけです。ゴルフボールは自分で動かすのです。自分の人生も自分で動かさなければならないということです。

「ぼく」は、カフェで一夜を過ごし、日常の生活に戻ります。「ぼく」はまず、毎日少しずつある時間を自分の好きなことに充てるということから始め、「なぜここにいるのか」と言う理由を見つけることのできるであろう活動範囲を広げていきます。そして、<存在のための目的>を満たす「ぼく」の好きな方法が明らかになります。今、なぜここにいるかを知り、その理由を満たすための人生を送っているぼくは、もう二度と、反対側にある人生に戻ろうとは思わないと決意します。

人生の存在理由・存在の目的を明確にして、自分の人生は自分のもの、やりたいことは時期を待たずに今すぐやること、今を精一杯生きることの大切さを教えてくれています。