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ミスに対する考え方と仕組み作り

おはようございます。
「メールの見落とし」「金額の打ち間違え」「スケジュールの勘違い」など職場でのミスが起きた場合、「なんで、こんなミスをしたんだろう。次からは気をつけよう」で終わっていれば、また同じミスを繰り返します。
ミスや失敗については何度も書いています。繰り返しになりますが、ミスや失敗をしない仕組み作りが重要です。
1.ミスをしたときの考え方
 ミスに気づいたときに最初にやるべきことは、何が起こったのかを説明して「なぜそうなったのか」自分なりの原因を話して、謝罪することです。次に「問題をどう解決しよう」と思っているか自分の意見を述べることです。単に謝罪するだけでは何の解決にもなりません。重要なのは、「なぜそうなったのか」という失敗の原因と「どのように解決するのか」という今後の対処法です。それを自分なりに考えて上司に伝えることです。
2.ミスをした後の不安や恐怖を和らげる心の持ち方
 「自分」と「自分の役職」を切り離して考えることです。「自分の人格がダメだ」と思ってしまうのではなく「自分の役職がミスをした」と考えるのです。ミスはあくまでもビジネスの過程です。「自分の役職がミスをした」というのはどちらかと言えば会社の責任です。自分のような役職の者がミスをしたというのは、会社の仕組みに問題があるのではないかと考えるのです。そう考えればミスの原因となった会社の仕組みが見えてくるかもしれません。仕組みを改善する良いアイデアも浮かびやすくなり、不安を感じなくて済みます。
 部下がミスを犯した時も同様で、ミスはあくまでもビジネスの過程だと説明し、どう解決すればいいのか考えさせ、その解決方法で大丈夫かを一緒に考えればいいのです。
 ビジネスとは実践です。毎日実践して毎日失敗します。失敗は悲しいことだと考える必要はありません。失敗する度にその中に成功の芽があって、失敗は成功の芽を発見できるように与えられたものだと考えればいいのです。失敗がなければ成功はありませんし、成功してもまた失敗します。ビジネスとはその繰り返しです。
 人もビジネスも失敗と成功を繰り返しながら成長していくものだと思います。
 たいていのミスで人は死ぬことはありません。もう少し気楽に生きた方が日々の生活はもっと楽しくなります。心の持ち方によってミスの不安や恐怖を和らげることができるはずです。
3.ミスをしない「仕組みづくり」に欠かせないもの
 ミスを起こさないための仕組みづくりが重要なのですが、往々にしてそれができていません。それは「申し訳ありません」「次から気をつけろよ」という遣り取りで、ミスの原因を「注意不足」のせいにしてしまっているからです。これでは会社の組織や仕組みに問題があるという発想は出てきませんし、ミスを起こさない仕組みを作ろうということにもなりません。それでは、同じミスの繰り返しで進歩も成長もありません。
 仕組み化を実際に進めていくうえで、重要なこととして、次のようなことが挙げられます。
➀チェックの仕方を変える
 ②やらなければならないことは、終えたらそれを進行管理表に記入し、それが終わっていないと次に進めないようにする
 ③常にグループ全員に進行状況を見えるようにしておく
 ④発想を転換して、問題となるうっかり忘れやうっかり行動が物理的にできなくするにはどうすればいいか考える
 こうした仕組みの実現にITを活用することも必要です。データベースと連携するアプリケーションを利用する、スケジュール忘れにはリマインダーを設定しスマホに通知が来るようにするなどしておけば、忘れることはありません。
4.ミスをした際に絶対にやってはいけない対応
Ⅰ:自分一人で解決しようとする、隠そうとする・・・結果的により大きな問題へと発展します。ここでも「ミスはビジネスの経過の一つ」という考え方を浸透させ「そこからどう回復して、どのような改善策を組み込んで同じミスが起こらないようにするのか」について全員で考えることを習慣づけることが重要です。
Ⅱ:「申し訳ありません」とひたすら謝る姿勢・・・一所懸命謝られると「もういいよ。気にしないで。今度は気をつけて」で終わってしまいます。ミスを起こさない仕組みを考えてチーム内で共有できればミスはマイナスではなくプラスになりますが、これではマイナスにしかなりません。
Ⅲ:ミスをして自分を責める・・・「ミスはビジネスの過程の一つ」にすぎません。そして、人間はミスをしながら成長していくものです。ミスが起こる(人間がミスをする)ということはシステムの中でうまくいくように考えられている仕組みに問題があるのですから、それをどのように改善すれば人間がミスをする確率が減ってうまく回るようになるかを考えればいいのです。
 『自分が人間だからミスをしてしまった』ととらえて、何かいい仕組みはないかを考えればいいのです。
 日本には、何でも「阿吽の呼吸」でとらえて、なあなあで済ませてしまうような文化があります。文書化やルール化を行って、しっかりとした仕組みを組み立てなければ、失敗は失敗のままで終わってしまいます。失敗を成功に結び付けるためにも仕組み化が重要だと思います。
5.失敗に対する考えを改める
 繰り返しになりますが、失敗を恥と思わず、失敗から何かを学んでそれを次に活かすことが大切なのはいうまでもありません。仕事だけでなく人生にもミスはつきものです。ミスをしない人なんていません。誰もが何がしかのミスを起こしています。ミスや失敗の捉え方一つで、その後が大きく変わります。
 失敗を個人的なものと捉え、自分がダメな失敗作だと思い込んでしまう人がいます。たとえ失敗したとしても、あなた自身が失敗作だというわけではありません。たまたまうまくいかなかっただけかも知れません。あなた自身やあなたの人生すべてがダメなわけではありません。ミスをすれば自信が損なわれ、ストイレスを感じますが、考え方、捉え方を変えれば、自信が損なわれることも大きなストレスを感じることもなくなるはずです。失敗に対する考えを改める3つの方法を紹介します。
⑴ 失敗の規模にかかわらず、それを認識する。
 人間はミスを犯したとき、それを認めたがらないものです。ミスを認めず、却ってそれに固執してさらなる失敗を重ねることはよくあります。小さな失敗であれば、修正することは容易ですが、更に大きな失敗に繋がれば、修正が不可能になります。
 人間、完璧な人はいません。誰しも失敗します。失敗を認めて、その原因を探り修正した人が成功へと導かれるのです。まず、大切なことは失敗を認めることです。
 人間は大きな失敗に焦点を当てるように条件付けられています。小さな失敗の場合、つい「問題ない」「引き分けだ」と感じてしまいます。小さなミスや失敗を見逃したり、無視したり捨てしまうのです。何かを失敗と認め、客観性を持って失敗を判断するにはある程度の勇気と気概が必要です。小さな失敗を認める習慣が身につけば、障壁に直面しても回復できる力が身につくとともに、失敗に対してより健全な職場文化の構築が支援できます。職場において、ミスを認める企業文化が醸成されれば、失敗を楽に認めることができるようになります。
⑵ 自分自身を含め、誰かを非難せず、失敗に目を向ける
 ミスをすると、その人を責める人がいます。また、ミスを犯して自分自身を責める人も多いです。人や自分を責めるということは、怒りと後悔で動揺するだけです。人は、失敗すると驚くほど防御的になります。失敗すると、その原因をでっち上げ、誰かのせいや何物かのせいにしようとします。いま起きていることや起きようとしていることを、自分の価値から分離することが重要です。防御的になるべきではありませんが、同時に自分を非難すべきでもありません。
⑶ 失敗から学ぶ
 失敗について、そこから何かを学ぶということが大切です。何かを学ぶ前に、失敗によって産まれる感情的な反応(怒りや後悔など)を鎮める余裕が必要になります。一度感情を抑え距離を取ることができれば、何が起きたのか、その中での自分の役割をしっかりと考えることです。
 責任があることは何だろうか?
 どのようなステップを踏み間違えたのか?
 何をどう変えれば良かったのだろう? 
Why?」を問うことです。
 状況を評価したら失敗を挽回することです。謝罪が必要な人全員に素直に謝ることです。悪いと思っている点を話し、自分がそこから何を学んでいるかを話すことです。失敗に生産的に対処する上で、この部分が最も難しい部分かも知れません。しかし、これまで紹介しているエジソンの言葉からも明らかなように、これが、確実に最も大きな影響をもたらしてくれます。
 自分やチームに大胆な挑戦を課していれば、必ずミスが出るものです、イノベーションは難しいものですが、失敗を乗り越えその先に続く道を見つけることができれば、状況は遙かに改善します。偉大なリーダーは失敗から学びを得て、それを決して忘れません。同じ過ちを繰り返すことはありません。