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休日の本棚 論理的思考力を鍛える33の思考実験

おはようございます。
今日は、北村良子著「論理的思考力を鍛える33の思考実験」(彩図社を取り上げます。
思考実験とは、「ある特定の条件の下で考えを深め、頭の中で推論を重ねながら自分なりの結論を導き出していく、思考による実験」のことです。時間や場所を選ばず、道具もいらず、改めて自分を知るきっかけにもなり、脳トレにもなります。ビジネスの場で欠かせない論理的思考力を鍛えるためにも役立ちます。本書では、倫理観を揺さぶる思考実験、矛盾が絡みつくパラドックス、数字と現実の不一致を味わう思考実験、不条理な世の中を生き抜くための思考実験で計33の思考実験が用意されています。この思考実験を行っているうちに自然と論理的思考力が鍛えられ、新たな発見や気づきが生まれるように思います。いくつかの思考実験を挙げます(簡略化していますが)。考えてみてください。
Ⅰ:トロッコ問題①=トロッコが猛スピードで暴走しています。その先に5人の作業員がいます。このままでは5人はトロッコに引かれて死亡します。あなたの前に線路の切り替え装置があり、あなたが線路を切り替えれば5人は助かります。しかし、切り替えた線路の先には1人の作業員がいてこの1人は死亡します。あなたは1人を犠牲にして5人を助けるために切り替えますか?多数派の意見は、5人を助けるために切り替えるといいます。あなたもそうですか?では、切り替えた先にいる1人があなたの身内ではどうですか?これは有名な哲学問題です。考えてみてください。
Ⅱ:トロッコ問題②=あなたは線路上の橋の上にいます。トロッコが暴走し線路の先には5人の作業員がいます。このままでは5人はトロッコにひかれて死亡します。あなたの横にはかなりの巨漢で重そうなリュックを背負った男がいます。この男を線路上に突き落とせば5人を助けることが出来ます。この大男を突き落とし1人を犠牲にして5人を助けますか?ここでの多数派はこの大男を突き落とさないというのです。あなたはどうですか?トロッコ問題①との違いは何ですか?
Ⅲ:トロッコ問題の応用=<問題1>5人の臓器移植が必要な重症患者(必要な臓器はすべて異なります)がいます。あなたは医師です。あなたの前に健康な人が健康診断に来ました。この人を安楽死させ臓器を取り出し5人に移植すれば5人は助かります。1人を犠牲にして5人助けることが出来るのです。さあ、どうしますか?<問題2>1人の重症患者と5人の軽症患者がいます。今、5錠の薬しかありません。重症患者を助けるには5錠全部必要で、軽症患者は1人1錠で助かります。さあ、あなたはどうしますか?もし、重症患者が総理大臣で5錠の薬は総理のために用意されたものだとしたらどうですか?
Ⅳ:祖父殺しのパラドックス=あなたはタイムマシンに乗って過去に行き、祖母と結婚する前の祖父を殺します。そうするとあなたの父親は生まれることはなく、父親と母親が出会うこともなくあなたが生まれることはありません。ではあなたはどうなるのでしょうか?あなたは生まれないのでタイムマシンに乗って過去に行き祖父を殺すことはできません。そうすると祖父は死なないので父が生まれ母と結婚しあなたが生まれ・・・これは有名な物理学の問題です。物理学ではいろいろな考え方があります。自分なりに考えてみてください。
Ⅴ:ギャンブラーの葛藤=カジノでルーレットをしています。ここ8回ルーレットで赤ばかり出ています。流石に次は黒だろう。だが、9回目も赤が出ました。では10回目はどうでしょう。黒が出る確率は赤が出る確率よりも高いのでしょうか?
Ⅵ:ありえない計算式=1÷3=1/3=0.3333…  1/3×3=1 0.33333…×3=0.9999… 1=0・99999…? どうしてこうなるのか考えてみてください。
Ⅶ:生きるための答えを探す=男があなたに銃口を向けては言いました。「お前にチャンスをやろう。私が今からすることを当てることが出来たらお前を殺さない」さてあなたはどう答えますか?「あなたは私を殺す」と答えますか?正解は「あなたは私を殺さない」です。どうしてでしょう。
他にもいろいろな思考実験が載っています、面白いです。自分の頭で考えてみてください。
さて、考えるとはどういうことでしょうか?外山滋比古著「考えるとはどういうことか」(集英社では外山流・思考術について語られています。外山氏は、「知るということと、物を考えることとは全く違います。それどころか両者は仲が悪いのでないかと考えられます」と言っています。その通りだと思います。知識があることと思考力があるということとは別問題です。むしろ知識が邪魔をして思考を遮るように思います。思考とは、「余計なもののない、整理された頭を自由に働かせること」です。思考には目的思考と自由思考があります。目的思考は与えられた課題や問題について考える思考で、自由思考は縛られることなく全く自由に頭を働かせることです。この自由思考が時に発明や発見をもたらすのです。これは子供の自由な発想です。子供でなくなった大人の人間が自由思考をするのはなかなか難しいですが、時に童心に帰って自由な発想で物事を見るのは良いのではないかと思います。