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休日の本棚 ブレインドリブン⑴

おはようございます。
過去に紹介した本のブログを貼り付けます。
今日は、青砥瑞人著「ブレインドリブン パフォーマンスが高まる脳の状態とは」(ディスカヴァー)という本を紹介します。帯には「予約が取れない大人気セミナー『神経科学レクチャー』を書籍化」とあります。
本書は、神経科学の観点から「脳の中で何が起こっているのか(WHAT)」を解き明かし、それに関連する「なぜそうなるのか(WHY)」についての知識を深めていきます。WHATとWHYを理解することで、モチベーションのコントロール、ストレスの対処法、クリエイティビティを高めるためのヒントを与え、「何をどうやるか(HOW)」について置かれた状況に応じ考えられるように図解も豊富に入れ工夫されています。
人間の脳はデジタル社会に適応しておらず、スマホの使い過ぎは、脳や心・身体をも不調にし、睡眠や集中力にも影響を与え、特に子供や若者に悪影響を与えています。現代人は、色々な精神的な不調を抱え、不安やストレスに苛まれています。
本書は、脳を含む神経系を細胞や分子レベルで紐解いていく神経科学の観点から、特にビジネスの役立つ「モチベーション」「ストレス」「クリエイティビティ」という3つのテーマを取り上げ、先ほどのWHATとWHYについてのヒントを与えてくれます。
1.モチベーション
 モチベーションには、①原因となるお金(報酬)的な「刺激」があり、➁それを受けて関連する脳や体内の環境が「変化」を促すことによって、③「行動」に移るという流れがあります。
1)モチベーションを育むためのヒント1
Ⅰ:メタ認知の大切さ・・・「メタ認知」とは、「自分を客観視・俯瞰視した認知の状態」のことです。自分のモチベータ(行動を誘引する視点となる間接的な原因)、自分のモチベーション・メディエータ(行動を誘引する直接的な体内(脳内)の状態)が働いている状態に目を向けてみることです。他人のモチベーションの在り方は、自分自身のモチベーションをよく見守ったうえで、うまく付き合うヒントにしていくのです。
Ⅱ:モチベーションの高まり方は人と違っていい・・・自分と他人のモチベーションの在り方は同じとは限りません。経験の違いがモチベーションの在り方の多様性を生みます。他人のモチベーションの在り方を決めつけてはいけません。お互いの在り方を認め受け入れて楽しむことが大切です。他人のモチベーションに合わせようとするのではなく自分のモチベーションを見つけることです。
(2)モチベーションを育むためのヒント2
Ⅰ:モチベーションの系(システム)を捉える・・・モチベーションを点ではなく、系・システムとして見るのです。報酬回路だけでなく、報酬回路に関連する体内外の様々な現象にも目を向けてみるということです。体調、コンディション、心理は大いにモチベーションに影響します。健康・睡眠・生活レベルの質を高めることでモチベーションが高まりやすくなります。
(3)モチベーションを育むためのヒント3
Ⅰ:注意のシフトの活用・・・モチベーションにはトップダウン型とボトムアップ型があります。ボトムアップ型のモチベーションは「お腹が空いた」「眠い」など無意識に誘引されるもので、トップダウン型のモチベーションは「あれを考えよう」「勉強しよう」など意識的な誘因が必要なものです。トップダウン型のモチベーションにはやる気スイッチ「モチベーショントリガー」をつくることが大切です。ドーパミンを誘う刺激に注意を向けドーパミンを促し、その状態から注意のシフトを実行し、目的のパフォーマンスを高めるのです。
(4)モチベーションを育むためのヒント4
Ⅰ:モチベーショントリガーのデザイン・・・やりたいこと、やることの行動前に自分独自の簡易なトリガースイッチを心を込めて作り、実行を習慣化することです。
(5)モチベーションを育むためのヒント5
Ⅰ:「新」を楽しむ・・・「新」へのネガティブ反応は、生物として適応的です。現代においては過剰に反応しすぎている可能性を認識し、受け入れることです。新しい知や体験を心から楽しもうと思い、感じてみることが大事です。
 Ⅱ:失敗をラッキーにする・・・新しい試みはたいてい失敗します。失敗は嫌避の情動や思考を発露しやすくなります。しかし、失敗に気づけたことは、自己の成長差分を認識できた状態で、成長の第一歩、ラッキーな出来事と感情の書き換えをするのです。
(6)モチベーションを育むためのヒント6
Ⅰ:「曖昧」「無知」を受け入れる・・・脳の記憶にない「知らないこと」「曖昧なこと」は「新」「異」に伴う恐怖・不安情動を誘導しやすくなります。その特性を知り、曖昧・無知を受け入れることが大事です。
Ⅱ:心理的安全が大前提・・・モチベーションが高まる大前提は、心理的安全状態です。心理的安全を整えるスキルと心理的安全を自分で作るスキルが大切です。
(7)モチベーションを育むためのヒント7
Ⅰ:直感を観察する・・・直感は自分の価値記憶を探るいいヒントです。自分の直感を観察し、モチベーションの材料とモチベーションを阻む材料を知ることです。
8)モチベーションを育むためのヒント8
Ⅰ:ドーパミンを促している状態を知る・・・自己がSEEK、WANT、TRY、LIKEを感じているときはドーパミンが出やすい状態です。その状態を知ることは、自己の快予測、報酬予測に役立ちドーパミンを誘導しやすくなります。
Ⅱ:うきうきワクワクを大切に・・・ドーパミンが出ているうきうきワクワクの状態は、行動を誘発してくれることに加えて、注意力、集中力、想像力、記憶力、思考力なども高めてくれます。
Ⅲ:感情と友達に・・・脳は出来事や事実だけでなくその時々の感情の状態も非言語的記憶として保存します。日々の振り返り、学びにおいて自分の感情にも目を向け、仲良くすることが大切です。
Ⅳ:ドーパミンを促している状態に気づき味わう・・・うきうきワクワク状態はパフォーマンスを高めます。自分のうきうきワクワクを知り、脳にもっとその状態になってもらうためには、普段の自分がうきうきワクワクした状態になったときに気づく習慣を身につけることが大切です。そして、気づいた瞬間にその状態を味わい、脳への学習を強化するのです。
(9)モチベーションを育むためのヒント9
Ⅰ:ポジティブな感情の表面積を増やす・・・日々、ポジティブな感情を意識的に探し、意識的に味わってみる。少し目線を変えると、たくさんの「素敵」に気づけるはずです。
Ⅱ:いいとこ探しセンサーを鍛える・・・ポジティブな側面、よいところを見出す脳機能は、意識的に学習していく必要があります。意識して自分と他人の「いいところ探し」の習慣化を楽しむことが大切です。
(10)モチベーションを育むためのヒント10
Ⅰ:予測・期待値の調整・・・時に、予測や期待値を低めに調整してみることが大事です。時に他人に望みすぎない、時に自分への期待を持ちすぎないなどです。できていること、できたことについても十分に目を向けるのです。
(11)モチベーションを育むためのヒント11
Ⅰ:苦痛をたしなむ・・・時には自分で自分を追い込み、その苦痛、辛さを受け入れることです。苦痛後には通常以上の快感を得られることを知り、ラッキーな状態と俯瞰視し、耐える状態を楽しむのです。あくまでも「自分で自分を」追い込むことで、他人を追い込んではいけません。
Ⅱ:苦痛に耐え、たしなむのは成長を加速させる・・・自分で飛び込んだ苦痛、苦しみは自分を強くします。苦痛時の頑張りは、どん底から快へと大きな差分を生み通常以上のドーパミンを放出し、快も増幅します。それが次なる苦難へのモチベーションにつながり、人を大きく成長させます。
(12)モチベーションを育むためのヒント12
Ⅰ:お金は感情を揺さぶる・・・お金は脳に強固な価値記憶として保存されていることが多いのです。大きく感情を揺さぶり、お金の欠如は、大きな不安・恐怖を導き、嫌避のモチベーションを生みやすいのです。
Ⅱ:お金は予測しやすい・・・何回も経験した報酬は予測が可能になりやすく、ドーパミンを誘導しにくくなります。予測外かつ経験の少ない場面での報酬は大きなドーパミン誘導を促します。つまり普段普通に入ってくるお金ではドーパミンはそれほど出ませんが、ギャンブルで入ってくるお金ではとてつもない量のドーパミンが放出されます。
Ⅲ:プロセスに快感情をちりばめる・・・一連の学習、体験、プロジェクトなどにおいて、結果だけでなくプロセスに快情動のモチベーションをちりばめるのです。脳がその学習、体験、プロジェクトをどのように記憶するかに影響します。それは、未来の学習、体験、プロジェクトに対する非言語的な「何のため」に影響を与え、モチベーションを高めてくれます。
Ⅳ:プロセスなくして結果なし・・・プロセスへの価値づけがモチベーションを高め、プロセスに力が入ることで成長を促進します。その結果として、成果を高めることにも寄与するのです。
(13)モチベーションを育むためのヒント13
Ⅰ:改めてメタ認知の大切さを意識する・・・一人一人の脳の記憶痕跡は非常に多様です。自分の脳の記憶が自分のモチベーションを生み出し源泉です。自分のやってきたこと、大切にしていることを見つけることは大切です。
(14)モチベーションを育むためのヒント14
Ⅰ:やること、やっていることを自分の脳で知る・・・やること、やっていることを知るのは、無知や曖昧に起因する不安や恐怖を取り除くためにも大切です。さらに、やること、やっていることを過去の記憶に関連付けて解釈することで、自分の感情を動かし、モチベーションにつながります。
(15)モチベーションを育むためのヒント15
Ⅰ:自分で決める・・・自分で意思決定し行動することが大切です。これは、自分の脳を活用し、自分の脳で考え、感じ、決断することです。自分の出来事記憶、感情記憶、価値記憶を参照して決めることです。だからこそ、感情がドライブしてモチベーションが高まり、脳の行動への想像、想定と実際の減少の差分を生むことで、学習、成長にも寄与します。
(16)モチベーションを育むためのヒント16
Ⅰ:違和感を抱きしめる・・・違和感、葛藤も脳の優れた機能です。違和感は脳の記憶痕跡から導き出されたエラー予測の非言語的なお知らせです。違和感とうまく付き合う、違和感を楽しむことでモチベーションは高まります。
Ⅱ:葛藤を抱きしめる・・・葛藤は脳の異なる感情的反応、認知的反応が同時プロセスされている高等な情報処理状態です。自分の脳内での処理能力を鍛えてくれます。葛藤に葛藤を重ねることで脳の処理機能が向上し、直感、直観、認知的柔軟性を高めてくれます。悩み葛藤することは脳の成長に必要なことです。脳が悶々と葛藤している状態は成長の証ととらえるとモチベーションは高まります。
Ⅲ:やっていること、やろうとしていることを信じる・・・やっていること、やろうとしていることを信じるのはモチベーションを高めます。やっていること、やろうとしていることを信じるためには、出来事記憶、感情記憶、価値記憶を参照します。参照しながら行動し、失敗をチャンスととらえ、違和感には向き合い擦り合わせ、快を覚えたポイントを味わい、できた点、よい点も良く見出すことで、自信が芽生えます。こうして育まれた真の自信は大きなモチベータとなります。
(17)モチベーションを育むためのヒント17
Ⅰ:根拠のない自信も大切に・・・根拠なく前向きにしてくれる脳機能は高等です。それが挑戦を可能にします。誰でも最初は実績はありません。実績を作る前は「何とかなる」「できる」という脳が活躍します。挑戦の経験と挑戦から得たものを脳で同時に発火させることで、脳は挑戦が価値あることと後天的に学習するのです。
今日は、時間切れで、「モチベーション」だけで終わってしまいました。「ストレス」「クリエイティビティ」については明日にします。