中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

中小企業経営のための情報発信。中小企業から日本を元気に

失敗から成長するためのステップ

おはようございます。
現在は変化のスピードが速く、先を見通せず何が正解かわからない時代です。政治や経済、ビジネスにおいても、大きな変革が起き、予想もつかない事態が次から次へと現れてきています。こうした中、常に成功するとは限りません。成功体験ばかりを称賛し、失敗を隠そうとする風潮では、成長も発展もあり得ません。むしろ、複雑で混迷する環境の中、生き残ることも難しくなります。
 
失敗は成功につながる学びの宝庫」「失敗は成功の母」などと昔からよく言われることですが、今のように常に変化し続ける環境でこそ、真に活かされる言葉ではないかと思います。
失敗した後に成長するためには次の3つのステップが大切です。
1.少し経ったら、失敗について考える時間を取る
 仕事で失敗した時にどうすればいいのでしょうか? 
 「失敗したことを早く忘れろ!」と言われることがあります。仕事の失敗は誰もが平気でいられないから、そう簡単に忘れることはできません。しかし、失敗したことを気にしてグジグジしていたのでは、先に進めません。いったん失敗したことを忘れて、仕切り直すこと、つまり次の挑戦へと一歩踏み出さなければならないのです。
 しかし、完全に忘れてしまったのでは失敗を活かすことはできません。失敗した後にそこから学ばないのは、チャンスを失うようなものです。
 失敗した直後は、気も動転していてマイナス思考に支配されネガティブな考え方しかできません。そこで、一旦忘れて、しばらく時を置いてから冷静に客観的な目で眺めなおすのです。そうすると失敗をプラス思考でポジティブな視線で見ることができるようになります。
 とはいえ、失敗について再考するまで、あまり時間を置きすぎてもいけません。長く時間を置けば、その間に重要な細部を忘れてしまうことにもなりますし、自分に都合がよいように記憶の置き換えが起きることもあります。
 失敗の発生に近い時期でありながら、今後改善できることについて客観的に考えられるようバランスをとるために、失敗から48時間後くらいを目安に時間を取るのが良いのではないかと思います。一晩ゆっくりと寝て翌日か翌々日に再考するのが冷静で客観的に自分を見つめることができるのではないでしょうか。
2.失敗について書きとめる
 起きたことを考えるだけでは不十分です。その時の状況を書き留めることも重要です。書き留めることで、頭の整理ができ、順序立て、系統立てて考えられるようになります。
 人は自分の考えを書き留めるとき、全体像を確実にとらえたいという思いから、よりじっくりと考えるようになります。書き留めることなく頭の中だけで考えているときには、思考があちこちに飛び回り、深く考えることができず浅く薄っぺらな思考で終わってしまいます。
 さらに、「失敗ノート」をつくることで、後日読み返すことができます。
 人間という生き物は、同じ失敗を繰り返すものです。たとえ一度は失敗を糧として成功に導いたとしても、時が経つにつれて忘れ、再び同じ失敗を繰り返します。「失敗ノート」に書き留め、繰り返しそれを読み返すことで、再び失敗することを減らすことができます。
3.自分の失敗を他の人に打ち明ける
 失敗から学んで行動を起こせるように自分の背中をさらに押したければ、自分の失敗談やそれに対する自分の考えを他人に話すことです。失敗から学ぶためのモチベーションをもう少し高めたいと思っているのなら、失敗を自分の心のうちにとどめていてはいけません。他の人に失敗を打ち明ける目的は、必要に応じちょっとした支えをもらい、自分に説明責任を課して、自分のモチベーションを高めるためです。
 自分の失敗を打ち明けるには勇気がいることです。
 自分の弱みを晒せば、心が解き放たれて、カタルシスを得られることもあります。カタルシスというのは、「心の中に溜まった澱のような感情が解放されて、気持ちが浄化されること」を意味します。自分の心の内面を信頼できる他人に話すことによって、いったん自分が抱えている苦痛を手放し、自分に対して距離を置いた状態でその苦痛を客観視し、解放することによって浄化されていくと考えられています。
 自分の失敗を人に打ち明けるというのは、自己のモチベーションを高めるというだけではありません。
 経験したことを内省し、成功したことも失敗したことも、次の経験に活かせるように言語化・教訓化することで個人の成長スピードを高めることができるだけでなく、個人の経験という暗黙知形式知化して、つまり見える化して全員が共有できるようにすることで、組織全体の成長につながるのです。