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休日の本棚 デール・カーネギー「人を動かす」

おはようございます。
今日は、デール・カーネギー著「人を動かす」(創元社を紹介します。著者のカーネギーアメリカの作家で自己啓発成功哲学の書物も多く、本書「人を動かす」は1936年に出版され、未だに読みつながれている名著です。カーネギーと言えば、鉄鋼王アンドリュー・カーネギーを思い浮かべる人がいますが、全くの別人です。
カーネギーの著書は「他者に対する自分の行動を変えなければ、他者は変わらない」という考えが根底にあります。本書「人を動かす」でもこの考えが柱になっています。
この本は、人を動かすことの本質、つまりマネジメントの本質について、さまざまなエピソートを交え、「原則」としてまとめています。
人を動かす3原則」「人に好かれる6原則」「人を説得する12原則」「人を変える9原則」について、具体的なエピソード・物語を交えながら示されていきます。詳しくは直接本書を手に取って読んでください。為になります。
1.人を動かす3原則
盗人にも五分の理を認める・・・どれだけ自分が正しくても、相手が間違っていようとも相手を認めることから始めます。たとえ泥棒であっても、「自分が間違っている(悪い)」とは認めたがらないものです。そのような者にいくら正論を言っても意味がありません。状況が悪化するだけです。相手を批判したり非難もせず、苦情も言わず、まずは相手を認めることです。
重要感を持たせる・・・人は誰しも「重要な存在になりたい」という欲求を持っています。相手の優れている点をストレートに伝え、相手の自己重要感を満たすことです。お世辞ではなく、相手の心に響くように本音で伝えることです。これは、率直で誠実な評価を相手に与えることを意味します。
人の立場に身を置く・・・自分のことではなく、相手の立場に立って、相手が何を望んでいるかを考え、それを手に入れる方法を教え、相手の利益と自分の利益を一致させることです。
 以上の3つ、つまり、①どんな相手であっても非難せず相手を認め、②相手に心からの賛意を示して自己重要感を満たし、③相手の立場に立って相手の望みが何かを考えそこに自分の望みの標準を合わせることが、人を動かす原則ということです。
2.人に好かれる6原則
誠実な関心を寄せる・・・人は自分に関心を寄せてくれる人に関心を寄せるようにできています。人に好かれるためには、自分から相手の誠実な関心を寄せることです。
笑顔を忘れない・・・笑顔が多い人の方が好かれます。笑顔は伝染するので、笑顔を心がければ、相手も楽しく嬉しい気分になります。
名前を覚える・・・人は名前を覚えてくれ、自分の名前を呼んでくれる人に好意を寄せます。
聞き手に回る・・・人は自分の話をしているときは気分が良いもので、相づちを打ち、ときに質問をはさみながら熱心に聞いてくれる人に好感を抱きます。
関心のありかを見抜く・・・人は自分の興味があることに共感されると、その人に好感を覚えます。
心から褒める・・・相手を心から称賛することで、相手の自己重要感を満たすことです。
 上の6つが相手に好かれる6原則ですが、簡単なようで難しいものです。これらはよりよい人間関係・信頼関係の構築やコミュニケーションのあり方に通じます。
3.人を説得する12原則
議論を避ける・・・議論はほとんどの場合建設的でなく、双方の自尊心を傷つけるだけで終わります。自分の意見や考えが正しいと思っても、相手が議論をふっかけてきても、それに応じない心構えが大切です。
誤りを指摘しない・・・相手が間違ったことを言ってきても、鬼の首を取ったような対応はNGです。相手の意見を真っ向から否定したり、断定的に自分の意見を主張したりすれば、あとで相手を説得できなくなります。
誤りを認める・・・誰でもミスを起こします。自分がミスを犯したときは素直にミスを認めることです。こちらが下手に出れば、相手も寛容になり、説得するための土壌はできます。
穏やかに話す・・・自分の意見を断定的に述べるのではなく、相手を尊重する姿勢が重要です。穏やかな口調で、物腰を柔らかく話すことです。
エスと答えられる問題を選ぶ・・・相手が納得できない、簡単に返答できない問題を選んでしまうと、相手は警戒します。まずは相手が「イエス」といえる問題を選んで、何度も「イエス」と言わせることで警戒感を和らげ、肯定的な方向へと向かわせるのです。
喋らせる・・・聞き役に徹して、相手に喋らせることで、相手の自己重要感を満たすことです。
思いつかせる・・・考えや主張をすべて伝えれれば相手に自分の主張を押しつけることになります。相手にキーワードやヒントを与え、最後は自分で気づくように仕向けることです。
人の身になる・・・「相手の立場だったらどう思うだろうか」と相手の立場に立つことが何事においても重要になってきます。つまり相手の行動にフォーカスし、コミュニケーションすることが大切です。
同情を寄せる・・・相手に同情することで、相手の敵愾心をほどき、そこから相手の食い違った意見を修正していくのです。
美しい心情に呼びかける・・・相手の美しい心情に呼びかけることで、こちらがして欲しい行動を訴えかけ、相手に行動させることです。
演出を考える・・・単に事実を伝えるだけでなく、相手が興味を持つような演出を考えて、相手を楽しませるようにすることです。
対抗意識を刺激する・・・回りと比較することで、相手の対抗意識を芽生えさせ、仕事の質やスピードを増大させることです。
 人を説得する12原則では、人を動かす3原則、人に好かれる6原則をベースに具体的な方法が書かれています。対立することを避け、相手の立場と考えを尊重し、穏やかな言動で接することで、相手はこちらの意見を受け入れやすくなります。その上で、相手の良心に訴え、相手が興味を引き楽しめるような演出をすることによって、結果的に相手がこちらの望む行動を取るようになるのです。
 ここでも、「自分が変わることによって相手も変わる」というカーネギーの考えが忠実の示されています。
4.人を変える9原則
まず褒める・・・相手に優れたところがあればしっかりと褒めることで、相手の気分を良くすることです。その上で直すべきところに触れることで、相手は真摯にこちらの意見を聞き入れます。
遠回しに注意を与える・・・苦言を呈するときは、直接的な表現は避け、遠回しに言うことです。「~するな」「~しろ」と言うのではなく、それとなくこちらの意見に気づかせるように持って行くのです。
自分の過ちを話す・・・自分の失敗のエピソードを話すことで相手の警戒心を解くことができます。相手も、反抗心を抱くことなく自分の過ちを認め取り組むようになります。
命令をしない・・・命令するのではなく、自主的にやらせることが重要です。「~しろ」ではなく「~してはどうか」と言うように一つの提案という形をとることです。
顔を潰さない・・・相手の顔をしっかりと立て、相手のプライドを傷つけないことです。
わずかなことでも褒める・・・人は「褒められて伸びる」ものです。褒められると嬉しくなりやる気になります。どんな些細なことでも褒めるべきところは褒めることです。
期待をかける・・・人は期待がかけられるとやる気になり頑張るもの相手を信頼し期待を掛けていることを伝えることです。
激励する・・・人は激励されると、その期待に応えようとパフォーマンスを上げるものです。
喜んで協力させる・・・相手が喜びそうな肩書きを与え、こちらに協力してくれるように持って行くのも重要な技術です。相手の自己重要感を満たしてあげることで、こちらに協力させることができるのです。
「人を動かす」と言うことはビジネスにおいても日常生活においても難しいものですが、基本はよりよい人間関係の構築です。そのためには、相手の立場に立って、心底相手を思いやるということが大切になります。
相手を変えようと思っても、思い通りに相手を変えることはできません。まずは自分が変わることです。自分が変わり、相手の心に響く言葉を掛け、相手の立場に名って相手を思いやるようになれば、相手も自然と変わっていくものです。
 85年以上も読み継がれている名著です。一読の価値は十分あります。
 この本の巻末に「幸福な家庭を作つくる7原則」が添付されています。参考にしてください。
幸福な家庭をつくる7原則
・口やかましく言わない
・長所を認める
・あら探しをしない
・褒める
・ささやかな心づくしを怠らない
・礼儀を守る
・正しい性知識を持つ