中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

中小企業経営のための情報発信。中小企業から日本を元気に

会計オンチの社長

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おはようございます。

今から27年前の1月17日午前5時46分、淡路島北部を震源とする阪神淡路大震災が起き、6434人の方が被災で亡くなられました。当時、私は西宮に住んでいて被災に遭いました。今でも当時のことを思い出します。当時マンションの3階に住んでいましたが、最初は地震とは思わず、ダンプか何かが家に突っ込んできたような衝撃と下から突き上げてくる大振動で恐怖を感じました。家中の家具は転倒しガラス扉は割れ、割れた食器が床に散乱し、外に飛び出すと周りの家が目の前で倒壊し、3階当たりでへしゃげたマンションなど見るも恐ろしい光景が目の前に広がっていました。

2011年3月11日には、東日本大震災が発生し、福島原子力発電所事故と相まって2万人を超える死者、行方不明者が出ています。震災時は出張で東京から帰りの新幹線な中、品川を出た直後に震災に遭い、新幹線の中に10時間閉じ込められました。

阪神淡路大震災では急速に復興しましたが、東日本大震災ではいまだに多くの人が被災難民として他所で生活され、復興も道半ばです。阪神淡路大震災での教訓が活かされたかは疑問です。

今は新型コロナウイルスの感染拡大で、震災時と並んで未曽有の危機的状況にあります。2つの大震災と今回の新型コロナ禍を見てみますと、日本の危機管理能力が余りにお粗末だということが見えてきます。

阪神淡路大震災東日本大震災の経験と失敗(今回のコロナ対策も含め)を後世に伝え、危機管理を考える礎にすべきだと思います。風化させてはいけません。政府は、起こった事象に対する十分な検証を行わず、その場しのぎ・場当たり的な対策でごまかしてきています。これは危機管理としては最悪です。

危機管理のマズさ、お粗末さが、天災の域を超え人災にすらなります。今のコロナの感染拡大・医療体制崩壊の危機はまさに政治のお粗末さによる人災だと言っても過言ではないでしょう。

こうした災害や事故に伴うリスクだけでなく、社会リスクや経営リスクなど多くのリスクが企業を取り巻いています。企業の存続を図るためにも、リスク回避と被害の最小化のためのしっかりとしたリスク管理体制と方策が必要です。危機管理については、先日も書いたので参考にしてください。

さて、今日は幻冬舎GOLD ONLINEの「会計オンチの社長が、会社の成長の足かせに」という記事を取り上げます。

会社経営には、会計のサポートとして税理士や会計士が不可欠ですが、社長自身も会計の知識がないと、税理士や会計士のアドバイスを十分に理解できず、会社の展望やそのための方策について意識を共有することができません。少なくとも、会社を経営する社長には最低限の基礎的な会計の素養が必要です。

1.勢い任せ・・・「根拠なき経営戦略」による弊害

 中小企業の中にも経営計画を作っているところもあります。経営計画は会社の成長に役立つ者で、作成しているというのは素晴らしいことですが、その経営計画が会計に基づく根拠がないものであれば何の意味もありません。何の根拠もなく「来年度は売上10%アップ」という経営計画を作ってもそれは単なるスローガンにしか過ぎません。会計的な根拠があって具体的な目標となって初めて真剣に取り組むことができ、進捗状況をチェックでき、達成に向けて軌道修正もできるのです。

 経営計画にしろ経営戦略にしろ、作れば終わりではありません。それを実行に移して達成できて初めて意味があるのです。根拠なき経営計画や経営戦略では何から手をつけていいのかも分かりません。実行できるには、具体的な目標が明確に示され、それに向かってのプロセスがきっちりと決まっている必要があるのです。目標とプロセスがあって、計画や戦略と実績を比べることができ、達成度や達成できなかった原因も明らかになります。そうすれば、達成に向けての軌道修正・改善も容易にできるようになるのです。

2.「会計業務は税理士に丸投げ」は間違い

 専門的な分野については専門家に任せて、社長は本来の業務(経営)に専念するというのは間違いではありません。

 以前にも書いたことがありますが、中小企業の社長は何でもかんでも自分でやろうとして忙しく社長本来の仕事がおろそかになっています。特に経理については「他の社員に知られたくない」「不正をされたら困る」といった理由で何の知識もないのに自分でやっている社長もいます。経理の知識の乏しい社長が経理を行えばミスが起き、第三者の目が入らないままミスが繰り返され、税務調査が入れば大きなトラブルとなり多額の重加算税が課され、銀行からの信用にも影響します。また、社長がそれらの業務を行うことによる損失はとてつもないものになります。社長が経理業務に忙殺されている結果、本来の社長業務が疎かになるのです。経理担当をパートでも採用し任せれば、社長本来の業務に専念できます。中小企業の場合、大企業と異なり、その業績は社長のパフォーマンスに大きく左右されるところがあります。社員全員の総合的な力あるいは組織全体の力というよりは、社長が会社のエンジンとなって奮闘することで業績を上げているという面があります。

 だから、専門分野は専門家に任せて社長業に専念する必要があるのです。

 しかし、会社を経営しているのは社長自身です。少なくとも、自社の経営成績・財務状況をリアルタイムに把握できていなければ経営はできません。すべてを専門家に丸投げ、経理担当に任せていてはいけないのです。

 顧問税理士であっても会社の実情を把握しているわけではありません。社長自身が会社の経営成績・財務状況を知らないようでは表面的なアドバイスしかできません。社長自身も経営成績・財務状況を知り自社が抱える会計面での課題や問題を認識できていて初めて、専門家の知識や経験に基づく的確なアドバイスを理解でき、的確な判断ができるようになるのです。 

休日の本棚 起業家とは何か

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で2万5742人で過去最多の2万5990人に迫りつつあり、今日にも過去最多を更新することになりそうです。東京4561人、神奈川1538人、埼玉1173人、愛知1480人、大阪3692人、兵庫1191人、広島1212人、福岡1098人、沖縄1829人と9都府県で1000人超えです。こうした中、オミクロン株の重症化リスクの低さから、新型コロナを今の感染症法の第2類から季節性インフルエンザと同じ第5類に引き下げようという意見もあるようですが、反対です。第5類となれば、都道府県の対策は調査のみとなり、入院勧告や感染者の隔離は不要、入院施設や宿泊施設の確保は必要なく、行政検査や濃厚接触者の追跡・クラスターつぶしの作業はなくなり、更に医療費の都道府県負担もなくなり行政側からすればいいことでしょう。しかし、これでは感染者数の正確な把握は困難となり、益々感染者を拡大させ、かえって社会機能を麻痺させることにもなりかねません。更に、オミクロン株は重症化リスクが低いとはいえ、感染力は季節性インフルエンザの比ではなく、死亡率にしても季節性インフルエンザの10倍とも言われており、季節性インフルエンザと同列に論ずることは時期尚早です。

さて、今日は、J・A・シュンペーター著「起業家とは何か」(東洋経済新報社を紹介します。シュンペーター氏は言わずと知れた経済学の権威で、企業が行う不断のイノベーションが経済を変動させるという理論を構築しました。

以前「両利きの経営」で書きましたが、「知の探索」と「知の深化」がイノベーションにとって重要であり、シュンペーター氏も「新しい知とは『既存の知』と『既存の知』の『新しい組み合わせ』で生まれる」と言っています。

イノベーションは、新しい知や新しいアイデアを生み出すことですが、何もないところから全く新しいものが突然生まれてくるということはありません。新しいものというのは既存の知の組み合わせで生まれてくるものです。

「両利きの経営」で書いた繰り返しになりますが、「知の探索」というのは「自分の現在の認知の範囲外にある知を探索氏、今自分が持っている知と組み合わせること」で、「知の深化」というのは「新しく組み合わされた知を徹底的に深掘りして磨き込み収益化していくこと」です。

 この「知の探索」と「知の深化」の両方があって初めてイノベーションはうまくいくのです。

1.イノベーションとは

 シュンペーター氏は、その著「経済発展の理論」の中で、「イノベーションとは、価値の創造方法を変革して、その領域に革命をもたらすことである」と言っています。このところイノベーションを技術革新と捉える傾向がありますが、これは間違っているのです。イノベーションというのは単なる技術革新にとどまらず、社会に新たな価値をもたらす創造であればすべてイノベーションなのです。

 また、シュンペーター氏は「経済発展の原動力はイノベーションにある」と言います。そして、イノベーションというのは、前述のように「既存の知」と「既存の知」の「新しい組み合わせ」です。

 既にある知を組み合わせることですから、簡単なようにも見えますが、これがなかなか難しいのです。既存の知と既存の知を組み合わせることは簡単ですが、そこから新しいものを生み出すことは容易ではないのです。だからこそ、「既存の知」と「既存の知」の新しい組み合わせで、これまで誰もが思いつかなかったような斬新なものが生まれてくるのです。そしてそのイノベーションによって世の中が変わるのです。

 入山章栄著「世界の経営学者はいま何を考えているのか」(英治出版の中で、入山教授が挙げている例で言えば、紙おむつの製造方法です。優れた紙おむつを製造するには、吸収力を高めるために紙に穴をあけて加工・切断する必要があります。そのために使われる技術の1つはウォータージェットで、当初はステンレスやチタニウムを切断のために航空宇宙産業で使われていた技術です。航空宇宙産業で使われていた技術と紙おむつの加工という全く異なる知と知が組み合わさることで、吸収力の高い紙おむつというイノベーションが生まれたのです。

3.新結合

 人類発展の歴史はイノベーションの歴史と言っても過言ではありません。イノベーションが生まれると、従来のやり方は根本的に変わり、世の中も大きく変わります。新しく生まれたイノベーションがさらなるイノベーションを生み出します。こうして人類は発展していったのです。

 シュンペーター氏は、このイノベーションを生み出す「『既存の知』と『既存の知』の『新しい組み合わせ』」を「新結合」と名付けました。

 シュンペーター氏は、経済発展には2つの段階があるとします。

 第1段階は「経済の循環的変化」です。この段階では、経済に起こる変化は、経済自身に委ねられる変化に限定されると説いています。ここでは人口の増加、製品・食料などの生産増に伴う経済変化です。

 第2段階は「経済の断続的変化」です。この段階での経済発展の重要な要素が「銀行」「企業者」「イノベーション」です。銀行は企業者に信用を与え資金提供し、企業者は銀行から得た資金を元に生産手段を作り、イノベーションを生み出すというわけです。この段階で「新結合」が起きるのです。

 この「新結合」には次の5つのパターンがあります。

  1. 新しい商品・サービスを生み出す・・・プロダクト・イノベーションのこと。新製品・サービスを市場に出すことによって今まで市場を席巻していた製品やプレーヤーを駆逐する。
  2. 新しい生産方法を生み出す・・・プロセス・イノベーションのこと。モノの生産ラインを変革する。
  3. 新しい組織を作る・・・オーガナイゼーション・イノベーションのこと。組織を意識的に変革することで、イノベーションを生み出しやすくする。
  4. 新しい販売市場を作る・・・マーケット・イノベーションのこと。今まで他のプレーヤーが取り組んでこなかった市場に参入する。
  5. 新しい供給源を見つける・・・サプライチェーンイノベーションのこと。サービスの元となる原料において変革をもたらす。

3.起業家とは

 イノベーションを生み出すのが起業家です。起業家は発明家ではありません。発明家はアイデアを生み出しますが、起業家はアイデアを生み出すだけでなく、そのアイデアを利用して新しい事業を行う、もっと平たく言えば「儲ける」ことです。

 例えば、アップルのジョブズは、技術を発明したのではなく、iPod、携帯電話、ネット通信デバイスという3つの「既存の知」を結合しiPhoneをつくりだし、イノベーションを起こし、世の中を変えたのです。ジョブズは、起業家の中の起業家です。

 起業家は、何か新しいことを行ったり、既に行われていることを新しい方法で行う者です。たとえ、それがどんな小さなことでも、それまでにない新しいことを行っているなら、それは起業家なのです。

 シュンペーターは、起業家と資本家を分けた上で、「イノベーションは企業者と資本家で実現される。リスクを負うのは、企業者ではなく資本家である」と言います。ビジネスが成功するかどうかは不確実です。不確実なビジネスにお金を出す資本家の役割は失敗して投資した資金を失うリスクをとることであり、企業者はリクスを考えることなく事業の成功に向けてイノベーションを起こそうと努力することです。

 日本では、資金は主に銀行の融資に頼り、企業者自身が連帯保証することになっています。これでは、企業者がリスクを負うことになり、失敗すればすべてを失い再挑戦の機会も失ってしまいます。企業者が連帯保証にならず再挑戦の機会が確保されるベンチャーキャピタルの整備が更に望まれます。

 「イノベーションの父」と謳われたシュンペーター氏は、100年以上も前に「事業を興しイノベーションを実現して新しいことを行う企業者こそが、経済発展の要である」と主張していますが、今なおこの言葉は生き続けています。むしろ、先行きが見通せない今の時代にこそ、「既存の知」と「既存の知」の「新しい組み合わせ」を真剣に模索してイノベーションを起こさなければ、どのような企業も生き残ることは難しくなっているように思います。

休日の本棚 さあ、才能に目覚めよう

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で2万2045人で、9月1日以来4ヶ月半ぶりに2万人を超えました。東京4051人、神奈川1155人、埼玉955人、千葉916人、愛知1317人、大阪2826人、兵庫929人、京都671人、広島997人、福岡800二オン、沖縄1596人などとなり、2日で2倍というかつてないスピードで感染が拡大しています。新規感染者の急増に伴い重症者数、病床使用率も徐々に上がってきています。政府は、濃厚接触者の待機期間を14日から10日短縮し、エッセンシャルワーカーについては更に6日に短縮すると決定しましたが、社会生活の維持にはやむを得ないところです。

さて、今日は、トム・ラス著「さあ、才能に目覚めよう 新版」(日本経済新聞出版社を紹介します。著者のトム・ラスはビジネス思想家であり、この本で紹介されている「ストレングス・ファインダー」というツールを提供するギャロップ社の責任者です。「ストレングス・ファインダー」は、故ドナルド・クリフトンが「人間の強み」研究に基づいて開発したツールで、自分の才能や強みを見つけるためのツールで、この本に付属しているアクセスコードを使用してテストを受けることができます。このテストを受けることで、自分の強みややりたいこと・向いていることが分析できます。

先年末にも書きましたが、2022年は「自社の強み」を明確に把握し、その強みを活かすべく「選択と集中」を行うべきです。これは企業だけに限らず個人にも言えることです。弱みを克服するには膨大な時間や労力がかかり、それでやっと人並みになれるだけです。強みを把握しそこに集中できれば、絶大な強みになります。会社だけでなく、個人も自分の強みを明確に把握し、その1点に集中できれば大きく成長できるのです。そのための分析ツールが「ストレングス・ファインダー」です。

どのような企業にも自社の強みと弱みがあります。弱みについては他社にアウトソーシングして、強みに注力すれば、大きく成長できます。個人も同じです。苦手なことは専門家に任せ、自分の強みに集中すれば、大きく成長できます。

人間誰しも、強みと弱みを持っています。弱みを克服するのは苦痛ですが、強みを伸ばすのは楽しく、苦痛を感じることはありません。強みを伸ばす努力をする方が意欲的になり生産性も高まることは当然です。

先ほども書きましたが、ストレングス・ファインダーは、強みの源泉となる「資質=才能」を特定するツールです。180の質問に答えることで自分の強みとなる「資質=才能」が明らかになります。

強みというのは、「資質=才能」と「投資」のかけ算です。足し算ではありません。「資質=才能」を特定し、そこに集中して「投資」を行えば、急激に強みは大きく膨張します。

資質には、次の34個がありますが、どれが良くてどれが良くないということはありません。あくまでもその人が持つ性質にしか過ぎないのです。例えば「信念」という資質を持つ人は強い価値観を一貫して持っていますが、頑固で自分の価値観に固執すれば、他人と衝突してしまうというリスクがあります。どの資質にもにも同じことが言え、すべての資質に良いところと悪いところが併存しているのです。

34の資質は、以下の通りです。

 ①達成欲 ②公平性 ③包含 ④自己確信 ⑤信念 ⑥共感性 ⑦最上志向

 ⑧運命思考 ⑨着想 ⑩回復志向 ⑪アレンジ ⑫規律性 ⑬学習欲 ⑭競争性

 ⑮調和性 ⑯責任感 ⑰分析思考 ⑱成長促進 ⑲内省 ⑳社交性 ㉑未来志向

 ㉒親密性 ㉓適応性 ㉔慎重さ ㉕収集 ㉖戦略性 ㉗コミュニケーション

 ㉘ポジティブ ㉘活発性 ㉚原点思考 ㉛個別化 ㉜自我 ㉝指令性 ㉞目標志向

この34の資質の説明と活用方法については、この本の中で詳細に説明されています。

資質というのは、ある意味ダイヤモンドの原石であり、それを磨くのは自分自身です。どのように磨き上げるのかを決めるのは自分自身です。それは企業でも同じです。自社しか持たない強みは、以前紹介した「コア・コンピタンス」です。その強みを伸ばし、活かすのが「コア・コンピタンス経営」です。

企業も個人も、2022年は、強みを明確に把握し、その強みを活かす・伸ばすことによって成長していきましょう。

5Sとは?

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で1万8859人で、東京3124人、神奈川842人、埼玉886人、千葉633人、愛知1036人、大阪2452人、兵庫904人、京都566人、広島805人、山口218人、福岡699人、沖縄1817人、北海道328人となり、全国31都道府県で100人を超えています。この異常ともいえる感染拡大がオミクロン株の感染力の強さですが、まだ始まったばかりでどこまで感染拡大するのか心配です。欧米のように1日のp感染者が数十万人規模にならないことを祈ります。

さて、今日は、幻冬舎ゴールドオンラインの「どのような職場においても仕事の基本となる『5S』とは?」という記事を取り上げます。

5Sは仕事の基本中の基本ですが、あまりに当たり前すぎて、おろそかにしていないまでも、あまり意識してこなかったかも知れません。

5Sは、整理・整頓・清掃・清潔・躾の5つの言葉の略ですが、JISによれば、「職場の管理の前提となる整理、整頓、清掃、清潔、しつけ(躾)について、日本語のローマ字表記で頭文字をとったもの」と定義されています。

5S活動を職場の管理の前提となるもので、整理整頓によって職場環境を綺麗にする美化活動ではありません。つまり、5Sを通じて職場が抱える課題を解決する改善活動です。5S活動で職場環境が整うだけでなく、無駄がなくなります。そしてその結果、作業の効率性や生産性の向上が実現できるのです。

1.5Sとは?

 古くから日本の製造業を中心に行われている、職場の環境整備活動が5Sです。

  1. 整理・・・必要なものと不必要なものを区別して、不必要なものを片付けることです。ポイントは、①不要なものを思い切って「捨てる」ことと②短期間で一斉に行うことです。
  2. 整頓・・・必要なものを必要なときにすぐに使用できるように、決められた場所に準備しておくことです。ポイントは、①作業性、安全性、美観などを考慮して置き場所や置き方を決めることと②表示を徹底して行うことで「所定の場所に必ず戻す」ことを徹底することです。
  3. 清掃・・・必要なものについて異物を除去することです。ポイントは、①短期間にこまめに行うこと ②全員で個人別に平等に分担して行うこと ③汚れの発生源対策を行うことです。
  4. 清潔・・・整理・整頓・清掃が繰り返され、汚れのない状態を維持していることです。ポイントは、①機械設備だけでなく床などもピカピカに磨くこと ②色彩管理を取り入れて清潔感を出すようにすること ③身だしなみも清潔にすることで、更にこれらを「維持すること」です。
  5. ・・・決めたことを必ず守ることです。ポイントは、①経営者、管理者の率先垂範と部下に対する監督、教育指導、訓練の継続的実施と②決めたことを守る運動を展開することで、決められたルールは「必ず守る」ことです。

2.5Sの目的

 5Sの目的は、PQCDSを達成することです。PQCDSというのは、

  1. P(Productivity)量的生産性・・・1人当たり、1台当たりの生産数量あるいは量的生産性の維持・向上
  2. Q(Quality)品質・・・品質そのものあるいは品質の維持・向上・不良品の低減
  3. C(Cost)原価・・・原価そのものあるいは原価の低減
  4. D(Delivery)納期・・・納期そのものあるいは納期達成、短納期化の実現
  5. S(Safety)安全性・・・向上の安全、環境あるいはそれへの配慮

です。さらに、

  1. 3ム(ムリ・ムダ・ムラ)の撲滅
  2. 材料・機械・エネルギー等の資源の節約
  3. 従業員のモラルの向上、自主管理能力の向上、リーダーシップの高揚

なども目的として挙げられ、「目で見る管理」(作業者又は管理者が、進捗状況又は正常か異常かどうかと言った生産の状況を一目で見て分かり、管理しやすくする工夫:JISの定義)の大前提となるものです。

 「目で見る管理」は5Sの上位に位置し、5Sの確立が大前提となっているのです。

3.5Sの効果

 5Sの直接的な一次効果としては次のようなものが挙げられます。

  1. 在庫の削減・・・不要な在庫や資材が処分されることで、スペースが確保できる
  2. 段取時間の短縮・・・標準時間設定により、段取時間が削減され、作業が効率化する
  3. 機械の汚れ防止・・・清掃により機械の汚れが防止され、不良品の発生が抑えられる
  4. 機械の故障防止・・・機械の点検整備により、故障を防止できる
  5. コストの削減・・・チョコ停(設備がちょこちょこ停止すること)防止、不良品の減少などで製造原価が削減される
  6. 納期の厳守・・・時間管理が徹底され、納期が守れる
  7. コミュニケーション不足の解消・・・ルールの徹底により連絡ミスがなくなる
  8. 安全の確保・・・不良品・道具の放置や機械故障による労働災害が防止される

 2次効果としては次のようなものが挙げられます。

  1. 社員の責任感の向上・・・5Sを実施する中で、それぞれの役割を担うので、責任感が養われる
  2. 組織推進力の向上・・・5Sは全員活動なので、全員参加の気運が高まり、組織的に推進する力がつく。
  3. 改善力の向上・・・5Sの推進により、3ム(ムリ・ムダ・ムラ)が減少する

 3次効果としては、次のようなもの挙げられます。

  1. 整理によって、在庫が適正在庫に近づき、在庫効率が向上する
  2. 整頓により、道具を探す手間が省けて生産性が向上し、製造コストが削減される
  3. 清掃により、機械の故障を減らし生産速度を上げ、製造コストを削減する
  4. 清潔により、作業の標準化が進み、時間管理が徹底され、人件費の削減に繋がる
  5. 躾により、ルールの徹底で連絡ミス・再作業がなくなり、材料費・人件費の削減に繋がる

4.5Sを継続させる仕組みを作る

 5Sを継続させるためには、仕組みを作ることが重要です。

 まずは5Sマニュアルを作成することです。ここで重要なのは、整理・整頓・清掃・清潔・躾それぞれの手順書です。さらに、5S委員会の設置やその公正、推進ブロックの区分なども決めることです。5Sの目的や定義を見失わないように明記することも重要です。5S委員が各ブロックを回って5Sが行われているかを点検する5Sパトロールも有効です。5Sの効果が分かるように定点撮影を行うことも有用です。

 5Sのメリットを継続、維持させるためにはさまざまな取組みがありますが、委員会を作り、書類を作り、格ブロックを細分化し、目的達成を促すことが重要です。

 まずは経営者、管理者が率先して行い、社員全員に全社全員活動であることを徹底的に意識させることです。

 

 

仮説思考

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で1万3244人で、東京2198人、神奈川548人、埼玉547人、千葉465人、愛知723人、大阪1711人、兵庫512人、京都412人、広島652人、山口182人、福岡408人、沖縄1644人などとなっています。先週の同じ曜日と比べると5倍に増えています。このまま行くと今週中には第5波の時の最多2万5156人を越え、来週には5万人にも達する勢いです。オミクロン株は重症化リスクが低いとはいえ、38度の熱が10日間続いたとか、頭痛やだるさが継続しているとの発表もあり、侮ることはできません。更にアメリカでは子供の発症が増えているとのことなので、日本でも12歳未満へのワクチン接種を加速させる必要がありそうです。

さて、今日は、リクナビNEXTジャーナルの「『仮説思考』とは?今ビジネスで必要とされる理由と磨き方を解説」という記事を取り上げます。

1.仮説思考とは?

 「仮説思考」は、今見えている事実と自身の知識を元に先を読み、「おそらくこうなりそうだ」という有力な仮説を立て、それをピンポイントに検証していく思考法です。仮説を先に立てるので検証すべき項目が絞り込めることができ、効率よく問題を解説したり、結論にたどり着いたりすることができるのです。

 かつては問題や課題が明確で、その解決方法さえ考えれば良かったのですが、今のように変化が激しく先が見通せない混迷の時代では、問題や課題が明確ではありません。まずは問題や課題を発見することから始めなければならないのです。その際、問題点を素早く見極め、大局を読みながら仮説・検証に臨む姿勢が必要不可欠となり、仮説思考に基づいた問題解決法は時代にマッチしています。

 「仮説思考」と真逆の思考法が「探索的思考」です。これは仮説を立てず、考えられる可能性をしらみつぶしに調べ結論を導き出す思考法で、慎重な思考法といえますが、変化が激しく先行きが見通せない今の時代では迅速性が求められるので時代に合わないと思います。

2.仮説思考はスピーディーな問題解決に向いている

 仕事には、「問題解決型」と「理想実現型」があります。

 「問題解決型」は、例えば、「売上減少に歯止めをかけるのにどうすればいいか」「増え続ける退職者を食い止めるには」といった今ある問題を解決するための仕事で、これには仮説思考が適しています。

 一方で、「理想実現型」の仕事は、『もっと会社を大きくしたい』『会社の認知度を高めたい』などと言った目標を実現するための仕事で、これには「探索的思考」が適しています。

 仮説思考は、今ある問題をスピーディーに解決するすることに向いているのです。早急に解決したい問題や課題であれば、悠長にすべての可能性をしらみつぶしに当たっている暇はありません。たとえそれが次善の策であろうとも、まずは仮説を立ててそれに搾って検証し、解決を急がなければならないのです。

3.仮説思考のメリット・デメリット

 仮説思考のメリットは、これまで延べているように「スピーディーに結論を導くことができる」という点です。企業は多くの問題や課題を抱えています。その問題や課題のすべてに時間や労力をかけていたのでは、事業自体が停滞してしまいます。抱えている問題や課題をスピーディーに捌いていかなければならないのです。仮説思考は企業が抱える問題や課題を効率的に解決してくれます。最も問題解決に効果がありそうな仮説を立てて、どんどん検証に回していけば、数ある問題をにスピーディーに対応することができるのです。

 例えば、先ほど挙げた「退職者が増えているのを食い止めたい」という課題の場合には、退職しようとする社員を呼んでヒアリングしたり、既存社員にアンケートを採ってデータを集め、それを分析するという手法もありますが、それでは時間や労力がかかりすぎます。一刻も早く原因を究明して食い止めたいのであれば、データ収集よりは、まずはある程度確からしいという仮説を立てて、先に進めるという仮説思考の方が迅速に解決に導いてくれます。

 一方で、仮説思考のデメリットとしては「他の可能性を見落とす」ことや「イノベーションが生まれにくい」という点が挙げられます。

 仮説思考の場合、「仮説以外の可能性」をいったんは切り捨てることになります。仮説思考は仮説を立てた一の情報収集力と元から持ち合わせていた知識に依存することが大で、仮説の精度が低ければ、「別にあったベストな結論」を見逃してしまう恐れがあるのです。更に酷い場合には「間違った仮説」を立てることにもありますが、この場合には、間違いに気づいた場合に仮説を立て直し検証するということを繰り返すことで精度を高めることができます。

 また、仮説思考はイノベーションを生みにくいというデメリットがあります。イノベーションは、色々なものを試す中で偶然新しいものを発見したり、新しい発想やアイデアを思いついたりすることで生まれます。最初からある程度確からしいという仮説を立てて、それに絞り込んで検証していたのでは、クリエイティブなアイデアは生まれにくいのです。

4.仮説思考を磨くには

 仮説思考は、現時点で見えている「事実」と元々持ち合わせていた知識を元に仮説を立てる思考法です。そして、立てた仮説の精度が低ければ、間違った結論を導き出したり、運良く間違いに気づいても仮説の立て直し、検証を繰り返していたのではスピーディーさという仮説思考のメリットを活かせません。

 仮説思考に必要なのは、仮説を立てるに当たって現時点で見えている「事実」と持ち合わせている「知識」の豊富さです。

 「事実」を増やすには、徹底的に情報収集して「事実」を集めるしかありません。

 また、「知識」を増やすには、「色んなことに興味を持ち、幅広くインプットすること」です。アンテナを高く広く張り、あらゆる情報を収集すること、自分の業務領域以外の知識や仕事を離れた雑学などにも目を向けるべきです。多くの引き出しがあれば、偏りのないバランスのとれた良質な仮説を立てることができます。

企業の危機管理

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で6378人で、東京962人、神奈川387人、埼玉227人、千葉252人、愛知236人、大阪613人、兵庫113人、京都131人、広島588人、山口143人、福岡148人、沖縄775人などとなっています。岸田首相は、外国人の新規入国の原則禁止など水際対策の継続、第3回目のワクチン接種の前倒し・大規模接種会場開設、12歳未満へのワクチン接種など、オミクロン株に対する感染防止対策の徹底を表明しました。昨日も書きましたが、オミクロン株の感染力の強さから社会インフラが機能不全にならないように万全の対策をとるようにしてもらいたいものです。昨日小池都知事は「(急激に感染拡大している現状は)医療体制だけでなく、多くの事業や社会活動の停止につながる。首都直下型地震に相当する」との認識を示したうえで、「事業継続計画(BCP)について、今回の感染拡大を踏まえ、改めて優先業務を洗い出して応援要員の手配方法や具体的な段取りを支給点検して貰いたい」と述べています。各企業においても、今一度、危機管理体制について点検すべきかも知れませんし、まだ危機管理体制が不十分な企業は危機管理体制をしっりと構築することです。

企業の危機管理については、以前にも書いていますが、改めて書いておきます。

1.危機管理とリスク管理

 危機管理と似た言葉にリスク管理という言葉があります。両者は同一に論じられることもありますが、全く別物です。

 リスク管理(リスクマネジメント)は、近い将来から遠い将来まで、これから発生するかもしれないリスクを洗い出し、それらのリスクを回避するための管理活動です。ここでいうリスクとは、「今後発生し得る不確定事象」のことで、マイナスの影響を及ぼす出来事だけがリスクではありません。思わぬ出来事で企業に利益をもたらすものもリスクとなるわけです。

 一方、危機管理は、事業の目標達成や事業継続を脅かすような危機が発生した際に、その影響を最小限に食い止めるとともに、危機的状況からいち早く脱出し、正常状態への回復を図るための管理活動です。ここでいう危機は、今回の新型コロナウイルスによるパンデミックを含め、大規模な自然災害やサイバーテロなどによる影響などを意味し、万が一の事態が発生した際の事業復旧計画を立てることが危機管理の基本です。

 リスク管理では事業目標達成や事業継続を妨げるようなリスクについて細部まで考えを巡らせて今後発生するかもしれないリスクを想定し、そのリスクに優先順位をつけて優先順位に応じた対策をとることになります。一方、危機管理はすべての企業が等しく陥る可能性がある危機的状況に対し、実際に危機的状況に陥った際にどういうプロセスで被害を最小化し、できるだけ速く正常に戻すためにどうするかを計画することになります。

2.危機管理において重要なこと

 危機管理において重要なのは、危機が発生する前の、危険予知・予防・発生時の準備です。危機が発生してから慌てて泥縄(泥棒を捕まえて縄をなう)で対処しても失敗するだけ、準備が大切だということです。危機的状況を予知・予防するとともに、仮に回避に失敗した時に備えて対処の方法を平時のうちから準備しておかなければなりません。

 そして、十分な準備を行ったうえで、万が一危機的状況に陥った場合、

  1. 現在発生中の被害を最小限に食い止めること
  2. 危機のエスカレーション・2次被害を防止すること
  3. 危機を終息させ正常な状態に戻すこと

の3つが必要です。これができなければ危機管理は失敗です。日本のコロナ対策はこの3つのいずれもができておらず、完全な失敗です。

 もっと詳しく言えば、危機管理の方法は次の6段階で構成することができます。

  1. 予防・・・危機発生を予防する
  2. 把握・・・危機事態や状況を把握・認識する
  3. 評価・・・①損失評価=危機によって生じる損失・被害を評価する ②対策評価=危機対策にかかるコストなどを評価する
  4. 検討・・・具体的な危機対策の行動方針と行動計画を案出・検討する
  5. 発動・・・具体的な行動計画を発令・指示する
  6. 再評価・・・①危機内再評価=危機発生中に、行動計画の実施状況や効果を評価し、行動計画に随時修正を加える ②事後的評価=危機終息後に危機対策の効果を評価し、再発防止や今後の危機対策の向上を図る

3.行動方針と行動計画

 ここで最も重要なのは、どのような行動方針と行動計画を作るのかということです。

 まずは危機管理マニュアルを作成しておくことです。大地震ゲリラ豪雨のような自然災害の危機、製品のリコール・食中毒問題・会社の不祥事など企業活動に伴う危機など、企業が抱える潜在的危機は多岐にわたっています。こうした危機に対応するための有効な手段が危機管理マニュアルの作成です。

 危機管理マニュアルには

  1. 従業員に企業が抱える危機を認識させる
  2. 危機が起こった際に迅速な対応が行えるようにする
  3. 対応漏れをチェックできる
  4. 従業員が臨機応変な対応ができるようになる

などという意義があります。

 最も重要なのは企業が抱える潜在的な危機を洗い出し、危機管理計画を作成することです。危機管理計画では、①平時の危機管理(設備・備品の充実、避難訓練、定期的な危機管理マニュアルの見直し)②危機発生時の危機管理(基本的な行動指針の作成、危機発生時の各部署の役割の決定、情報管理方法の決定)③復旧時の危機管理(電気・ガスなどの生活インフラの復旧方法の見直し、資金管理者の決定)などの段階に応じて危機管理計画を作成しておくことが大事です。

4.不測事態対応計画とBCP

 まず、不測事態対応計画(コンティンジェンシー・プラン)についてです。

 これは、経済環境のみならず、経済外の環境も含めた予想外の不測事態に対応するための計画であり、東日本大震災以降、「今日の企業は常に予期できないような事態の発生に注意を怠ってはならない」という発想で、多くの企業が取り組むようになってきています。不測事態には、地震等の災害、石油等の資源・食料等の輸入ストップ、資材購入価格の高騰、為替市場の変動、政変・テロ等様々なものが考えられます。

 漠然としているものの起こる可能性のある問題ごとに、複数の計画をあらかじめ定めておき、それが生起した際に、それに対応した計画に切り替えることにより、迅速な対応を果たし、損害の最小化を図ることが狙いです。

 中小企業庁中小企業BCP策定運用指針」のBCP(Business Continuity Plan 事業継続計画)もコンティンジェンシー・プランの一種と言えます。BCPというのは「企業が自然災害、大火災、テロ攻撃などの緊急事態に遭遇した場合において、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急事態時における事業継続のための方法手段などを取り決めておく計画」のことです。

 BCPにおいては、企業の「存続に関わる最も重要性・緊急性の高い事業」である「中核事業」を特定することが重要な作業です。中核事業を絞り込むと同時に、緊急時においてそれをどの程度復旧させることが可能なのか、また目標復旧時間をどのように設定することが可能なのか、あるいはそれを実現するために必要となるバックアップ措置は何かなどを確認しておくことが重要となるのです。

 BCPは「絵に描いた餅」ではダメで、緊急事態が発生した時には、どのような基準でBCPを発動させるのか、BCP発動時にはどのような体制で組織が動いていくのかといった平常時からBCP体制への切り替え方についてあらかじめ取り決めておくことが肝要です。またどのような状況になればBCP体制から平常時の体制に戻すことができるかといった基準も明確にしておくことが重要です。

 政府が企業に対して不測事態に対処すべくコンティンジェンシー・プランやBCPを策定すべく指導しながら、自らの危機対応がお粗末すぎるというのは皮肉なものです。

 今後も新型コロナ禍のような不測事態が起こり得る可能性は十分にあります。不測事態が起こった際に、政府のようにその時々の思いつきやその場の雰囲気で対処していたのではこれまでのことが生かされたとは言えません。これまでの経験を生かし、オミクロン株の感染拡大で欠勤者が急増し業務が回らなくなるなどの不測事態に備えて、危機管理マニュアルを策定し、しっかりとした行動計画を作成しておくことをお薦めします。既に作成されているのであれば、今一度点検しておきましょう。

 

優秀な人材を採用するために

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で6438人で、東京871人、神奈川519人、埼玉292人、千葉256人、愛知241人、大阪499人、兵庫169人、京都126人、広島672人、山口101人、福岡214人、沖縄779人などとなり、すべての都道府県で感染者が確認されています。休日のデータで昨日よりは減少していますが、広島では4日連続で過去最多を更新しています。3連休の人出を見ると、更に感染者が増加することが懸念されますが、重症化リスクが低いオミクロン株に置き換わってきているので、うまく折り合いをつけて経済を回していくしかありません。ただ懸念されるのが、感染者畳・濃厚接触者増で、欠勤者が増え社会機能が麻痺することです。1日100万人の感染者を出しているアメリカや20万人規模の感染者が出ているイギリスでは、既に社会インフラが機能不全に陥りつつあります。日本でもこういう事態を引き起こさないように万全の対策が必要です。

さて、今日は、サライの「成果を上げる社員を採用する3つのコツとは」という記事を取り上げます。

会社経営において重要のは経営資源である「ヒト、カネ、モノ、情報」ですが、その中で、最も重要なのは「ヒト」、つまり人材です。いかに優秀な人材を確保するか、経営者や人事部が頭を悩ませるところで、「うちの業界はいい人が集まらない」「うちレベルの会社には優秀な人は来てくれない」といった声をよく聞きます。しかし、厳しい言い方をすれば、そのまま使える人材なんてどこにもいません。新しく採用した人材が自ら積極的に仕事をして会社を急成長に導くなんて夢物語にしか過ぎません。

いかに中途採用で他社での経験があったとしても、半年から1年は即戦力として使えないということを念頭に置いておく必要があります。企業にはそれぞれの企業文化があり、それぞれ理念やビジョンも異なります。まずは企業文化や理念・ビジョンに慣れて初めて、他社での経験やスキルを活かすことができるようになるのです。

1.優秀な人材とは

 社長が求める優秀な人材というのは、

  • 即戦力となる人材
  • 自社のカルチャーにフィットする人材
  • 自社にないアイデアを持ち込んでくれる人材
  • 新しいことに積極的にチャレンジする人材
  • 回りを巻き込んで自走できる人材

などさまざまです。

 この記事でも言っていますが、「社長が求める成果」が明らかにならない限り、採用した人が優秀な人材になるかどうかは分かりません。どんな優秀な中途社員を採用したとしても、その人に何を求めているかが明確でない限り、「結果として、社長が求める成果を出せた人材」になることはあり得ないのです。

 確かに、過去に優秀な実績を上げた人材は採用後も優秀な実績を上げる可能性は高いのでしょうが、まずは経営者や会社が求める成果を明確にして、その成果を上げるために必要な人材を採用すべきなのです。いかに他社で優秀な実績を上げていたとして、それが自社で求めていない成果・実績であれば自社にとっては優秀な人材とはなりえないのです。優秀かどうかは、経営者や会社が求める成果があって、その成果を達成できるかどうかに関わっているのです。

2.優秀さは仕事をしてみないと分からない

 優秀な人材というのが「結果として、社長が求める成果を出せた人材」であるとすれば、入社後に仕事をしてみないと分かりません。

 しかも、そのためには

  • 社長や会社が求める目標(成果)が明確になっていること
  • 目標に対する役割・責任・権限が明確になっていること
  • 目標に対する達成度を評価する仕組みがあること

の3つの要件が必要なのです。この3つがあって初めて「結果として社長が求める成果を出せた人材」かどうか判断できるのです。

3.採用面談時に見るべき3つのポイント

 「優秀かどうかは入社後仕事をさせないと分からない」と言ったのでは身も蓋もありません。だからといって誰を雇ってもいいというわけではないのです。

 この記事では、採用面談時に見るべき3つのポイントが指摘されています。

  1. 他者評価を受け入れることができるか・・・優秀な人材であるためには、社長(会社)の評価を素直に受け入れることができなければいけません。素直に社射表かを受け入れられなければ、いかに他社で優秀であっても社長(会社)が求める成果を出すことはできません。他者の評価を素直に受け入れ、自らの責任と捉え、行動を変えていくことができるかどうかで成果を出せる人材かどうかが決まります。
  2. これまで目標に向かって成果を追い求めてきた経験があるか・・・これまで高い目標に向かって、成果を追い求めてきた経験があり、それを乗り越えてきた経験があるかが重要になります。特に将来のリーダー人材の採用にはこれが重要なポイントとなります。
  3. 最低限の業務理解能力があるか・・・社長が求める成果を出す上で、業務理解能力は最低限必要です。問題は、どのようにして最低限必要な能力を判定するかですが、入社後に最低限必要な能力は何かを採用側が予め明確にしておくことが重要です。その上で明確は判定基準を作ることです。

 重要なのは上の順番を間違わないことです。業務理解能力の高さに惹かれて採用した人材が、他者の評価を受け入れず、上司に異を唱えてばかりでは機能することはありません。上の順番で採用を決めるべきなのです。

4.使える人材に変える3つのポイント

 何にも増して重要なのは「採用後」です。伸びる人材を採用して、それを優秀な人材に変えていくことが必要不可欠なのですその仕組みを作ることが経営者の役割でもあります。

 この記事では、優秀な人材に変える「仕組みづくり」に必要なポイントを3つ指摘しています。

  1. 求める目標が明確になっていること
  2. 目標に対する役割・責任・権限が明確になっていること
  3. 目標に対する達成度を評価する仕組みがあること

 これらは、前述の「結果として、社長が求める成果」を出すための3つの要件と同じですが、「社長が求める成果」を出す仕組みづくりなのですから、当然と言えば当然のことです。この3継がないと、社長(会社)が求めていることが採用した人材に伝わらず、求める成果と実績の差分は認識できず、変わろうとしても変わることはできないのです。

休日の本棚 パーミッション・マーケティング

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で8249人で、東京1223人、神奈川443人、埼玉401人、千葉252人、愛知368人、大阪880人、兵庫202人、京都215人、広島619人、山口152人、福岡211人、沖縄1533人、北海道117人などとなり、16の都道府県で100人を超えています。東京都の小池都知事は、感染者の75%がオミクロン株という認識を示しましたが、ほとんどの都道府県でも同様の状況になっているものと思われます。オミクロン株は重症化リスクが低く単なる風邪であるという人がいますが、風邪はここまで感染力は強くありませんし、後遺症がどうなるのかもまだ分かっていません。又、新規感染者の6割が30歳以下で高齢者が感染した場合のリスクについてもはっきりしていません。医療体制を充実させ医療が逼迫しないように努めるとともに、我々一人一人が今一度気を引き締めて各人でとれる対策を徹底していきましょう。

さて、今日は、セス・ゴーディン著「パーミッションマーケティング」(海と月社)を紹介します。著者のゴーディン氏はヨーヨーダイン社を創業してパーミッションマーケティングの方法論を開発し、企業に提供していました。ヨーヨーダイン社は米国ヤフーに買収され、ゴーディン氏はヤフーの副社長になっています。

パーミッションというのは「許可」「許し」のことです。顧客の事前許可が重要なのです。以前はいきなり電話をかけるのが普通でしたが、今は予めメールで相手の都合を聞いて電話をするということが行われています。お互いに相手の時間に干渉しないようにしているのです。

以前はマーケティングと言えば、広告でした。昔は顧客が触れる情報量が少なかったので、広告で目立てば商品は売れました。ところが現在はネットやSNSをはじめ多くの情報が巷に溢れています。その分、顧客の時間と関心は希薄になり、広告を一方的に見せられても、振り向かなくなっています。

それにもかかわらず、多くの企業は大量の広告やメッセージを一方的に出し、売れなければ、結局「広告が悪かった、メッセージの出し方・内容が悪かった」と考え、再び同じ方法でマーケティングを繰り返しています。

1.パーミッションマーケティングとは

 パーミッションマーケティングとは、事前に許可(パーミッション)を得た顧客や消費者に対してのみ、ダイレクトメール等のマーケティング活動を行う手法です。先ほど述べた電話のケースと同じく、「予めダイレクトメールを送っていいですか」と尋ね許可を得られた顧客に絞ってマーケティングを行うという手法なのです。メールや広告というのは時には押しつけがましく、一方的に送られてきても見ませんし、却って好感度を下げることにも繋がります。

 パーミッションマーケティングでは、予め許可を得ているので、レスポンス率などコミュニケーションの効率が高まり、一方的な広告によるマイナスのイメージを払拭することができます。

 その実例として、オプトイン・メールと呼ばれるインターネットで配信されるダイレクトメール広告があります。予め登録した興味分野の情報を受け取るkょかをとった上で配信することで、広告メール自体が迷惑メールになることを防ぐことができるのです。

 当然許可を取りさえすればいいというわけではありません。十分な理解も得ずに許可を取り、強引なコミュニケーションをしてしまうと、結局は一方的な広告と同じになってしまいます。許可を取ること自体が目的ではなく、相手に迷惑がかからない、相手が不快に思わないように十分に配慮することが重要なのです。

2.パーミッションマーケティングの方法

 パーミッションマーケティングは、手順を踏み、顧客の信頼を得るマーケティング手法です。

 見込み客からパーミッションを得て、継続的に付き合いパーミッションを深めていくのです。顧客の数をむやみやたらと増やさず、一人ひとりと深く付き合っていくのです。パーミッションを得るには時間と投資の積み重ねが必要です。顧客の数ではなく、どれだけ深くパーミッションを得ているかが重要になるのです。

 パーミッションには、次の5つの段階があると言われています。

  1. すべて委任・・・顧客から意思決定を一任された最高レベルのパーミッション。いわゆるサブスクリプション(定期購読・継続購入)。顧客は時間とお金を節約でき選ぶ手間も省けます。パーミッションレベルは継続率で測ることができる。
  2. ポイント・・・スタンプやマイレージなど商品を買うたびにポイントがもらえるもの。集めれば更に集めたくなり、もっと購入するようになる。どれくらいポイントを使うかで、パーミッションレベルを計ることができる。
  3. パーソナルな関係・・・顧客と人間関係があるレベル。「営業は自分を売り込め」と言われるようにこのレベルにとどまることが多い。個人頼みの人間関係は数字で計れない。
  4. ブランドの信用・・・ゴーディン氏は「ブランドは過大評価されている。お金も時間もかかるのに、計測も制御もできない」と手厳しい。
  5. 現場・・・販売員と顧客の接触は一瞬。接客品質を高めるためマニュアルで顧客対応を徹底させる。

 これら5つ以外は最低レベルの「スパム」です。ようは迷惑メールにすぎません。ゴーディン氏は「マーケティングの大半はスパムだ。テレビCMも、知らない人に送りつけるDMも、パーミッションを得ずに送るという点では顧客の時間を盗んでいる」と厳しく指摘しています。

3.パーミッションのルール

 パーミッションにはルールがあります。

  1. パーミッションは流用できない・・・パーミッションは与えられた企業だけのものですし、与えた顧客だけのものです。他に流用することはできません。
  2. パーミッションは瞬間ではなくプロセスの積み重ね・・・広告やDMは見せた瞬間に勝負が決まるが、パーミッションは対話の積み重ね。忍耐強く育つのを待つ覚悟が必要。
  3. 顧客はパーミッションをいつでも取り消せる・・・広告は企業が主導権を握っているが、パーミッションは顧客が主導権を握っている。顧客との信頼関係の構築が何よりも大事だ。

 パーミッションマーケティング最大の敵は「すぐに結果を」と焦る気持ちやプレッシャーです。パーミッションマーケティングではすぐに結果を期待してはダメです。地道な努力の蓄積により、大きな成果が生まれるのです。日々じっくりと育て続ければ収穫はどんどん増えていくのです。成功は忍耐の先にあるのです。

パーミッションマーケティングはそれほど難しいことを言っていません。顧客一人一人に向き合い、より良い関係を構築することがマーケティングの基本だということです。多くの情報があふれ、人と人との関係が希薄になっている現在だからこそ、顧客と深く合っていくことが重要になってくるのではないでしょうか。 

休日の本棚 キャズム Ver.2

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で8480人で、東京1224人、神奈川354人、埼玉332人、千葉239人、愛知398人、大阪891人、兵庫246人、京都169人、広島547人、山口154人、福岡229人、沖縄1759人などとなり、1週間前と比べると15倍になり、第5波の新規感染者を上回る地域も出てきています。沖縄では約8割がオミクロン株に切り替わり、全国的にもオミクロン株に切り替わりつつあります。オミクロン株は重症化リスクは低いとされていますが、感染力は強く、昨日も書いたように、感染者が増えると濃厚接触者も増え欠勤者が増加し社会機能が麻痺します。感染者が1日100万人を超えるアメリカや20万人を超えるイギリスでは社会インフラが機能しなくなっており深刻な問題となっています。既に沖縄では、医療従事者の発症・欠勤により医療が逼迫し、更に感染者が増えると社会機能も完全に麻痺してしまいます。オミクロン株は重症化リスクが低いと侮ることはできません。

さて、今日は、ジェフリー・ムーア著「キャズムVer.2」(翔泳社を紹介します。著者のムーア氏は、キャズムグループ、TCGアドバイザーズの名誉会長を務めるコンサルタントです。

キャズム(Chasm)というのは「」「隔たり」といった意味を持つ言葉です。

キャズム理論は、新商品や新サービスなどを「受け入れやすい顧客」と「受け入れにくい顧客」との間には溝(キャズム)があり、これを克服することが市場開拓には重要であるとします。

キャズムが生じる箇所は、イノベーター理論をもとに、顧客層を5つのグループに分類することで明らかになります。

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1.イノベーター理論

 イノベーター理論では、顧客は5つのグループに分類されます。

  1. イノベーター(革新者)・・・新しいアイデアや情報をたの人々に先立って最初に採用する人たち。市場全体の2.5%を占める。
  2. アーリーアダプター(初期採用者)・・・コミュニティでオピニオン・リーダーとしての地位にあり、他のメンバーのモデルとなり得る人たち。若干のリスクを許容する流行に敏感な層。市場全体の13.5%を占める。
  3. アーリーマジョリティー(前期追随者)・・・社会集団において、そのメンバーが採用する平均的な時期よりも早く採用する人たち。流行に乗り遅れないように積極的に取り入れようとする層。市場全体の34%を占める。
  4. レイトマジョリティー(後期追随者)・・・大多数の人々がその紅葉を認めたと思われるまで、イノベーションを採用しない人たち。保守的で、新商品や新サービスの導入割合が多数派になったと認識してから検討を始める。市場の34%を占める。
  5. ラガード(採用遅滞者)・・・イノベーションを最も最後に採用する人たち。最も保守的であり、新商品や新サービスが一般化してから採用する。市場全体の16%を占める。

 市場開拓は上から順番に進めていきます。市場を開拓する際には2段階に分けて開拓します。第1段階が「初期市場」で、今後トレンドとなり得る最先端なものに興味を持つ顧客(イノベーター、アーリーアダプター)で構成されます。第2段階は「メインストリーム市場」と呼び、「安心感」「信頼性」「利便性」などを求める顧客(アーリーマジョリティー、レイトマジョリティー、ラガード)で形成されます。

 顧客がこの順番でスムーズに購入してくれれば何の問題も起こりません。

 しかし、キャズム理論では、アーリーアダプターとアーリーマジョリティーの間(初期市場とメインストリーム市場の間)にキャズムが生じており、これが順調なシェア獲得を目指す際の大きな関門になっていると指摘します。

2.キャズムを越えるために必要なこと

 アーリーアダプターとアーリーマジョリティーの間にキャズムがあるのは、この両者の考え方と行動が正反対だからです。

 アーリーアダプターは、リスクを好みます。「他の者が使っていないから差をつけられる」とリスクを省みずに飛びつくのです。これに対し、アーリーマジョリティーは、リスクが大嫌いです。確かにアーリーマジョリティーは流行には敏感ですが、リスクが嫌いなので、ある程度普及するまでは様子見を決め込みます。そして、流行に乗り遅れないギリギリの段階で採用するのです。

 新商品や新サービスを普及させるためには、このキャズムを越えることが必須です。

 そのためには、まず「ホールプロダクト」を用意することです。ホールプロダクトというのは「すべてを提供する製品」「完全な製品」という意味で、顧客が必要とするすべての商品やサービスのことです。

 アーリーアダプターはホールプロダクトがなくても自分でなんとかしてしまいます。場合によっては自分で作ったりします。しかし、アーリーマジョリティーを含め他の人たちは付随商品がなければ、新しい商品やサービスをうまく使いこなすことができません。誰でもが新商品や新サービスを手軽に使いこなせるように付随商品・サービスを充実させなければならないのです。アーリーマジョリティー以降の顧客は全体の84%で、彼らは面倒なことはやりたがりません。ホールプロダクトがなければ新商品や新サービスは絶対普及しないのです。

 次に、「アーリーマジョリティーのユーザー事例」を作ることです。先ほども述べたようにアーリーマジョリティーはリスクを嫌います。そもそも最初のユーザーになりたくはないのです。自分と同じタイプのアーリーマジョリティーが使うのを見て初めて購入を検討するのです。

 ただ、一般的に「アーリーマジョリティーのユーザー事例」を集めても、自分のこととして受け入れません。新商品や新サービスによって他のアーリーマジョリティーが抱える課題や悩みが解決されたことが示されなければなりません。そうすることで同じ課題や悩みを抱えるアーリーマジョリティーが真剣に購入を検討するようになるのです。

 その意味では顧客(アーリーマジョリティー)の課題や悩みを絞り込み、そこに注力することでキャズムを越えることができるように思います。

昨日「アントレプレナーの教科書」でも書きましたが、少数の顧客が唯一の選択肢として買うようになれば、その商品は売れます。少数の顧客が買うようになったあとで、より多くの顧客へと範囲を広げていくのです。最初から大勢の顧客を対象としていたのではいつまでたっても売れません。売れる前に消えてしまうのがオチです。新商品を成功させることに必要なことは、素晴らしい製品を開発することだけではありません。「どうしてもその商品が必要だ」という少数の顧客のニーズを把握し、その顧客にとっての唯一無二の選択肢(商品)となることです。顧客の範囲を広げるのは、そのあとなのです。

まずはアーリーアダプターとアーリーマジョリティートの間にあるキャズムを越えることです。キャズムを越えたあとで、アーリーマジョリティー、レイトマジョリティー、ラガードへと範囲を広げていけばいいのです。

休日の本棚 アントレプレナーの教科書

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で6214人で、東京922人、神奈川251人、埼玉214人、千葉171人、愛知199人、大阪676人、兵庫144人、京都160人、広島429人、山口180人、福岡135人、沖縄1414人などとなり、爆発的に感染拡大しています。先週は新規感染者に占めるオミクロン株の割合が9%程度であったのが46%と跳ね上がり、オミクロン株の感染力の強さを示しています。政府は広島・山口・沖縄の3県にまん延防止等重点措置の適用を決定しましたが、今後対象地域が増え緊急事態宣言発令となりそうな勢いです。しかし、オミクロン株は重症化リスクが低いので、昨日も書いたようにいかにウイルスと折り合いをつけながら経済を回していくかということが重要になってきます。ただ、重症化リスクが低いとしても、感染者が出て濃厚接触者と認定されれば、欠勤者が急増し社会機能の維持が困難になるという事態にもなりかねません。既に沖縄では医療従事者の感染・欠勤が増え、医療体制が逼迫してきています。こうしたことも踏まえた対策をとるべきです。

さて、今日はティーブン・G・ブランク著「アントレプレナーの教科書」(翔泳社を紹介します。著者のブランク氏はシリコンバレーの元シアントレプレナーで、8社の企業に関わり4社を上場させた伝説のアントレプレナーです。アントレプレナーというのは、事業家や起業家のことです。経営者や企業家とは異なり、ゼロから事業を興す創業者といった意味合いが強く、新しい市場を切り開くイメージで用いられる言葉です。

一昨日、「売れないものは諦める!」で、キングジムの例を挙げ、「売れないものに固執せず、ダメなら諦める」ことの重要性を指摘しました。しかし、「多くの顧客の要望に対応し、当社の技術を結集して開発した商品だから絶対売れる」と鳴り物入りで販売したにもかかわらず、さっぱり売れず、人知れず消え去った商品は多いのです。

多くの顧客の要望に対応しているのに、どうしてこういうことが起きるのでしょうか?

一般に、コンセプトを作る⇒製品開発する⇒機能検証テストをする⇒販売開始する、といった「製品開発モデル」で商品開発は進められます。

ブランク氏は、これが間違いであると指摘します。何処に間違いがあるかというと、顧客が買うか買わないかが検証されていないのです。顧客の要望に対応したと言いながら、商品開発の段階では顧客視点が全く欠けてしまっているのです。

1.製品開発ではなく顧客開発をしろ

 ブランクが言っていることは、「製品開発をするのではなく、まずは顧客開発をせよ」ということに尽きます。顧客開発は営業の仕事ではなく、開発部門の仕事でもあるのです。製品開発を顧客開発を分けて考えることは間違っています。顧客が買ってくれる製品を開発するのが開発部門の仕事です。

 新商品の役割は、顧客に新しい価値を提供することです。成功する商品は、顧客が価値を認識して買いますが、失敗する商品は、誰も価値を認識せず買わないのです。

 数多くの顧客のニーズに応えようとすることは間違っています。すべての顧客のニーズに応えるということは不可能です。自社の強みは何かを明確に把握して、その強みを活かせる顧客ニーズに絞って応えていけばいいのです。

 ここで重要なことは次の3点です。

  1. 自社商品が解決する顧客の課題は何か?
  2. 顧客はその課題を重要で切実を考えているか?
  3. どうやればその顧客に到達できるか?

2.顧客開発モデル

 ブランク氏が提唱する顧客開発モデルでは、

  顧客発見 ⇔ 顧客実証 ⇒ 顧客開拓 ⇔ 組織構築

の4つのステップがありますが、このうち最初は、徹底的に少数の顧客に絞り込んで進めていくのです。最初の段階では、「顧客発見」と「顧客実証」のサイクルを回し続けることになります。

 ここで重要なことは、

  1. 課題を抱え、その課題を理解している顧客がいること
  2. その顧客が解決策を探していて、期限もあること
  3. 顧客が課題解決にお金を惜しまないこと

です。最初の段階ではその他大勢の顧客のことはいったん頭の中から追い出して、この少数の顧客に注力することです。

 商品開発は、時間もかかれば、ヒト・モノ・カネといった経営資源にも限りがあります。だからこそ、徹底的に少数の顧客に絞り込み、その少数の顧客が「どうしても欲しい」という商品に仕上げることです。

3.商品開発が失敗する理由

 顧客開発モデルは、これまでの商品開発の常識とは相容れません。しかし、従来の常識が正しいとも言えないのです。特にアントレプレナーはゼロから起業し新しい市場を切り開く人たちです。従来の常識にとらわれていたのでは、既存の企業や既存の商品に太刀打ちできません。

 アントレプレナーにとって、従来の常識が間違っているというのは次のような点にあります。

  1. 間違い1 すべての顧客のニーズを理解しようとする・・・すべての顧客のニーズに応えるということは不可能です。多数の顧客ではなく、絞り込んだ少数の顧客がどうしても欲しい機能を実現することです。まずはニッチなところからスタートすることです。
  2. 間違い2 顧客の機能要望リストを製品開発部にそのまま渡す・・・すべての顧客要望リストを営業から開発部門に渡したのでは、開発の作業が増えるだけで顧客が買うかどうかはわかりません。少数顧客がどうしても欲しい機能は何かに絞って、営業から開発へ情報を上げればいいのです。
  3. 間違い3 顧客を集めてインタビューして、買うかどうかを確かめる・・・インタビューで「欲しい」「買いたい」という顧客が必ずしも買うとは限りません。以前「ネット・プロモーター経営」でも書きましたが、顧客満足度調査などのインタビュー結果は真実を表していないのです。重要なのは「欲しい」「買いたい」ではなく、「絶対に買う」という少数の顧客です。この少数の顧客にコミットできれば商品は必ず売れるのです。

 少数の顧客が唯一の選択肢として買うようになれば、その商品は売れます。少数の顧客が買うようになったあとで、より多くの顧客へと範囲を広げていくのです。最初から大勢の顧客を対象としていたのではいつまでたっても売れません。売れる前に消えてしまうのがオチです。

 新商品を成功させることに必要なことは、素晴らしい製品を開発することだけではなく、顧客にインタビューすることでもありません。「どうしてもその商品が必要だ」という少数の顧客のニーズを把握し、その顧客にとっての唯一無二の選択肢(商品)となることです。顧客の範囲を広げるのは、そのあとなのです。