中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

中小企業経営のための情報発信。中小企業から日本を元気に

中小企業の次の一手

おはようございます。

日本企業の99%を占め、常時雇用者の69%が働く中小企業は日本経済の根幹を支えていると言っても過言ではありません。これまでも書きましたが、アトキンソンらが唱える「中小企業不要論」は 間違っています。中小企業があってこその日本経済ですが、長引く不況や少子高齢化、更にコロナ禍で過酷な状況に追い込まれていることも事実です。今はVUCAの時代と言われ、先行きが見通せず何が正解か若ならい時代です。社会や環境の変化も激しく、時代の流れについて行くことが容易ではありません。中小企業の多くが、スピード・体力の不足、そして衰退する市場に取り残され、価格競争を強いられ疲弊しています。

1.社会情勢の変化やスピードに、どこまでついていけるか

 大企業に限らず、中小零細企業であっても、社会情勢の変化を的確に捉まえてスピード感を持って対処しなければならないことは言うまでもありません。

 今は、未来を予測することが難しく、予期しない出来事が予想もしないタイミングで起きることが当たり前の時代です。

 コロナ禍で、以前は出社し働くのが当たり前でしたが、今はリモートワークであらゆることをオンラインで行なうようになりました。飲食業など客足が減り休業や閉店に追い込まれた店が多発しました。コロナによる廃業y他党サンの事例も枚挙に遑がありません。新型コロナの感染状況を見ながらリモート環境を着々と整えて、きちんとニューノーマルの働き方に移行した企業もありますが、多くの中小企業は想定外の事態に相応できず、倒産しないまでも極めて苦しい状況にあります。

 コロナだけでなく、脱炭素やSDGs、DX、多様性など経営のビッグイシューといわれる問題・課題においても中小企業が取り残されています。

 中小企業が社会の変化にうまく対応できないのは、スピードと体力が不足しているからです。変化が激しい時代では消費者が求めるものがめまぐるしく変わります。それらは昔に比べて細分化・多様化しており、中小企業がそれに対応することは難しいのです。高度成長期やバブル期には、大量生産で大量に売っていれば事業は成り立っていました。しかし、今は消費者のニーズが細分化し多様化しているので、1つのものを大量に作っても売れません。今は消費者のニーズを細分化し、世の中のニーズだけでなく個人の興味の対象も調べ、そこから少し先の流行を予測し先手を売って行くことが求められ、これを繰り返しながら修正・改善していかなければならないのです。例えば、タピオカ屋が流行っているのを見て「うちもタピオカをやろう」と思って始めたときには既にブームは終わっているのです。

 個人の興味・関心は次から次へと移っていきます。極めて気まぐれなものです。表面化した流行を見てから動くやり方では後れをとることになります。

 変化が激しい時代を勝ち抜くためには、従来の事業や経営の構造を抜本的に見直して、自ら変革していくしかないのです。

2.衰退産業に身を置く中小企業は「次の一手」が必要

 資金と人財の課題の克服とともに変化をいち早く捉える必要があることは、ほとんどすべての中小企業に共通の課題です。

 製品には製品ライフサークルがあります。生物に寿命があるように製品にも市場に導入されてから最終的に市場から消え去るまでの周期・寿命があるのです。製品の需要は導入期から始まって成長期に次第に増加し、やがて成熟期に停滞し、衰退期にいたって減少します。人々のニーズが細分化・多様化するようになって製品ライフサークルの周期は短くなっています。

 また、衰退期の市場は需要が少ないために価格競争が起きやすく、利益率が下がりやすいという特徴があります。これでは市場内で事業をしている企業も衰退していくしかありません。大企業の場合には、製品が衰退期に入った場合には、新たな製品を開発し新たな市場で戦うことができますが、中小企業の場合、その製品の固執し続けるなら、衰退産業の市場に取り残され、衰退するしかなくなるのです。

 中小企業も、社会の変化や消費者が求めるものを捉え、新たな魅力ある製品を作り出すことができるなら、市場は再び導入期に戻ることができます。魅力ある製品は消費者の関心を引き寄せ、企業に資金が流入足、人も集まってきます。経営課題であるかねと人材の不足も克服することができるのです。

 問題は、そのための準備と行動をいかに早くすることができるかです。衰退期では遅すぎますし、成熟期でも遅いと言えます。成長期で製品の需要が増加している段階で、次のぴってを考えなければなりません。成長期にある製品であってもいつまでも需要が見込まれるわけではありません。いつかは頭打ちして減少に転じるのです。それJからでは遅いのです。特に変化が激しい時代では、ライフサイクルの周期も短く、あっという間に成長期⇒成熟期⇒衰退期に入ります。

3.衰退の波からどうやって脱出するか

 本当に難しいのは、どうやって再び導入期に戻るかということです。その方法を見つけることで中小企業も勝ち残れるのです。

 成熟期以降に、売り先を増やしたり販売エリアを広げようとしてもあまり効果は期待できません。社会やニーズの変化を的確に捉まえて、これから伸びそうな新製品を作ったり、新たな市場に進出していく上で、手持ちの技術や知見が活かせるかどうかを検討することです。これまでも書いていますが、イノベーションというのは全く新しいアイデアであることはほとんどなく、「既存の知」と「既存の知」の組み合わせによって生まれます。どのような中小企業でも、自社の「強み」は必ずあります。「弱み」を克服することはなかなか困難ですが、「強み」を延ばすことは比較的容易です。自社の「強み」をしっかりと捉まえて、それを延ばしていくことで、新たな製品が生み出されるはずです。

 以前にも書きましたが、中小企業が勝ち残るためには、NO1かNO2以外はやらないという覚悟が必要です。いわゆるランチェスター戦略です。

 ビジネスに関して言えば、強者(大企業)には、物流と価格戦略にて、効率的にビジネスを仕掛け、市場全体で勝利することを図るという戦略が打倒しますが、弱者(中小企業)には、市場をセグメントして、資源を一点集中させ、強者との差別化を図るという戦略が妥当します。

  1. 差別化する・・・人と違うことをする。その勇気を持つ
  2. 小さな領域でNO1を目指す・・・1位になれるまで細分化する
  3. 一点集中・・・他をやりたくなる誘惑に負けない
  4. 局地戦で戦う・・・戦場を広げない
  5. 接近戦で戦う・・・訪問し近くで触れ合う
  6. 一騎打ちをする・・・一人ひとり丁寧に対応する
  7. 万人受けを狙わない・・・ターゲットを絞り込む
  8. 勝ちやすさに勝つ・・・競合がないところで静かに勝つ

 どのような小さな企業でも差別化し一点集中で1つのことに根気よく打込めばNO1になることができます。これがランチェスター経営戦略ですが、そこにはお客様のためという利他の心や感謝の心がなければなりません。経営というのはお客様に喜んでもらうことです。お客様が何を望んでいるのか、何を求めているのかを、お客様に丁寧に接することでつかみ、それを「差別化と集中」の中で活かしていくことで、中小企業も勝ち残ることができるように思います。 

良いモノだけでは売れない時代

おはようございます。

高度成長期は「作れば売れた」時代でしたが、今は「良いモノを作っただけでは売れない」成熟期に入っています。ところが、中小企業の経営者には、「良いモノを作れば売れる」と未だに信じている人も多いのです。確かに良いモノが売れる可能性はありますが、「性能が良い」というだけでは人は買わなくなってきています。良いとか悪いとか言うのは人の主観・価値観であり、価値観が多様化している現在、ある人にとっては良いモノでも他の人にとっては魅力のないものとなるのです。

だからといって、多様化する顧客のニーズや要求にすべて応えようとすることは不可能です。ポーターが指摘するように、日本企業はすべての顧客のニーズを満たそうと「すべてのモノをすべての顧客へ」となり、明確なポジショニングを見失っているのです。

1.「あのときは良いモノを作っていた」という誤解

 「今の若い者は」「自分らの時代には」というのは旧世代の人たちが使うお決まりのフレーズです。企業の製品やサービスでも同じです。売上が低迷すると「良いモノが作れていない」「昔は良いモノを作っていた」と文句を言う人が出てきます。戦後復興期や高度経済成長期には、個人の生活水準も上がり、需要がぐんぐん伸びました。

 この時期は、「良いモノ」だから売れたのではありません。どんなモノでも作れば売れた時代だったのです。旧世代の人たちが、「自分らは良いモノを作ってきたから売れた」と思うのは誤解なのです。人々の生活水準が高くなり需要がぐんぐん伸びたので売れたのです。

2.バブル崩壊、人口減少で需要低迷「売れない時代」に突入

 1990年初頭のバブル経済の崩壊移行、経済や国民生活は一変しました。更にリーマンショックに端を発する世界経済危機を受けて、潜在成長率は0%前後にまで落ち込みました。日本経済の長期低迷は失われた30年と呼ばれますが、必要な需要が失われ、「良いモノを作っただけでは売れない」時代になってしまったのです。更に、少子・高齢化や人口減少が追い打ちを掛けています。人口が減るということはそれだけ物を買う人が減り、個人消費などの需要も減るのです。

3.「良いモノ」だけでなく「良いモノと思われていること」が大事

 このような時代には「良いモノ」を作るだけではダメなのです。良いモノを作るという職人気質だけでは誰も買ってくれません。購入してもらうには良いモノであるということを相手にわかってもらうことが大切なのです。今は作れば売れる時代ではなく、良いモノであると相手が思うことで買ってもらえるのです。ただ良いモノであるだけでなく「良いモノであると思われていること」が大事なのです。

 そうすると広報PRが重要になってきます。確かに大企業では広報部や宣伝部があり広報PRに力を注いでいますが、広報PRは無理だと考えている中小企業も多いと思います。大企業並みの広報PRは不可能だとしても、中小企業に敵した広報PRはあるはずです。特に現在はSNSが普及し、SNSを活用した広報PRも可能です。

4.「知ってもらう」には「伝える」技術が必要

 「伝えなくても察して欲しい」「忖度して欲しい」というのは日本的な考え方です。これは、ある意味甘えです。言葉にしなければ、相手に伝わることはありません。自社が作っている商品やサービスが良いモノであるなら、それを言葉にしてアピールすることです。自社の製品やサービスが良いモノであることを知ってもらうには、伝える努力や技術が必要なのです。

 新型コロナの感染拡大で社外プレゼンの機会減りました。アポイントを取って潜在顧客を回ろうとしても断られるケースが増えています。直接潜在顧客を訪問しなくても自社の商品やサービスを伝えられる広報PRの重要性が高まってきているのです。

5.広報PRの外部効果

 自社のことを伝える技術である広報PRの具体的な効果には次の2つがあります。

  1. 外部効果・・・社外に直接営業促進の効果。営業促進の効果。新聞やテレビをはじめとした自社の前向きな報道は、自己推薦である広告と違い、他社から推薦されるようなものです。報道により、信用力や企業ブランドが向上し、営業しやすくなります。
  2. 内部効果・・・社員のモチベーションを引き上げるという効果、離職率を低下させるという効果・自社の記事が前向きに取り上げられればq、社員はやりがいやプライドを持ち、その会社で働くことに誇りを持ち、容易に辞めることはありません。

 メディアが取り上げてくれる記事ネタづくりには、報道、SNSをはじめとしたインターネットの活用、広告など多くのコツが必要です。これらを深く理解し、実行しなければ、効果的な広報PRは実現できません。

 中小企業においても、広報PRに力を入れるべきです。

人間中心の経営

おはようございます。

昨日、京都で、先日逝去された稲盛和夫氏のお別れの会が執り行なわれました。

日は、日経ビジネスに3回にわたり掲載された稲森和夫氏とジャック・マー氏の対談について取り上げます。第1回目では「企業経営者は常に謙虚であるべき」という考えで一致し、第2回目では、創業時の苦労で「ビジョンと使命感で仲間を集めた」という点で共通項を見出しています。3回目では、「リーダーが語るべき言葉」「苦境の時にリーダーが語るべきこととは何か」について両氏が語り、「人間中心の経営」の重要性について一致しています。

稲森和夫氏は京セラ、KDDIの創業者であり、ジャック・マー氏はアリババの創業者です。稲森氏の考えについては、これまでも「稲森経営12箇条」などで紹介してきました。

稲森氏もマー氏も、「どんなに美しい言葉であっても、そこに魂が宿っていなければ人の心に響かない。トップは常に会社の健康状態に気を配り、危機に際しては全身全霊で社員に語り掛け、不況を次の成長の糧に変えていかなければならない」と言います。

それは政治においても然りです。菅元首相や岸田首相にはコミュニケーション能力、コミュニケーションスキルがないことは誰もが認めるところです(管元首相については、安倍前首相の国葬での弔辞で少しは見直しましたが)。今更能力やスキルを身につけろと言っても不可能です。問題は、発する言葉に魂がこもっていないということです。いくら口下手でも、言葉が稚拙であっても、全身全霊で自分の思いを伝えるということ、そうすることで、どんな稚拙で幼稚な言葉でも魂が宿り、人の心に響き人を惹きつけるものになるのです。

政治であってもビジネスであっても、リーダーは全身全霊を打ち込む魂を込めた言葉を発しなければならないのです。

1.語るべき言葉とは「音声」ではない。

 稲森氏は、「心で思ったことを頭で考え、それを音声にするだけでは、人を説得したり勇気づけたりすることはできない」と言います。日本では「言霊」という言葉があるように、言葉に魂を込めること、信念をもって言葉に魂を入れなければ、心に響かず、人は動きません。

 さらに、稲森氏は、「今のような厳しい経営環境の時こそ、自分が話すことに対して責任を持つ。命と魂を込めて訴えていくことがとても重要なのだ」と言うのです。

2.経営者の役割とは「会社のセメント」である

 マー氏も「言葉の本質は、表面的な美しさにあるのではなく、心の声にある」と言います。きれいな言葉でなくてもいいから本質を語ることで、人の心に響くのです。

 マー氏は、会社の成長を人間の成長と同じようにとらえます。人間は年齢とともに体の状態や行動パターンが変わり、時には病気になります。病気になって治療が必要な時もあれば、軽い症状を放置しておいていつの間にか悪化するということもあります。会社も同じです。経営者は常に会社の健康状態や心の状態を把握しておかなければなりません。会社の経営に綻びが見えれば、すぐに改善し修正していかなければなりません。それを放置していたのではその綻びがさらに大きくなり修正できなくなり、最悪倒産・廃業という憂き目に遭います。

 マー氏は「自分(経営者)はセメントである」と言います。経営者は、セメントのように色々なものをくっつけて一つにするということです。ヒトであれば団結させ、物であれば大きくしていく、これが経営者の役割なのです。

3.稲森和夫が「不況時に社員に語った4つのこと」

 稲森氏は、日本航空の社長に就任し、日航再建に関わり、日航を立て直しました。稲森氏は、不況時には常に次の4つを社員に語っています。

  1. 確かに大変な時期だけれども悲観的になるのはやめよう・・・不況時こそ、ネガティブではなくポジティブでなければなりません。 
  2. 一致団結しよう・・・不況になると社内に不協和音が生じますが、不況時こそ社員が一丸とならなければなりません。
  3. みんなで創意工夫して少しでも経費を減らす努力をしよう・・・売上を最大限にして、同時に経費を最小限に抑える創意工夫を徹底的に続けていく姿勢こそが高利益を生み出します。不況の時こそ徹底的に経費を減らさなければなりません。
  4. 全員が営業マンという気持ちで注文を取ろう・・・今までの得意先だけでなく、行ったことのないお客様の扉を叩く、こうした創意工夫を重ねることが次の発展につながります。

4.中国が学ぶべき「人間中心の経営哲学」

 稲森経営12箇条を見ると、どれもが経営者の強い意志や思いが根底にあり、それに従業員が共感することが大切だということが分かります。稲森経営哲学は「人間中心の経営哲学」なのです。稲森経営12箇条については、5月21日付のブログで紹介していますので参照してください。

 企業の成長には3つの段階があります。

  1. 創業期・・・生き残ることに賭ける段階
  2. 成長期・・・経営管理のレベルを高め、事業モデルをきちんと確立する段階
  3. 発展期・・・技術面でも資金面でも充実し、飛躍する段階

 マー氏は、アリババの成長段階に応じて様々な経営者を手本にしてきたと言います。そして「今、最も関心を寄せているのは、人間そのもの」と言っています。

 人間とは、企業とは、何のために存在しているのか、社会に対してどのように貢献すべきなのか、こうしたことを稲森経営哲学から学んで、アリババの経営に生かしていこうというのです。

経営資源は「ヒト、モノ、カネ、情報」と言われますが、その中心は「ヒト」です。「ヒト」というのは、顧客、従業員、ステークフォルダー、すべての人です。

経営というのは、稲森氏の「人間中心の経営哲学」に基づいたものでなければなりません。そして、人とのより良い関係、信頼関係を構築するにはコミュニケーションが大切なのは言うまでもありません。そして、コミュニケーションに必要なのは、心のこもった言葉です。特にリーダーは、美辞麗句ではなく、稚拙であっても全身全霊を打ち込んだ魂のこもった言葉で、話しかけなければなりません。 そうした魂のこもった言葉が人の心に響き、人を動かすのです。

ミスの多い部下の指導法

おはようございます。

今日も過去のブログを貼り付けます。

企業や組織において、要領の悪い社員やミスの多い社員は一定数いるものです。こうした社員に「次は気をつけてね」と言っても効果がないのも事実です。こういう社員は、仕事の段取りについての意識が希薄で、業務の流れが全くイメージできていないことが多いのです。こういう社員に「次は気を付けて」と言っても、業務の流れを理解していないので何をどう気をつけていいのか分かっていないのです。

仕事の要領というのは、非常に個人差があるところで、個々人の生産性の違いを生み出す元凶でもあります。しかも、その部分は育成が最も難しい分野で、一朝一夕に改善できるものではありません。

上司としてはある程度部下に任せたいところですが、任せてしまうと要領の悪さはいつまでたっても改善しません。

1.「正しいフォーム」を身につけるのが先決

 どのような仕事でも、一定の正しいフォームというものがあります。この一定の正しいフォームを身につけていなければ要領よく仕事をすることはできません。従って、まずはこの正しいフォームを身につけることが大事です。

 「ここに手順書と起こりやすい不測の事態がまとめてあるので、これに従って仕事を進め、何かあったら声をかけてね」というのが基本のアプローチになります。

 要領の悪い人に口で伝えようとしても、伝わらないことが多いので、手順が書かれたメモや手順書・マニュアルを示しながら説明することが重要です。しかも、こういう人は分からなくなると適当に「エイヤ」とやってしまうので、分からなくなったり何かあったりしたらそのまま進めずに周りに確認するように指導することも必要ですし、周りが目を配ることも必要です。

 こうした部下の育成法は部下の依存心を増長するという面もないわけではありませんが、あくまでも正しいフォームを覚えるまでの時限措置として行うべきことです。正しいフォームを身につけたなら、徐々に自分の頭で考えさせ、自分で判断させるという次のステップに移らせればいいのです。

 依存心を生ませずに要領の悪さを改善する方法として、「メモ」と「振り返り」を促す方法がいいと思います。「メモを取って記録し、振り返る」という方法です。仕事には外していけない勘所というのがあって、そこを抑えておくためにメモを取り、メモ通りに進めたのか、出来具合、所要時間は適正だったかなどをチェックしていくのです。そして、「今の仕事をより効率的にするには、どこから改善すればいいのか」を考えるのです。

2.「ミスの多い後輩や部下」への指導法

 前述のように、ミスをしないようにする対処策は、メモとチェックリストですが、そもそも同じようなミスを繰り返す人には

  1. メモを取らない
  2. メモしたことを忘れる
  3. メモした内容を忘れる

という共通点があります。

 こうしたことを回避するためには、メモを取るということをルーティンにすることです。そして、どこにメモしたかを忘れないように、メモ専用のノートを用意することです。

 メモを取っても振り返りをしなければ意味がありません。途中での確認や見返しを心がけるだけでは駄目なのです。心がけても実際にそれをしないからミスが起きるのです。従って、行動変容を促すには、日々のルーティンに落とし込むことが効果的です。

 しかし、ここで重要なのは、指示や命令ではなく、あくまでも本人に考えさせて、自己決定、つまり「自分で決めたことをやりたい」というメカニズムで継続性を生み出すことです。そのためには、「ルーティンにする方法で、やりやすそうな方法はある?具体的にどうするのがいい?」と自分で考えさせることです。

3.ときには激励も必要

 また、「どういうときにミスが出やすいのか、ミスに傾向はあるのか」、ミスの原因について本人に考えさせることも大事です。「テンパッている時」とか「時間に余裕があるとき」とか、「○○の仕事の時」とか、根本原因が特定されればその対処法も自ら決まってくることもありますし、解決のための手を打ちやすくなります。

 また、ミスで落ち込んでいる時には激励することも必要です。その時には、自分の新人時代の経験を話すことで、共感が生まれ、信頼関係やより良い人間関係を築くこともできます。

部下の育成方法というのは中々厄介で難しいものです。特に今どきのZ世代と呼ばれる若者が何を考えているのかおじさん世代(おじいさん世代?)にはよくわかりません。 しかし、彼らも宇宙人でない以上、基本は人間関係です。より良い人間関係や信頼関係を構築していくことが、部下を育成する基本で、それはZ世代であろうと、その前のミレニアル世代であろうと変わらないはずです。

休日の本棚 最強の経営学

おはようございます。

今日は、島田隆著「最強の経営学」(講談社現代新書という本を紹介します。経営学と言えば無味乾燥で実務には役立たないというイメージを抱く人も多いのですが、最近の経営学の本は、極めて実践的です。この本も負けず劣らず、実例と最新理論で経営の本質が説かれていて、机上の学問で終わらず実務に役立つ本になっています。

時代の変化に伴って、さまざまな経営理論が唱えられてきましたが、ビジネス・経営の本質は大きく変わっていません。利益があって初めて企業は存続・成長できるとか、キャッシュフローの重要性とか、そもそもリスクをとるとはどういうことかなど、基本的なところは何も変わりません。そうした基本的なことを理解したうえで、さまざまな新しい経営理論を自分なりに整理し位置づけるということが重要です。そういうところがなくては、理論に振り回されるだけで、会社の経営にとっては何のプラスにもなりません。いかに社会が複雑化しようと本質的なところは極めてシンプルです。

この本は、そうした基本的な観点から「経営とは何か」「ビジネスとは何か」を捉え、経営課題に向き合っています。

序章 「情報の4段階」をおさえよう

 さまざまな情報をどのように集め、分析し、経営判断していくかということは、経営戦略の根幹にかかわります。データ分析については先週「会社を変える分析の力」という本を紹介しています。

 ひと口に「情報」と言っても色々な情報があり、「情報過多」で役に立たない情報やエセ情報・フェイクニュースが溢れています。情報ばかりを集めていると、情報の海に溺れ、ITという言葉に騙されて貴重な経営資源を失うことにもなりかねません。

 この本では、企業経営における情報の使い方の基本は、「情報の4段階」を押さえることと言っています。

  1. データ・・・データだけを見ていても意味がない。データは所詮データに過ぎない。経営を考えるとき、データだけではほとんど意味を持たない。データをもう少し加工して、まず「インフォメーション」のレベルに持っていかなければならない。
  2. インフォメーション・・・データをさまざまな角度から集約、加工した者がインフォメーションである。
  3. インプリケーション・・・「それでどうした?」So What?のこと。インフォーメーションだけでは意味がない。それを自分の頭を使って考えるのがインプリケーション。
  4. ジャッジメント・・・インプリケーションに基づく意思決定。データ分析は意思決定に寄与して価値がある。しかし、意思決定しないというのも一つの意思決定である。

第1章 企業経営の「4つのレバー」

 企業経営とは、利益を増やすために売上げを増やす算段はないか、コストを下げる方法はないか、あるいは価格を上げる算段はないかを不断に考えていくことです。マーケットの論理に則りながら、合理的に、ゴーイング・コンサーンとして利益を拡大再生産していく方法論を企業経営のレバーといますが、この本では企業経営のレバーは次に4つに分けられると言っています。

  1. 基礎体質・・・その会社が基盤にどんな体質ー能力・文化、仕組みを持っているかということ。財務体質や営業力と言った基礎体質も重要だが、どのような企業文化があって、社員を動機づける仕組みはどうなっているか、新しい事業にチャレンジしていく仕組みはあるかなども重要。
  2. コスト論・・・コスト削減のための方法論。「標準原価」というコスト管理法や範囲の経済性など。
  3. 売上増・・・利益を上げるために売り上げを増やす方法論。商品開発力を高める、販売力を強化する、マーケティング力を強化する、新しい事業を創造するなど。
  4. ポートフォリオ・・・会社が持っている資源(人的資源や設備などのモノとしての資源を含め)を、どういう事業にどれくらいの比率で配分するのかという資源配分の枠組みを考える、あるいは変えること。

 基礎体質を活かしながら企業の体質をより新しくし、新しい事業にチャレンジできるような体制をどう作るかというレバー。より直接的にコストを下げるためには、どんな手があるのかというレバー。売上を増やすというレバー。そして、ポートフォリオを有効に変えていくレバー。これらのレバーを使いながら、事業の収益性を上げるためにどういう手を打っていくかを考え、意思決定していく、それが企業経営というものです。

第2章 キャッシュフローで読む「日産の教訓」

 ここでは、ケーススタディとして、日産の窮地をキャッシュフローから見ています。日産の具体的分析については、本書に譲りますが、ビジネスというものは、リスクをとってキャッシュをぶち込み、経営努力を傾注してキャッシュの回収を図ること、あるいはキャッシュをもっと増やすことです。

 経営に注ぎこまれるキャッシュはリスクマネーです。こうしたリスクマネーには返済の必要のない自己資本が最も適しています。借金は本来リスクマネーに向いていないのです。日本の多くの企業は、短期の借入金を借り、借り換えでつないでいくというスタイルをとってきました。トヨタは無借金経営ですが、日産は有利子負債が大きな問題になっていたのです。

キャッシュフローをしっかりと見た経営をしないと、「金は天下の回り物」ではなくなります。企業は赤字になったからと言って、キャッシュが回っていれば倒産することはありませんが、たとえ黒字企業であっても資金がショートすると倒産してしまいます。それほどキャッシュは大事です。

第3章 コストを下げるということ

 ここでは、ゼネラル・エレクトリック(GE)がケーススタデイとして取り上げられています。

 経験曲線というものがありますが、これは競争状態の中でしのぎを削ってきちんと何かを稼ごうと努力していくならば、コストは経験量が増えれば増えるほど下がるというものです。しかし、単位当たりのコストは動態的に変化します。今日のコストと明日のコスト、3か月後、半年後のコストは変わります。このユニコストは変わるということを頭に入れたうえで、価格設定やマーケティング戦略だの、さまざまな意思決定をしていこうというための指標が経験曲線です。

競争のルールはどんどん変わります。その時々で、勝負どころは変わり、コスト要因ごとに低減効果も変わってきます。この事業は今どこで勝負しているのか、それはコスト面でどういう効き方をするスケールカーブに乗っているのか、を事業ごとに見たうえで、コスト戦略、全体の企業戦略を考えなければなりません。つまり、事業ごとにプロダクト・ライフサイクルを考え、各要素のコスト削減効果を考え、経営者はそれらを総合して各事業への資源配分の軽重を判断しなければならないのです。コストを下げるというレバーは、以上のような要素をきちんと見なければ、てことして作用しないのです。

第4章 ポートフォリオ経営学

 ここではミネベアがケーススタデイとして取り上げられています。

 ボストン・コンサルティング・グループ(BBG)によって提唱されたポートフォリオ・マネジメント論が紹介されています。これは、プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPMと呼ばれるもので、縦軸に市場の成長率、横軸に相対マーケティングシェアがとられ、花形(高成長率・高シェア)、金のなる木(低成長率・高シェア)、問題児(高成長率・低シェア)、負け犬(低成長率・低シェア)の4つに区分し、各事業状況を俯瞰するものです。自社内の事業を分類・整理でき、選択と集中に役立つものです。ポートフォリオというのは、経営資源をどのように配分するかというもので、資金をどう配分するのか、どこに設備投資するのか、どの事業にどれだけ人材を配置するのか、これらが重要なポイントとなります。ポ^とフォリオ・マネジメントでは、横軸のマーケットシェアによって「キャッシュフローを稼ぐ力」がおおよそ測られ、縦軸の成長率では「キャッシュを必要とする度合い」がつかめます。さまざまな性格の事業について、おおまかなキャッシュの流れが把握できるのです。

 しかし、相対シェアと成長率という要素が余りにもシンプルなため、一般的な議論しかできず、実際の意思決定にはつながりにくいという欠点が見つかり、最近ではフリーキャッシュフローの観点から、具体的にどれだけキャッシュを稼いでいるか、それに対してどれだけのリスク資産を使用しているかという対比が重視されるようになっています。

第5章 売上増と事業創造

 売り上げをどうやって増やすか、については、

  1. シェア拡大・・・競争者以上にシェアを取ることでさらに売上げが伸びる。戦略的セグメンテーションの技法=セグメントによってニーズの在り方が違うということが分かれば、商品もセールスの仕方も違ってくる。
  2. 事業創造・・・新しい商品やサービスを創造し、それによって売上げを増やす。事業というのも進化する。市場が成熟し、効率化の時代に入ったならば、企業も自らの組織を変えていく必要がある。組織を変えるということは、企業の戦略も変えていくことを意味する。

という2つの方法があります。

 組織変革は人事戦略にも影響します。ただ漠然と「業績主義にすれば人件費を減らせる」「社員は働くはずだ」というのは間違いです。管理するのではなく、人をどう育て、どう動機付けしていくか、人の活用法を考えなければ、事業の根幹は変わりません。社員自身が自ら動くような動機付けの仕組みを作り上げることが重要です。

 売上増のためにも事業創造のためにも、この動機付けの仕組みは非常に大切です。

第6章 デジタル時代の経営学

 企業経営の方法論は時代とともに変化します。新しい時代の風が吹くと。それに適した新しい組織形態や経営の「レバー」が考案されます。

 今やITやデジタル化、DXがもてはやされていますが、その流れは新型コロナ禍で加速しています。企業経営もこれを避けて通ることはできません。しかし、これまで何度も書いていますが、それらは手段にしかすぎません。企業にとっての目的・目標にとって、それらがどのように役立つのかを見極める必要があります。流行りだからと言ってそれに飛びつくことは間違いです。

休日の本棚 会計天国

おはようございます。

今日も過去に紹介した本のブログを貼り付けておきます。

今日は、竹内謙礼・青木寿幸著「会計天国」(PHP文庫)を紹介します。以前、「戦略課長」「猿の部長」を紹介しました。今回は「これまでにない笑いと涙の実用会計ノベル」です。

ネタバレにならない程度にストーリーを話すと、フリーランスコンサルタント北条が娘の挙式の打ち合わせに向かう途中に事故に遭い脳死状態になります。誰かに呼びかけられ目を覚ますと、K と名乗る天使にいます。K からくじ引きを薦められた北条は現世復活チャンス券をゲットします。これは「自分にゆかりのある人物5人を幸せにすることができたら生き返らせてあげる」というものです。5人のうちの1人出も幸せにできなければ地獄行き。このまま天国に行くか、地獄行きのリスクを冒してでも現世復活の道を行くか、の選択が迫られます。何としても娘の結婚式に出席したい北条は、現世復活に賭けて、コンサルタントとしての知識を駆使して迷える5人を成功に導いていくというビジネス小説です。このストーリーに沿って、貸借対照表損益計算書の読み方、キャッシュフローの考え方、さらに事業戦略の基本を解説してくれています。

この本の構成は次の通りです。

序章  「1週間後にお亡くなりになります」

第1章 なぜ「儲かっている」と言われる会社が倒産するのか?

第2章 価格競争に陥ったら、会社がやるべきことが一つある

第3章 粉飾決算という泥沼から抜け出して再生する

第4章 部長課長が同期との競争に勝って出世する方法

第5章 会社の戦略が変われば、組織も当然変わる

最終章 「幸せ」になろうとする意志 

北条がコンサルタントとしての知識を駆使して幸せにしようというのは、次の5人です。

  1. アパレル会社を立ち上げた元アイドル社長・・・ずっと黒字なのに今月の給与と家賃が払えない!
  2. アニメグッズを販売する上場企業のオタク社長・・・直営店ビジネスが大コケして、株価が急降下!
  3. 親が買収した子会社へ出向した経理担当の娘・・・運転資金が足りなくなり、長年の粉飾決算が発覚!
  4. 大手専門商社の「売り上げ至上主義」の部長・・・ノルマ重視の一課と利益重視の二課の課長が大喧嘩!
  5. 2つの新規事業を立ち上げた青年実業家・・・多角化経営のつもりが戦略不足、資金繰りに行き詰まる!

第1章では貸借対照表の読み方が、第2章では損益計算書を使って会社の本質を分析することが、第3章ではキャッシュフロー計算書の考え方が示されています。そうした会計の知識については、本書を読んで学んでください。小説なので具体的で分かりやすく解説されています。

ここでは、この本の中で、北条や K ら登場人物が喋っている中から、役に立つと思われる言葉を引用しておきます。

  • 「北条さんが考える、社長として成功できる才能って、何ですかね?」「『スケベ』で『ワガママ』で『ケチ』ってことだ。『スケベ』は欲望が強いこと。『ワガママ』は自己実現の力の強さを意味して、『ケチ』はコスト管理に長けているってことさ」
  • 私、今まで自分ばっかりが運が悪いって思ってたけど、運は他人から与えられるんじゃなく、自分の頭で考え、努力して切り開いていくものだって、やっと分かった気がするの
  • 「スタートラインに立つってことは『ゴール』を決めたってことですからね。でも、それは、同時に失敗をする覚悟を持つってことですよね?」「その彼女にとっての『ゴール』って父親を見返すことでも、企業を成功させることでもなく、きっと『自分の殻を破ること』なんだって思ったんだ・・・」「他人と自分のどちらが『幸せ』かなんて比べても意味がないんだよ。重要なのは、自分の『ゴール』を見つけて、それに向かって走る意志を持つことなんだ」
  • 試験に合格できる頭の良さっていうのは、勉強をやる要領がいいってことなんだ。忙しい仕事の合間でも要領よく勉強して、その知識を仕事に活かせる人間だけが、成果を上げることができるって、会社は知っているんだ。仕事は本番の試験ってことなんだぞ。サラリーマンだから勉強しなくてもいいなんて思ってたら、いつまでたっても試験には合格できない。つまり、一人前のサラリーマンにはなれないんだ。
  • 仕事のテクニックを教えたり、モチベーションを上げるなど、部下の面倒を見ることは上司の大切な仕事だと思うぞ。部下とお酒を飲みに行くのも、悪いことじゃない。だが、本当に上司の仕事で大切なのは「利益を稼ぐこと」なんじゃないのかね?
  • いくら部下に営業テクニックを教えてモチベーションを上げることができても、公平な評価ができなければ、いずれ優秀な部下はあんたから離れて行ってしまう。感情的な目標設定だけでは、いつかチームは崩壊してしまうもんなんじゃ。
  • あんたは、すぐの犯人を捜したがるな。いつも口うるさいお客にペコペコしながら「責任は当社にありますから」って繰り返して、それが癖になったんじゃないのか?会社は責任を押し付け合う場所ではない。社員が協力し合って、売上を上げて利益を稼ぎ、その中から給料を分け合う組織体なんじゃ。その給料によって、社員やその家族が幸せに暮らせる、これを目標にすべきじゃないのか?
  • 仕事というのは、ちょっとした工夫で儲かるようになるもんじゃ。上司に言われたとおりの仕事をしているから儲からないし、工夫しないからつまらない。まあ、忙しすぎるとそんな感情も麻痺して分からなくなってしまうんだがな。一度突き放して自分の頭でゆっくり感がさせることは、善い経験になるはずじゃ。
  • 「私は、今まで実務を通じて仕事を覚えれば、それで終わりだと思っていました。でも、新しい知識を身につけたり、もっと数字に強くなるために勉強することが必要だったと、今、痛感しています」「勉強を始めるのに早い、遅いはない。やるべきだと感じたときから、一生懸命やれば十分なんじゃよ」
  • 「1人の仕事ができるスーパーマンを育てるよりも、組織的に対応できて、素早く動ける人間がたくさんいる方が、固定費が分散できるので利益につながるってことなんですね。皆で協力できる会社という組織が発展入てきた意味がよーく分かりました」「会社は社員が幸せになる組織でなければ発展できないんじゃ。効率よく稼ぐことで、みんなが早く帰れて、それでいてたくさんのお金を分配できるようにするのが、上司の役目なんじゃ」
  • 今、儲かっている組織が生き残るわけでも、結束力が強い組織が生き残るわけでもない。過去のやり方を反省し変わり続けることができる組織こそ、生き残ることができるんじゃ。
  • チームというのは、どんな場合でも目標との『ズレ』を確認し合い、より良い方向に進むようにみんなd考えるべきなんじゃよ。それを繰り返すことで、社員全員が自分に対して、「なぜ、こうなったのか?」と行動を見直すことにもつながるんじゃ。
  • 戦略が変わったら、組織もそれに従って帰るのは当たり前のことよ。だって組織外膜機能しなかったら、会社は絶対に儲からないもの。だからこそ、再syに会社の戦略をしっかり決めることが重要なの。いい加減に毛めていたら、組織もコロコロ変わって、社員がついてこなくなっちゃうわ
  • 自分の理想や夢を実現するためだけに、ビジネスをやるなんて最悪よ。『良い材料を使いたい』『良い設備を使いたい』『立地の良い広い場所でやりたい』というのは、一見、お客様のためのように思えるけど、それは自分のエゴでしかないわ。肝心なのは「利益を出すこと」。そして儲かっているからこそ、お客にそれが還元できるのよ。

心の強さの鍛え方

おはようございます。

今日も過去のブログを貼り付けておきます。

新型コロナ禍で、在宅勤務・テレワークになり、人とのコミュニケーションも減り、ストレスを抱えている人は増えています。ストレス水準が上がったことにより、睡眠不足やアルコールの量も増え、心の健康問題が悪化しています。

こうした課題に対処するには「心の強さ」が重要であると言っています。

心の強さ」とは、「人がストレス要因やプレッシャー、課題に効果的に対処し、自分がどのような状況に置かれているかにかかわらず最高の能力を発揮する力(ピーター・クロフ博士)を言います。

この「心の強さ」は天性のものである一面もありますが、鍛え強化することもできるのです。ここでは、職場のあらゆる課題を克服する役に立つ心の強さを構築する5つの方法が紹介されています。

1.自分を信じる

 心が強い人は、自分の考えが課題を克服する力を左右することを理解しています。

 メルボルン大学の研究では、自信を持っている従業員は他の従業員より高い給与を稼ぎより早く昇進することが示され、自信が職場での成功を左右する重要な要因とされています。

2.習慣を構築する

 成功を収めるリーダーはやる気を感じるまで持たないと言います。成功を収めるうえで、やる気(モチベーション)は重要な要素ですが、やる気ばかりが空回りしていたのでは成功はおぼつきません。

 ここで言っているのは、やる気だけでは意味はなく、習慣化すること、習慣を構築することによって、気が散ることや障壁が現れても、重要なことに集中できるようになるということです。

 心の強い人は、成功の土台ができるような方法で、感情や思考、行動を管理しているのです。

3.一貫性を持つ

 仕事で心の強さを培うには、焦点を定めて目標に向かって行動し、一貫性を持つことが重要です。メンタルが強いアスリートを分析すると、他の選手に比べ際立っている理由がルーティーンと一貫性にあることが分かっています。

 心の強いリーダーはその他のリーダーに比べて一貫性があります。毎日これに向かって取り組むという明確な目標があるのです。短期的な利益やネガティブなフィードバック、忙しいスケジュールを理由にビジョン達成を目指すことを諦めず、自分の周囲に人々を集めることを何度も繰り返し習慣としているのです(ジェームズ・クリアー)。

4.強みに焦点を当てる

 焦点が向かうところにエネルギーが流れ、注意を向けたことが成長します。弱みに焦点を当てると弱みが強化されます。強みに焦点を当てるとさらにそれが強化され、自信を持つことができます。

 仕事で自分の強みを活かす人はより幸せで活力があり、仕事に打ち込んで、より早く成長・進歩できることが研究からも示されています。

 さらに、部下の強みに焦点を当てる管理職の下ではチームの成績が上がり、より大きな成功がもたらされることが分かっています。部下の強みに焦点を当てるリーダーの下では、離職率が低く、生産性や顧客満足度、利益率が高いのです。

5.挑戦を受け入れる

 心の強い人は「課題を身のすくむような出来事ではなく挑戦として受け入れる。失敗や過ちを、学ぶべき教訓、かつ成長の機会と捉えるのだ。こうした人は積極的に機会を活用するため、他の人よりもうまく障壁を受け入れる」(ブレント・グリーソン)のです。

この記事は、最後に「現在の苦労により、明日に必要な強さが培われる。自分で制御できないことに焦点を当てるのではなく、できることに注目する。最終的に大きな変化をもたらすのは、あなたの考え方だ」と述べて締めくくっています。

生き辛い世の中になり、多くの人がストレスを抱え、悩み苦しんでいます。強い心で、目の前の苦難に立ち向かい障壁を乗る超えるためにはここに挙げられている5つの方法は参考になるでしょう。

休日の本棚 企業再生プロフェッショナル

おはようございます。

今日も過去に紹介した本ののブログを貼り付けます。

今日は、西浦裕二編著・アリックスパートナーズ・アジア・エルエンシー監修「企業再生プロフェッショナル」(日本経済新聞社という本を紹介します。

本書は、GM日本航空ライブドアなど多くの企業再生に取り組んできた世界的なプロフェッショナル集団であるアリックスパートナーズが、企業再生のノウハウを物語形式で分かりやすく解説していて面白く読める本です。

西浦氏は、本書「はじめに」で「企業再生とは何を守り、何をよみがえらせることだろうか?例えば、『守る』対象は、その企業の株主なのか、経営者なのか、はたまた従業員や取引先なのか。また、どんな手を打てば、表面的ではない、本質的かつ持続的な再生につながるのか、とうとう疑問は尽きない。本書は、こうした自問自答に関する『現時点での総括』である」と言っています。

企業再生プロフェッショナル(ターンアラウンド・スペシャリスト)は、経営の行き詰った会社に乗り込み、実際に経営に参加して経営を中から立て直す再生人、決して「コンサルタント」ではなく、外部から雇われた暫定的な大将として、他のチームメンバーとともに難しい局面を乗り越えるべく実際に「闘う」ことが使命なのです。厳しい戦局を読み、戦い方(解決策)を考えるだけでなく、クライアントチームと一体となって、「実際に作り上げていくこと、実際に変えていくこと」が、企業再生の鍵となります。本書は、「企業再生」というプロセスが、実際にどのように進んでいくのか、そうしたプロセスに「企業再生プロフェッショナル」がどのようにかかわっていくのかについて具体的に物語形式で紹介されています。物語形式、一種の経営小説と言えるので、ネタバレになるので、内容については控えます。

この物語の中で、企業再生プロフェッショナル(物語では「北岡パートナーズ」)が企業再生の現場でどのような役割を果たしているのかについて見ます。

企業再生を行おうとする企業の多くは、資金面、時間面で追い詰められて状況にあります。このような状況では、限られた時間内に、その企業が持っている課題を洗い出し、優先順位をつけて、それらを同時並行的に実行していくことが、企業再生プロフェッショナルに求められるのです。具体的には、人員削減、コスト削減、売上挽回、事業売却、銀行からの支援などの課題が同時並行で進み、それらすべての施策が実行されて初めて、再生が成功するのです。各取り組みに失敗や遅滞は許されません。個別の課題を解決するだけならば戦略コンサルタント投資銀行、法律家といった専門家にもできますが、企業再生の場面では企業内部に入り込み、複雑に絡み合う課題をつなげ、全体のバランスを図りながら進めていく司令塔の役割が必要になります。その司令塔を担うのが企業再生プロフェッショナルが果たす第1の役割です。

企業再生プロフェッショナルにとって重要なことは顧客である再生企業の横にいて寄り添うことです。会社側の目線で、社外プロフェッショナルを選定し、顧客のために正しく動くように誘導することです。例えば、企業買収に携わる投資銀行は、買収が成立することで高額の成功報酬を獲得します。「できるだけ大きな金額で売りたい」「是が非でも成功させたい」というバイアスがかかります。しかし、企業買収において重要なのは金額だけではありません。事業売却を検討する企業にとって金額以上に重要のことは、「雇用は守られるのか」「売却先の企業文化、カルチャーは合うのか」「買い手が将来競合として当社事業を脅かすことはないか」などと言った多彩な観点で考えなければならないのです。そこで、会社目線で働く企業再生プロフェッショナルが必要になります。これが企業再生プロフェッショナルの第2の役割です。

再生が必要になった企業において共通してみられる病状が「決められない」病です。経営者、経営層が痛みを伴う課題から目を背け、決断しなかったために手遅れの状況にまで追い詰められたのです。「決める」ためには、客観的な数値、データが必要ですが、当然あるべき数字が存在していなかったり、経営者がそれを観ていないということが多いのです。企業再生プロフェッショナルの第3の仕事(役割)は、経営者の相談に乗るとともに、判断に必要な情報やデータを提供し、決断そのものを促すことです。

経営者にとって企業再生を選択することは大きな決断ですが、企業再生は倒産ではなく、事業継続を前提とした法的整理であり、従業員を含む関係者にとっては大きなメリットがあります。経営者がそのことを十分に理解し、企業再生に向けて正しい方向にかじ取りすることが企業再生プロフェッショナルの最も重要な役目かもしれません。

本書の最終章には、これまでの物語を前提として、「これからの企業再生」に必要な3つの視点が述べられています。

1.有事に備える経営の必要性

 企業再生は、倒産ではなく「死の宣告」ではありません。しかし、日本において多くの経営者は、いまだにネガティブな印象が強く、企業再生すれば、「倒産企業」のレッテルを貼られてしまうのではないかと、否定的な意識を抱いています。それが、決断を遅らせ、結局は倒産という憂き目を見ることになってしまいます。

 現在のコロナ禍において、多くの企業が、不本意ながら倒産、廃業といった方法を取らざるを得なくなりました。中には企業再生という道を選べば生き残ることができたケースもありそうです。

 私的整理や法的整理と言った企業再生の方法があること、そしてそれはネガティブなものではなく、会社や従業員を守るポジティブな方法であることなどを頭の片隅に置いておくことも「有事に備える」ためには重要なことだと思います。

2.経営の土台(基礎)を検証する必要性

 建築において、「基礎」や「土台」に手抜きがあると大変のことになってしまいます。これは企業、ビジネスにおいても同様です。企業経営にいても、建物と同じように「土台」「基礎」が大切です。

 どの企業にも経営計画や事業計画はあり、その中に目標が掲げられています。しかし、「具体的にどのような施策によって、そうした目標を達成していくのか」がきちんと説明されていない企業が意外と多いのです。こうした企業に限って、計画の進捗状況も十分に検証されておらず、結果として、毎年、計画と実績が乖離し、その原因を明らかにすることも誰も責任を問われることもなく、終わっています。

 こうした、経営を遂行していくために「当たり前にやらなければならない」ことをやらずに長年放置していると、会社という建物自体が根元から腐り倒壊してしまう事態にもつながりかねません。

 日本の製造業は「世界の中で群を抜いている」と言われていましたが、最近では翳りが見え、「ものづくり力」が危機に瀕してきています。その原因として考えられるのは、生産現場に安易に「効率優先」「成果優先」の考え方を持ち込む、これまで生産現場を支えてきた高いモチベーション、工夫する余裕、蓄積された現場の暗黙知といった「ものづくり」の基盤が崩壊してしまったことです。

 製造業だけでなく、あらゆる企業にとって、こうした「経営の土台(基盤)」を点検し補強することが、企業再生への第一歩、出発点となるのです。

3.産業再生の視点を持つ

 企業が抱える本質的な問題は、業界構造ないし産業構造に根差している場合があります。こうした場合には「産業再生」の視点を持たなければ、持続的な企業再生にはつながりません。実際、2008年のリーマンショック以降、いくつもの業界で業界構造ないし産業構造の問題が一気に顕在化してきています。

 産業再生の視点を持ちながら企業再生を行う場合、「産業構造の地殻変動を引き起こす要因」の見極めが肝要です。

 小売業の再生第一幕では、業界を代表するような企業が何社もが開始、現在単独でかつてのポジションを維持できている企業はほとんどありません。多少の紆余曲折はあるものの、最後は業界再編に至っています。業界王手の倒産劇は、その企業だけの問題にとどまらず、業界全体が抱えている構造課題を露呈しています。

 リーマンショック後の第二幕においては、業界再編の波がさらに大波として押し寄せてきています。業界再編の問題は、企業再生の流れだけにとどまらず、平時においてもダイナミックな事業再構築の手法として、経営の重要な戦略として語られるべきテーマとなっています。防衛的な企業再生から、産業再生を視野に入れた能動的な企業再生へと流れが変わりつつあるようです。

 「産業再生の視点」がないと「木を見て森を見ず」という結果になりかねません。時に自社の問題を根本的に解決するために、他社、時には競争相手の会社に、提携や統合を働きかけることも効果的な再生手法となり得ます。

現在のコロナ禍のように、どのように健全な企業であっても、大きな転換点を迎えたり、想像もしなかった危機に遭遇することが必ずあります。その時に、経営者が狼狽えたり、判断を誤れば、会社の存続が危うくなってしまいます。有事の時こそ、経営者、トップリーダーの力量が問われます。「有事の備え」「有事について頭の中でシミュレーションしておく」ことは、経営者、リーダーにとって必要不可欠なことなのです。

マネジャーからリーダーへの道

おはようございます。

今日も過去のブログを貼り付けておきます。

マネジメントという言葉は曖昧で、日本では「管理」と同義に使われています。しかし、ドラッカー教授によれば、マネジメントは「人と組織の強みや創造性を最大限に引き出して経済的・社会的に価値ある成果を上げること」を意味します。「管理」というのはマネジメントの一面にしかすぎないのです。

ドラッカー教授のようにマネジメントを捉えると、マネジャーはリーダーに近づくように思います。マネジャーとリーダーとを同義に使う人はいますが、厳密にいえば、両者は違います。

マネジャーは、特定の目的を達成するためにあらゆる要素を制御することが主たる仕事になります。プロジェクトや領域、予算、時間枠、プロセスなどの物事や、チームメンバーや顧客、業者、パートナーなどの人をマネジし、司令などを遵守させ効果的に物事を実行することです。

一方で、リーダーは、コントロールよりも他者に影響を与えて鼓舞し、会社の成功に貢献できるようにすることが主たる仕事です。そのためには、ビジョンを立ててそれを効果的に伝え、部下たちからの信頼を得ることが必要になります。

この記事では、「リーダー志望者が素晴らしいマネジャーの特長を身につても役に立たない」と言っていますが、これは違うように思います。マネジメントの捉え方にもよるのでしょうが、マネジメントを「自由で生き生きと躍動する人と組織を創り、成果につなげること」と捉えると、「組織運営と顧客創造のマーケティングとは密接の繋がっている」ことになります。したがって、リーダーにもマネジメントのスキルや能力は必要です。

しかし、マネジャーとリーダーとは厳密にはその役割が違いますので、リーダーになるためにはマネジャーの考え方を一歩前進させ、さらに新たなスキルを身につけることが要求されます。

この記事では、マネジャーからリーダーになるための3つの方法が紹介されています。

1.コントロール欲を捨てる。

 多くのマネジャーが、目的を達成するためにすべての物や人を制御しなければならないと考え、これが逆に部下の士気を殺ぐことになっています。マネージャーが部下を言いなりにさせようと躍起になればなるほど、生産的でなく忙しいだけになり、マネジャーの不安はさらに増加し、部下の信頼はさらに低下します。

 優秀なリーダーは、他者をコントロールするのをやめ、代わりに力を与えます。リーダーの仕事は部下が仕事をこなせるように邪魔しないことです。優れたリーダーは、チームのメンバーに対して、必要な時にはいつでも相談に乗ると伝えつつも、チームにはそれをこなす力があると伝えて部下の地震と信頼を培うものです。

 したがって、マネジャーからリーダーになるためには、部下や物をコントロールしたいという欲求を捨て去ることが必要になるのです。

2.プロセスや自分よりも部下を優先する。

 目的達成は重要ですが、チームを犠牲にしてはいけません。人との関係性よりも取引や自尊心に大きな価値を置くとリーダーシップは遠ざかります。優れたリーダーは、事業の中核を担う原動力が人であることを理解して佾ために他者を優先し、共感を通じて他者の視点をより深く理解しようとします。リーダーは、話すよりも聞くことを重視します。情報を得るために質問し、他者が自由に意見を共有できる環境を提供します。またリーダーは発言しなくても心では次に何を言うかを考え、発信者が止まる瞬間に思慮深い返答を与えます。

 リーダーは、自分の話を聞いてもらっている、存在を意識してもらっていると他者に感じさせ、集団への帰属意識を与えます。リーダーは共通のビジョンを基に人を集め、賛同を得て、こうした人が最高の自分になれるように鼓舞してやる気を与えます。

3.リーダーシップの模範を示す。

 高い業績を収める優秀な人材であることと他者が高い業績を収めるように支援することとには、大きな違いがあり、両者は全く異なるスキルです。

 リーダーは役職が与えられてリーダーになるのではなく、行動を通じてリーダーであることを示さなければなりません。ソフトスキルや心の知能指数(EQ)など、これまでの自分にとっての成功要因では必ずしもなかったものも意図的に受け入れ、注目されるロールモデルになろうとする必要があります。

 特に重要なのが自己認識です。自分の立ち居振る舞いだけでなく、自分のエネルギーが他者にどのような影響を与えるかを理解することです。自己認識を通じて、他者との交わりや相手のあなたに対する認識、相手に対するその瞬間のあなたな反応などがすべてつながっていることに気づくことができます。

昨日書きましたが、マネジメントは「管理」よりも「創造」に近い概念ですが、日本では「管理」ととらえられる傾向にあります。そうすると、マネジャーは方法論やツールによって機械的に効率を追求することになってしまいます。これではマネジャーからリーダーは育ちません。マネジャーにとってもリーダーにとっても重要なことは、「顧客がどのような人で、顧客は何を価値として、わが社からどのようなサービスや製品を購入したいのだろうか?」という問いに真摯に向き合うこと、つまり企業の目的は「顧客の創造」ということです。これはマネージャーもリーダーも変わりません。このことを頭に入れたうえで、上の3つを意識しながらマネージャーから優れたリーダーへの道を歩むことが大切です。 

褒める技術の落とし穴

おはようございます。

今日も過去のブログを貼り付けます。

これまでも部下の育成方法について書いていますが、部下に対して「認めて、任せて、褒める」ことが大事ですし、ミスを犯した時には「叱る」ことも必要です。

若手社員の中には、「自分の上司は褒めてくれない。褒めると負けだと思っているようだ」という不満を抱いている人もいますし、一方で上司は「もう学生や子供ではないので褒めてほしいという甘えは捨てるべきだ」という意見もあります。

元来、日本は、ベネディクトが「菊と刀」で言ったように、罪の文化ではなく恥の文化です。今の若者だけでなく、昔から曖昧模糊とした甘えの中で生活しています。親や教師、社会も本当にその人のことを思って叱るということができていないのです。叱るための基準が明確でないからです。「叱る」というのは、本当に相手のことを思っていなければできません。相手のことを思っていなければ、それは怒りに任せた感情にしかすぎなくなります。「叱る」というのは、相手に対するどのような思いを抱いて言葉を発するのか、「この一言で、部下が持つ素晴らしい可能性が開花してほしい」という思いをもって、真剣に部下にその言葉を響かせようとすることであって、ある意味「命がけ」なのです。だから、昨今の上司は、「部下にアドバイスしたい」「成長してほしい」と思いながらも、黙っている方が無難ということになってしまいます。

これは、「叱る」ことだけでなく「褒める」ことにも、同じことが言えます。

「叱る」ことはできるが「褒める」ことは苦手という人がいます。そういう人は、自分が本当に「叱る」ことができているのか考えてみてください。本当に部下のことを思い心から「叱る」ことができているのか、怒りや苛立ちの感情から相手を非難しているだけなのか、考えてみることです。「褒める」ことも、相手のことを思って心から「褒める」必要があります。単に口先だけ、上辺だけの褒め言葉など、相手の心に響きません。それでは、部下の成長など期待できません。

1.褒める技術の落とし穴

 「叱る」ことが苦手な人は「褒める」ことも苦手で、本当に「叱る」ことができている人は「褒める」こともできるはずです。

 「褒める技術」や「褒める言葉」に関する本が流行っています。しかし、昨今の「褒める技術」や「褒めり言葉」といったものに依拠したマネジメントには「危うい落とし穴」があるのです。

 その「落とし穴」というのは、「操作主義」です。これは、「褒める技術や褒め言葉」を用いるとき、上司の心の中には、「このように褒めれば、部下は喜び、自分についてくる」「こう褒めれば部下のモチベーションは上がり、仕事の成果も上がる」といった発想、「部下を思い通りに動かしたい」という密やかな「操作主義」があるということです。

先ほども書きましたように、「褒める」場合も「叱る」時と同じく、相手を思いやる心がなければなりません。上司の心の中に「自己中心的な発想」や「無意識の傲慢さ」が垣間見られるとき、部下は反感を抱くことはあっても、上司に共感することはなく、良い結果をもたらすことはありません。

 部下を褒める時には、「タイミング」や「ポイント」も重要ですが、それ以上に大切なのは、どのような「思い」を込めて褒めるのかということです。ここでも、「叱る」ときと同じように「この言葉で部下が持っている素晴らしい可能性が開花してほしい」「(仕事だけでなく人間としても)成長してほしい」という思いを抱き、その思いを言葉に込めて、部下の心に響かせることです。部下に対する温かい思いと愛情、「自分の一言に部下の人生がかかっているという覚悟」が必要なのです。まさに「褒める」ことも「命がけ」なのです。

2.褒めるのが苦手な人に欠かせない3つのコツ

 誰でも、努力して結果を出した時や仕事で成果を上げたときには褒めてもらいたいものです。褒めてもらえなければむなしくなってしまいます。褒めるということは、感謝の気持ちを表し、相手のモチベーションを上げることにつながるのです。

 それでも、褒めるのは苦手という人に対して、とっておきの3つのコツがあります。

 Ⅰ:褒めない褒め方=「他の誰かが言ったこと」にして褒める・・・「褒めると偉そうだ」「褒めるガラじゃない」と思う場合、「部長が言っていたよ」などほかの人が言っていたようにして褒める。相手も、直接褒められたわけではないので喜びの感情を表しやすい。その上で、「自分も(部長と)同じように思う」などと褒め言葉を付け加える。

 Ⅱ:時間差・褒め=すぐに褒めずに後で褒める・・・すぐに「いいね」「すごい」とほめるのではなく、忘れた頃に「そういえば、あれはよかった」と時間差で褒める。「そんな前のこと、細かいことをよく覚えてくれているなあ」と相手は嬉しくなる。そのためには記憶、「いつ・どこで・何をした」という具体的な内容が必要になる。

 Ⅲ:「言葉」より「顔」=表情で褒める・・・口先だけの言葉よりも顔に気持ちを表すことが大事だ。本心で相手をたたえる気持ちが一番相手に響く。

 大切なのは、言葉だけでなく、本心で気持ちを伝えることが相手の心に響くということです。

「叱る」ことも「褒める」ことも、相手を思いやる心が一番です。そのためには普段から相手とのより良い人間関係、信頼関係を築いていることが大前提です。普段から対話や雑談を通じて共感していることが重要なのです。