中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

中小企業経営のための情報発信。中小企業から日本を元気に

派遣社員にもテレワーク

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おはようございます。

新型コロナウイルスの猛威が止まりません。東京都の小池都知事や大阪の吉村知事らが強い口調で週末の不要不急の外出を呼びかけ、一応繁華街などの人手ではかなり減っていましたが、ニュースを見ると一部の若者らはそれを無視して繁華街や花見に出歩いていました。ニュースによれば、以前は高齢者の感染者が多かったのですが、このところ20代・30代の割合が増えてきているとのことです。阪神の藤波選手らが罹ったのはどうも合コンの席だったようです。本来なら開幕しているこの時期に情けないものです。もう少し緊張感を持って行動してもらいたいものです。いつ、日本もイタリアやアメリカNY州のような事態になるかわかりません。このところの感染者数の増加傾向からすれば、ここ1,2週間が要注意でしょう。

東京都や近隣県では平日でも自宅勤務を心がけるような要請が出されています。そこで、「派遣社員もテレワーク 一気に NTTコム約1400人に1週間で導入」と言うニュースを取り上げます。

NTTコミュニケーションズは、新型コロナウイルスへの対応を検討し始めたのは1月中旬からということで当時の状況からすればかなり早い段階から警戒を行っていたことがうかがえます。対応が遅く後手に回っていた政府とは大違いです。どの時点でどの施策を実施するかを見極め、国内で感染経路不明者が出た2月初旬段階でリモートに移行する対策をとったというのです。2月17日に従業員の2割を占める派遣社員の雇用主約100社に「これまで正社員だけだったテレワークの対象を当人が同意すれば派遣社員も加える」と言うメールを一斉送信しました。派遣会社1社ごとと協議するのは時間がかかるため一気に決断したのです。流石に対応も早いです。そして3月初旬には派遣社員を含む全従業員約7000人のうち約65%に当たる約4500人がテレワークを実施しているというのです。

通信端末を持たない派遣社員には貸し出し、通信環境がなければWi-Fiルーターなどを自分で調達の上費用は会社が負担することにしたのです。それによって、一斉メールから1週間でほぼすべての派遣社員のテレワーク環境が出来上がったということです。

NTTコムのような大規模なテレワークを実施するのは、IT基盤が整っていないとなかなか困難です。制度、IT環境、運用・管理がうまくかみ合わないと急激なタイミングでのシフトは難しいと思います。NTTコムでは、様々な働き方改革を実施する中で、オフィスのあり方や社員間のコミュニケーションの仕方などを改革してきたことが今回のテレワークに行かされているというのです。また、災害時の安否確認ツールも全社員にメッセージを届けるのに役立っていると言います。社内ポータルに掲示するだけでは見ない人もいるので、スマホや携帯に一斉通知できるために役立つのです。

また会社として、手洗いやうがいなどの徹底、出張自粛、大規模会議の自粛、イベントの自粛を促しているものの、会議やイベントは一切禁止ではなく、精査して行い、予防対策をしっかりするようにしているというのです。

NTTコムによれば、テレワークによる悪影響は現在のところ出ていないが、社員の生産性がどうなっているのかは今後の検証によるしています。長期化する在宅勤務で社員間のコミュニケーション不足が影響を及ぼす可能性もあることからテレビ会議などの実施が必要となるでしょう。

さて、問題は派遣社員にテレワークを行わせることに法的に問題はないのかということです。

まず、派遣元と派遣先との間の派遣契約において就業場所が明記されているのですが、今の契約の多くは在宅勤務を想定していません。また、派遣会社には定期的に派遣先を巡回する義務もあります。派遣社員にテレワークを認めるためには既存契約にかぶせる形で覚書を締結する必要があるでしょう。

政府も感染対策でテレワーク支援を打ち出し、中小企業向けの補助金助成金などを拡充しています。厚労省も、派遣社員のテレワークについてグレーゾーンであることを認めつつも現行法上も可能であるとの見解をとっています。

4月から施行される「同一労働同一賃金」で問題視される可能性が指摘されています。厚労省ガイドラインでは、賃金のほか福利厚生と教育訓練についての不合理な待遇差を認めないとしていますが、テレワークもこの対象になるのではないかということです。派遣会社でも派遣先でも正社員はテレワークできるのに派遣社員はできないなら、不合理な待遇差で派遣社員が責任を問われる可能性があるということです。

中小企業においてテレワークを実施するのは困難だと思いますが、NTTコムを参考に取り組むようにしてください。 

休日の本棚 「ゾンビ」を読む

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おはようございます.

先日、新型コロナウイルスに対する中小企業支援で「ゾンビ企業」が増加するという記事について紹介しました。そこで、今日は「『ゾンビ』とは何か」について書いていきたいと思います。

ゾンビに関する映画と言えば、1968年のジョージ・A・ロメロ監督「Night of the Living Dead(邦題 ナイト・オブ・ザ・リビングデッド)」、1978年の同監督「Dawn of the dead(邦題 ゾンビ)」、2005年の同監督「Land of the Dead(邦題 ランド・オブ・ザ・デッド)」です。「ゾンビ」は昨年日本公開40周年で再上映されました。また、2002年にニンテンドウゲーム「バイオハザード」が発売され、これはミラ・ジョヴォヴィッチ主演でバイオハザードシリーズとして映画化されています。

ゾンビとは、何らかの力で死体のまま蘇った人間で、ホラー作品などでは「腐った死体が歩き回る」「墓場から出てきた死体がぎこちなく歩き回る」という描写がなされます。「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」では、父親の墓場に向かう兄妹、兄ジョニーが「やつらはやってくるよ。バーバラ」と墓地を怖がる妹バーバラをからかうところから始まります。この言葉を発した後、口を開けよろよろとぎこちなく歩く見知らぬ男が現れ二人に近づきます。妹バーバラはその男にただならぬものを感じつかみかかろうとする手から咄嗟に逃げ助かりますが、兄ジョニーは殺されます(実際は死ぬわけではなくゾンビにされてしまいます)。この男はうつろな目でカメラを見つめます。これが、現代的なゾンビ・ホラー映画の幕開けとなり、ゾンビと言えば「うつろな目でぎこちなく歩き回りつかみ取ろうとして手を伸ばして近づく」というイメージが出来上がりました。

さて、ゾンビという言葉は、カリブ海域諸島で信じられているヴードゥー教に起源をもち「生きる屍」を意味しています。ヴードゥー教の神聖かつ秘密の儀式の中にゾンビを作る風習があります。ハイチの田舎では、ヴードゥー教の司教による処刑として行われているのです。人をゾンビに変えるというヴードゥー教の風習において二つの神経薬理的物質が使われています。フグの体内で生産される神経毒であるテトロドキシンとチョウセンアサガオです。テトロドキシンが人を麻痺させる特質を利用して危うく命を落とす直前まで麻痺を持続させ仮死状態にします。必要量のテトロドキシンの投与はすべての随意筋を麻痺させ呼吸をほとんど感知できないまで浅くします。死ぬことはありませんが外観はまるで死んでいるようになります。死んでいるように見える人物をよみがえらせるときに、チョウセンアサガオを服用します。チョウセンアサガオ有機リン酸エステル中毒を引き起こす化学物質を分解するのでフグ毒の分解を加速します。この時に犠牲者の意識を混濁させ他人の言いなりになるようにすることができるのです。こうしてゾンビが出来上がるというわけです。

こうしたホラー映画に出てくるようなゾンビについて脳神経科学の立場から説明・解説されているのが、ティモシー・ヴァースタイネン、ブラッドリー・ヴォイテック著「ゾンビでわかる神経科学」(太田出版)です。この本はゾンビを取り上げながら脳神経科学、脳の仕組みについて教えてくれています。ゾンビに関する本や映画を取り上げながら解説されていますので面白いです。

ゾンビ症候群は意識欠陥活動低下障害(CDHD)で、その症状は、患者は活動を意図的に制御できず、無気力で疲れきったような動きを見せたり(運動感覚消失)、喜びの感覚を失ったり(快感消失)、全般的な言語機能障害(失語症)や記憶障害(健忘症)に陥り、摂食などの欲求行動や攻撃的「闘争・逃亡」行動を抑えられなくなるのです。患者はしばしば見慣れたものや人を認識するのが困難となり(失認症)、持続的睡眠障害が慢性的不眠症という形で表れた結果「覚醒せん妄」状態に至ります。また、患者は反社会的行動パターン(人をかんだり食べようとしたり)も見せ、そうした典型的暴力行為は生身の人間に対してのみに限られます。他の感染者に対しては非常に強い向社会的行動をとり群れることになります。

CDHDには2種類あり、映画「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」「ゾンビ」「ランド・オブ・ザ・デッド」に出てくるような「のろまなゾンビ」とダニー・ボイル監督の「28Days Later(邦題 28日後・・・)」の出てくる「怒りっぽいゾンビ」があります。原因は、脳の低酸素症であり、長時間低酸素状態が続けば「のろまのゾンビ」が生まれ、短期間の低酸素状態なら「怒りっぽいゾンビ」が生まれるというのです。どのような原因でCDHDが発症するかは明らかになっていませんが、脳の一連の変化から新皮質のいわゆる「高次」認知領域の喪失が関わっているとされます。感染により影響を受ける皮質領域の大部分は連合部で、意思決定と複雑な行動の産出に関わり、広範な連合皮質の機能不全が視床下部や偏桃体といった深部脳領域への二次的な変化を引き起こすと考えられるというのです。

この本は、最後にゾンビから生き抜くための秘訣を挙げています。面白いので挙げておきます。

  1. ゾンビと闘うな。ゾンビに抵抗してもゾンビは痛みを感じない。
  2. 息をひそめやり過ごせ。ゾンビはもっと気を引くものを見つければ忘れる。
  3. ゾンビの注意をそらせよ。ゾンビは気が散りやすい。花火や閃光弾が役に立つ。
  4. ゾンビを振り切れ。ゾンビはぎこちない足取りで追ってくる。
  5. 説得するな。ゾンビはあなたの言うことを理解できない。
  6. ゾンビを模倣せよ。ゾンビは群れる。その中に紛れゾンビのようにふるまえ。

さて、ゾンビの脳神経科学よりもっと脳神経科学を勉強したいと言うなら専門書になりますが、信原幸弘他編「脳神経科リテラシー」(勁草書房)を勧めます。この本は理系だけでなく文系にも配慮され文理横断的に脳神経科学を取り扱っています。人間の脳の仕組みに興味のある方はどうぞ。

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休日の本棚 「インフェルノ」を読む

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おはようございます。

新型コロナウイルスの感染拡大は世界的に大変な状況になっています。英国のジョンソン首相が新型コロナウイルスの陽性反応が出たようですし、王室のチャールズ皇太子も陽性となって隔離されているようで、英国では1日の死者が100人を越えました。日本では東京都の小池知事が週末の自粛要請を出し大阪の吉村知事も外出自粛を要請しました。休日は外出を控えゆっくり読書でもしましょう。

今日は、ダン・ブラウンの「インフェルノ(上)(中)(下)」(角川文庫)を紹介します。ダン・ブラウンは「ダヴィンチ・コード(上)(中)(下)」(角川文庫)、「天国と地獄(上)(中)(下)」(角川文庫)などでも有名なアメリカの小説家です。この3作品はハーバード大学の宗教象徴学の権威ラングドン教授が活躍するシリーズとなっています。ネタバレしない範囲であらすじを書きます。

ダヴィンチ・コード」は、キリスト教の謎に迫る話です。ルーブル美術館でソニエール館長がシラスという人物に殺害されますが、警察は犯人をハーバード大学のラングドン教授として捜査を進めます。ラングドン教授がソニエールの孫娘ソフィーと犯人を追い詰めるという話です。ソニエールが殺害された理由が、キリスト教の秘密に深くかかわっており、キリスト教の存在を揺るがしかねないもの、それはイエス・キリストは神ではなく人でありその子孫が存在しているというものです。宗教象徴学の権威ラングドン教授はソフィーと共に様々な危険に遭いながら、キリスト教の秘密に迫り、警察に捕まる前に犯人に辿り着くことができるのでしょうか。

次は「天国と地獄」です。ラングドン教授は、セルン研究所の所長コーラーからアンビグラムの紋章についての説明を求められます。その紋章は研究所で殺害された科学者レオナルドの胸に焼印として押されていたものです。レオナルドは、核エネルギーを凌駕する反物質の生成に成功しており、その反物質も犯人に盗まれていました。ラングドンはその紋章を秘密結社イルミティのものと断定し、レオナルドの娘ヴェトラと共にローマに向かいます。一方ローマでは、新教皇選出のコンクラーベの真っ最中であり、4人の有力候補が失踪、前教皇の侍従カルロの元にイルミナティを名乗る者から1時間に1人ずつ殺害するという連絡が入ります。ラングドン教授は、殺害を阻止し、盗まれた反物質を取り戻すべく推理と行動を開始します。

さて、次は「インフェルノ」です。ある日、ラングドン教授が目を覚ますと病院の一室にいて数日間の記憶を失っていました。最後の記憶はハーバード大学のキャンパスを歩いているときのもの、今はフィレンチェの病室。そして何者かによる銃撃を受けたラングドンは医師シエラの手を借り病院を抜け出します。シエラのアパートで、ラングドン上着のポケットにバイオハザードの記号が刻印された円筒形の容器を見つけます。その中に古い骨でできた小型プロジェクターが入っており、そのプロジェクターからダンテの「インフェルノ」をモチーフにしたボッティチェリの「地獄の見取り図」の映像が映し出されますが、一部修正が加えられていて、その映像のもとに「真実は死者の目を通してのみ見える」と書かれていました。この小説にゾブリストという著名な大富豪の科学者が登場します。彼は人口爆発問題を解決する方法は一つしかないと考え自分が発明した生物兵器のようなものをある場所に隠して自殺します。それは水溶性の袋に入っていてある設定された時間がくると溶け出し、3人に1人の割合で不妊を引き起こすウイルスが蔓延していくというのです。ゾブリストの計画を察知していた世界保健機構(WHO)事務局長シンスキーはゾブリストの死後彼の貸金庫から奇妙なプロジェクターを押収します。そのプロジェクターを操作するとダンテの神曲ボッティチェリの地獄の見取り図が現れたので、この中に隠し場所のヒントがあると考えたシンスキーはラングドン教授に協力を要請し強引にフィレンチェに連れてきます。しかし、ラングドンを待ち受けていたのは暗殺者で、その暗殺者に狙撃され記憶を失ってしまうのです。ラングドンシエナと共に暗殺者から逃げ回りながら、必死に「地獄の見取り図」を読み解き、隠された生物兵器を探しウイルスがまき散らされるのを阻止しようとします。フィレンチェからヴェネチアイスタンブールまで移動しアヤソフィア大聖堂近くの貯蔵池に沈められていることを読み解きます。

ところが、ゾブリストが映像で示唆した期日は容器が溶解する日ではなくウイルスが全世界に蔓延する日だったのです。この生物兵器は地下宮殿の水中で1週間前に溶解し既に全世界は感染してしまっていたのです。

「病院が患者や瀕死の人たちで溢れ返ることもなければ、路上で死体が腐っていくことも、愛する人を失った人たちが悲嘆にくれることもない」「それはインフェルノと名付けられたウイルスで、そのウイルスは既に世界中の人が感染している。私もラングドンも含めて」とシエナは言います。シエナはゾブリストの恋人だったのです。

シエナとシンスキーはこのウイルスを無効化することをあきらめます。それはゾブリストのような天才をもってしても困難なことでしたし、人口爆発問題の危険性を認識していたからです。この小説は人口暴発問題について考えさせられます。そうした問題の解決に人工的に遺伝子操作を行ったウイルスを利用しようとすることにも怖さや恐ろしさを感じます。

今回の新型コロナウイルスについても人工的なウイルスであるという見解が多数ありますが(4つの部分で遺伝子編集が行われ自然発生的に生まれるようなものでないと言われています)、本当に生物兵器だとしたら恐ろしいことです。

これらダン・ブラウンの小説は、すべて映画化されています。すべて面白いですが、特にダヴィンチ・コードはお勧めです。

ラングドン教授を演じているのがトム・ハンクスですが、そのトム・ハンクス新型コロナウイルスに罹ったというのも皮肉なものです。ご夫婦ともに回復に向かっておられるようなので良かったですが。 

 

 

「ゾンビ企業」増加?

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おはようございます。

有名人では、先日の志村けんさんに続き阪神の藤波投手が新型コロナウイルスに罹ってしまいました。感染経路が分からない感染者が増加しています。東京都の小池知事は、木曜金曜の自宅勤務・夜間の外出自粛と週末の外出自粛を要請しましたが、夜桜に興ずる人々や東京都内の繁華街で騒ぐ若者など、小池都知事の警告を無視している人たちが多数います。海外メディアも、渋谷で夜通し騒ぐ若者や花見に押し掛ける人々を「政府からの警告にもかかわらず酒を飲むために集まっている」と紹介し、海外から懸念の声が上がっています。私自身、全国一律の自粛が良いとは思ってはいませんが、自粛すべき場合にはしっかりと自粛すべきと思います。東京の感染拡大の状況からすれば外出自粛等の措置もやむを得ないでしょう。自粛要請にもかかわらず決行されたK-1などもってのほかででしょう。こうしたところでクラスターが生まれます。少し自粛ムードが緩み緊張感がなくなってきています。それは自粛に伴うストレスもありますし何を自粛してよいかがわからないからです。自粛すべきケースと自粛解除しても良いケースの基準が明確に提示されていないのでこのようなことが起こります。専門家会議や政府はしっかりと基準を提示し、無責任に主催者の自主的判断に委ねることのないようにしてもらいたいものです。

さて、今日は、またコロナ関連ですが、ダイヤモンドオンラインの「コロナで『ゾンビ企業』増加?政府の中小企業支援策が及ぼす副作用」を取り上げます。

新型コロナウイルスによって多くの中小企業が影響を受け、政府も中小企業支援対策を行っています。この政府の中小企業支援策はまだまだ十分とは言えません。今後は新型コロナウイルスの影響が大企業や大手企業に広がり、更にそれが中小企業に逆流するといった事態が想定されます。以前にも書きましたが、リーマンショック時には「上から下」の流れでありましたが、今回の新型コロナウイルスは「下から上」の流れで、「上に上がればその後下に逆流」してくるように思います。つまり、インバウンドの減少で中小の飲食、観光、小売りなどの下から始まり、その後大企業や大手企業に感染の影響が出て、更にその後それが下請けや孫請けの中小企業に逆流してくるということです。

新型コロナウイルスに対する中小企業向けの資金繰り支援策として、特別貸付、セーフティネット貸付が拡充され、金融機関窓口に多くの中小企業経営者が相談や融資申込に訪れているようです。金融機関にとっても融資を増やす絶好のチャンスで、中小企業が新型コロナ絵ウイルスを要因とした融資申し込みを受ければ、保証協会付きの融資になるので、融資後に仮にその企業が倒産しても保証協会の代位弁済で資金回収が行えるためにリスクがなく金融機関間で融資の取り合いになっているようです。通常の場合には厳格な審査が行われるために、本来なら融資が受けられないような企業にも融資がなされ、この記事では「ゾンビ企業」が生み出されるというのです。「ゾンビ」とは「生きる屍」のことで「ゾンビ企業」というのは「再建の見通しがつかず、社長に高齢化や後継者問題、人手不足が深刻化して、休廃業を考えていた矢先、今回の件で融資を受けることができ、倒産・廃業の憂き目にあわず生きながらえて『生きた屍』のようになる企業」のことです。

リーマンショックの時にもこうした「ゾンビ企業」が増加しましたが、今回も増加する可能性は大いにあります。ゾンビ企業が出ることで中小企業の生産性が低下し、いずれは倒産への道を歩み負債を増やすだけだとしても、中小企業支援策は行わねばなりません。「ゾンビ企業」となるのほんの一部です。大半の中小企業は、「融資を受けても急場しのぎにしかすぎず、借金を増やすだけで首を絞めることになるかもしれないと考えつつも、真剣に会社の再建を画策しているのです。会社再建・経営維持に乗り出し色々画策した結果やむなく倒産・休廃業することになってもそれは結果です。従って「ゾンビ企業」という副作用があるからといって中小企業支援策を縮小すべきではありません。積極的に中小企業支援策を推し進めてもらいたいものです。先日も書きましたが、企業の倒産⇒失業⇒自殺という悪循環を引き起こさないためにも倒産を食い止める必要があるのです。少しくらい「ゾンビ企業」が生まれてとしても今は良いとしましょう。「ゾンビ企業」はいずれは淘汰されます。 

 

5G時代スタート でも何ができる?

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おはようございます。

新型コロナウイルスの東京都内での感染拡大を受けて、東京都の小池都知事は、このままでは「首都崩壊」になりかねないと、26、27日の自宅勤務と週末の外出自粛を呼びかけました。24日の都内感染者数が17人、25日には1日当たり41人と過去最高を記録し、累計数も212人で北海道を抜きました。これは全国の感染者数(クルーズ船を除く)の約6分の1が東京から出ているということになります。東京オリンピック延期が決まった直後に多数の感染者数を発表と言うのは、延期決定まで隠していたのではないかという穿った見方もあるようで、「1週間遅い」(舛添前都知事)「都民ファーストよりオリンピックファーストだ」(鳩山元首相)と色々言われてていますが、要はどのような手うとってでも感染拡大を食い止めることです。問題はこうした不要不急の外出自粛に法的な根拠がなく、強制力がないことです。強力な法的効力を有するものとして新型コロナ特措法の「緊急事態宣言」がありますが、私権制限まで含み首相の一存で恣意的になされる恐れがあり危険です。悩ましいところです。

さて、今日は新型コロナウイルス関連はこれくらいにします。

高速で大容量の次世代通信規格「5G」のサービスが始まりました。NTTドコモが3月25日から、KDDIau)が26日、ソフトバンクが27日からサービスを開始する予定で、ようやく、日本もアメリカ、中国、韓国などに続いて5G時代が幕開けしました。5Gに関連して1月21日に「5G時代でどう変わる?」と題して書いていますので参考にしてください。

5Gは、第5世代(5th Generation)の移動通信システムのことで、①高速・大容量②超低遅延③同時・多接続の実現が特徴で、社会のスマート化をけん引していくインフラ技術が期待されています。5Gはこれまでの4Gとは大きく異なります。4Gまではスマートフォンへのインターネット接続など情報配信サービスが主要なものでしたが、5Gになるとスマートオフィス、スマート工場、自動運転自動車などこれまで携帯電話と縁のなかった自動車・ロボット・機械などを接続し、遠隔操作、AIなどによる高機能化を通じてわれわれの生活を大きく変える要素を持っています。本来的に5Gに期待されているのはビジネスの分野です。5Gを活用したスマートハウスやスマートファクトリー、更にはMaaSやスマートシティなどのシステム開発や導入の段階で各業界を巻き込んだビジネスチャンスが生まれます。例えば教育の面でみれば大容量データの転送や同時接続が可能な5Gであれば、100人単位の学生がスマホタブレットを見ながら遠隔で授業を受けることが容易になります。今回のような臨時休校の場合など自宅にいながら学校の授業を受けることができるようになります。また、5Gの導入でAIが活躍する工場でも人手が必要な場面がありますが、遠隔操作で人手不足を解消できるようになりますし、新型コロナで働き方改革の一つとして注目されるテレワークも5Gの導入でスムーズに行えるようになります。その他医療の側面では遠隔診療など病院に行かなくても遠隔診断・治療が受けられるようになります。昨日、トヨタとNTTが資本業務提携を発表しました。これは、テレビコマーシャルですでに発表し静岡県裾野市東富士エリアで展開しているスマートシティにNTTも業務提携するということです。これは、トヨタの「東富士工場」跡地(東京ドーム約15個分)に「街」を建設し、2000人が住むという「Woven City」ではロボット・AI・自動運転・Maas・スマートホームといった先端技術を人々のリアルな生活環境の中に導入・検証できる実験都市を作るという壮大な計画です。5Gの先を見据えた取り組みです。5Gビジネスはこうした大企業にだけ利益をもたらすものではありません。総務省の試算では、5Gの経済効果を約46.8兆円と見込んでいます。5Gの応用範囲は広く多くの産業・生活にも及びますので中小企業にも利益を及ぼす場面が必ずあります。中小企業も自社のどの分野で5Gがかかわってくるかを考えてみてよいのではないでしょうか。新型コロナでそれどころではないかもしれませんが、何か飛躍へのヒントが得られるかもしれません。

ただ、今回の通信各社の5G通信ですが、対応エリアが限定的であり、現時点ではエンターテイメント・ゲームといった分野で利用できるメリットしかないように思います。現状では大して役に立ちません。買い替えるとしても2,3年後が良いでしょう。機種変更はしばらく様子見です。 

経済的死者を増やすな!

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おはようございます。

東京オリンピックが1年程度延期となりました。中止とならず良かった半面、1年間の延期がもたらす経済的損失は約6408億円との試算が出ています。問題は本当に1年後に新型コロナウイルスが終息しているかです。こればかりは現時点で何とも言えませんが、万が一、1年後に終息していなければ再度の延期ということは考えられず中止となる公算が高いように思います。是が非でもここ数か月以内に終息するように世界各国が手を携えて最大の対策をとるように努力し1年後の東京オリンピックがつつがなく行われるようにしなければなりません。

また、これまで話題にしてきた現金給付についてですが、政府が一律支給を見送る方針で調整に入ったというニュースが流れてきました。富裕層には支給しないということのようです。これには賛同する人もいるかと思いますが、現金支給は経済的弱者を救済するためのものではありません。今回の新型コロナにより生活が困窮した人に対しては第1弾・第2弾で、内容的には会社従業員とフリーランスを差別し金額的にも十分とは思えませんが、一応の対策は示されています。これをさらに充実させないといけないことに異論はありません。しかし、現金給付は、景気刺激策として行おうとするもので社会保障的な意味合いがある弱者救済措置とは異なります。目的が違うのです。重要なのは迅速に行い景気を刺激するタイミングです。そのためには一気呵成に行わなければありません。富裕層には支給しないなどと言っていたのではどこで所得制限を設けるのか、富裕層の家族に支給するのかなど検討しなければならない事項が増え、支給が大幅に遅れます。今でさえ5月末と言われており、アメリカのトランプ大統領が2週間以内で支給すると言っているのと大違いです。この現金支給は、所得制限を設けず全員に早期に一律に行ってこそ意味があると思います。

今日は、東洋経済オンラインの「『経済的死者』の急増を阻止する対策が必要だ」を取り上げます。

新型コロナウイルスによる死者は3月24日現在世界で約1万7000人になっており、イタリアをはじめ欧州で今後ますます増加するように思われます。

この記事は、「新型コロナウイルス感染症に対する経済対策は、経済活動の収縮による損失を可能な限り小さくすることに重点を置くべきだ。新型コロナウイルスの感染拡大による死者を減らすことができたとしても、経済的な死者をそれ以上に増やしてしまえば、新型コロナウイルスとの闘いに負けたことになる」と言っています。ここに言う「経済的死者」とは、失業などの経済問題を理由とした自殺者のことです。リーマンショックの時にも自殺者は増加しました。今回の新型コロナウイルスによって景気低迷が続けば倒産⇒失業⇒自殺と言った悪循環に陥ります。こうした悪循環を断ち切らなければなりません。

経済的自殺者を減らすためには失業者を減らさなければならず、失業者を減らすためには企業の倒産を防ぐことが必要です。通常の経済対策では、景気悪化によって落ち込んだ需要(消費)を喚起することに重点が置かれます。しかし、現在感染拡大を防止するために自粛を要請し人為的に需要を抑えているという特殊な状況にあります。

この記事は「通常の景気後退期には、所得税・消費税の減税、給付金の支給の消費押し上げ効果が期待できるが、今回の消費が失われたままでは生活必需品に対する支出はある程度増えるものの、現在需要が低減している外食、旅行、娯楽などの需要増加に役立たない」「現状は感染拡大を防ぐために自粛要請を続けているのだから、その間は需要の拡大をあきらめるしかない」と言っています。しかし、このような悠長なことを言っていれば昨日書いたように倒産件数はどんどん増加します。まずは、これまでも書いているように、一斉自粛と言うのではなく自粛するケースと自粛を解除しても良いケースを明確にして自粛解除してもよい場面で需要(消費)を増やすような対策をとるのです。「需要の拡大をあきらめる」なんて飛んでもありません。できるところから需要を拡大していかなければ日本経済は大変なことになります。

また、この記事は「政府が打ち出している中小企業の資金繰り支援、休業補償、雇用調整助成金の拡充などは一定の効果があるが、現在直面している事態への対応としては十分とは言えない」としていますが、この点に関してはその通りです。更なる中小企業対策として、第3弾、第4弾の経済対策が望まれるところです。

さらにこの記事は、「業種を限定したうえで、売上高が一定以上減少している企業や個人事業主に対し、雇用の維持を条件として、失われた売上高の相当分に対して返済不要の資金提供を行えば、倒産や失業の急増に歯止めをかけることができる」とします。極めて大胆な提言で、実現すれば倒産件数を減らすことができそうですが、実現困難な意見と言わざるを得ません。しかし、中小企業に対する助成金の拡大、無利子・無担保での長期間返済猶予の貸付などは可能性があるように思います。どうしても政府の目は大企業に行っていますが、今こそ99.7%を占める中小企業の救済に乗り出さなければ日本経済は沈没します。政府には、日本経済を支えているのは中小企業だという認識を持ってもらいたいものです。消費が増えれば経済は回り中小企業も潤うので倒産件数を減らすことができます。消費を増やすためにも早急な現金給付が必要だと思います。それによって経済的死者を減らせるようにも思います。

 

 

 

リーマンショックと比較して

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大阪 桜開花

おはようございます。

新型コロナウイルスの世界的拡大で、英国は3週間の外出禁止令を出しました。昨日、小池都知事は、「この3週間が分かれ道」としてイベントなどの自粛継続を呼びかけるとともに専門家対策班の「今後2週間余りで東京都の感染者が500人以上増える」という試算をもとに「事態の今後の推移によっては、都市の封鎖、いわゆる『ロックダウン』などの強力な措置を取る可能性」についても言及しました。今後日本における感染拡大がどうなるかはわかりませんが、そうした異常事態にならないようにしっかりとした対策を講じることこそ急務です。危機感をあおるのではなくしっかりとした対策を行い国民に安心を与えることが大切です。

今日はWedge(JR東海の雑誌)の「リーマンショックに比べ鈍い、政府の中小企業対策」を取り上げます。

新型コロナウイルスの感染拡大でヒトとモノの動きが止まり「コロナ不況」の長期化が懸念されています。新型コロナウイルスの経済への影響は、2008年に起こった「リーマンショック」と比較され、「リーマンショック級」とか「リーマンショック超」とか言われています。この記事は、今回の新型コロナウイルスリーマンショックの違いを明らかにして、政府の中小企業対策の鈍さを指摘しています。

まず、両者の大きな違いですが、リーマンショックは金融セクターから始まり、ほぼ同時に大企業、グローバルに広がり、そのあとで中小企業に影響が広がりましたが、新型コロナウイルスは、旅館・飲食・小売などのインバウンドから全国に広がり大企業にも影響が及ぶという展開になっています。リーマンショックの場合は「上」から「下」への流れに対し、新型コロナウイルスは「下」から「上」への流れです。大企業重視の政府の対応からすれば動きが鈍くなったのは当然のことでしょう。大企業にも影響が出始めて初めて本腰を入れるようになり後手後手の対策をとりようになったのです。

企業の倒産を見るとリーマンショックでは2008年に1万5646件、2009年1万5480件となり、その後2014年になってようやく1万件を下回るようになり減少してきました。2019年は消費税増税の影響もあり個人消費の落込みから8383件で前年よりも増加しました。これには昨年3月に終了した中小企業を対象とした金融円滑化法も影響していたと思われます。この記事では、今後の倒産についてはいつ終息宣言が出るかにかかっているとして、3月、4月に倒産が急増することはないが年間1万件を超す可能性があるとしています。しかし、世界的な感染拡大から早期に終息宣言が出るとは思えませんし、オリンピックの延期が確定的な状況では、早期に第3弾‣第4弾の中小企業対策を推し進めていかない限り、昨年度の消費税増税の影響と相まって倒産件数は急増しリーマンショック時を超える事態になりかねないと思います。

リーマンショックの時には政府は即座に30兆円の信用保証枠を設定し、金融円滑化法を制定して中小企業の経営支援に乗り出しましたが、今回は1兆6000億円の中小企業向け対策を発表しましたが動きが鈍いと言わざるを得ません。ようやく22日になって、政府はコロナ対策30兆円規模にすると発表しました。具体的にどのような対策が取られるかは未定です。早急に対策を打たないと経営者は疲弊し効果が薄れてしまいます。対策をとった時点で倒産回避できない企業が多数出ていたのではリーマンショック時より悪い数字になってしまいます。早急に中小企業に対する対策がなされることを期待します。

さらに、この記事は、倒産に至らなくても従来型の赤字リストラが増加するのではないかとしています。また、倒産よりも現実化するのが休廃業の増加であるとしています。休廃業というのは、人手不足や高齢化が経営の重荷になっている企業がコロナを契機に事業を継続するよりもたたんでしまおうと考えて事業を閉鎖することです。昨年度の休廃業は約4万件ありましたがコロナの影響で今年度は5万件を超えるのではないかとしています。その可能性は十分にあります。繰り返しになりますが、早急にしっかりとした中小企業対策が望まれるところです。

多くの中小企業及びその経営者は、新型コロナウイルスに立ち向かおうと必死に頑張っています。その中で、倒産という最悪の事態だけは避けたいがために「解雇」「賃下げ」などを行おうとしています。これは従業員にとっては死活問題になります。そこで新型コロナウイルスによる「解雇」賃下げ」が法的に有効なのかについて触れます。

整理解雇の正当性を判断する4要素が裁判例で認められています。新型コロナウイルスによる業績悪化の場合でもこの4要素は必要です。この4要素とは、①人員削減の必要性 ②解雇回避努力 ③人選の妥当性 ④手続きの妥当性 です。この4要素を総合的に考慮して解雇の正当性が判断されます。この場合特に重要になるのは②解雇を回避する努力を尽くしたかということです。すなわち、解雇せずに済むよう、別の部署や子会社への移動、解雇より前に希望退職を募るなどの努力をしたかということです。また、その際、雇用調整助成金の特例措置を講じたかも重要な要素になりそうです。この特別措置は、新型コロナの感染拡大に伴い、一部従業員の休業や一斉休業、濃厚接触者に銘じた休業などを対象に、その休業手当の一部に助成金が支給される制度ですが、こうした助成金制度を利用したかどうかも判断材料になりそうです。いきなり整理解雇に及ぶのではなく従業員のことも考えて、整理解雇はあらゆる措置を講じたのちの最終手段として考えてください。

正規社員に先立って、アルバイト・派遣社員・パートを解雇することは正当性が認められることはありますが、何度も雇用契約が更新され正社員と大差ない社員については合理的理由が必要です。

次に、「賃下げ」についてですが、合意がない限り就業規則を変更して一方的に給料を下げることはできません。ただ、給料の引き下げが少額の場合、引き下げが新型コロナの影響が見込まれる期間に限定される場合、新型コロナが終息した後に元に戻すなど、社員の不利益の程度が低く、手当がある場合には認められる場合もありそうです。

中小企業及び経営者の方々も倒産という最悪に事態を避けるべき努力してください。そのためにあらゆる方策を講じて下さい。しかしこれまで一緒に働いてきた社員のことも考えてください。この未曽有の危機を「ONE TEAM」として乗り切れれば、その先に明るい未来があるように思います。  

   

 

 

 

 

世界経済危機で経営者が犯しやすい過ち

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おはようございます。

先日19日に新型コロナ対策についての専門家会議が開かれ、感染が拡大している地域は自粛要請の必要性を検討し、収束に向かっている地域ではリスクの低い活動から解除を検討する必要があると提言しました。しかしこの専門家会議もこれに従う政府も自粛解除については主催者の責任で行うようにとしています。専門家会議も政府も主催者側に判断を丸投げし、自ら責任を負わないように責任の逃げ道を考えているとしか思えません。今必要なのは自粛を継続すべきか自粛を解除してもいいのかの明確な基準を提示してあげることです。これこそ専門家会議及び政府の責任においてやるべきことです。明確な基準がなければ自粛解除に踏み切れない事業者もいますし、十分な対策を講じずに自粛解除をする事業者も出てきます。新たなクラスターが形成され感染が拡大する恐れも出てきます。そうなれば政府は自分の責任ではないと言うつもりなのでしょうか。

また、国際オリンピック委員会(IOC)は、東京五輪の開催について4週間以内をめどに結論を出すと発表しました。各国競技団体から延期の要請が出ていることなどから早急に結論を出す必要を感じたからでしょう。安倍首相は東京オリンピックの開催について「予定通り、完全な形で実現」というようなことを言っていましたが、欧米での感染拡大状況からもはや「延期」はほぼ確定でしょう。新型コロナの影響で日本経済は落ち込んでいます。中止となれば32兆円とも言われる経済効果を受けられず、多大な損失を被ります。問題は延期となった場合いつまで延期するかです。延期開催まで日本経済が持ちこたえられるかが心配です。オリンピック開催まで経済を回していかなければなりません。そのための経済対策の一つがこの間から話題にしている現金給付です。できれば、消費税減税とセットにすればより経済効果・金融効果は高まるように思います。色々考えたところ、「現金給付1人10万円、消費税5%に引下げ」というのが良いように思います。こういう考えに至った経過についてはまた話します。

さて、今、新型コロナウイルスの感染拡大はヨーロッパ・アメリカに広がり、このままいけばリーマンショックを超える世界大恐慌になりかねません。

そこで、東洋経済オンラインの「世界経済危機で経営者が犯しやすい10の過ち」を取り上げます。

この記事は、リーマンショック級ともいえる未曾有の事態に対し、「近代マーケティングの父」と言われるフィリップ・コトラーの「コトラーの『予測不能時代』のマネジメント」(東洋新報社)から、コトラーのアドバイスを紹介しています。コトラーによれば、「経済恐慌が広がって頂点に達すると、多くの企業が方針を変える。見当違いの費用削減ばかりを行う。有能な人材を削減し、リスクを取るのを嫌がり、技術・製品開発費をカットし、最悪なのは不安に駆られたままで判断してしまうことである。こうしたことは企業にとって障害になるばかりか破壊にすらつながりかねない」のです。

世界恐慌が起きると企業は次のような過ちを犯します。

  • コア戦略と企業文化を損なうような資産配分を行う過ち
  • 計画的行動ではなく、全社一律の経費削減をする過ち
  • 目先のキャッシュのために人材を使い捨てにする過ち
  • マーケティング、ブランド、新製品開発の各経費を削減する過ち
  • 売上現象を挽回するために値下げをする過ち
  • 販売関連費を削減することで自ら顧客が離れていくという過ち
  • 社員研修や能力開発費を削減する過ち
  • 仕入れ先や販売業者を軽視する過ち

また、「ビジネス・ウイーク」誌も景気低迷期や乱気流期に対処しようとして企業が犯す過ちトップ10をまとめています。

  1. 有能な人材を解雇する
  2. 技術費を削減する
  3. リスク覚悟で思い切ったことをしない
  4. 製品開発を止める
  5. トップを成長志向型からコストダウン型の人物に代えてしまう
  6. グローバル化路線から撤退する
  7. 重要戦略である新たな取り組みをトップが撤回してしまう
  8. 業績指数を変更する
  9. 協調路線より序列関係を重視する
  10. 安全な場所に逃げ込む

これらを見て言えることは「保守的になってリスク覚悟で挑戦しない」ということです。厳しい時にこそチャンスがあるはずです。「ピンチこそチャンス」ととらえて新しい取り組みを続ければライバルに差をつけることが可能になります。新たな取り組みいかんで、業績・成長に大きな変化を与えることができます。景気が厳しい時に研究開発や新製品開発に投資している企業は引き続き収益を上げることができます。

ただ、不透明な時代に判断を間違うと、その企業だけでなく、そこで働く従業員も顧客も道連れにしてしまいます。だから、景気低迷期や乱気流時には動かず待つという行動をとりがちになります。しかし動かずに待っていると荒波に飲み込まれることにもなりかねません。荒波に飲み込まれなくても、こうした不透明な時代に今こそ「チャンス」ととらえ研究開発を行ったライバル企業に打ちのめされてしまいます。

「こうした時代に勝ち企業となって乱気流から抜け出る唯一の方法は、タイミングをつかむこと、つまり手堅く現実的な決断を下すことで自社と自社製品が努力次第で生き残れる、ちょっとすると繁栄すらできるチャンスをもたらす」「必要なのは、新しいものの見方、本腰を入れた計画、正しい戦略、そして長年の時流に逆らって進む勇気である」と結論付けています。

景気低迷期や乱気流期に思い切った戦略をとるというのは「言うは易く行い難し」でなかなか難しいと思いますが、上に挙げた犯しやすい誤りを1つずつチェックすることは可能なはずです。チェックしてできるところから少しずつ修正していくことだけでも、世界大恐慌(景気低迷期・乱気流期)を乗りきることができる体力がつくように思います。それで余力ができれば「ピンチをチャンス」ととらえ、新しい挑戦に船出すればよいのです。今は新型コロナウイルスの影響で世界大恐慌、世界的経済危機に突入する前段階のと言えるでしょう。今こそ、上記「犯しやすい10の誤り」をチェックし頑張ってこの危機を乗り切りましょう。 

      

   

休日の本棚 ビジネス思考を読む

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おはようございます。

一昨日は、「33の思考実験」「考えるとはどういうことか」を取り上げ、昨日は思考実験の関連で「タイムトラベル」「祖父殺しのパラドックス」をとりあげました。今日は思考という関連でビジネス思考に関連する本を紹介します。

まず、大森武著「高校生が学んでいるビジネス思考の授業」(阪急コミュニケーションズ)を取り上げます。この本は2014年出版で若干古く今も書店にあるかどうかわかりませんが、ビジネス思考についてわかりやすく説明されていて役に立つ本です。大森氏は早稲田高校の数学科・情報科の教諭です。2003年から高校のカリキュラムが変わり「情報科」が必修教科となり、ビジネスに必要なコミュニケーション能力や問題解決力の基礎はそこで身につけられるというのです。情報科と言うと「コンピュータの使い方を学ぶところ」というイメージがありますが、「情報をインプットしアレンジし、アウトプットするまでの一連の流れを扱う教科でコンピュータはその単なる道具に過ぎない」のです。2013年から、高校の情報科は「知識重視型」から「問題解決型」に方向転換されました。まさにここにビジネス思考と結びつくところがあるのです。

この本では、考えるための7つの道具が挙げられています。7番目はコンピュータですが残る6つの道具は次の通りです。

  1. 「デジタル論理式」です。ここでは狭い論理=記号論理を使います。デジタルの論理です。内容は、①情報のデジタル化 ②2進法 ③デジタル容量の容量計算です。最終的には、「文章を論理式で表してそれが筋の通ったものかどうか判定する」のです。つまり、文章の骨格を抜き出し「かつ」「または」「ならば」「~でない」の4つの記号で論理式を表し、それが筋の通った論理かどうかを判断するということです。ここで例文が挙げられています。「あなたはわたしのことが好きじゃないのね。だって、好きだったら私に優しくしてくれるはずなのにちっとも優しくしてくれない」この文章は正しい論法でしょうか?
  2. 「考え方の作法」です。これは論理の論理です。①意見(主張)には必ず理由(根拠)を添える。②反論は相手が挙げた根拠に向ける。③議論の目的はぼんやりしているものをはっきりさせる のです。ここで勧められている方法は①最初に意見を言う ②意見・根拠・反論を1行で書く ③五七調を封印する です。例としてマンホールの蓋はなぜ丸いのか?理由を3つ挙げてください(1行で)というのがあります。また、原発事故の損害をだれが負うべきか?意見と理由と反論を3セット挙げるというのもあります。
  3. 「駆け引きの科学」です。ここではゲーム理論が挙げられています。ゲーム感覚でゲームを楽しもうということです。ゲーム理論については以前取り上げました。ここでは例として、冷戦時代、アメリカ大統領は考えた。「このまま軍拡競争を続けたら経済が破たんしてしまう。何とか軍縮に切り替えたい。でもアメリカだけが軍縮したのではソ連に世界の覇権を取られてしまう。さて、どうしたものか?」というのが挙げられています。
  4. 「最大の情報源は自分である」です。ここではマインドマップの使い方が色々あげられています。マインドマップと言うのは、真ん中から外へ枝分かれしていく図のことで、すべてを芋づる式に書き出し、枝分かれするように「見える化」する技のことです。例として、昔話「桃太郎」を1枚の紙に再現するというのが挙げられています。まず、桃太郎を10字程度に要約し(桃太郎が鬼を退治した)これを紙の中央に書いて、枝を伸ばしながら再現jしていくのが挙げられています。
  5. 「自然現象・社会現象をモデルで斬る」です。ここではモデル化からシミュレーションまでが挙げられます。雑然と見える自然現象や社会現象から特定の要因を抜き出しモデル化し、その現象をシミュレーションしてみようということです。さぎょうは「条件設定→図解モデル→数式モデル→シミュレーション→グラフ化」と進みます。例として「車のアクセルを踏むと加速しますが、アクセルを踏み続けるとやがて無限に速くなるかと言うと、実際にはそうなりません。『車のアクセルを踏み続けるときの車の速度変化をモデル化してシミュレーションしてください』」と言うのがあります。
  6. 「曖昧の科学」です。ここで統計の勘所をつかむのです。ここで「平均値と中央値」「ばらつきと標準偏差」「散布図と相関係数」さらに「正規分布」「P値」「ベイズ推定」と統計理論に進みます。統計についても以前書きいていますので参考にしてください。ここでは、予防接種のどれくらいの効果があるかという例を考えます。①予防接種を受けた100人のうち、病気にかかったのは10人でした。②予防接種を受けなかった100人のうち病気にかかったのは20人でした。さて、あなたは予防接種を受けますか?このことは何を意味しているのでしょうか?①②から言えることは「100人の内80人は、予防接種を受けて受けなくても病気にかからなかった」また「100人の内10人は予防接種を受けて設けなくても病気にかかった」と言うことです。このことから「予防接種を受けたおかげで病気にかからなかったのは100人のうち10人だけ」「残り90人は予防接種を受けて設けなくても病気にかからなかった」ということで「予防接種を受けて効果がある確率は10%、受けても効果がない確率が90%」と言うことなのです。

高校生に戻ったつもりで情報科の授業を学ぶのも良いのではないでしょうか?

そのほかにビジネス思考に関連する本として、赤羽雄二著「ゼロ秒思考」(ダイヤモンド社)とグレッグ・マキューン著「エッセンシャル思考」(かんき出版)を挙げておきます。

「ゼロ秒思考」ですが、A4の紙に1件1枚で1分以内に書くことで考える力が鍛えられると言っています。「高校生が学んでいるビジネス思考の授業」で「主張・理由・反論をそれぞれ1行で書く」というのに通ずるところがあるように思います。

「エッセンシャル思考」とは最小の時間で成果を最大にする方法で、多数の瑣末なことの中から、少数の重要なことを見分ける技術、99%の無駄を捨て1%に集中する技術、努力せずに自動的にエッセンシャル思考を実現する技術などについて説明しています。いずれの本もビジネス思考として役立つものと思います。

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休日の本棚 タイムトラベル

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おはようございます。

昨日、33の思考実験で、「祖父殺しのパラドックス」に触れました。そこで、今日はタイムトラベル関連の本を取り上げます。

タイムトラベルと言えば、映画では「バック・トゥ・ザ・フューチャー」、村上もとかの漫画「JIN-仁」とそれを原作とするテレビドラマが有名です。過去や未来を自由に行き来する「時空もの」「タイムトラベルもの」は日常では味わえない世界を楽しめるので、映画やドラマで流行ります。

バック・トゥ・ザ・フューチャーでは「祖父殺しのパラドックス」に似た状況が出てきます。当然「祖父殺しのパラドックス」を意識して作られています。バック・トゥ・ザ・フューチャーは高校生マーティと科学者ドクのタイムトラベルをめぐる物語です。マーティーがタイムトラベルした年である1955年は、マーティの父ジョージが母ロレインと出会った年。ロレインの父がジョージを車ではね、救護のために自宅に運び込まれたジョージがロレインに一目ぼれするはずが、マーティーが父ジョージを助け代わりにはねられたために母ロレインは未来から来た息子マーティーに一目ぼれしてしまうのです。このままでは父と母が結婚することはなく自分が生まれないと悟ったマーティーが父と母の間を取り持つという話になります。

何度見ても面白い映画シリーズです。よくできています。

「時空もの」「タイムトラベルもの」の小説をいくつかあげます。

  • 筒井康隆著「時をかける少女」(角川文庫)…時間を超越する能力を身に着けた少女が様々な経験・体験を重ねていく物語で、原田知世で映画化され、内田有紀主演でテレビドラマ化されました。
  • 北村薫著「ターン」(新潮文庫)…ダンプと衝突した主人公真希、気付くと自宅の椅子に座っています。その日から、毎日同じ1日が繰り返します。次第に無気力、絶望感に陥る中、突如電話が鳴り・・・必死で希望を持ち未来を描こうとする真希。この作品は「時と人 三部作」のひとつで、「スキップ」「リセット」も時空をテーマにしています。
  • 西澤保彦著「七回死んだ男」(講談社文庫)…主人公の”僕”は1日を9回繰り返す「反復の落とし穴」に嵌っています。そんなある日、祖父が亡くなります。”僕”は祖父の死の真相を突き止めようとします。
  • 東野圭吾著「ナミヤ雑貨屋の軌跡」(角川文庫)…訳アリの3人が逃げ込んだ雑貨屋、そこは時空を超えた雑貨屋で、過去と現在との手紙のやり取りが可能だった。2017年に映画化された作品です。東野圭吾著「時生」(講談社文庫)も時空を超えた感動ミステリーです。
  • 重松清著「流星ワゴン」(講談社文庫)…外出が増え時に朝帰りする妻、中学受験に失敗し苛めにあい引きこもりになった息子、最悪な暮らしの中でリストラを受け「死んじゃってもいいかなあ」と絶望していた僕は、ある夜、5年前に交通事故で死亡した親子の乗る不思議なワゴン車に拾われ、時空の旅に出かけます。「泣ける」「感動する」と評判になった名作です。本当に泣けます。
  • 宮部みゆき著「蒲生邸事件」(文春文庫)…受験生の主人公孝史が受験のために上京し宿泊していたホテルで火災にあい、助けられたと思うと2.26事件の前にタイムスリップしていたという話です。

それでは、タイムトラベルと言うのは、映画や小説でもてはやされる絵空事・空想の世界なのでしょうか?実は物理学者がタイムトラベルについて真剣に研究しています。以前カルロ・ロヴェッリ著「時間は存在しない」を紹介した時にも書きましたが、時間は過去から現在、そして未来へと流れるものという考えは間違っているのです。物理学の原理・理論によれば、タイムトラベルを否定する理論や原理がないのです。

過去に行くには、情報を逆向きに送るという方法と時空の通り道が曲がっているところを進むという二つの方法があるのです。アインシュタイン特殊相対性理論では、第1のタイプの時間旅行(超光速による逆向きの因果関係)が可能であり、一般相対性理論では第2のタイプの時間旅行(時間的曲線を介した時間旅行)が可能というのです。

かつて車椅子の天才物理学者スティーヴン・ホーキングが「時間旅行が可能ならどうして未来から現代に来ている旅行者はいないのか」と言って「時間順序保護仮設」を唱えました。しかし、その後、タイムトラベルを不可能とする物理法則を見つけられず、タイムトラベルは可能かもしれないと自説を変えました。

第1の可能性のあるタイムマシンはワームホールを利用するものです。これはカリフォルニア工科大学のキップ・ソーン教授が提唱したものです。ワームホールとは空間内にできた仮想的なトンネルで、物理学者は一般相対性理論によれば存在可能であるとしています。別のタイムマシンとして考えられるものが回転する宇宙です。宇宙が回転していたら、そしてその宇宙を充分に速く周回することができれば、過去にいて出発した時よりも前にいるというのです。これは数学者ゲーゲルの見解です。第3の可能性が、無限に長い回転する柱の周りをまわっても出発した時よりも前に辿り着けると言います。これはゲーゲル解より早くストックムが気付きました。一番新しいタイムトラベルの解はプリンストン大学のリチャード・ゴッドが見つけました。2本の巨大な宇宙ひもが衝突する寸前にこの宇宙ひもの周りを素早く回ると時間をさかのぼることができるというのです。

どの説も今すぐに実現可能というものではありませんが、物理学の法則でタイムトラベルが可能だというのは驚きです。もしタイムトラベルが可能だとしたら、「祖父殺しのパラドックス」はどのように解決されるのでしょうか?

1つに考え方は、過去に行ってもただ過去の歴史を繰り返すだけなので、過去は変わらず実現されることはないというものです。第2の考え方は、自分が生まれる前の祖父を殺そうとしても何らかの不可抗力が働いて祖父を殺すことはできないというものです。第3が、並行宇宙、マルチバース(多宇宙)を前提とする考えで、祖父を殺した世界と祖父が殺されていない世界が枝分かれして並行して存在するというものです。突拍子もないような説ですが、ヒュー・エヴェレットが提唱した多世界解釈を前提とするもので多くの支持者がいる見解です。

こうした物理学の見解を眺めるのも面白いです。