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トヨタ生産方式 「カイゼン」

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おはようございます。

今日は、話題とすべき記事が見つかりませんでした。そこで、昨日の日経ビジネス「狙うはソフト人材 トヨタが都心に『ムダだらけ』拠点」を取り上げます。

記事によれば、トヨタデンソーアイシン精機と共同設立したとトヨタ・リサーチ・インスティチュート・アドバンスト・デベロップメントの新オフィスのことで、通路の幅は自動車が通れるくらいに広くトヨタの「カイゼン」のイメージとは程遠く、「ムダと言える部分が多いといいます。

それでは、なぜ新オフィスでトヨタ生産方式と真逆の方式が採られているのでしょうか。

まずはトヨタ生産方式についてみてみます。

トヨタ生産方式と言えば、「製造にかかるコストを極限まで低減させること」を目的に、ジャストインタイム(JIT)と自働化を2本柱としています。トヨタ生産方式は、徹底的にムダを排除することが必要で、トヨタではムダの徹底排除によって、作業能率の大幅な向上を実現しています。ムダとは①手持ちのムダ②作りすぎのムダ③運搬のムダ④加工そのもののムダ⑤在庫のムダ⑥動作のムダ⑦不良のムダの7つです。

そして、これらのムダを徹底排除するためにトヨタ生産方式ではJIT生産と自働化生産を柱とします。JIT生産とは「すべての工程が、後工程の要求に合わせて、必要なものを、必要な時に、必要な量だけ生産(供給)する生産方式」です。自働化生産とは、「生産ラインや機械で不適合品や異常が発生した時点で、品質保証のためにそれらの異常を検知して作業者や機械が自ら生産ラインや機械の自動運転を止める仕組み」のことです。そして、これらを具体化するために、後工程引き取り方式、小ロット生産、平準化生産、かんばん方式などが行われます。

このようにトヨタ生産方式トヨタの生産(製造)部門で採られている方式なのです。

今回の新オフィスは、ソフトウエア開発という部門であり生産部門とは異なる場です。ソフトウエア開発に携わる有能な人材確保という目論見もあったのでしょうが、開発部門、特にソフトウエア開発においては、独創的な発想・創造的なアイデアを生み出す空間が必要なのです。こうした分野では、時として「ムダ」と思える要素が全く新しく素晴らしいアイデアや発想を生み出すことがあります。

トヨタ生産方式と言えば、ムダ排除によるコスト削減という点に目が行きそうですが、本来の本質は効率性、生産性の向上にあるのです。

ムダの徹底排除、コスト削減だけがトヨタ生産方式ではないのです。場面に応じて対処して効率性・生産性の向上を図るという臨機応変さが必要です。これもまたトヨタの「カイゼン」なのでしょう。

中小企業の中にも「トヨタ生産方式」「カイゼン」に取り組まれているところもあるでしょう。しかし、トヨタ生産方式をそのまま採用しても効果が認められない場合も多いのです。それはムダ排除やコスト削減にばかり目がいって効率性・生産性の向上という面をないがしろにしているからです。たんに真似をしただけではダメなのです。自社に合った方式を臨機応変に採用する必要があるでしょう。