中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

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DXを推進するための経営者の役割

おはようございます。

今日も過去もブログを貼り付けます。

このところDXやデジタル化が求められ一種ブームのような感はありますが、DXの本質は「デジタルが高度に浸透する社会に適合した企業に丸ごと生まれ変わらせる」ことで、DXを円滑に推進するためには、組織や制度の改革に加えて、組織カルチャーや全従業員の意識変革が必要になります。そして、そのためには経営者のメッセージや行動が重要な役割をはたします。

DXはIT業界やネット企業だけの話ではなく、あらゆる業界にも影響を与えます。自社には無関係と傍観することもできません。DXを今すぐ取り入れるかどうかは別として、先ずは経営者が、今起こっていること、これから起ころうとしていることに正面から向き合い、DXの本質的な意味を理解しなければなりません。先ほども書きましたが、DXを推進するには組織カルチャーや全従業員の意識改革が必要です。そのためには経営者自身が率先して意識を変え行動変革を行わなければなりません。

DXに求められる経営者の行動様式を5つに分けて説明します。

1.トップの思いを込めた宣言と行動を起こす。

 DXによって、企業がどこに向かうのかを示さ子ければなりません。そのためには、ビジョンが必要で、「5年後10年後に自分たちがどういうことを実現したいのか」ということを明確な簡潔な言葉で示すことが必要です。しかし、経営者はビジョンを言葉で宣言しただけではいけません。自ら動く、試す、使うという行動を起こすことが必要です。

2.異質なものを受け入れる器量を持つ。

 デジタル時代の企業には、既存事業の強みを維持・強化しつつも、新規の価値を創造する「両利きの経営」が必要です。既存事業にとっては新規事業は異質で相容れない組織特性を必要とします。経営者自らが殻を打ち破り、新規の価値を探求し、異質な差犬を最大限活用することが必要です。経営者には同質性を抑制し、異質性、つまり異質な考え方や見方を積極的に取り入れる姿勢が求められます。

3.自前主義や脱自前主義のメリハリをつける。

 これまでの企業では、自社で生産設備や販売網を持つなど、自前で強みを構築してきました。しかし、デジタルビジネスの世界では、自社だけでやるのではなく協調戦略やプラットフォーム戦略をとります。企業やビジネスシステムが互いにつながることでより大きな価値を生み出すのです。

 経営者は、捨てるべきものと残すものとを明確に示すことが求められ、そのために自社のコアとなる領域をゼロベースで見つめなおすことが必要です。これまで強みであった能力が、本当に本質的なコアなのかを問い直すことが重要です。こうした判断は現場スタッフや中間管理職が下せるものではありません。経営者自身が判断すべき事柄です。

4.挑戦者の後ろ盾となり、後押しする。

 DXの推進は、従来の業務改革やシステム導入とは異なり、組織、制度、権限、人材、文化・風土など企業の根幹にかかわる変革が不可欠です。

 特に、新規事業の立ち上げには、経営者の役割は重要で、既存事業と新規事業の2つの組織の間のバランスを考慮し両方の橋渡し役が重要になります。新規事業が既存企業の抵抗にあって潰されないように、経営者の後ろ盾が必要です。経営者は旗を振るだけでなく、自ら変革が進む環境を整えるための行動を起こすことが求められます。

5.組織の自律性を高め、権限を移譲する。

 DXの推進には、組織、制度、権限、人材、文化・風土の変革が必要ですが、そのためには、経営者がこれまで正しいと思って実践してきたマネジメントやリーダーシップのあり方を大きく変えなければなりません。

 従来のピラミット型組織では、上位層が戦略を考え、指揮命令に忠実に従う社員に実行させることを目指し、それを支えるための仕組み、つまり、階層組織・稟議承認ルール、業務評価、社内規定や業務慣行などをうまく回していくのが経営者の仕事でした。それに対し、フラットでオープンな組織では、経営者を含め全員が自分のなすべきことを自分で決め熱意をもって取り組み最大の成果を上げることが重要になります。経営者の仕事は、内発的な動機付けを湧き立たせる環境を整えることにつきます。

DXの導入自体は簡単ですが、それが有効に機能するためには組織・制度の変革だけでなく、全社員の意識改革が必要であり、まずは経営者自身の意識変革・行動変革が重要になります。単なる流行りで導入すべきことではありません。以前から何度も言っていますが、DXやデジタル化は目的ではなく手段です。経営者自身が明確な目的、ビジョンをもってそれを実現するためにどうしてもDXが必要だという意識を持つことが重要なのです。そういう強い決意がなければ今は導入すべき時期ではありません。