中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

中小企業経営のための情報発信。中小企業から日本を元気に

中小企業の次の一手

おはようございます。

日本企業の99%を占め、常時雇用者の69%が働く中小企業は日本経済の根幹を支えていると言っても過言ではありません。これまでも書きましたが、アトキンソンらが唱える「中小企業不要論」は 間違っています。中小企業があってこその日本経済ですが、長引く不況や少子高齢化、更にコロナ禍で過酷な状況に追い込まれていることも事実です。今はVUCAの時代と言われ、先行きが見通せず何が正解か若ならい時代です。社会や環境の変化も激しく、時代の流れについて行くことが容易ではありません。中小企業の多くが、スピード・体力の不足、そして衰退する市場に取り残され、価格競争を強いられ疲弊しています。

1.社会情勢の変化やスピードに、どこまでついていけるか

 大企業に限らず、中小零細企業であっても、社会情勢の変化を的確に捉まえてスピード感を持って対処しなければならないことは言うまでもありません。

 今は、未来を予測することが難しく、予期しない出来事が予想もしないタイミングで起きることが当たり前の時代です。

 コロナ禍で、以前は出社し働くのが当たり前でしたが、今はリモートワークであらゆることをオンラインで行なうようになりました。飲食業など客足が減り休業や閉店に追い込まれた店が多発しました。コロナによる廃業y他党サンの事例も枚挙に遑がありません。新型コロナの感染状況を見ながらリモート環境を着々と整えて、きちんとニューノーマルの働き方に移行した企業もありますが、多くの中小企業は想定外の事態に相応できず、倒産しないまでも極めて苦しい状況にあります。

 コロナだけでなく、脱炭素やSDGs、DX、多様性など経営のビッグイシューといわれる問題・課題においても中小企業が取り残されています。

 中小企業が社会の変化にうまく対応できないのは、スピードと体力が不足しているからです。変化が激しい時代では消費者が求めるものがめまぐるしく変わります。それらは昔に比べて細分化・多様化しており、中小企業がそれに対応することは難しいのです。高度成長期やバブル期には、大量生産で大量に売っていれば事業は成り立っていました。しかし、今は消費者のニーズが細分化し多様化しているので、1つのものを大量に作っても売れません。今は消費者のニーズを細分化し、世の中のニーズだけでなく個人の興味の対象も調べ、そこから少し先の流行を予測し先手を売って行くことが求められ、これを繰り返しながら修正・改善していかなければならないのです。例えば、タピオカ屋が流行っているのを見て「うちもタピオカをやろう」と思って始めたときには既にブームは終わっているのです。

 個人の興味・関心は次から次へと移っていきます。極めて気まぐれなものです。表面化した流行を見てから動くやり方では後れをとることになります。

 変化が激しい時代を勝ち抜くためには、従来の事業や経営の構造を抜本的に見直して、自ら変革していくしかないのです。

2.衰退産業に身を置く中小企業は「次の一手」が必要

 資金と人財の課題の克服とともに変化をいち早く捉える必要があることは、ほとんどすべての中小企業に共通の課題です。

 製品には製品ライフサークルがあります。生物に寿命があるように製品にも市場に導入されてから最終的に市場から消え去るまでの周期・寿命があるのです。製品の需要は導入期から始まって成長期に次第に増加し、やがて成熟期に停滞し、衰退期にいたって減少します。人々のニーズが細分化・多様化するようになって製品ライフサークルの周期は短くなっています。

 また、衰退期の市場は需要が少ないために価格競争が起きやすく、利益率が下がりやすいという特徴があります。これでは市場内で事業をしている企業も衰退していくしかありません。大企業の場合には、製品が衰退期に入った場合には、新たな製品を開発し新たな市場で戦うことができますが、中小企業の場合、その製品の固執し続けるなら、衰退産業の市場に取り残され、衰退するしかなくなるのです。

 中小企業も、社会の変化や消費者が求めるものを捉え、新たな魅力ある製品を作り出すことができるなら、市場は再び導入期に戻ることができます。魅力ある製品は消費者の関心を引き寄せ、企業に資金が流入足、人も集まってきます。経営課題であるかねと人材の不足も克服することができるのです。

 問題は、そのための準備と行動をいかに早くすることができるかです。衰退期では遅すぎますし、成熟期でも遅いと言えます。成長期で製品の需要が増加している段階で、次のぴってを考えなければなりません。成長期にある製品であってもいつまでも需要が見込まれるわけではありません。いつかは頭打ちして減少に転じるのです。それJからでは遅いのです。特に変化が激しい時代では、ライフサイクルの周期も短く、あっという間に成長期⇒成熟期⇒衰退期に入ります。

3.衰退の波からどうやって脱出するか

 本当に難しいのは、どうやって再び導入期に戻るかということです。その方法を見つけることで中小企業も勝ち残れるのです。

 成熟期以降に、売り先を増やしたり販売エリアを広げようとしてもあまり効果は期待できません。社会やニーズの変化を的確に捉まえて、これから伸びそうな新製品を作ったり、新たな市場に進出していく上で、手持ちの技術や知見が活かせるかどうかを検討することです。これまでも書いていますが、イノベーションというのは全く新しいアイデアであることはほとんどなく、「既存の知」と「既存の知」の組み合わせによって生まれます。どのような中小企業でも、自社の「強み」は必ずあります。「弱み」を克服することはなかなか困難ですが、「強み」を延ばすことは比較的容易です。自社の「強み」をしっかりと捉まえて、それを延ばしていくことで、新たな製品が生み出されるはずです。

 以前にも書きましたが、中小企業が勝ち残るためには、NO1かNO2以外はやらないという覚悟が必要です。いわゆるランチェスター戦略です。

 ビジネスに関して言えば、強者(大企業)には、物流と価格戦略にて、効率的にビジネスを仕掛け、市場全体で勝利することを図るという戦略が打倒しますが、弱者(中小企業)には、市場をセグメントして、資源を一点集中させ、強者との差別化を図るという戦略が妥当します。

  1. 差別化する・・・人と違うことをする。その勇気を持つ
  2. 小さな領域でNO1を目指す・・・1位になれるまで細分化する
  3. 一点集中・・・他をやりたくなる誘惑に負けない
  4. 局地戦で戦う・・・戦場を広げない
  5. 接近戦で戦う・・・訪問し近くで触れ合う
  6. 一騎打ちをする・・・一人ひとり丁寧に対応する
  7. 万人受けを狙わない・・・ターゲットを絞り込む
  8. 勝ちやすさに勝つ・・・競合がないところで静かに勝つ

 どのような小さな企業でも差別化し一点集中で1つのことに根気よく打込めばNO1になることができます。これがランチェスター経営戦略ですが、そこにはお客様のためという利他の心や感謝の心がなければなりません。経営というのはお客様に喜んでもらうことです。お客様が何を望んでいるのか、何を求めているのかを、お客様に丁寧に接することでつかみ、それを「差別化と集中」の中で活かしていくことで、中小企業も勝ち残ることができるように思います。