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休日の本棚 ブルー・オーシャン・シフト

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おはようございます。

昨日の新規感染者は145人、23県が新規感染者ゼロとなっています。オミクロン株ががインドやギリシャで新たに見つかり32の国と地域に拡大しています。最初に見つかった南アフリカでは、10月にはデルタ株が主流でしたが、11月には感染者の7割以上がオミクロン株に置き換わっています。オミクロン株の感染力の強さがうかがえます。オミクロン株はワクチンの効果を弱めるようで2回のワクチン接種を終えた人も感染するようですが、重篤化のリスクは避けられるとのことです。従って、水際対策の強化と平行して、3回目のワクチン接種が医療従事者から始まりましたが、前倒してワクチンして進めていくことです。

さて、今日はW・チャン・キム&レネ・モボルニュ著「ブルー・オーシャン・シフト」(ダイヤモンド社を紹介します。

以前「ブルー・オーシャン戦略」を紹介しましたが、この本はその続編といった本で、「ブルー・オーシャン戦略」よりもより実践的な内容になっています。

「ブルー・オーシャン戦略」はベンチャー企業のような振興の企業には役立つものの、衰退している市場環境のもとで古くから存在する一般の企業がどのようにブルー・オーシャン戦略をとればいいのか、今ひとつ明確に示されていませんでした。この本では「衰退し上でも新規事業の立ち上げは可能である」として普通の会社がブルーオーシャン市場を開拓できる方法を紹介しています。「ブルー・オーシャンへ移行(シフト)する」という意味で本のタイトルがつけられているのです。

キム教授らが「ブルー・オーシャン戦略」を執筆したのは、「競争戦略がすべてではない」という考えからです。かつて成長のためには破壊的な創造が必要だと考えられていましたが、キム教授らは成長のためには非破壊的な創造も必要であると考えたのです。

ブルー・オーシャン戦略は競争するのではなく、新しい市場を創造する戦略です。前書「ブルー・オーシャン戦略」では、理論しか書かれておらず、レッド・オーシャンからブルー・オーシャンに転じるための具体的方法論やエビデンスを見せて欲しいという声が上がりました。

キム教授らが「ブルー・オーシャンシフト」で強く訴えているのが、人間の感情を戦略と組み合わせることの重要性です。

戦略を作り実行しようとすると、どうしても「そんなものは机上の空論だ」「非現実的だ」「今のままで十分」などの声が上がります。これは反対する人が心から納得していないからです。新しい課題に挑戦し戦略を作り実行するのは、組織にいる生身の人間です。人間だからこそ、心から納得して動くことが必要なのです。そのため、この本では「人間らしいプロセス作り」を重視しています。

ブルー・オーシャン・シフトの流れは、5つのステップと競れに対応する分析ツールや指針が定義されています。そして、それが、感性と知性、人間らしさ、自身、創造性とうまく調和され、みんなが行動を起こしてくれるように配慮されています。

各ステップには「細分化」「実体験に基づく発見」「公正なプロセス」の人間らしさの3つの要素が組み込まれているため、自身と創造性が増すような仕組みが備わっているのです。

この手順は、ステップ1からステップ5までで完結しますが、出発点は組織によって異なるとされています。

1.【ステップ1】準備に取りかかる:PMSマップ

 PMSマップでブルー・オーシャンの創造性を目指すに当たり、何処に的を絞るかを判断します。

 ブルー・オーシャン戦略の対象範囲を決められるよう、縦軸に「パイオニア」「安住者」「移行者」の3つのセグメント、収益を縁の大きさで表したPMSマップを作ります。これにより、既存の事業ポートフォリオや製品・サービス全体を1つの図表上にプロットして評価し、業績の先行きを見通すことが出来るようなります。

 目的は。現金を創出して収益安定に寄与する安住者と、将来に向けた成長源であるパイオニアを、健全に調和されることにあります。

 PMSマップの作り方

  • ポートフォリオのカギを握る製品やサービスを特定する
  • 製品やサービスを、パイオニア、移行者、安住者に分類する
  • 個々の事業や製品、サービスに関する評価を書き入れる

次に、ブルー・オーシャン・シフトにふさわしいチームを作ります。リーダーに求められることは、チームの窓口役として、方向性と高揚感を維持し、全員への情報提供を怠らず、チームが組織内オデウマク活動できるように先導することです。

2.【ステップ2】現状を知る:戦略キャンパス

 戦略キャンパスで、チーム全員で競争の現状を簡単な図表にまとめることによって、戦略転換の必要性を悟り、合意します。

 戦略キャンパスの横軸には、業界が競争及び投資する要因を記録し、縦軸にはこれらの競争要因から買い手が得る提供レベルを記録します。

 戦略キャンパスは、自社美製品・サービスが何にどれくらい力を入れているかを、他社製品と比較・分析し、ビジュアル化したもので、①競争要因 ②各要因の提供度合い  ③自社と他社の戦略プロフィール ④自社と他社のコスト構造を明確に示すことが出来ます。

 競争キャンパスの作り方

  • 業界を特定する
  • 業界の主な競争要因を特定する・・・買い手の視点で選ぶ(最少5,最大12)
  • 比較対象に敵した主力競争企業を選ぶ
  • 主な競争要因に対して、自社と業界リーダーそれぞれの製品を評価する・・・5段階のリッカート爵位度を用い、競争要因ごとに評価する
  • 現状の戦略キャンパスを描く・・・横軸の一番左に価格を書き入れ、次に価格以外の競争要因を並べる

 戦略キャンパスが完成したら、作成を通して得た主な地券をチーム全員に各出してもらい、各自の意見を掘り下げ、チームとしての戦略的知見を浸透させます。

3.【ステップ3】目的地を描く:買い手の効用マップ、非顧客層グループ

 買い手の効用マップは、「自分たちの業界を含むほぼすべての業界が解決すべき大きな問題を抱えている」という気づきを引き出す役割を果たします。

 縦軸に効用を生み出す6つのテコ、横軸には顧客の6つのステージを並べ、全体で36の効用スペースを作ります。

 ⑴縦軸(効用を生み出し6つのテコ) 

  ①顧客の生産性 ②シンプルさ ③利便性 ④リスク低減 

  ⑤楽しさや好ましいイメージ ⑥環境への優しさ

 ⑵横軸(顧客の6つのステージ)

  ①購入 ②納品 ③使用 ④併用 ⑤保守管理 ⑥廃棄

 効用マップの作り方

  • 顧客体験のサイクルから始める
  • 効用を生み出し6つのテコを理解する
  • 買い手の効用マップを完成させる

 次に非顧客層の3つのグループで、開拓可能な需要全体を把握します。

  • 第1グループ 潜在的な非購買層は市場の縁にいて、すぐに離反しかねない顧客
  • 第2グループ 断固たる非購買層で、この業界の製品やサービスを検討した結果、意識的に購入を見送る人々
  • 第3グループ 未開拓の非顧客層で、現状では一見したところ無関係な市場にいる人々

4.【ステップ4】目的地への道筋を見つける:6つのパスと4つのアクション

 6つのパスで体系的な経路をもとに市場の境界を引き直します。

 6つのパスは、市場を見るためのレンズを変えて新しい価値コスト、フロンティアを開拓するためのものです。

⑴6つのパス

  • パス1 代替業界に学ぶ
  • パス2 業界内の他の戦略グループから学ぶ
  • パス3 別の買い手グループに目を向ける
  • パス4 補完財や補完サービスを見渡す
  • パス5 機能志向と感性志向を切り替える
  • パス6 外部トレンドの形成に加わる

⑵4つのアクション

 次に4つのアクションで、差別化と低コストを元に実現する戦略案を考えます。

  • 減らす 業界標準と比べて、大幅に減らすべき要素は何か
  • 創造する 業界で、これまで提供されていない、今後創造すべき要素は何か
  • 増やす 業界標準と比べて、大胆に増やすべき要素は何か
  • 取り除く 業界常識として、製品やサービスに備わっている要素のうち、取り除くべきものは何か

5.【ステップ5】戦略を絞り込み、実行に移す

 ブルー・オーシャン見本市で、実行すべき戦略を決め、短期の市場テストを行い、戦略を改良します。

 自社と顧客の両面に恩恵をもたらすタイ夫局的なビジネスモデルを仕上げ、戦略を完成させ、製品やサービスを市場に投入し展開します。

異常の5つのステップを踏んでいきますが、最初に書いたように重要なのは「人間らしいプロセスづくり」です。そこで重要なのは次の3つです。

  1. 進め方を細分化する
  2. 実体験を重視する
  3. 公正と信頼

現在レッド・オーシャンの中にいても、ブルー・オーシャンの芽は至る所にあるはずです。顧客は何らかの不満を抱いているものです。その不満がブルー・オーシャンの芽になります。重要なことは顧客を観察することです。